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バフェットからの手紙 (4)- 2007年版  

先週からのエントリーの続きです。
2008年2月29日に掲載されたウォーレン・バフェット氏の株主向けの文書をセクション毎に訳した物です。
http://www.berkshirehathaway.com/letters/2007ltr.pdf

ビジネス - すごい、良い、とんでもない

それでは、どの様な事業(ビジネス)が我々を興奮させているのか見てみましょう。そして、その様な話をしながら(それと同時に)、我々が避けたいと思っている事についても検討(議論)してみましょう。

チャーリーと私は、a) 我々が理解できるビジネス(事業); b) 長期的に良好な経済状態; c) 有能で信頼できる経営陣; d) 分別のある(提示)価格;を持つ企業を探しています。我々は事業の全て、または、経営陣が我々のパートナーであるならば、最低で80%を購入したいと考えています。しかしながら、傘下に収める様な買収ができない場合は、素晴らしい事業の一部分を、単に購入する事も我々は喜んでします。模造ダイヤ(ラインストーン)の全てを所有するよりも、ホープ・ダイアモンドの一部を所有した方が良いと思います。

(ホープ・ダイアモンド:スミソニアン美術館にある45.52カラットのダイアモンド:Wikipediaのホープ・ダイアモンドの解説はこちらです。)

本当に素晴らしい事業は、素晴らしい投資資本のリターンを守れる(確保できる)耐久性のある”堀”を持つ事が必須です。 大きな収益を持つ”城”は、 競合する者達の度重なる襲撃を必ず受けることが、 資本主義の原動力です。(原動力として保証されています)ですから、低価格の提供者(GEICOやCostco)あるいは強力な世界中で認知されるブランドを持つ(Coca-Cola, Gillette, American Express)会社の様な、非常に強力な防壁(バリア)を持つことが、継続した成功を得るために必須となります。ビジネスの歴史では、堀が幻想で、しばらくするとすぐに(敵に)渡られてしまった”ロマン・キャンドル”の会社達であふれています。

(ロマン・キャンドルは花火の一種です。ロマン・キャンドルの解説はこちらです。)

”長続きする事(もちこたえることができる)”の 我々の基準は、素早くて、継続して変化をとげる傾向がある業界内の会社を排除することの理由となっています。 資本主義の”建設(創造)的な破壊(creative destruction)”は、社会にとって非常に高い恩恵をもたらしますが、投資の確実性の妨げとなります。堀は継続して再構築されなければなりません、そうでなければ最終的には、堀は完全になくなります。

さらに、この基準は素晴らしい経営者を持つ事に起因する成功をおさめた事業を除外します。もちろん、素晴らしい経営者は、どの様な会社にとっても非常に重要な(大きな)資産です。そして、バークシャーにおいても、我々はこの様な(素晴らしい)経営者達を多数かかえています。彼らの能力は、何十億ドルの価値を作り出しています。もし普通のCEO達がそれらの事業を経営していたとしたら、これらの価値は決して作り出されたものではなかったでしょう。

しかし、もし事業がすばらしい結果を収めるためにスーパースターが必要であるならば、その事業自体は素晴らしいとみなすことはできません。 あなたの地域で脳神経の手術で秀でた医者による医療のパートナーシップ(協力関係)は、非常に巨大でしかも拡大する利益を得られるかもしれません。しかし、それは、その将来については少しも保証されていない事を意味します。協力関係の堀は、その医者が出て行ってしまった時になくなります。しかしながら、 CEOを指名することはできませんが、 Mayo Clinicの堀が継続することに関してはあてにする事ができます。

(Mayo Clinicは世界中に名の知られた医療機関:Mayo Clinicに関する詳細はこちらです。)

安定した産業で長期的な競合力の優位性を持つこと、それが我々の求める事業です。もしそれが自然な形で急速に伸びるのであれば、素晴らしい事です。しかし、自然な伸びがなかったとしても、その様な事業は報いられます。我々は、単に豊潤な収益がある事業を手に入れ、そしてそれらを使ってどこかにある似た様な事業を購入します。収益を獲得し続けているところにお金を必ず投資しなければならない、といった決まりはありません。実際のところ、そのようにすることは、えてして失敗となります。本当に素晴らしい事業、確実な資産を元にした巨大な収益、は高い収益率を持つ内部の利益の大きな部分を、長期にわたって再投資することはできません。

(このセクションは長いので、いくつかに分けてエントリーします。明日も更新する予定です。)


この記事へのコメント

はじめまして。楽しく読ませていただきました。コスト優位性またはブランド力、安定した産業、優秀な経営者を必要としないビジネス、そしてそれらを長期に保有すること。理解するのは簡単ですが、実際に自分がそのような投資スタイルを貫くのは簡単なようで難しいですね。

とかちゃんさん、

はじめまして。コメントありがとうございます。

おっしゃる通りバフェットさんの投資手法自体は、なにか特別なことをしている訳ではないのですが、その投資スタイルを維持する事は簡単な様で、非常に難しい事だと思います。

今後ともよろしくお願いします。

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