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バフェットからの手紙 (8)- 2008年版 

バフェットからの手紙 (7)- 2008年版 の続きです。)

しかしながら、クレイトンの198,888人のローンの借り手は住宅市場の崩壊の間も普通に支払いを続けています。予期していない損失はありません。これは、これらの借り手が普通ではないくらい信用できるからではありません。この点は、FICOのスコア(クレジット・リスクの標準的な基準)からも証明されています。(コメント:FICOと言うのは、消費者の支払いの信用度をスコア化したもので、米国では非常に普及しています。)

全米の中央値は723に対して、彼らのFICOスコアの中央値は644です。そして、約35%は、一般に“サブプライム”に位置付けられる620よりも低いです。多くの悲惨な一般の住宅ローンの集まりは、FICOスコアではるかに良いクレジットに位置付けられる借り手達によって構成されています。

年末までの時点で我々が現在発行しているローンの延滞率は3.6%です。これは、2004年の2.9%, 2006年の2.9%から若干上昇しています。(我々が発行したローンに加えて、他の金融機関の様々なタイプのポートフォーリオのかたまりを我々は購入しています。)クレイトンの08年中に発行したローンのフォークロジャー(担保権執行)は、2004年の5.3%, 2006年の3.8%に対して、3.0%です。

なぜ我々の(ローンの)借り手 – 特徴として、それ程多くない収入と非常に良いからかけ離れたクレジットスコアを持つ人々 – は支払い状況が良いのでしょうか? その答えは、貸し付けの基本原則(Lending 101)に立ち戻った基本的なものです。我々の借り手は、住宅ローンの支払額の全体が彼らの実際の – 望んでいるものではく – 収入と比べてみてどうなのかを、単に見る。そしてその約束を続けて行く事ができるか判断しただけです。住宅価格の動向が何であれ、彼らは借入金を全額払う意思を持って住宅ローンを選択しているだけです。

我々の借り手達が行った事、行わなかった事が重要な点です。かれらは、ローンの支払いを借り換えによって行う様な事を充てにしていませんでした。彼らは、リセット時に彼らの収入に対して過大となる”teaser”レートを選択していません。(注:teaserレートは、住宅ローンの支払いの初期一定期間非常に低い金利を適用する住宅ローンのオプションです。数年前まで、大変流行していました。)

もちろん、(この先)我々の多くの借り手も問題を抱える事になるでしょう。彼らは、一般的に、困難・不幸な状況(職を失う等)に陥った場合に、すぐに使い切ってしまう程度のほんの少しの蓄えしかありません。死、離婚そして医療費の支払い等全て問題を引き起こしますが、支払いの遅延や破綻(抵当権施行)の主な原因は失業です。もし、失業率が上昇したら – 2009年確実に上昇する事となる様に – 更に多くのクレイトンの借り手達は問題を抱えることになります。そして、我々は更に大きくしかし依然として対処できるレベルの損失を被る事でしょう。しかし、我々の問題は、住宅価格の動向によって生じる・影響を受ける様なものではありません。

現在の住宅クライシスについてのコメントは、ほとんどの破綻(フォークロジャー:抵当権施行)は、住宅の価値が住宅ローン (いわゆる、”upside-down”ローンと呼ばれる)よりも低くなったから発生するのではない、と言う重大な事実をしばしば無視しています。むしろ、フォークロジャーは、借り手が合意した月々の支払いを払う事ができないために、起きています。借金からではない、貯金(蓄え)から意味のある(必要十分な)頭金を既に入れている住宅所有者は、単に現在の住宅の価値が住宅ローンよりも少ないからと言って、住んでいる家から立ち去る事はほとんどありません。

住宅の保有は素晴らしい事です。私の家族と私は、50年間住んでいる、そしてこれからももっと住み続ける現在の家(での生活)を楽しんでいます。しかし、利益や借り換えの可能性ではなく、楽しみとユーティリティが購入の基本的な動機であるべきです。そして、購入する家は、購入者の収入にあったものであるべきです。

現在の住宅破綻は、住宅購入者、貸し手、斡旋者、そして政府にいくつかのシンプルなレッスンを教えました。そのことが、将来の安定化を確実にすることでしょう。住宅の購入は、神に誓う正直な最低10%の頭金と借り手の収入で問題なく支払う事のできる月々の支払いが伴うべきです。その収入は、注意深く検証されるべきです。

人々を住宅所有に導く事は、望ましい目的(ゴール)ではありますが、我が国の第1の目的であるべきではありません。彼ら(国民)を彼らの家に居続けさせることは、大きな望みです。(コメント:原文では’the amibition’。Ambitionは英英辞典での意味は、’ a strong desire to do or to achieve something, typically requiring determination and hard work’ 原文のままの方が雰囲気が良く伝わる気がします。)



原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

更新が滞り、お楽しみにされていた方、本当にすみませんでした。実は、今日病院に行き(小規模な)手術をしてきました。まだ、体調は良くなっていないのですが、今後は、パソコンに向かう時間もここ1週間に比べ取れる様になると思っています。(先週末から体調を大きく崩してしまっていました。)

バークシャーの株主総会は今週末なので、残念ながら、「バフェットの手紙」日本語版シリーズは総会前までに終了する事は現実的に無理の状況となってしまいました。総会開催中は、昨年の様にCNBCがBlogで実況中継等を行う場合は、このブログでも同様にその邦訳を中心にカバーしようと思っています。
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バフェットからの手紙 (7)- 2008年版 

Finance and Financial Products (金融と金融商品)

私は、このセクションにおいてクレイトン・ホームズの住宅ローン事業について結構長く書くつもりです。そして、それ以外のファイナンシャルについては、このセクションの最後にテーブルで総括し、コメントに関しては割愛させて頂きます。なぜ、今回この様にするかと言うと、クレイトンの最近の経験は、住宅と住宅ローンについての社会一般の規制や政策についての議論にも役立つ・参考になるかもしれないと思うからです。それでは、まず先に少しばかり背後事情にについて話します。

クレイトンは、マニュファクチャード•ホームの最大手で、昨年は2万7499戸を提供しました。(注:マニュファクチャード・ホームは前もって工場で組み立てられた家。それを巨大なトレーラーで所定の場所(顧客の指定する)場所に運んで、仕上げます。通常の住宅に比べ、低価格である事が一つの特徴です。)これは、業界全体の8万1889戸の約34%に該当します。我々のシェアは、2009年に伸びる事となるでしょう。その部分的な理由は、業界の他の企業のほとんどは、深刻な経済的困窮に陥っているからです。業界を通して見た場合、販売台数は1998年に37万2843戸のピークを記録して以来、着実に下落し続けています。

(記録を更新した)その時、業界のほとんどは、酷い販売手法を導入していました。私が “借りるべきでない借り手が、貸し出すべきでない融資会社から、お金を借りる”と評した事を含めて、後程、その時期のことについて、書きます。

まず初めに、意味のある頭金の必要性は、頻繁に無視されていました。そして時折、ごまかしが行われていました。(「その猫は確実に2000ドルの価値がある様に見えます。」と語る営業マンは、融資が行われた場合、3000ドルを受けとる事になります。)更に、月々の支払いを行う事が不可能なことは合意の上で借り手は契約します。なぜなら、彼らは失うものがないからです。その結果として発生した住宅ローンは、通常、パッケージ化(“証券化”)され、ウォールストリートの企業によって、疑問を持っていない投資家に販売されました。この愚行のチェーンは酷い終わり方をすることは避けることができません。そしてそうなりました。

クレイトンは、強調すべき事ですが、その(とんでもない融資が行われていた)期間を通して、はるかに道理のある手法をとって、自分達の貸し付けを行っていました。本当のところ、融資をした住宅ローンの買い手はいませんでした。それなので、その後に証券化して、元金または利息を失う事はありませんでした。しかし、クレイトンは例外でした。業界のロスは唖然とする程でした。そして、そのなごりを今日まで引き摺っています。

この1997-2000年の大失敗(フィアスコ)は、はるかに大きい市場規模の通常の住宅市場への炭鉱のカナリアの警告として扱われるべきでした。しかし、投資家、政府、そしてレーティング・エージェンシー達は、マニュファクチャード・ホームの大失敗から一切学びませんでした。それどころか、2004年から07年の期間に、一般の住宅で同じ間違えが繰り返され、ぞっとする様なその大惨事を再び巻き起こすことになりました。融資会社は、彼らの収入で支払う事ができない借り手に、喜んで貸し出しをしました。そして、借り手は、それらの支払い条件に同様に喜んで契約を結びました。どちらの側も、そのことがなければ契約が不可能な“住宅価格の上昇”をあてにしていました。それは、(注:“風と共に去りぬ”の)スカーレット・オハラの「それについては、明日考えるわ。」がそこら中で繰り返されていました。今、この振る舞いが招いた結果は、我々の経済の隅から隅までに、反響しています。


この後、再びクレイトンの事業の話に戻ります。この様な市場環境の中で、クレイトンがどの様にビジネスを行っているのか等の話が続きます。バフェットさんが書いている様にこのセクションは少し長く、話の流れとしては、ここで一旦区切れるため、ここで一旦終了します。お待たせした上、短くてすみません。

以下、私のコメントです。

日本の方にとって、このセクションでの話は極端な喩えの様に思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし、実際にアメリカに住んでいて、数年前まではこの様なことが平然と行われていたのを見ている者として、ここでの話は、まったく極端ではないことを補足させて頂きます。数年前まで、収入の証明は必要なし、頭金も全く入れる必要なく、さらに最初の一定期間(長い場合で3年程度)は極端に少ない月々の支払いで、住宅ローンの貸し付けを行っている業者が(そこら中に)ありました。

この様な住宅ローン(Option-ARM)は、所定の期間終了後に月々の支払いは大幅に上がる事が前もって分かっており、その際には支払う事ができないであろうことも十分想定されている上で、(通常)借り手と貸し手が合意の上でローンが組まれていました。

月の支払いが大幅に上がった際、返済ができなくなっても、その時に住宅価格は上がっているはずなので、家を売れば良い。うまく行けば、頭金なしでも、後でたくさんのお金が入ってくる。あるいは、その時に家の価値が上がっているだろうから、含み益を考慮して住宅ローンを組み直せばと良い。と言った論理が平然と通っていました。

また、上に書いた様な投機的な住宅ローンは、融資会社からの手数料も高いため、ローン・オフィサー(住宅ローンの斡旋・販売を行う仕事)は積極的に販売していました。頭金なしでローンを組む場合は、担保となる住宅の価値の見積もりをつり上げておけば、問題なくローンの審査が通るので、担保価値の見積もりに関しても、当然の事ながら甘く見積もりを行っていました。

これに関連して、以前書いたエントリーのリンクを参考までに添付します。

米国住宅ローンが抱える爆弾: インタレスト・オンリー ローン

私事ですが、腕の痛みが悪化しており、PCに向かうのが非常に苦痛な状況になっています。何とか良くなってほしいと、自分としても切実に思っているのですが、、、今週中に改善しない場合は、来週医者に行こうと思います。

バフェットからの手紙 (6) - 2008年版 

(追記:昨日投稿した際に、添付が保険事業のもので、該当するものとは異なっておりました。日本時間の25日の早朝にバランスシートと損益計算書を差し替えて、追加しています。)

製造、サービス、小売り事業 (Manufacturing, Service, and Retailing Operations)

バークシャーのこの分野での事業活動は、ウォーター・フロントをカバーしています。
(注:原文は、”Our activities in this part of Berkshire cover the waterfront.”です。ウォーター・フロントは、文字通り“水辺”の意味ですが、ここでバフェットさんが言っているのは、消費者市場、米国景気の最前線の意味で使っていると思います。)

それでは、このグループのバランスシートと損益計算書の概要を見てみましょう。

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ロリーポップ((注)キャンディ)からモーターホームといった幅広い製品を販売するこのごちゃ混ぜ(種々雑多)のグループは、昨年、平均自己資本(注:tangible net worth: これについては、2007年のバフェットのエントリーとコメントのやり取りもよろしければ参照して見て下さい。)に対して、17.9%の素晴らしい収益を得ました。さらに特筆すべきことは、これらの事業は、ファイナンシャルのレバレッジが非常に小さいにも関わらず、この様なリターンを得ている事です。明らかに我々は、素晴らしいビジネスを所有しています。

しかし、我々は、このグループの多くの企業を自己資本に対して大きなプレミアムを付けて買収しています。バランスシートの中の営業権の項目にそれは反映されています。そして、そのため収益は企業価値(原文では'Carrying Value')の平均に対しては、8.1%の収益と少なくなっています。

1年を通した結果は満足できるものでしたが、このグールプの多くの事業(系列企業)の収益は、昨年の第4四半期に急速に低落しています。2009年の見通しは更に悪いです。しかし、グループは、今日の状況下であっても強力な収益力を保持し、親会社に多額の現金を供給し続けるでしょう。全体として、これらの企業は、昨年、部分的には我々のファイナンシャルの強さによって、有利なタック・イン買収を行ったことによって、(市場における)競合力の地位を向上しています。対照的に、多くの競合企業は水の中(注:水際でなく、と言う意味だと思います)を進んでいます(または沈んできています)。
(注:タック・イン買収については、この手紙の冒頭の部分で既に登場しています。こちらの中です。)

これらの買収において、最も特筆に値するのは、11月後半に行われたIscarのTungaloy(タンガロイ)買収です。Tungaloyは、日本の工具製造の業界リーダーです。チャーリーと私は、Iscarの経営陣の成果について、驚きとそして感謝をしながら、見続けています。我々が会社を買収した時、Eitan Wertheimer, Jacob Harpaz, あるいはDanny Goldmanの様なマネージャーを一人でも確保できれば、恵まれていたと思います。3人(全員)を得る事は、トリプル・クラウンで勝つ様なことです。(三冠王を獲得する様な事)我々の買収後のIscarの成長は、我々の予想・期待 – それは高いものでした - を超えています。そして、タンガロイを加えた事で、パフォーマンスは次のレベルに行く事でしょう。

MiTek, Benjamin Moore, Acme Brick, Forest River, MarmonそしてCTBは、同様に一つ、またはさらに多くの買収を昨年行いました。世界中で農耕機器の分野で事業を営むCTBは、我々が2002年に買収してから、現在までに6つの小さな企業を手にしています。CTBを買収した時、我々は、1億4000万ドルを払いました。昨年、税引き前の収入は8900万ドルでした。CEOのVic Mancinelliは、我々の買収の随分前からバークシャーの様な運営の原則を模倣していました。彼は、細かい事柄が正しく行われ、決して脇道に陥らない様に日々取り組んできました。今から10年後には、Vicは更に大きな事業を経営している事でしょう。そして、もっと重要なこと、投資した資本に対して素晴らしい収益を得ている事でしょう。


原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

このグループの収益力は、バフェットさんが書かれている様に、本当に素晴らしいと思います。事業グループのターゲット市場を考えると特にそうです。しかも、バフェットさんが言う様に、レバレッジをそれ程使わずに18%近い収益率を上げているのは驚きます。ただし、同様にバフェットさんが追記している様に、買収の際にそれなりに高額なプレミアムを払っているので、それを含めた場合、8%ちょっとになりますが、それでもかなり高い収益率だと思います。見栄えが良い数字(パフォーマンス)だけを示すのでなく、留意する点、この場合は買収に際して相応のプレミアムを支払っているため、Goodwill(営業権等の無形資産)を考慮した場合のパフォーマンスはかなり落ちる、ことを明記しているのは、バフェットさんらしいと思います。

また、既に述べていますが、企業買収する際に、価格よりも良い事業を相応の値段で買うことにより興味がある、と語っていますが、この事業グループのありかたが、その方向性を示していると思います。

(追記)本日、旅行から帰ってきました。予定のフライトが3時間くらい遅れたため、乗り継ぎの便に間に合わず、その後の便は既に満席のため、中継の空港に最悪は9時間いなければ行けない様な状態でしたが、2時間程度の待ち時間で、乗り継ぎの便に乗る事ができました。それでも、トータルの旅行時間としては、17時間くらいかかってしまい、疲れました。

先週から、突然、利き腕の上腕部がひどく痛む様になって、タイプする事、物を持ったりする事がつらくなってしまっています。始末が悪い事に、なにもしていなくても痛むので、まいっています。後数日しても回復しない場合は、医者に行ってみようと思っています。

今週は、体の調子を見ながらの更新となる予定です。

バフェットからの手紙 (5) - 2008年版 

"バフェットからの手紙 - 2008年版"シリーズの続きです。

保険 (Insurance)

我々の保険事業のグループは、1967年に我々が最初に事業に参入してから、バークシャーの伸びを引っ張ってきました(支えてきました)。この大変好ましい結果は、業界の全般的な繁栄によるものではありません。2007年末までの25年間で、総資本に対するリターン(収益)は、保険企業の平均8.5%、対してFortune 500は14.0%です。明らかに、我々の保険業(子会社の保険会社)のCEO達は、追い風を得ていません。(業界の伸びによる事業の伸びへの後押ししていない)しかしながら、これらの経営者達は、チャーリーと私が当初夢にも思わなかった様な素晴らしい成果を上げ続けています。なぜ、私が彼らを大好きなのか?いくつかの点を挙げて、ご説明いたします。

GEICOのTony Nicelyは – この会社に18才で入って、彼は現在48年目の年となります – 厳格にアンダーライティング(裏書き・債務保証)の基準を守る事を継続しながら、マーケットシェアを伸ばし続けています。1993年にTonyがCEOになった時、GEICOは自動車保険マーケットの2%のシェアを持っていました。長い間、会社はその辺りのレベルに(2%のシェアに)留まっていました。それが、今は7.7%です。これは、2007 年の7.2%から更に上昇しています。

新しい事業との組み合わせによる伸び、そして、既存の事業のリニューアル(更新)の頻度の向上により、GEICOは自動車保険業界で第3位の地位まで上昇してきました。1995年にバークシャーが買収した時、GEICOは第7位でした。今、我々の上にいるのは、State FarmとAllstateだけです。

GEICOは、自動車の所有者のお金を節約することができるため、伸びています。誰も、自動車の保険を買う事は好きではありません。 しかし、ほとんど全ての人は運転する事が好きです。それで、ドライバーは(運転者は)常にファーストクラス(一流)のサービスを提供し、最も低価格な保険を探します。効率は、低価格の鍵です。そして、効率は、Tonyの最も秀でた分野です。5年前、従業員あたりの契約保険数は、299でした。2008年、その数は439、大幅な生産性の上昇となりました。(コメント:これは驚異的な数、伸びだと思います。)

我々はGEICOの事業機会を見ると、Tonyと私は、ヌーディスト・キャンプにいる二匹の蚊の様な気持ちになります。おいしそうな獲物が、そこら中にいます。第一に、そして最も重要なこと、我々の自動車保険での新たなビジネスは、爆発的な勢いで伸びています。アメリカ人は、かつてない勢いで、お金を節約しようと腐心しています。そして、彼らは、GEICOにやってきます。2009年1月、我々は保険契約者数の伸びの月の記録を大幅に更新しました。その記録は、ちょうど28日しか保たないでしょう。我々が記者発表した様に、2月の伸びは更にもっと良くなる事が明らかです。

この他、我々は系列の事業でも大きく伸びています。昨年、我々のモーターサイクルの(保険)契約は、23.4%伸び、我々の市場のシェアは約6%から7%以上に上がりました。我々のRVとATVのビジネスも事業規模は小さいながらも、同様に急激に伸びています。そして、最後に、市場が大きく将来性がまさに約束されている、事業用自動車の保険を最近始めました。

GEICOは、現在何100万人のアメリカ人のお金を節約しています。GEICO.comに行ってみて下さい。または、1-800-847-7536に電話をし、いくらお金を節約する事ができるのか、見てみて下さい。

我々の所有する国際的な再保険業大手General Reも、2008年は素晴らしい結果となりました。しばらく前は、会社は非常に困難な問題を抱えていました。(1998年後半に我々が買収した時、その問題を見つける事ができなかったのは、私の完全な失敗でした。)Joe Brandonが彼のパートナーのTad Montrossの協力の元、CEOの席に就いた時の、2001年までに、General Reの文化が更に劣化してきている事を、アンダーライティングの厳格な基準の遵守が失われていること、リザーブと経費が示していました。JoeとTadが経営を始めてから、これらの問題に対して、適切かつ厳正に対処しました。今日、General Reは、混迷から回復を遂げました。昨年の春、Joeは退任し、TedがCEOとなりました。チャーリーと私は、Joeが船を正しい方に導いてくれた事に感謝しています。そして、Tadと共にGeneral Reの未来は最良のものとなる事を、確信しております。

再保険(保険の裏書き)は、長期間の保証を行う事業で、時として、50年あるいはそれ以上にまで渡ります。昨年は、重要な原則を顧客に再教育する年となりました;約束(保証)は、人または機関がする以上に良いものはない。それが、General Reが他に類を見ない活躍する場所です;AAAの(レーティング)の会社が保証する唯一の再保険会社です。(注:先週(3月9日の週に)、バークシャーは1ランクダウングレードされてしまいました)ベン・フランクリンがかつて一度述べた事、「空っぽの袋を上に向けて立てておく事は難しいです」(注:“何かを受け止めるために、空の袋を上に向ける“ )General Reの顧客にはその様な心配はありません。

我々の3番目の保険事業は、Stamfordに本社があり、たった31人の従業員で構成される、Ajit Jainの再保険事業部です。これは、その特質を説明する事は難しいが敬う事は容易い、世界の中で最も卓越した事業の一つかもしれません。

(コメント:Ajit Jain氏は、バフェット氏の後継者の候補の一人と目されています。私は、Jain氏が第1候補だと思っていたのですが、このコメントを見て、(勝手に)更に確信を強めました。理由は、バークシャーも非常に少ない従業員で構成している事。バフェットさんの投資手法・基準、そしてバークシャーの事業戦略は、リスクのアセスメントをベースにした再保険事業の手法・考え方と根本的部分で共通する点が多々ある(と私は思っている)ためです。)

年毎に、Ajitのビジネスは決して同じものではありません。(大きく異なります。)非常に巨額の取引を行ない、信じられない実行のスピードと契約の見積もりを行う意思は、他社が頭をかかせることになります。巨額で普通ではないリスクについて保険をかける場合、ほとんど確実にAjitに声がかかります。

Ajitは、1986年にバークシャーに入りました。そしてすぐに、私は我々が類いまれな才能を(持つ人物を)手に入れた事に気付きました。そこで、私は論理的なことをしました:私はNew Delhiの彼の両親に手紙を書き、彼らが彼の様なもう一人が家に(家族に)いないかと尋ねました。もちろん、私は手紙を書く前からその答えを知っていました。(答えがどうなるか、分かっていました。)Ajitの様な人は存在しません。

(コメント:本当にバフェットさんらしい、話です。ここのくだりは、バフェットさんがいかにAjit氏を評価しているかが、良く分かる部分だと思います。)

我々のより小さい(既に述べた主な事業と比べて小さい)保険事業は、通常、価値のあるフロートをネガティブ・コスト(注:コストを支払うのではなく、逆にお金を得る。既に、この件については、前のセクションで説明しています。)で提供する‘ビッグ3’の様に、独自の方法で素晴らしい結果を残しています。我々は、彼らの結果を下の“Other Primary”にまとめて(記載して)います。スペースの関係上、我々はこれらの保険事業について個別には述べません。しかし、チャーリーと私は、それぞれの(より小さい保険事業個別の)貢献に感謝しております。

(注:細かい点ですが、英語の表現としては、'Others'と単に記すのが通例だと思いますが、'Other primary'と記述するところにバフェットさんの配慮が感じられます。)

こちらが、我々の保険事業のスツールとして4本の足について記載したものです。アンダーライティングの利益は、全ての4つからバークシャーに、2007年にした様に、昨年もコストなして資金を提供したことを示しています。そして、両方の年で我々のアンダーライティングの収益は、業界(他社)で得られたものよりも、はるかに良いものとなっています。もちろん、我々自身、時々、保険事業でとんでもない(困った、悪い)年もあります。しかし、全体として、私はアンダーライティングの収益で平均(均衡)となると予想しています。もし、そうなった場合、我々は巨大な大きさの資金を無料で(調達コストなしで)期限の制限なく使う事ができます。

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原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

取り急ぎ中断していたバフェットの手紙のシリーズを再開致します。旅行中の合間を利用して、書いたため、見直しができていないこと等もあり、乱文お許し下さい。後で、見直して、コメントを編集する予定です。

以下、オフのコメントです。

本日から旅行中です。本日の早朝のフライトだった事、やることが溜まっていたため、昨日は旅行の準備他で一睡もせずそのまま飛行場へ行きました。早朝にも関わらず、空港のセキュリティは大行列で、危うく飛行機に乗り遅れそうになりましたが、なんとかぎりぎりで間に合いました。これほどの行列は久しぶりでした。

また、前日の日曜日にショッピング・モールに行ったのですが、春休み開始の週末だったからか、駐車場はほぼ満車、多くの人でにぎわっていました。景気の急速後退、消費者のコンフィデンスの低下等が言われている反面、経済指標の一部が予想されていた程、悪くない結果であった事が先週のニュースでありました。とても信じられない、とその時は思いましたが、昨日のショッピングモールの人出、早朝にも関わらず長蛇の列の空港のターミナル入口の状況をみると、もしかすると、思いの外消費者のコンフィデンスは悪くないのかとも、思えます。自分としての考えとしては、そうは思っていない反面、少し気になっています。

ちなみに、私の乗った飛行機も満席でした。去年も同じ時期に同じ場所に行ったのですが、今の時点での印象は昨年と変わらない雰囲気、空港とショッピングモールの状況は去年以上の混雑です。この件、実際に見た米国消費者市場の現況の印象については、時間が許せば、別にもう一つのブログに取り上げようかと思っています。

ちょっと話したが脱線してしまいました。すみません。このエントリーは、飛行機の上で書いたものです。乗り継ぎを含め10時間近い移動時間となってしまったのですが、その間、一部は前日の徹夜の反動による睡眠、起きている時間は、今週発行のBarron's, Economist, Business Weekを一通り読む事ができ、また、本エントリーのテーブル以外の部分も全て飛行機上でできました。後は、バフェットさん関連のSnowballも少し読むことができました。

と言う事で、今回のフライトは久しぶりに生産性の高いものとなりました。勝因としては、お酒を飲まなかった事に限るのではと思います。飛行機の上で、お酒を飲むのは嫌いな方ではないのですが、生産性が圧倒的に落ちてしまうので、大きなトレードオフとなります。日本に行く場合等は、時差調整をかねる意味でもお酒を飲んで寝たり、あれこれ考えたりもするのですが、今回はお酒は一切飲みませんでした。(今は、日本ではないのですが、住んでいるところとかなり時差があります。

話が大きく横道にそれてしまいすみません。このコメント分は後で、追加のコメントを加えた上で、別のエントリーにしようかと思っています。

バフェットからの手紙 (4) - 2008年版  

(日本時間3月7日午後3時前に、後半部分(************)を追加しています。)

Regulated Utility Business (規制ユーティリティ事業)

(注:ここでの、ユーティリティは、日々の生活を営む上で密接な関わりがある電気、水道、ガス、電話等を意味します。ユーティリティの事業は、通常、私企業が行いますが、公共性が高いため、様々な法律面での規制があります。そのため、’regulated’を使っていると認識しています。尚、一般的に、規制されていない場合、特にそれを強調する場合は、unregulatedを使用します。)

バークシャは、広範に渡る様々なユーティリティ事業を所有するMidAmerican Energy Holdingsの87.4%(希薄後)を保有しています。保有するユーティリティ事業で、最も大きなものは、(1) イギリスで3番目に大きい電気の供給業者で、380万のエンドユーザーを抱えるYorkshire Electricity and Northern Electric; (2) アイオワ州を主に72万3千の顧客に電気を供給するMidAmerican Energy; (3) 西部6州で170万の顧客に電気を供給するPacific Power and Rocky Mountain Power; (4) 全米で消費される天然ガスの約9%を運ぶ(取り扱う)Kern River and Northern Natural pipelinesです。

我々のMidAmericanの保有のパートナーは、二人の素晴らしい経営者達Dave SokolとGreg Abel、そして私の昔からの友人のWalter Scottです。どちらのパーティーがいくつの議決権を持つかは重要なことではありません。我々が大きな行動(決断)を取るときは、全員がそのことが賢明であると考えた場合のみです。Dave, GregそしてWalterと一緒に仕事をした9年間は、バークシャーはこれ以上良いパートナーをえることはできない、と言う私の元々の信念をさらに強めることとなっています。

ちょっと不釣り合いな(つじつまが合わない)事なのですが、MidAmericanは、全米で第2位の不動産会社を所有しています。この会社は、16000人のエージェントを抱え21の地域のブランド名の会社で運営されています。昨年は、住宅販売にとって酷い年でした。そして、2009年もとても良くなる様には思えません。しかし、我々は質の高い仲介事業(社)が適切な価格で提供されるのであれば、引き続き買収をしていきます。

MidAmericanの事業の主な数字は以下の通りです。

2009-brk-table1.png

MidAmericanの規制電気事業と天然ガスパイプラインの事業結果は本当に素晴らしいものです。そのことについて少し補足の説明を致します。

我々の二つのパイプライン、Kern RiverとNorthern Naturalは、両方とも2002年に買収しました。Mastioと言う名の会社が、パイプラインの顧客の満足度のランキングを定期的に行っています。我々が買収した時、レーティングがつけられている44の内、Kern Riverは第9位、Northern Naturalは39位でした。それらは、改善の余地がありました。

Mastioの2009年の報告書で、Ken Riverは第1位、そしてNorthern Naturalは第3位でした。この成績結果に、チャーリと私はこれ以上誇りに思う事はできない位、うれしく思っています。それぞれの事業で働く何百の人々が新しい企業文化に取り組み、そして、彼らの公約を達成した賜物です。

電気事業の成果も同様に素晴らしい結果を達成しています。1995年に、MidAmericanは、アイオワ州において主要な電気供給者となりました。節度のある計画と効率化への熱意により、会社は我々が買収して以来、一度も電気の価格を値上げしていません。そして、現在の価格を2013年まで維持すると公約しています。

MidAmericanは、風力発電の供給能力の割合を全米第1位にしながら、この卓越した価格の安定を維持しています。我々の買収後、MidAmericanの風力発電の施設は、0から全体の発電量のおよそ20%にまで伸びてきています。

同様に、2006年にPacifiCorpを買収した時、我々は積極的に風力発電の拡大を進めました。風力発電量は、当時、3300万ワット(33 megawatts)でした。それが、今は7億9400万(794)です。これからもっと増えます。(PacifiCorpを買収し、我々は異なる意味での“風”をひきおこしました。その会社は、98の委員会があり、頻繁に会議をしていました。今は、それが28です。その間に(無駄を省いて)、我々は、2%少ない従業員数で、更に多くの電力を発電し、供給しています。)

2008年単独で、MidAmericanは、二つの事業所(施設)に対して、18億ドルを風力発電に設備投資しました。そして、今日、会社は規制ユーティリティの風力発電量で、全米で第1位です。ところで、(風力発電のために費やした)18億ドルとPacifiCorp(テーブルで”Western”(西部)で表示)とアイオワの税引き前収入11億ドルを比べて下さい。我々のユーティリティ事業において、我々の供給地域での需要・ニーズを満たすために、我々は、収入を全て使っています。そして、さらに(風力発電供給量を上げるため)投資し(費やし)ています。実は、MidAmericanは2000年初めにバークシャーが買収して以来、配当を支払っていません。配当はせずに収入は、我々の顧客が求め、満足するユーティリティのシステムを開発するために再投資しています。それと引き換えに、我々は巨額の投資に対して適正なリターンを得ることができています。これは、全ての観点で、素晴らしいパートナーシップだと思います。

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我々の随分前から公言しているゴールは、特に家族により立ち上げられ、所有されている事業の”買収者(側)の選択肢“となる事です。この目的を達成する方法は、そのことに対してふさわしくなることです。これは、我々は約束を必ず守る;レバレッジを重ねて事業を買収する様な事を避ける;並外れた自治権(独自で判断する)を我々の事業経営者(マネージャー)に与える;そして、厚く、薄く買収した企業を保持する事(けれども、我々としては、厚く更に厚い事を好みます。注:所有の比率の事を指していると思います。買収(保有)の比率が高くなることを望むとの意味だと思います。)を意味します。

我々の実績は、我々が言ってきた事と一致しています。(我々は、言ってきた事を実行しています。)しかしながら、我々と競合するほとんどの買収者・企業は異なる道を選択しています。彼らにとって、買収は“商品を売買する事”なのです。彼らの売買契約書のインクが乾く前に、これらの業者は、この先の“エグジット・ストラテジー(出口戦略)”を考えています。そのため、自分達の事業の将来を本当に気にかけている売却者に対しては、我々は決定的なアドバンテージを持っています。

(注:このバークシャーの買収戦略、企業買収に対しても長期保有が決定的な大前提。と言うのは、非常に特徴的です。バフェットさんが述べている様に、これは、通常の企業買収、特にプライベート・エクイティによるものとは、決定的に異なります。)

数年前にさかのぼると、我々の競合は、“レバレッジ・バイアウト業者”として知られていました。(注:確かに数年前までは、LBOと言うことばは非常に一般的でした。)しかし、LBOは悪い名前となってしまいました。そこで、オーウェル流に(注:Orwellian fashion: George Orwell, イギリスの小説家。彼の作品は、自身の社会の不正義に対する懸念が特徴。「動物農場」と「1984年」が代表作品)、買収企業は彼らの名を変える事にしました。しかし、彼らが変更しなかった事は、高額な手数料体系とレバラッジを好む以前からの本質的な業務形態でした。

彼らの新しいラベル(名札)は、”プライベート・エクイティ“となりました。その名は実際には、上と下が逆転しています(注:エクイティ・プライベートで、エクイティを私物化してしまう。と言った意味のバフェットさんらしい皮肉の喩えです。);これらの企業による事業・会社の買収は、ほとんど常に、以前存在していたものと比較して、取得先(買収される側)の資本構造の価値の部分において劇的な削減を招く結果となります。わずか2年か3年前に買収された多くのこれらの買収された企業は、現在、プライベート・エクイティ買収者による彼ら(買収された側)への積み上げられた借金のため、致死的な危険に立たされています。ほとんどの銀行からの借金(債券)は、1ドル当たり70セントを下回る価格で売られています。そして、彼らの通常の負債は、さらに大幅に買いたたかれています。特筆すべき事として、プライベート・エクイティの企業は、彼らの買収した企業が大至急必要だと必死になって求めている資本注入に対して急いでいません。それどころか、彼らは彼らの残っているファンドを自分たちだけのために持ち続けています。(注:一般的に分かりやすい例としては、Chryslerを買収したCerberus Capitalだと思います。まあ、これはある意味極端な例だと思いますが、、、)

規制ユーティリティの市場では、家族経営(所有)の事業はありません。ですから、バークシャーは、規制者(行政)にとっての”買収者(側)の選択肢“となることを望んでいます。取り引きが提案された場合に、買収側のフィットネス(適格、適合性)を判断するのは、売られる株主ではなく、彼ら(規制者・行政)です。

これらの規制者を前にして、過去を隠す事はありません(できません。必要はありません)。彼らは、相応の資本を提供する意思を含め、全ての点でどの様に振る舞っている(行動・運営している)のか、運営する別の州の相方に対して電話をして聞く–する-ことができるのです。

2005年にMidAmericanがPacifiCorpの買収を提案した時、新しい6つの州の行政は、我々がどの様にサービスを提供するのか、直ちにアイオワ州の記録を調べました。彼らは、同様に我々の資金計画と能力についても注意深く評価を行いました。我々は、ちょうど将来の案件に受かる事を予期しているのと同様に、この試験に合格しました。

我々の自信には二つの理由があります。第一に、Dave SokolとGreg Abelは、彼らが関わる事業(ビジネス)に対してファースト・クラスの仕方で経営を行います。彼らは、それ以外の運営の方法を知りません。そして、我々はもっと規制ユーティリティを将来買いたいと望んでいる事、それ以上に(それはおいておいたとしても)、我々は、今日運営を行っている場所の所轄における我々のビジネスの振る舞いが、明日の新しい管轄地域から、我々がどの様に歓迎されるのかが決まる事を存じております。




原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

これで、ユーティリティ事業の話は終了です。次の事業のセクションへと話は続きます。

バフェットからの手紙(3) - 2008年版  

ヤードスティック(Yardsticks: ものさし、尺度、基準)

バークシャーは、価値基準として二つの大きな分野を持っています。一つは、我々の投資:株式、債券、そして現金に相当するものです。年末の時点で、それらの総額は、1220億ドル(我々のファイナンスとユーティリティの事業が所有する投資を含みません。それらは、次の価値の器の方に割り当てています。)その総額のうち約585億ドルは、我々の保険のフロートによって資金提供されています。

バークシャーの二つ目の価値の構成部分は、投資と保険以外の事業から得られる収入です。これらの収入(収益)は、96ページに項目別に掲載されている、我々の67の非保険(保険以外)の会社からもたらされるものです。我々は、この計算において、 保険での収入を除外しています。 なぜかと言うと、我々の保険事業の価値は、投資可能なファンド(注:フロートの事を意味しています。)が生み出すもので、我々はこの部分を最初の器(バケツ)に含めているためです。

2008年、我々の投資は、バークシャーの一株当たり90,343ドル(小額の利息を引いた後の)から7793ドルに減少しました。減少は、市場価格の下落によるもので、純粋な証券または債券の売却額ではありません。我々の第二の分野の価値は、税引き前の収入で一株当たり4093ドルから3921ドル(こちらも小額の利息を引いたもの)に減少しました。

これらの成績(パフォーマンス)は、両方とも満足できるものではありません。この先長い期間において、バークシャーの本質的な価値(intrinsic value)を容認(納得)できるペースで上昇させるためには、それぞれの分野で十分な(それなりの)利益を得る必要があります。今後に向けても、これまでの何十年間そうであった様に、我々は収益の分野に注力して行きます。我々は、実際の価値以下の値をつけた証券を買いたいです、しかし、適正な価格付けがされた事業(会社)をそれ以上にもっと買いたいです。

(注:バークシャーの投資戦略は、株式等を売買する事よりも、会社等を事業買収したりすることに注力しています。バフェットさんは、ここで改めて、このバークシャーの指針を示していると思います。)

それでは、バークシャーの大きな運営事業部門について見てみましょう。これらのそれぞれは、非常に大きく異なるバランスシートと収益性向を持っています。そのため、通常の決算書のように、それらを全て取りまとめて(一括して)しまうと、分析の妨げとなります。それでは、チャーリーと私が見ているのと同じ様に、4つの異なるビジネスとして、お話し致します。



原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

終わりにバフェットさんがおっしゃっている様に、次のセクションから具体的な事業の結果の話になります。個人的には、注釈を少し入れた部分の、「安い株の購入よりも適正価格の事業を多く買いたい」というところがバークシャーの戦略、取り組み方として明確に示していると思います。

また、この先で詳しく財務状況を話して行きますが、バフェットさんが個々の事業を十分に理解し、分析している事が良くわかります。

尚、ご参考までですが、昨年のヤードスティックの部分と見比べてみるのも、おもしろいと思います。バフェットからの手紙 (2)- 2007年版
上に書いた、バークシャーの戦略、方向性についてももう少し詳しく書いています。軽く述べる程度ですが、結構、意味深いと思います。

バフェットからの手紙(2) - 2008年版  


2008年のバークシャー (Berkshire in 2008)

バークシャーのほとんどの事業の結果は、景気の影響を大きく受け、昨年は彼らの潜在能力(注:本来持っている力、見込み、原文は"Potential")を下回る収益となりました。そして、2009年も同様の結果になることでしょう。我々の小売店(の事業)は、我々の住宅建設に関連する事業と同様に、特に大きな打撃を受けました。しかしながら、全体としては、我々の製造サービスと小売りの事業は、かなりの金額の収益を得ました、そして、それらの多くは - 特に規模の大きいもの - は市場における競争力の位置付けを高め続けています。さらに、我々は好運な事に、我々の最も重要な二つの事業 - 保険とユーティリティのグループ - は景気全般との関連性が低いため、収益を得る事ができました。どちらの事業も、2008年に卓越した結果を提供し、そして素晴らしい将来性を持っています。

昨年のレポートで予測した様に、2007年に我々の保険事業が獲得した素晴らしい債務保証(アンダーライティング)の利益は、2008年に繰り返す事はありませんでした。しかしながら、保険事業グループは、アンダーライティングで6年連続で利益を出しました。。これは、我々の585億ドルの保険の”フロート(float)”-我々の所有ではないが、我々が預かり、そして自社の利益のために運用しているお金-のコストが0以下になることを意味します。実際には、我々は、2008年の間にフロートを保有する事で、28億ドルを得ました。チャーリーと私は、このことを発見して愉快な気持ちになりました。(注:最後の表現は、良かったです。と軽く付帯的に述べているくだりです。原文:Charlie and I find this enjoyable. )

(注:フロートの説明については、昨年の手紙に詳しく書いてあります。よかったら、こちらのエントリーでを参照して下さい。ヤードスティックの最初の方で、”流動資産”との表現で書いてある段落です。)

長い期間の中で、ほとんどの保険業者は、巨額なアンダーライティングの損失を経験します。そのことが彼らの経済状況を我々のものと大きく異ならせることとなります。もちろん、我々もアンダーライティングで、ある年は損失を被る場合もあります。しかし、我々は、保険事業で最高の経営者・マネージャー達で構成されるグループを有しています。そして、彼らは、ほとんどのケースで、価値ある確立されたフランチャイズを管轄しています。私は、アンダーライティングの利益をこの先何年間もあげられるだろうと考えおります。そして、それができることは、我々のフロートのコストはかからないこととなります。バークシャーの基幹ビジネスの保険事業は、利益を生み出す発電所・原動力です。

チャーリーと私は、ユーティリティのビジネスに対しても同様に大変熱心です(期待を持っています)。 本事業は、昨年、収益の記録を更新し、さらに将来の伸張の準備もできています。この事業の経営を行うDave SokolとGreg Abelは、ユーティリティ業界で他に類を見ない(突出した)結果を達成しています。彼らが新しいプロジェクトを起案、持ってくるのが、私は大好きです。なぜなら、資本集約的なビジネスのこれらのベンチャーはたいてい大事業となるからです。その様なプロジェクトは、バークシャーに素晴らしいリターンの大きな金額の出資機会を提供します。

資本配分の点においても、昨年はうまく行きました。バークシャーは常にビジネスと有価証券の買い手です。そして、市場の混乱は我々の買収に追い風を与えてくれました。投資をする時、(市場の)悲観は友達、熱狂・幸福感は敵です。

我々の保険のポートフォリオの中で、通常の市場環境ではありえない条件で3つの巨額の投資を行ないました。これらは、バークシャーの年間の収益に税引き前で約15億ドルの利益を加える事になります。そして、同様に資本の増加の可能性も提供します。我々は、Marmonの買収も完了しました。(我々は、現在、会社の64%を所有しています。そして、残りの株式をこの先6年で買い取ります。)加えて、我々のいくつかの子会社は、競争力の地位向上と収益の強化となる”タック–イン”(tuck-in:ごちそう、tuck in: シャツの裾をズボンやスカートの中に入れること。)買収を行いました。

これらは良いニュースです。しかし、喜ばしくない事実もあります。2008年の間に、私はいくつかのばかな投資をしてしまいました。私は、最低でも一つの委託手数料(コミッション)で大きな間違えと、それよりは小さいながらも打撃を受けるいくつかの間違えをしてしまいました。これらについては、後程詳しくお話しします。さらには、私は、新たな事実が判明した時、自分の考えを再検証し、直ちに行動を起こすべだったにも関わらず、指をくわえて何もしない怠慢な間違えをおかしてしまいました。

更に、一般の市場と共に、我々の保有する債券と証券の市場価格は大幅な下落を被りました。このことは、チャーリーと私は気にしていません。実のところ、ポジションを増やすための資金を持っていれば、我々はその様な価格の下落を楽しむことができます。随分前に、Ben Grahamは私に、「価格はあなたが払うものです。そして、価値はあなたが得るものです。」と教えてくれました。話している事が、ソックスでもストックのどちらでも、価格が値下げされていた時、私は高品質の商品を買いたいです。



原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

コメント:このセクションは昨年はなく、今年追加になったものです。この次のセクションは、Yardsticks(ものさし)なのですが、昨年は、”バークシャ・ハサウェイ株主の皆様へ:”の次がすぐに"Yardsticks"でこのセクションはありませんでした。

このセクションは、2008年のバークシャーの業績のハイレベルなとりまとめ、と言った位置付けになるかと思います。この後で、事業グループ毎の具体的な業績結果の話に移って行くのですが、自分の失敗についてもここで簡単に述べて、後で詳しく話すのは、バフェットさんらしいな、と思いました。良い話だけでなく、悪い話、特に自分の失敗については、隠さずに逆に積極的に厳しく追及するのが、バフェットさん流だと認識しております。

この後のセクションについても、順次、更新して行く予定です。

バフェットの手紙のメディアの反応+最初の感想 

この前のエントリーに追記で書こうと当初は思ったのですが、それなりに長くなりそうなので、別のエントリーとして投稿します。

まずは、この件に関して、私が目にした一般的なメディアのヘッドラインとリンクを以下に記します。

Berkshire has worst year, Buffett still optimistic
Berkshire net sinks; Buffett says economy in shambles

私の愛読するブログでの関連記事も以下に添付します。

Buffett: Our Worst Year Ever
(The Big Picture)

Buffett's Lette
r to Shareholders
(Calculated RISK)

(冒頭のセクションを読んだ)私の感想

バファットさん自身が語っている様に、2008年のバークシャーのパフォーマンスは彼が経営してきた過去44年間で最悪となりました。ただし、下落の幅は、S&Pの37%に対して、9.6%と相対的にはかなり低い下落率です。また、毎年恒例の最初のページのバークシャーとS&Pのパフォーマンスを示したテーブルを見ると分かりますが、バークシャーの純資産・簿価(Book Value)が前年に比べて減ったのは、44年で昨年を含めて2回しかありません。バークシャーの過去のパフォーマンスの実績が如何に高いかを示していると思います。

冒頭のセクションで、バフェットさんはS&Pの過去44年の内、75%が上昇の年でこの先の全体の市場の年で見た場合の上昇と下落の比率は似た様になるだろうと語っています。これは、バフェットさんは、米国の株式市場の今後に対してそれ程悲観的に見ていない事を示しています。実際、彼は長期的には米国は大丈夫だろうと本セクションでも書いています。尚、バークシャーの場合は、過去95%以上が上昇の年です。

つまり、バフェット氏としてはこの先の株式市場に対しても長期的な視点では大きな変化はないと考えていることを示しています。

個人的に非常に興味を持ったのはセクションの最後のくだりで、2009年の経済はかなり酷いものとなり、恐らく当分の間はその状態が続くだろう、と語った上で、だからと言ってそれは株式市場の先行きもそうなるとは限らないと言っているところです。以下原文を引用します。必要に応じて、前エントリーの訳を参照して下さい。

Take a look again at the 44-year table on page 2. In 75% of those years, the S&P stocks recorded again. I would guess that a roughly similar percentage of years will be positive in the next 44. But neither Charlie Munger, my partner in running Berkshire, nor I can predict the winning and losing years in advance. (In our usual opinionated view, we don’t think anyone else can either.) We’re certain, for example, that the economy will be in shambles throughout 2009 – and, for that matter, probably well beyond – but that conclusion does not tell us whether the stock market will rise or fall.

2009年は経済の状況は悲惨となることは確実だ。しかし、だからと言って株式市場もそうなるとは限らない。と語っています。つまり、上昇する可能性もあることを示しています。まあ、例によって自分も誰も将来を予知する事はできない、としっかりと釘を刺した上でのことですが、、、と言う訳で、上昇するだろうと言っている訳でもありません。

どうしても経済の状況、先行きを考えると悲観的な見方になってしまいますが、株式市場の動向がそうなると決まったわけではない、と言う事を頭に入れておくのは、自分としては参考になりました。個人的には、依然として、アメリカの投資家達は少なからずかなり楽観的に考えている人達も多い様に思うので、市場のセンチメント、トレンドがどっちへ向くのかは本当に分からないと思います。

バフェットさんの話は、昔から、やることも言う事も常に首尾一貫しているので、特に目新しい話はこのセクションにもありませんでしたが、それでも自分としては参考になりました。



バフェットからの手紙 - 2008年版  

米国東時間の2月28日朝8時に、毎年恒例のウォーレン・バフェット氏のバークシャーの株主向けの手紙が公開されました。今年は、急速に悪化・混乱する株式市場、急激な減速を見せる経済環境の中で、大きな注目を集めた様です。

発表後に、私の愛読する米国のブログ等でも素早くバフェット氏の手紙の内容について取り上げていました。このブログでも、昨年に引き続き、今年もバフェット氏の手紙について邦訳を行い、エントリーして行く予定です。

バフェットさんは、投資家として非常に有名でありますが、バークシャー・ハサウェイを44年に渡り経営し、会社を驚異的なペースで大きく成長・成功させた素晴らしい経営者です。バフェットさんは、今までに一度も本を書いて、発行した事ありません。しかし、毎年欠かさず株主向けにかなりのボリューム(今年は22ページ)の手紙を発行しています。

この手紙を読むとバフェットさんがどの様に会社を経営しているのかの感じがつかめます。また、彼の投資、事業、市場、経済等に対する見方、意見も直接読む事で得られます。と言う事で、バフェットさんが書かれた原文を読まれる事が一番と思いますが、私のブログでも日本語に訳したものを順次掲載して行こうと思います。

尚、訳に関してはできるだけ原文の意味を忠実に日本語にする様に努めておりますが、一部英語特有の表記、言い回し等についてや、バフェットさん特有の比喩等は、多少日本語の表現に則した形で意訳する場合がございます。その様な場合、注釈をつけたり、引用を明記する様にしています。できるだけ速やかに掲載する様に努めますが、そのために、誤字や表現がおかしい部分があるかもしれませんが、ご容赦下さい。後で、修正、表現の変更を行う場合もあるかと思います。

前置きが長くなりましたが、第1弾として一番最初のセクション"To the Shareholders of Berkshire Hathaway Inc.:"の訳を以下に記します。皆様のお役に立てれば幸いです。




バークシャ・ハサウェイ株主の皆様へ:

2008年の間に、我々の純資産(純資本:Net Worth)は、115億ドル減少しました。これは、我々のクラスAとクラスBの一株当たりの簿価(注:book value: 総資産から、知覚できない資産(intangible asset)と負債を引いたもの)が9.6%減少したことを意味します。過去44年の間(それは現経営陣が会社を取得してから)、帳簿価額は19ドルから7万530ドルに増加しました。これは年に換算して、年間平均20.3%のペースです。

前のページに記載されているテーブルは、バークシャーの簿価とS&P 500 インデックス両方の44年間のパフォーマンスを記録したものです。そして、2008年はどちらとも過去最悪の年であることを示しています。この期間は、企業と地方自治体の債券、不動産、そして商品についても同様に大損害を与えました。年末までに、あらゆる分野全ての投資家達は、まるで小さな鳥がバドミントンゲームの中にさまよい込んでしまった状態と同じ様に、傷つき混乱させられました。

年が進行するにつれ、多くの世界の巨大なファイナンス企業の間で、企業生命を脅かす様々な問題が露見してきました。これは、クレジット・マーケットが正常に機能しなくなることを招き、さらにすぐに全く機能しない重大な事態ととなりました。私が若かった時見たレストランの壁に書かれていた信条”In God we trust; all others pay cash.”がこの国の至る所での合い言葉となりました。

(注:”In God we trust; all others pay cash”は1966年に出版されたJean Shepherd氏の書いた本のタイトルです。大恐慌の時のショートストーリーを集めたものの様です。スタイルはユーモアを交えた短編集とのことです。。Wikipediaの解説。また、この本の中の話を元に1983年に”A Christmas Story”と言う映画が制作・上映されました。私は知りませんでしたが、有名な映画の様です。

アマゾンのリンクはこちらです。ブック・レビュー等を読むと何となく感じはつかめるかと思います。

追記;本日、米国人の友人に"In God we trust; all others pay cash"について(本の話等)聞きましたが、知らないとのことでした。世代的間の差がありそうです。尚、米国のお札には、"In God we trust”と書かれていると聞き、見てみたらまさにそうでした。知りませんでした。"In God we trust; all others pay cash"は、「我々の信じるものは神です。神以外の人は現金で支払って下さい。」と言った様な意味です。 明日、別の米国人の友人に聞いてみようと思っています。)

第4四半期までに、クレジット危機は、住宅と株式の急激な下落と共に国を麻痺させる恐怖に巻き込みました。その結果、ビジネス活動の急激な低下を引き起こし、そして、私が今までに目撃した事がない様なペースで加速しています。米国、そして世界のほとんどが、危険なnegative-feedback cycle(否定的な・負のフィードバック・サイクル)の罠に嵌ってしまいました。恐怖はビジネス・事業活動の低下を招き、そしてそれは、更に大きな恐怖を引き起こす事となっています。

この弱体化のスパイラルは、我々の政府に大規模な行動を取る事を駆り立てています。ポーカーの用語で言うと、財務省とFedは"all in”になっています。(注:ポーカーのall in”は、場の掛け金に対して手持ち資金が満たない場合でも賭けを継続する時に宣言すること、の様です。バフェットさんらしい、うまい言い回し、喩えだと思います。Wikipediaの説明

以前はカップで測られていた経済の薬は、最近は樽で投与されています。これらの、かつては考えられなかった様な投薬量は、ほとんど確実に歓迎されない後遺症・余波を引き起こします。それらの正確な自然の帰結は、だれでも想像できることですが、激しいインフレを起こす事になることです。さらに、主要な産業は政府の援助をあてにする様になってきています。そして、彼らは町や州の持つぎょっとする様なリクエストに従う様になるでしょう。これらの企業を公的な機関と乳離れさせることは、政治的なチャレンジとなる事でしょう。彼らは快く離れることはないでしょう。

どんなにダウンサイドがあったとしても、金融システム全体の崩壊を避けるためであれば、政府による強力で迅速な行動が昨年は必要不可欠でした。もしもそれ(金融システム全体の崩壊)が起こったとしたら、その結果は我が国の経済の全てのエリアが破壊されたことでしょう。好むと好まざるに関わらず、ウォールストリート、メインストリート、そして様々なアメリカのサイドストリートの居住者はすべて同じ船に乗っています。

この悪いニュースのまっただ中にいるわけですが、我が国は過去にもっと酷い労苦に直面した事があることを忘れてはなりません。20世紀だけをとっても、2つの世界大戦(その内の一つは我々は当初負ける様に思われた。)、1ダースあるいはそれに近いパニックとリセッション、1980年にプライム・レートを21.5%にまで引き上げることになった猛烈なインフレ、そして、何年間も失業率が15%から25%のレンジで続いた1930年代の大恐慌と我々は対処してきました。アメリカは、多くの挑戦を抱えてきています。

しかし、失敗・挫折する事なく我々は常にその様な困難を乗り越えてきました。それらの困難、そしてそれ以外の多くの事柄に直面しながら、アメリカの実際の生活水準は、1900年代に7倍近く向上し、ダウ工業指数(Dow Jones Industrials)は、66から11,497に上昇しました。この期間の記録と過去数十世紀の間どの様な暮らしをし、もしできたとしても、ほんの少しの利益を獲得したころと比べてみて下さい。これまで辿ってきた道も平坦ではありませんでしたが、長期的に我々の経済のシステムは驚く程うまく機能しています。それは、他のシステムが持たない、人間の可能性を引き出し続けているのです。そして、それはこれからも続いて行くことでしょう。アメリカの繁栄はまだこれからです。(America’s best days lie ahead. より直訳的には:「米国の最良の日々が、この先に待ち受けています」)

もう一度、2ページの過去44年のテーブルを見てみましょう。(注:添付のpdfファイルの1ページ目です。恐らく、実際の株主向けの手紙には表紙があり、その次からのページがpdfとなっているのだと思います。テーブルはこちらを参照して下さい。)44年間の内の75%の年は、S&Pの株は上昇しています。私は、この先の44年間もおおよそ似た様な割合の年が上昇となると想像しています。しかし、バークシャーを経営する私のパートナー、チャーリー・マンガーも私も事前に、その年が上がるのか下がるのかを予知する事はできません。(我々の、いつもの見解ですが、誰もそれをする事はできない、と思います。(注:将来の予測を人・市場は良くしたがる傾向にあり、バフェットさんも頻繁に将来の予測について聞かれることに対する、いつもの彼のコメントです。))

我々は、例えば、経済が2009年の間中酷い状況になるであろうと確信しています、そして、その酷い状況は、多分この先かなりの間続く事となるでしょう、しかし、その結論(見方)は株式市場が上昇するか下落するかどうかとは、別の話です。(注:経済状況がこの先もかなり悪い状況が続くと予測していても、だから、株式市場が下がる、上がるといった予想に結びつかない)

良い年でも悪い年でも、チャーリーと私は、ただ単に以下の4つのゴールに集中します。

(1) バークシャーのジブラタルの様なファイナンシャル・ポジション、それは巨額の余裕のある流動性(の資産・資金)、適度な短期の負債、そして、多くの利益と現金の収益源;を維持する事。

注)ジブラタルは、地中海の要塞。スペイン南端の小半島で英国の直轄領

(2) 我々の事業(分野)において、長期にわたって競争での優位性をもたらす「堀」を広げる事。

注)「堀」(“moats”)に関しては、昨年の手紙で詳しく説明しています。良かったら、こちらを参照して下さい。

(3) 新しい、そしてさまざまな収益源を確保、開発する事。

(4) 長い年月に渡ってバークシャーの並外れた成果を提供し続ける素晴らしい事業運営マネージャーの部隊(事業の運営部隊)を育成し拡大する事。




原文:http://www.berkshirehathaway.com/letters/2008ltr.pdf

このエントリーは、明日以降に続きます。

バフェットからの手紙 (11-2)- 2007年版  

バフェットからの手紙 (11)- 2007年版 のの続きです。これで、2007年のバフェットの手紙はいよいよ最後です。

The Annual Meeting (年次株主総会)-続き

DodgeとPacificの間の72番通りに位置し77エーカー(注:約31万1609平米)の敷地に建つNebraska Furniture Martで、我々は再び“バークシャー・ウィークエンド”の割引きセールを行います。我々は11年前に、このNFMでのスペシャル・イベントを始めました。そして、“ウィークエンド”期間中の売り上げは、97年の530万ドルから2007年には3億90万ドルに伸びました。この売り上げは、殆どの家具屋の年間の売り上げよりも多いものです。

バークシャーの割引を手に入れるためには、総会出席の証明書を呈示し、5月1日の木曜日から5月5日の月曜日までの間に購入しなければなりません。この期間の特別価格は、いくつかの著名な製造メーカーの製品にも適用されます。これらの製品は、通常、割引に対して厳しく制限されていますが、我々の“株主の週末”の精神にのっとって、あなたのために特別な例外を適用します。我々は、彼ら(有名ブランドの企業)の協力に感謝致します。NFMの営業時間は、月曜日から土曜日までは午前10時から午後9時まで、日曜日は、午前10時から午後6時までです。今年の土曜日、午後5時30分から午後8時まで、NFMにおいて、ビーフとチキンのタコスをBaja Beach Bashが振る舞います。

Borsheimsでも、いつもの株主に限定したイベントを二つ行います。最初の一つは、カクテル・レセプションで、5月2日金曜日に午後6時から10時まで開催します。二番目は、5月4日日曜日、午前9時から午後4時までメインの特別な催し物を行います。土曜日は、午後6時まで開店しています。

週末の間中、Borsheimsにもの凄い数の人が集まります。皆様への便宜を図るため、株主価格は4月28日月曜日から5月10日までの間、適用できることとします。総会出席の証明書あるいはバークシャーの株主である証明書と身分証明書を提示して下さい。

日曜日、Borsheimsの外にあるテントにて、米国のチェス・チャンピオンを二度獲得したPatrick Wolffが目隠しをして、訪れた挑戦者と対戦します。対戦者は、6人の組で目はばっちりと開けて対戦できます。その側では、ダラスから来た素晴らしいマジシャンのNorman Beckが観衆を驚かせることでしょう。さらに日曜日の午後、二人の世界トップのブリッジ・エキスパート、Bob HammanとSharon Osbergが、我々の株主の方々とブリッジの対戦をすることができます。

Gorat’sは、5月4日の日曜日、いつもの様にバークシャーの株主だけのために開店します。食事を提供する時間は、午後4時から10時までです。昨年、株主向けの日曜日、240席あるGorat’sは915の料理を提供しました。3日間のトータルでは、2487の料理を提供、そのうち656は食通(cognoscenti)が好むメインディッシュ, T-ボーンステーキでした。(株主向けの)その日にGora’sに行く場合は、予約が必要です。予約する際は、4月1日に402-551-3733に電話して下さい。(その前にはしないで下さい)

今年も、米国外から来られた株主のためのレセプションを土曜日の午後、4時から開催します。毎年、我々の会合には世界中から多くの人が訪れます。チャーリーと私は、遠路はるばるお越し下さった方々に、直接、ご挨拶したいと考えています。昨年、われわれは様々な国から400人以上の方々をお迎えし、お会いさせて頂きました。米国、カナダ以外の国から来られる株主の方にはすべて、このレセプションに参加する特別の証明書と説明が渡されます。

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84才と77才、チャーリーと私は、望む以上の幸せを得ています。我々は、アメリカで生まれ、素晴らしい両親から良い教育を得て、素晴らしい家族と健康に恵まれ、そして、“事業(ビジネス)”の遺伝子を持っていたため、我々の社会に貢献する多くの人々よりも、不釣り合いなくらい大きな富を得ています。さらに、我々は、才能があり愉快な仲間から、数えきれない方法で助けられながら、我々が愛する仕事を長い期間続けております。毎日が刺激的です。仕事するのにタップダンスをするのも不思議ではありません。

しかし、バークシャーの年次株主総会(Berkshire’s annual meeting)で株主の仲間の方々にお集まり頂くこと程、楽しみなことはありません。ですから、5月3日にクエストでの我々の年に一度の資本家達の祭りにお越し下さい。そこでお会いしましょう。

2008年2月

Warren E. Buffett
取締役会 会長

Source:
Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders
February 29, 2008
http://www.berkshirehathaway.com/letters/2007ltr.pdf



おかげさまで、無事全て訳をすることができました。皆様、おつきあい下さいまして、ありがとうございました。楽しみにされていた方、途中、更新が滞りすみませんでした。

別途、エントリーで、バフェットの手紙に関しての私の感想を含め翻訳後記を書くつもりです。