’株をはじめる前に読むブログ’のstaygoldさんが、「行動経済学」の内容を引用したエントリー、”
次の問いに答えよ。 ~行動経済学1 ”、”
現状維持バイアスとサンクコスト効果 ~行動経済学2 ”を書かれています。
非常に興味深い内容ですのでお勧めです。この中で、取り上げている問題は、「モンティ・ホール問題(Monty Hall Problem/Paradox」と言うものです。名前の「モンティ・ホール」は米国の長寿バラエティ番組の”Let's make a deal"の司会者のモンティ・ホール氏が番組の中で行ったゲームからつけられた問題です。また、問題自体は同じもので、3人の囚人の問題(Three Prisoners Problem)、マリリンと羊(Marilyn and the Goats)、等があります。(英語版Wikipediaの解説から引用、以下のParadeの話もそこからの引用です。)
この問題は、れっきとした条件確率の問題なのですが、答えを聞くと一瞬、「え、違うだろう」と思ったり、「そんなはずはない!」といった反応があることでも有名です。答えを説明しても、中々納得できない方も多く、この問題と答えが、Paradeと言う雑誌に掲載された時、1万人の読者、内数100人の数学の教授が答えが間違っていると、抗議の手紙をよせたことでも有名です。Paradeの条件の定義の仕方が不明瞭だったことが、議論を加熱させた様ですが、数学的・確率的には何もトリックがないものです。
実際、staygoldさんのエントリーのコメント欄でも、納得がいかない、あるいは、説明や条件の定義(受け手の解釈)で答えが違うのではと言った活発な意見、議論がかわされています。
私個人の考え方としては、この問題は、最初にドアを選んだ時と、その後、条件が加えられ(一つはずれを明かす)て、再度選択の余地が与えられるので、選択としては2回の機会があります。これを順列と組み合わせの概念を入れて、確率を考えればクリアになる問題だと思います。
Wikipediaの日本語版(
モンティ・ホール問題)にもこの問題の説明が書いてあるのですが、説明が少し分かりにくく、人によっては読んでも納得いかないケースもあると思いました。特にルールの変更と言うタイトルで説明しているところは、さらに解釈を取り違える恐れがあるのでは、と感じました。
英語版のWikipediaの方では、かなり明確で分かりやすく説明されています。
また、この問題は、いくつかのサイトでシミュレーションができます。The New York Timesのものが良くできているので、ここではそれを紹介します。
モンティ・ホール問題シミュレーション(Source: New York Times)注)最初に広告が出ますので、それをスキップしたい方は、右上のskip adをクリックして下さい。次に”Let's Play"ボタンを押すとシミュレーションできます。
頭では分かったけど何となく釈然としない方、納得のいかない方は是非試してみて下さい。もう分かっていると言う人も、やってみても楽しめると思います。
私は、このモンティ・ホール問題/条件付き確率を行動経済学で取り上げていることに非常に興味を持ちました。staygoldさんの記事、まだ、読んでいらっしゃらない方、是非、一読をお勧め致します。
(備考・追記)私のアメリカ人の友人によると、Let's make a dealは本当に有名だったとのことです。彼は、Monty Hall Problemを覚えていましたが、答えは間違っていました。ちなみにこの友人は、博士号を持っていて、特許もたくさん持っている人です。
日本のサイトでは、ファイナンシャルプランナーがこの問題を出して、答えが間違っていた人は、資産運用がうまくできない人です。と、書いてあるものを見かけました。この問題と資産運用とは全く関係ないと思っています。まあ、セールス・トークなのでしょうが、しかも載っていたところが、某一流新聞社系のサイトだったので、非常に違和感を覚えました。個人的には、確率の問題を投資に(直接)結びつけるのはどうか、と思っています。バフェットさんの様な、ユーモラスな喩えで皮肉るべきなのでしょうが、私にはその様な才能がありません。あるいは、コメントする必要もない様なことなのかもしれません。まだまだ、未熟だと自分で思います。