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6月13日の米国市場 

13-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12307.35 +165.77 (+1.37%)
Nasdaq: 2454.50 +50.15 (+2.09%)
S&P500: 1360.03 +20.16 (+1.50%)

本日の主なニュース

労働省が発表した5月のCPI(Consumer Price Index)は、季節要因の調整前で0.8%の上昇、調整後で0.6%の上昇でした。アナリストの予想平均は0.5%増でした。
労働省ニュースリリース

OPECが発表したレポートで、現在の原油価格は、需要と供給を反映した現実的なレベルを超えているとし、また、世界での需要の伸びを従来の1.35%増から1.28%増に引き下げ、年末前までの見込みとして、現状の価格レベルを維持する材料は乏しいと語りました。また、ドルがユーロに対して下落したこと等から、本日原油のNew York Mercantile Exchangeの7月の供給価格は、$1.88下がり$134.86で終了しました。
Oil closes below $135 after OPEC questions prices

5月の抵当流れ(foreclosures)件数は、昨年の同月に比べ50%の大幅な増加となりました。全米で、26万1255件の家が最低一回は抵当流れに関連する申請を受けたとのことです。以下に添付している記事の中で、Moody’sのEconomy.comによると、全米の1月から3月に販売された家の内、4つに一つが返済に窮した売却だったとのことです。また、ラスベガス、デトロイト、ロサンジェルスと言った非常に不動産が厳しい状況にある地域では、返済に窮した売却が売却数の50%以上とのことです。
US foreclosure filings surge 48 percent in May

Appleは、日中は大きく下落していましたが、若干の下落で終了しています。これで、三日続けての下落となりました。下落の要因として、 AT&Tとの取り引きにおいて、iPhoneの販売価格に対して値段を下げるためのAT&Tが補助を支払う代わりに、毎月のサービスの売り上げからのAppleへの支払い率を下げる契約に変更したことによりAppleの収益が下がるとの見込みが出ていることが一つの要因の様です。
参考記事:Apple shares slip for third day in row

Microsoftは、Yahooに対して10億ドルの現金で検索の事業を購入するとの提案をしていたことが、関係者の話として報道されています。検索事業の購入に加えて、80億ドルを支払ってYahooの16%の株式を購入することも併せて提案していたとのことです。これは、Yahoo一株当たり$35に相当します。

昨日の両社の発表にあった様に、結局このMicrosoftの提案はYahooは受けず流れてしまった様です。

Microsoft offered $1 bln for Yahoo search: source

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)上昇が多いですが、下落もあります。大きく上昇したのは、Lehman 13.7%, Goldman 6.92%, Morgan Stanley 6.93%等です。一方、Wachoviaは、5.8%の下落でした。一時は、10%を超える下落で1992年以来で最低の価格水準にまで落ちたとのことです。

(住宅)  ほとんどが上昇しています。

(小売り)ほとんどが上昇しています。

(テクノロジー)  ほとんどが上昇しました。上に書いた様にAppleは若干の下落。Yahooも一時は大きく下がっていましたが、持ち直し若干の下落で終了しています。

まとめ・コメント

発表されたCPIの結果は、予想よりも高かったもののそれ程でもなく、特に燃料・食料品を除いたコアCPIの方の上昇はそれ程でもなかったことが、好感された様です。これに加え、原油価格がOPECのレポートとユーロに対するドル安から下落したことが、センチメントを再び向上させた様です。

先週から今週にかけて大きく下落していたLehman Brothersは今日は大幅に上昇となりました。Lehmanの大幅な上昇が理由なのか、他の投資銀行も大きく上昇しました。その一方で、Wachoviaはアナリストが配当をカットする見方を示したこと等から、大きく下落しました。

今日の市場後の記事で、再び市場は底を脱したか否か、との見方がでてきている様です。
The worst may be behind for Wall Street -- or not

以下に今週一週間の主要インデックスの動きのグラフを添付します。本日の上昇でDOWは週を通した場合若干の上昇、S&Pは約0.5%の下落、Nasdaqは1%ちょっとの下落となりました。週としてみた場合、それ程、結局は下がらなかった様に思います。

week of June-9-2008


来週は、Goldman, Morgan Stanley, Lehman Brothersが四半期の決算を発表する予定です。Lehmanは今週の月曜日に既に概要を発表していますが、GoldmanとMorgan Stanleyの結果が注目です。来週以降も原油価格の動向とそれに関連して為替特にドルとユーロのレートがどうなるのか、に引き続き注目が集まるのでは、と思います。再来週はFOMCですが、こちらは金利を維持することが市場の大方の予測となっていますが、ドル安・インフレに対する見方・今後の姿勢はやはり注目だと思います。


6月12日の米国市場 

12-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12141.58 +57.81 (+0.48%)
Nasdaq: 2404.35 +10.34 (+0.43%)
S&P500: 1339.87 +4.38 (+0.33%)

本日の主なニュース

本日の朝、商務省が発表した5月の小売りの販売結果は、1%の上昇で事前予想の倍以上の好調な結果でした。また、この上昇は昨年11月以来で最も高い伸びとなっています。好調の結果の大きな要因は政府の景気刺激策としてのタックス・リベートの効果が大きかったとの認識です。予想されていた以上にリベートを使う人が多かったとの見方です。また、ガソリンスタンドでの販売は、2.6%の上昇となりました。ただし、ガソリンスタンドでの販売を除いても、小売り全体の売り上げは0.8%の伸びで順調な結果でした。
Strong retail sales boosted by rebate checks
Retail sales jump by largest amount in 6 months

原油価格は、前半は下落したもののその後上昇に転じ、$136.74で終了しています。上昇の理由として、ナイジェリアの国営石油会社がロイヤル・ダッチ・シェルの国内の事業を買収することを発表したことから、出荷量が下がるだろうとの観測が強まったことが上げられています。
Oil prices rebound on Nigeria, technical factors

MicrosoftがYahooに対して再度の買収提案は行わないことを公式に発表しました。また、YahooもMicrosoftとの交渉の終了を明らかにしています。
Yahoo-Microsoft talks fail, Google deal expected

Lehman Brothersが、CFOのErin Callan女史とCOOのJoseph Gregoryの更迭(降格)を発表しました。
Lehman Brothers removes finance, operating chiefs

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)ほとんどが上昇していますが、Lehmanは今日下落しています。

(住宅)  ほとんどが上昇しています。

(小売り)ほとんどが上昇しています。Kohlsが3.03%の上昇で目につきました。

(テクノロジー)  上昇が多いのですが下落も目にしました。下落で目立ったのは、Yahoo, RIMM, そしてAppleでした。AppleはSteve Jobs氏の健康状態に対する懸念が今日の下落の要因です。今日Appleは4.18%下落しました。

まとめ・コメント

今日は予想以上に良い5月の小売店の販売結果と原油が下落していたこと等から、午前中は大きく上昇していましたが、その後原油価格が上昇したこと等から下落に転じ、最終的には昨日より少し高いレベルで終了しました。

LehmanがCFOとCOOの更迭を発表したことも、今日の大きな話題の一つでした。このニュースで、更に何か悪い状況にあるのでは、買収のターゲットにされるのでは、といった噂が強まっています。Callan女史の更迭は、個人的にも驚きましたが、恐らく、かなり悪い財務状況、まだ明らかになっていないファイナンシャル関係の問題があるのでは、と思います。株価は本日も下がっているので、ある意味破綻するのでなければ、この辺がいいところの気がします。

MicrosoftとYahooの買収の話は完全に終わった様です。これで、Ichan氏がどの様にでるのかが注目されます。YahooはGoogleとの提携にこぎ着けようとしている様ですが、正直、この先はかなり厳しいと思います。TechCrunchにおいて、Yahooのキーパーソンが相次いで辞めていることが明らかになっています。

ヘッジファンドを経営し、Searsの経営者でもあるEdward Lanpert氏が、住宅関連株を買っていることがメディアで報道されたこと等から、ホームビルダー株は今日は大きく上昇しました。

今日はかなり色々なニュースがありました。今週も後の残すところ一日となりました。やはり、来週の主要投資銀行の決算結果に市場の注目は集まりつつある様です。もちろん、原油価格の動向も市場の動き、動向への影響は引き続き非常に大きいと思います。

今日は更新が遅くなりすみませんでした。明日は通常通り更新する予定です。

それでは、 皆様良い週末を!!


6月11日の米国市場 

11-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12083.77 -205.99 (-1.68%)
Nasdaq: 2394.01 -54.93 (-2.24%)
S&P500: 1335.49 -22.95 (-1.69%)

本日の主なニュース

本日の原油価格は、New York Mercantile Exchangeでの終値は、$5.07と大幅に上昇し$136.38となりました。今日の上昇の主な理由は、ドル安と供給に対する懸念とのことです。本日、EIA(Energy Information Administration)が原油の在庫(備蓄)は先週に比べ460万バレル減少したと発表し、そのことから供給量が減少していることに対しての懸念が高まっています。また、ドルはユーロに対して下落しました。
Oil soars on dollar, Energy Department report

Fedがベージュブックを発表しました。前回のレポートに比べ、燃料費と食料品の価格の上昇によって、 消費者の支出が停滞してきていること示していると冒頭に書かれています。また、燃料費の高騰が、国内の旅行件数の大幅な下落の起因になっている様に思われるとしています。

非金融のサービス業については、地域によって景況が異なるとしています。製造業に関しては、前回のレポートに比べ全体的に低調であると書かれています。輸出向けの製品の製造、燃料関連、農耕機器関連の事業活動は強い需要にさされ伸びているとのことです。

不動産と建設業に関しては、殆どの地域で全般的に停滞しているとしてます。事業用の不動産の景況は、4月と5月で異なる結果となっており、いくつかの地域では事業活動が低下しているとのことです。

製造業は仕入れの値段が上がってきており、いくつかは、それを顧客への出荷価格に転嫁してしだしていることを報告しています。一方、小売店は需要の停滞への懸念から価格への転嫁が難しく、それにより収益が悪化してきているとのことです。また、雇用の軟化から賃金の上昇は、それなりあるいは限られた上昇に留まっていることが殆どの地域で、報告されています。
Fedベージュブック

多くの企業の株が下落する中、Anheuser Busch(バドワイザーの会社で有名)の株は本日上昇しましたが、市場終了後にInBevから買収提案を受けたことを発表しました。。本日終値$58.35に対して提案額は一株$65です。アフターアワーズの取り引きで、株価は大きく上昇しています。
Anheuser gets takeover bid from InBev

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)下落しています。下落で目立ったのは、Lehman 13.64%, WaMu 9.28%, Merrill 6.56%, Morgan Stanley 5.35%, Citigroup 5.18%等です。

(住宅)  主要なところは全てそれなりに大幅に下落しています。下落で目立ったのは、Centex 12.26%, Meritage Homes 8.16%等です。

(小売り)殆どが下落しています。

(テクノロジー)  ほとんどが下落しています。NortelがイスラエルのAlvarionとの提携を発表し、WiMaxを推進を放棄し、LTE(4G)にフォーカスしていくことを発表しました。株価は本日13.44%の大幅な上昇となりました。
Nortel, Alvarion in wireless access pact

まとめ・コメント

原油価格の大幅な上昇とFedのベージュブックの内容が景気停滞・インフレ傾向を示すものだったこと等から、市場のセンチメントは再び大きく悲観的になってきている様です。

今日発表されたEIAのレポートで原油の在庫(貯蔵)量が予想の若干の下落に対して、結果は大幅な下落となったことが、市場に対してネガティブ・サプライズとなった様です。 特に、原油は需要が落ちてきているからこれから価格も下がってくる、との見方に対して、在庫が減っていることは、需要よりも供給が少ないことを示し、供給面での不安が依然として強くあることが、本日の価格上昇の主な要因の様です。また、ドル安、インフレ懸念が高まっていることも、為替・インフレのヘッジのために原油を買う動きも強く、ドル安が原油の価格上昇の要因として上げている業界関係者の見方を報道するメディア、記事を良く目にしました。

4月以降に発表された景気の指標のいくつかで、予想以上に良い結果があったこと等から、景気は思った程悪くないのでは、と言った見方が一時高まっていましたが、 Fedのベージュブックでは、前回に比べ景気の停滞とインフレの傾向が強まっていることが書かれており、投資家心理を冷やした様です。

Lehman Brothersは今日も大幅な下落となりました。アナリストがダウングレードしたこと、FTがLehmanが月曜日に発表した60億ドルの資金調達に加え、韓国の投資筋から新たな追加の資金調達を得ようとしていると報道し、それにより、Lehmanの財務状況に対しての不安が再び高まっている様です。それにしても、先週から今週にかけてのLehmanの株価の下落は非常に激しいです。

私は、ヘッジ用にLehmanの空売りのポジションを持っていたのですが、先週後半に一部ポジションをクローズ、今日、全てのLehmanのポジションをクローズしました。クローズした後にも更に下がっており、結果だけを見るとタイミングが少し早かったとも思いますが、自分としての目的はディフェンシブ(防御)的な意味合いで持っていたので、自分のアクションに納得しています。(実は、3月頭にヘッジのためBear Stearnsもショートしようと思って発注の一歩手前で、結局せず機会損失しました。ただ、あまりヘッジ用のショートでもうけてたりすると味をしめて、投機に走ってしまうので、良かったと思っています。自分の投資スタイルはあくまでも長期投資のロングが主体です。尚、自分のポートフォリオ全体としては今日はマイナスです。)

Washington Mutualも大きく下げており、今日はファイナンス・セクターは大きく下がりました。また、住宅セクターに関しても、今日は大きく下がっています。


Alvarionとの提携を発表したNortelは13%を超える大幅な上昇となりました。WiMaxの推進をやめLTEにフォーカスするとのことですが、随分思い切った方針転換だと思います。投資筋が随分このニュースを好感したのも個人的には驚きです。(手放しに買いに走る様なニュースではないと個人的には思います。WSJでこの件についての記事が掲載される様なので後で読んでみようと思っています。)

株式市場は、当分は原油価格の動向に振り回される状況が続きそうです。ただ、遅かれ早かれ、原油高が与える実質的な問題、インフレに焦点が大きく移っていきそうです。また、原油価格への影響から、為替、特にドル安に対しての話題・懸念も今後ますます高まってきそうです。

6月10日の米国市場 

10-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12289.76 +9.44 (+0.08%)
Nasdaq: 2448.94 -10.52 (-0.43%)
S&P500: 1358.44 =3.32 (-0.24%)

本日の主なニュース

本日の原油価格は、朝は上昇して始まったものの、その後下落に転じ本日のNew York Mercantile Exchangeでの7月供給の終値は$3.04下落し$131.31で終了しています。ドルがユーロに対して上昇してこと、Energy DepartmentとIEAが、2008年原油の需要のフォーキャストを引下げたことが、今日の下落の主な要因の様です。ただし、IEA(International Energy Agency)は、中国の5月の震災の復興の需要等があるため、今年の中国の原油の需要が5.5%上昇することを予想しています。
IEAニュースリリース
Oil falls on strong dollar, demand forecasts

昨晩、Federal Reserve Bank of Bostonのアニュアル・エコノミック・カンファレンスで、Fedのバーナンキ議長がスピーチを行いました。このスピーチの中で、インフレに対する警戒を強調しました。Fedの金利の更なる引き下げはなく、今後は引き上げを行っていく方向に転換していくとの認識が強まってきています。これを受け、本日ドルは大きく上昇しました。
Outstanding Issues in the Analysis of Inflation
Chairman Ben S. Bernanke

上記声明を読んでも、Fedが今後インフレ抑制に対しての強い姿勢を明らかにした一方、金利引き上げを明確にしてはいません。実際に金利は上げずに何とか、ドル高にもっていくことで、原油価格やインフレを抑えたいと言うのが、 Fedの本音の様に思います。と、考えていたら、似た見方のCNBCの記事を見つけました。以下にCNBCの記事を添付します。
Fed Is Hoping to Talk Down Inflation, Not Boost Rates

PepsiCoが2008年の収益見込みを従来の予想を堅持する発表を行いました。株価は本日、3.38%上昇しました。
PepsiCo shares rise ahead of guidance reiteration

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)上昇と下落に分かれています。大きく上昇したのは、WaMu 6.88%, Wachovia 4.61%等です。Lehmanは、今日も6.72%の大幅な下落となりました。

(住宅)  主要なところは全て上昇しています。上昇で目立ったのは、Toll Brothers 4.71%増でした。

(小売り)上昇しているところが多い様に思えます。

(テクノロジー) 下落しているところが多いです。特に下落で目立ったのは、TI 2.90%, Broadcom 4.22%, Marvell 5.18%, Rambus 4.92%下落でした。一方、Appleは, 2.22%の上昇でした。

まとめ・コメント

本日は、朝は原油価格が上昇して始まったこと等から、下落して始まりましたが、その後は上昇に転じ昨日とあまり変わらないレベルで終了しました。全体としては、あまり大きな変動はありませんでしたが、個別の株では大きな下落、上昇するところも目につきました。今週に入ってからブルーチップを買う動きが再び顕著になってきました。やはり、インフレやその他今後の市場の不安要因も少なからずあるので、安心して買える大手の優良企業に買いが集まってきている様です。昨日のMcDonald’sの5月の順調な販売状況、本日のPepsicoの収益見込み堅持、Deutsche BankがCoca-Colaのレーティングをアップグレードし大きく上昇する等、国際優良企業関連で明るいニュースが報道されたことが、Dowの上昇に寄与している様です。

バーナンキ議長の昨晩のスピーチでの、Fedがインフレに対して注意を払っていることが大きく報道され、本日は大幅なドル高となりました。また、ドル高が原油価格を引下げることに大きく貢献した様です。ただ、上にも少し書きましたが、Fedは、インフレ懸念に対して強調することで、実際には金利を上げずに何とか、ドル安やインフレを抑えたいと言うのが本音の気がします。個人的には、これは短期的には効果があっても、中長期的には効果が薄く、今の状況だと遅かれ早かれ金利を上げざる終えなくなってくると思います。

次回FOMCは、6月24日と25日が予定されていますが、ここでは恐らく据え置き(もちろんその時の市場の状況によると思います。)となると言うのが大方の予想だと思います。 ECBに関しては、来月金利を引き上げる可能性を示唆しており、実際に金利を引き上げた場合、再びドル安、原油高、と言った状況になってしまうのでは、と思っています。それも考慮してなのか、 原油価格はMorgan Stanleyは、7月4日までに、Goldmanは8月には$150に達する可能性があるとの見方を示しています。

この原油の高騰によるインフレの影響は今後高まってくることは、ほぼ確実だと思います。ドル高となるのかドル安となるのかが、原油の価格に与える影響が現在強まってきています。Fedは非常に難しい舵取りが求められていると思います。Lehmanは既に四半期の結果の概要を明らかにしていますが、GoldmanとMorgan Stanleyの結果がどうなのかについても、大きな焦点になってくると思います。今までは、Fedがどの位金利を引下げるのかに注目が集まってきましたが、今度は、Fedがいつ金利を引き上げるのかに注目が移っていきそうです。


6月9日の米国市場 

9-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12280.32 +70.51 (+0.58%)
Nasdaq: 2459.46 -15.10 (-0.61%)
S&P500: 1361.76 =1.08 (+0.08%)

本日の主なニュース

Lehman Brothersが60億ドルの資金調達を行うことと、四半期の決算で27億7000万ドルの赤字となる見込みであることを発表しました。
Lehman raises $6 bln, expects big 2nd-quarter loss

McDonald’sが発表した5月の売り上げ状況は、全世界の既存店販売が7.7%の売り上げ増と非常に好調な結果でした。米国の既存店の販売も4.3%増と堅調な結果でした。米国の販売が好調であった理由として、McDonald’sは朝食メニュー、新メニュー、’毎日の手頃な値段の提供の強調’を上げています。ヨーロッパでの既存店の販売は9.6%増と非常に好調でした、また、アジア、中近東でも9.7%増で大きく売り上げを伸ばしています。株価は本日4.14%の上昇でした。全体の売り上げとしては、16%増でした。
McDonald’sプレスリリース

Texas Instrumentsが、四半期の収益と売り上げのターゲットの範囲を狭めました。新しい第2四半期フォーキャストは、収益がEPS43セントから47セント、売り上げは33億3000万ドルから34億6000万ドルです。4月に発表したフォーキャストは、EPS42セントから48セント、売り上げは32億4000万ドルから35億ドルでした。

携帯電話向けの事業が季節要因以上に弱く、第1四半期より少し低くなる見込みであること、プロセッサーの事業も弱含みであるとのことです。一方で、アナログ・チップの事業は順調に伸びており、また、特定のDSPとマイクロコントローラーの売り上げも順調であるとのことです。
Texas Instruments narrows 2nd-quarter outlook

Appleが次期iPhoneを発表しました。3G対応、GPS搭載で、価格は$199からと従来の価格の半分の積極的な値段をつけています。7月11日から、22カ国で販売を開始する予定とのことです。
Apple takes wraps off "zippy" iPhone

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)ほとんどが下落していますが、下落の幅は企業によってかなりあります。下落で目立ったのは、Lehman 8.7%, JP Morgan Chase 6.44%, Wachovia 6.16%等です。

(住宅)  下落と上昇に分かれていますが、変動の幅は大きくありません。

(小売り)Wal-Martは2.06%の上昇、それ以外は下落しているところが多い様に思えます。

(テクノロジー) 上昇と下落に分かれています。やはり下落の方が目につきますが、その中で、IBM, HP, Dell, Broadcom, TI, NT, Microsoft, Yahoo, Oracle等の大手は上昇しています。

まとめ・コメント

先週から注目が集まっていたLehmanが四半期の決算結果が30億ドル近い大幅な赤字となる見込みを前倒しで発表しました。同時に、60億ドルの資金調達を行うことを明らかにしました。赤字の幅は、アナリストの予想を大幅に越えています。株価は本日、大幅に下落となりましたが、個人的な印象としては、パニック的な売りといった感じもなく、市場全体としても比較的落ち着いていたと思います。ただし、今日一日での特定の銘柄の価格の変動はLehmanも含めかなり大きいところもありました。(Lehmanは一時13%を超える下落でした。)

原油の価格は本日は若干下がりましたが、$136を超えており非常に高い水準にあります。

McDonald’sが発表した5月の販売状況は、非常に良好で海外での売り上げを大きく伸ばし、また、米国内の販売に関しても順調に伸びている結果でした。McDonald’sの株価は4%を超える上昇となり、市場に対しても安心材料を与える結果となったと思います。 また、他のブルーチップの本日の上昇にも貢献した様です。また、DOWは本日上昇、S&P 500はほぼ変わらず、Nasdaqは下落と主要インデックスでも比較的顕著な差がありました。

テクノロジーは、上にも書きましたが、下落しているところも多く目にした一方で、主要な企業は若干上昇しているところも多かったのが印象的です。Appleは本日下落となりましたが、ここ数ヶ月で大幅に上昇してきているので、ある意味、本日の3GのiPhoneの発表で一旦様子見、と言った感じだと思います。個人的には、iPhoneの中身がどの程度変わっているのかに非常に興味があります。これは、私だけでなく、恐らく発売開始後に昨年と同様に中で使用されているコンポーネントの検証をいろいろなところがこぞって行うと思います。一部の銘柄には大きな影響を与えるところもあると思います。現行製品とあまり変わっていない可能性もあるかと思います。(Radioの部分は当然変わりますが、アプリケーション・プロセッシングの部分がどうなのかが、注目)

TIが第2四半期の業績見込みの範囲を絞る発表を行いましたが、こちらは上限と下限をともに狭める形だったので、良くも悪くもないニュースだと思います。携帯電話、特に3G関係があまり思わしくない様な話なのが、興味を引きました。Appleの3G iPhoneが好調に売れた場合、3Gの携帯電話市場での勢力図が大きく変わる可能性があります。また、使用している半導体製品でも、TIは携帯電話のコンポーネントでは圧倒的なシェアを持っている会社ですが、AppleのiPhoneで使用されるか否かで大きな差がでてくると思います。(現行のiPhoneはTIを使っていない。)TIの第1四半期決算結果も、携帯電話事業はそれ程良くなく、その代わりアナログ事業が好調だったのが印象的だったのですが、同様の傾向が第2四半期にも見られる様です。アナログ事業の好調は、業界内の新たなトレンド、動きを示唆する気がしているので、少し調べてみようと思っています。

金曜日は大きく下がったものの、今日は比較的落ち着いていたと思います。短期的には、原油価格の動向と大手投資銀行の四半期決算を待つ様な形になってきていると思います。

6月6日の米国市場 

6-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12209.81 -394.64 (-3.13%)
Nasdaq: 2474.56 -75.38 (-2.96%)
S&P500: 1360.68 -43.37 (-3.09%)

本日の主なニュース

発表された5月の失業率は予想の5.1%を大幅に上回る5.5%でした。失業率は、過去3年半で最も高い水準となりました。また、今回の失業率の上昇(5.0%から5.5%)は、過去22年間で最も大幅な上昇率だったとのことです。
Jobless rate leaps to 3-1/2 year high in May

原油価格は本日9%近い大幅な上昇となり、過去最高値を更新する$139を記録した後、$138.54で終了しました。今日の上昇のきっかけとなったのは、Morgan Stanleyが独立記念日の7月4日までに原油価格は1バレル当たり$150まで上昇する可能性がある見込みとのレポートを発表したことの様です。
Oil zooms nearly 9 percent higher to record $139

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)大きく下落したところが多かったです。下落が大きかったのは、WaMuが12%以上下落し、過去12年で最低となりました。mた、Morgan Stanley 8.48%, Discover Financial 6.94%, Wachovia 6.76%, Wells Fargo 6.54%, Citigroup 5.47%それぞれ下落しています。モノラインも大きく下がっています。

(住宅)  大きく下落したところが多かったです。下落で目立ったのは、Centex 9.83%, KB Home 8.66%, D R Horton 7.84%, Lennar 6.91%等です。

(小売り)ほとんどが下落しています。BestBuy 6.61%, Kohls 5.48%が下落で目につきました。

(テクノロジー)大きく下がっているところが目につきましたが、その一方で、携帯キャリアのVodafone Group, Clearwire(WiMaxにフォーカスしたキャリア)は若干の上昇。National Semiconductorは昨日市場終了後にアナリストの予想を上回る決算を発表し、今期の予想に関しても強気の見方を示したことから、本日4.77%の上昇でした。Yahooも微増となりました。

まとめ・コメント

今日は、やはり予想を大幅に上回る高い失業率の結果と原油の高騰の二つが非常に大きなニュースでした。失業率に関しては、昨日週の失業保険申請件数が減少したこと等から、雇用市場もそれ程悪くなっていないとの期待もあった(と思われる)だけに、失業率の大幅な上昇は市場関係者に衝撃を与えたと思います。

原油価格に関しても、ピークは過ぎ今後は下落するだろうとの見方・期待が強まっていましたが、先月のGoldmanの原油価格の大幅上昇を予測するレポートに続き、最新のMorgan Stanleyのレポートまで上昇を予測する内容だったことは、市場に与える影響は大きかった様です。

昨日から再びドル安(円に対しては高くなっていますが)やインフレに対するヘッジから原油を買う動きも強い様です。特にECBがインフレ対策としてユーロの金利を引上げる可能性が出てきたこと等からも、ドル安対策として原油が買われる傾向がでたところで、今回のMorgan Stanleyのレポートは買いをさらに加速させた様です。これに加え、やはり投機的な動きとしても、原油が下がることに期待して、積み上げたショートポジションを解消する様な動きも本日の急上昇の要因としてあったのでは、と想像しています。

今日の大幅な下落は、昨日大きく上昇したことに対する反動も原因の一つとしてあった様に思います。今日の失業率と原油価格の高騰で、景気が思った程悪くなっていない等の安堵感や今後に対する懸念の軽減といった考えは再びなくなってしまったのでは、と思います。

何となく悲観的な見方が支配的になってきている様に思いますが、来週以降市場がどの様に動くのかに注目しています。主要投資銀行の決算は16日の週に予定されていますが、Lehmanが決算の概要を予定を早めて事前発表しようとしているとの噂があります。これは、憶測等で加速する下落を決算を発表することで防ごうとの考えだと思いますが、実際どうなのかは私は分かりません。いずれにせよ、来週以降の市場の動きは目が離せなくなってきています。

この週末に自分の考えを整理しようと思っています。ブログも更新していく予定です。

6月5日の米国市場 

5-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12600.54 +210.06 (+1.70%)
Nasdaq: 2549.94 +46.80 (+1.87%)
S&P500: 1403.53 +26.33 (+1.91%)

本日の主なニュース

Verizon WirelessがAlltelを281億ドルで買収することを発表しました。これにより時価総額でVerizonはAT&Tを抜き全米第1位の携帯電話サービス会社となりました。この発表から本日は、Verizonの株式の55%を所有する親会社のVerizon Communicationsの株価は5.35%と大きく上昇しました。また、Verizon Wirelessの残りの株式を所有するVodafone Groupも3.8%上昇しました。
Verizon Wireless to buy Alltel in $28.1 bln deal

原油価格は、本日は大幅に上昇し、New York Mercaqntile Exchangeでの7月の供給の原油の価格は$5.49上昇し$127.79で終了しました。今日の上昇は、ユーロに対するドル安とインフレに対するヘッジが大きな要因の一つとのことです。また、メキシコの供給量が減少するのではとの見方があり、それがもう一つの主な理由の様です。
Crude futures climb more than $5 as dollar sags

発表された5月の小売店の売り上げ結果は、2.5%の上昇で最新予想の1.2%の上昇を大きく上回りました。上昇に大きく貢献したのは、Wal-Martで、ガソリンを含まない既存店の販売は3.9%の上昇と非常に好調でした。 Wal-Martの売り上げ増のアナリストの予想の平均は1.6%で、結果は大きく予想を上回っています。ガソリンを含んだ場合の既存店の売り上げは4.4%の上昇でした。
Retailers report mixed, mostly gloomy, May sales

昨日United Airlinesの親会社UAL Corpは、燃料費の高騰と景気の停滞による影響から人員削減と国内機の削減等のリストラクチャリングの計画を発表しましたが、本日はContinental Airlinesが、3000人の人員削減とキャパシティを11%削減することを発表しました。この発表後の本日Continental Airlinesの株価は、4.83%上昇しました。
Continental Airlines to cut 3,000 jobs, capacity

Mortgage Bankers Associationが、第1四半期に抵当流れになった住宅件数(Foreclosures)と支払い遅延数は、過去最高を記録したと発表しました。住宅ローンの内抵当流れとなった割合は0.99%で、07年第4四半期の0.83%から記録を更新しました。支払い遅延の割合は、昨年第4四半期の5.82%から、6.35%に上昇しました。これらは、記録を取り始めた1979年からで最も高い数値とのことです。

サブプライムのARM(Adjustable Rate Mortgage: 変動金利型の住宅ローン。通常固定期間をあらかじめ決め、期間終了後は変動となる)の抵当流れの比率は、昨年第4四半期の5.29%から6.35%に大きく上昇しました。また、支払い遅延件数は、20.2%から22.07%に増加しました。Mortgage Bankers Associationの調査は、4500万件の住宅ローンをカバーしているとのことです。

また、プライムの抵当流れ、支払い遅延も増えているとのことです。プライムのARMの破綻(抵当流れ)、支払い遅延も大きく上昇しています。(Foreclosure 1.55% from 1.06%, Delinquency rate rose to 6.78% from 5.51%)

Home foreclosures set record in first quarter

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)ほとんどが上昇しています。大きく上昇したのは、Lehman 7.80%, Discover Financial 5.83%, American Express 3.92%, Morgan Stanley 2.84%, Goldman 2.61%の上昇でした。Bank of Americaは若干下落しています。

(住宅)  ほとんどが下落しましたが、下落幅はそれ程大きくありませんでした。(大きく下落したところで数%程度)

(小売り)ほとんどが上昇しています。Wal-Martは3.68%の上昇でした。

(テクノロジー)ほとんどが上昇しています。上昇で目についたのは、HP 3.63%, Cisco 2.91%, Microsoft 2.76%, NVIDIA 2.52%, Google 2.46%, Broadcom 2.31%, Apple 2.29%等です。

まとめ・コメント

本日は、朝に発表された失業保険の申請件数が先週に比べて減少し、4月中旬に記録した最低のレベルに近い水準となったことと、小売店の売り上げ状況が予想以上に良かったこと等から、上昇して始まり午後一旦は多少調整的な戻しがあったものの、再び上昇に転じ昨日に比べ大幅な上昇で終了しました。

Verizon WirelessによるAlltel買収発表もセンチメント向上に寄与した様です。以下に今日の市場の動きについての記事を添付します。
Stocks rise following jobs report, retailer data

上記記事の中でVerizonの買収発表は、企業が事業投資に積極であることの表れである、と好意的に解釈している業界関係者のコメントが引用されています。確かに上の記事に書かれている様な、失業件数がそれ程上がっていないと思われること、予想よりも良い小売店販売状況、そして、活発な企業の買収の動き等が今日の上昇の理由だった様に私も思います。

一方で、原油価格は再び上昇となったこと、小売店の販売結果はWal-Martを除いた場合はそれ程良い訳でないこと等、状況は明らかに良くなっていることを示している訳ではありません。また、S&PがAmbacとMBIAのFinancial Strengthのレーティングをダウングレードしています。(しかし両社の株は、下がらずに微増となっています。両社は昨日ムーディズのダウングレードされて大きく下落したので、今日のニュースはあまり影響なかった様です。)Lehman Brothersは本日大幅な上昇となりました。ファイナンス・セクター全体としても大きく上昇しました。今日の上昇は、ここ最近ある程度急速に調整的な下落が続いていたことの反動もあったのではと考えています。

テクノロジーに関しては、昨日市場終了後にAlteraが好決算を発表し、また第2四半期の売り上げ見込みに対して強気の見方をしていることを明らかにしました。テクノロジー・セクター全体としても顕著な業績を発表し、今後についても堅調な見込みを示すところが多いことが、(ようやく)評価されつつある様です。

少し気になるのがAppleで、今年に入ってから一旦は大きく下落したものの、その後大きく値を戻し再び過去最高値に近い水準になってきています。来週、iPhoneの3G対応の新機種の発表が予定されており、また、新たなサービスの開始や低価格機(あるいは現行機を流用か)投入の噂、日本・スペイン市場への年内参入等、好材料は確かに多いのですが、バリュエーション的には既に非常に高い水準にあります。(個人的には完全にオーバーバリューになってしまっている、と思っています。尚、私はAppleが個人的には大好きです。)

また、Appleの上昇と関係してか、ここにきて3G関連の企業(サービス、コンポーネント、その他もろもろの)の株がどこも大きく上がってきているのも気になります。テクノロジーも一部の株に関しては、バリュエーション的にもかなり高水準になってきています。ただし、一部の企業やあるサブ・セグメントに対して、株価が高水準にあることは、テクノロジーでは基本的に良くある傾向ではあります。

明日は、失業率の発表等があります。0.1%上昇の5.1%が市場予想のコンセンサスですが、これに対してどうなのか?また、原油価格の動向も当面は注目される状態が続くと思います。

6月4日の米国市場 

4-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12390.15 -12.70 (-0.10%)
Nasdaq: 2503.14 +22.66 (+0.91%)
S&P500: 1377.20 -8.02 (-0.58%)

本日の主なニュース

ISMの5月の非製造業のレポートが発表されました。5月の非製造業の景況指数は51.7%で、4月に比べ0.3%の下落となりました。50%より高い場合は、景気の拡大を示しており、これで2ヶ月続けて非製造業は拡大となりました。
ISMニュースリリース

ここ数日連続して大きく下落していたLehman Brothersが韓国の投資筋を含む海外の投資家からの資金調達を行うことを計画していると報じました。本日Lehmanの株価は下落して始まりましたが、上昇に転じ一時はかなり上がっていました。終値は、昨日に比べ2.58%の上昇となりました。
Lehman Is Seeking Overseas Capital

J.M. SmuckerがP&Gのコーヒー事業Folgersを29億5000万ドルで買収することを発表しました。
Smucker to buy P&G's Folgers in $3 bln stock deal

Yahooが新しい広告の契約をWal-Martとその他と結んだと発表しました。また、CBSの提供するコンテンツをYahoo! TV等の媒体で使用することにCBSと合意したことを発表しました。
Yahoo! to Sell Display Advertising for Walmart.com
Yahoo! Joins the CBS Audience Network

United Airlinesの親会社UAL Corpは、燃料費の高騰と景気の停滞による影響から人員削減と国内機の削減等のリストラクチャリングの計画を発表しました。
UAL shrinks business, cuts staff to offset fuel

バーナンキ議長が長期のインフレとなる可能性が高まっており、非常に懸念していると発言したとのことです。一方で、1970年代に起きた様なインフレの問題とは大きくことなるだろうと語ったとのことです。
Bernanke says U.S. inflation too high

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)上昇と下落に分かれています。目立ったのは、American Express 3%, Lehman 2.58%上昇、一方、Bank of America 2.08%, Merrill Lynch 2.67%下落しています。

(住宅)  ほとんどが下落しましたが、下落幅はそれ程大きくありませんでした。

(小売り)上昇と下落に分かれています。Wal-Martはほぼ変わらず、Targetは少し下落、四半期の決算を発表し結果はアナリストの予想を上回ったものの、今後の見込みについて厳しい見方を示したWilliam Sonomaは4.68%の下落でした。

(テクノロジー)上昇したところが多かったです。主要なところで目立ったのは、Intel 2.35%, Dell 1.79%, Clearwire 6.35%, Broadcom 2.18%, Cisco 1.59%, Yahoo 2.68%上昇しています。

まとめ・コメント

ISMの非製造業の景況指数は、4月に比べ下落となったものの市場は拡大していることを示す良い結果でした。今回の結果も、最近の景況指数から景気は懸念していた程、急速に悪化していないことを示す様な内容となっています。本日原油の価格は、更に約2ドル下がり$122.30で終了しています。

Lehmanの四半期決算のパフォーマンスと新たな資金調達が必要となるといったことへの懸念から、ファイナンス市場全体において再び懸念が高まっていましたが、本日Lehmanは上昇し、ファイナンスセクターに対する懸念も多少なりとも落ち着いてきた様に思いました。

本日は比較的良いニュースが多かった様に思いますが、DOWとS&P 500は昨日とほぼ変わらないレベルで終了しています。Nasdaqは、他のインデックスに比べ上昇となっています。これは、相対的に懸念材料が少なく、バリュエーション的にもそれなりに値ごろなテクノロジー株に買いが集まった様に思えます。昨日大幅に上昇した住宅関連の株は今日は下落しているところが多く、多少なりとも調整的な動きとなりました。

バーナンキ議長の発言が連日報道されていますが、ドル安とインフレへの影響に対する懸念を強く表明している様です。Fedの金利政策は当面はインフレ懸念を見据えながら金利据え置きの方針となる見方が強まってきており、これはある意味で方向性が見えてきたと思います。これで、Fedの金利政策に対する不確定要因が少なくなってきたと解釈することもできるかと思います。(例えば、Fedが金利を下げるのか、下げる場合どれくらいなのか?といったことが市場の動きに大きな影響を与えてきたものが、とりあえずは収まる。)

高騰を続けていた原油は下落に転じ、需要が落ちてきている傾向が見られること等からも、多少なりとも懸念が収まりつつあるようです。短中期的には、今月中に発表される主要投資銀行、Goldman, Lehman, Morgan Stanleyの決算結果に注目が集まってきそうです。発表されるまでは、市場全体の不安定材料となりそうです。

6月3日の米国市場 

3-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12402.85 -100.97 (-0.81%)
Nasdaq: 2480.48 -11.05 (-0.44%)
S&P500: 1377.65 -8.02 (-0.58%)

本日の主なニュース

本日朝のWall Street Journal(米国版)の一面にLehman Brothersが、5月末締めの四半期の決算が赤字となる見込みで、また、30億から40億ドルの資金調達を行うことを計画していると報じました。この報道がきっかけとなり、Lehmanは本日大きく下落、他のファイナンス企業の株価も下落しました。
Losses Push Lehman To Weigh Raising New Capital

FedのBernake議長が、スペインのバルセロナで行われているカンファレンスでスピーチを行いました。その際、ドル安によるインフレ懸念についてふれました。メディア等の反応では、金利政策は現行を維持し、更なる引き下げは行わない考えである、と受け止めたところが多かった様です。
Bernanke warns on dollar, U.S. rates well-positioned

原油価格はバーナンキ議長の発言の後、下落し$124.74で終了しました。
Oil falls more than $3 as Fed warns on inflation

厳しい状況が続いている米自動車業界のGMは、本日トラックを製造している4つの工場の閉鎖を発表しました。また、Hammerのブランドを売却することを検討していることを明らかにしました。この発表に対するアナリストや業界関係者の反応は、かなり厳しい(対応が遅すぎる等、あまり評価していない)様です。
GM to close four plants, may unload Hummer

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)ほとんどが下落しています。特に下がったのは、Lehman 9.52%, Wachovia 6.32%,等です。

(住宅)  ほとんどが上昇しています。大きく上昇したのは、Meritage Homes 8.18%, KB Home 5.59%です。他もそれなりに大きく上昇しています。

(小売り)上昇しているところが多く見られます。特に上がったのは、Target 4.13%の上昇でした。

(テクノロジー)上昇と下落に分かれています。主要なところで上昇したのは、IBM, Dell、下落したのは、Google, Nvidia, Qualcomm, TI等です。

まとめ・コメント

バーナンキ議長のスピーチは、ほぼ前回のFOMCの議事録でかかれたものを踏襲した様な形で、それ程目新しい気はしませんでしたが、やはり原油やコモディティ市場の高騰等から、インフレに対する警戒の姿勢を強めている印象が高まってきている様です。この声明から、原油価格は比較的大幅(3ドル以上)の下落となりました。

市場は午前中から午後の早い段階は昨日に比べ高かったのですが、その後下落に転じました。Lehman Brothersは、昨日も大きく下落したのですが、今日も大幅な下落となりました。Bearの破綻、JPMorganによる買収で、その後一見落ち着いていましたが、Lehmanに対する懸念はファイナンス業界全体に対しても影響があった様で、セクター全体としても大きく下がっています。

ホームビルダー株は、本日高級新築住宅建設のToll Brothersが四半期の決算を発表し、大幅な赤字ではありましたが、アナリストの予想よりは(かなり)良かったこと等から、セクター全体が大幅に上昇しています。政府の支援策期待が強いのだと思いますが、良くこれだけ上がるなあ、とあきれながらも、感心しています。

Barron’sが買いを推奨する記事を書いたGMは、工場の閉鎖の計画を発表。ワーグナー氏は黒字転換の見込みは今の時点でまだたっていないとの発言をした様ですが、Barron’sの記事のおかげか今日の発表でも株価は微増となっています。上に書きましたが、ホームビルダー株は底を打ったのでは、といった様な見方、期待から大きく上昇したりしていますが、個人的にはその様な考えをするのであれば、自動車業界の方が当てはまる気がしています。

今週に入ってから、市場、特に一部のセクターに関してはかなり値動きが激しくなってきています。今週は経済指標としては、ISMのサービスセクターの発表が明日、金曜日に失業率等の発表が行われる予定です。

6月2日の米国市場 

2-June-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12503.82 -134.50 (-1.06%)
Nasdaq: 2491.53 -31.13 (-1.23%)
S&P500: 1385.68 -14.70 (-1.05%)

本日の主なニュース

WachoviaがCEOのKen Thompson氏を解任することを発表しました。先月に会長となったLanty Smith氏が暫定CEOとして兼任するとのことです。

この発表で、さらに第2四半期の決算発表時に悪いニュースが発表されるのではとの噂や、Wachoviaが買収先を探しているのでは、と言った憶測も出てきている様です。
Wachovia ousts CEO Thompson after losses mount

本日発表された5月のISMの製造業の景況指数は、先月に比べ若干上昇し49.6%となりました。尚、50%以下の場合は後退を意味しており、これで4ヶ月連続の衰退傾向となりました。明るい材料としては、Production Indexは50%を超えました。
ISMニュースリリース

Standard & Poor’sは、住宅ローン関連の更なる損失の懸念があるため、Lehman Brothers, Merrill Lynch, Morgan Stanleyのレーティングを引下げました。また、JPMorgan ChaseとBank of Americaの今後の見通しを引下げました。
S&P slashes bank, broker ratings on loan loss fears

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)ほとんどが下落しています。特に下がったのは、Lehman 8.1%, Merrill 2.96%, Morgan Stanley 2.55%, Goldman 2.31%等です。

(住宅)  ほとんどが下落しましたが、下落幅は大きくありません。Meritage Homesは若干の上昇でした。

(小売り)ほとんどが下落しています。全般的には下落幅はそれ程大きくありません。

(テクノロジー)ほとんどが下落しています。一方でIntelとNvidiaは微増と堅調でした。 それなりに大きく下がったところもありますが、それらのほとんどは、ここ最近大きく上昇したところで調整的な下落の様に思えます。

まとめ・コメント

本日は、ISM Indexは50を下回ったものの、予想よりは良い数値でした。しかし、原油価格が若干上昇となったこと等から、一時期は大きく下落しまし、最終的には多少戻して終了しました。今日の下落の要因は、S&Pのファイナンス企業に対するダウングレードが市場に与えた影響が大きかった様に思えます。製造業の景況は予想されたより悪くないことを示す傾向が最近ありましたが、 今回のISMの結果もその様な傾向が見られます。

WachoviaのCEOの更迭の発表は、第2四半期の決算がかなり悪いからなのではと言った憶測がでたりしており、S&Pのファイナンス企業のダウングレードの発表とあわせて市場のセンチメントに対して悪い影響を与えた様です。主要な投資銀行は、先週末が四半期の終わりだったのですが、この先、短期的にはそれらの結果がどうなのか目先の焦点の一つになってくると思います。Lehman, Morgan Stanley等がかなり悪いのでは、といった見方が強くなっている様です。

ここのところ全体としては落ち着いた動きをしていた株式市場ですが、今日はそれなりに大きく下落となりました。最新のBusiness Week, Economist等でも原油価格の高騰に対する特集が組まれていますが、やはり、原油価格の動向に注目が集まってきている様です。