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今日(8月30日)の米国市場 

30-Aug.png

今日の米国市場は、明日の中央銀行のアニュアルカンファレンスでのBen Bernanke議長のスピーチの内容待ちといった感じで、あまりはっきりしない動きでした。Bernanke議長は恐らく今まで発表されてきたFedの見方から大きく踏み込んだ発言をしないのでは、と言う見方が多いように思えますが、どうなることでしょう。内容によっては、市場が大きく反動する可能性はあります。

コマース・デパートメントが、第2四半期のGDPの値を発表しました。結果は、4%の増加で、過去1年間の中で最もよいペースで、第1四半期の0.6%増を大きく上回っています。一方で、失業の申請件数も上がっており、また、特に今まで市場を引っ張ってきた、消費者支出が低迷してきているので、今年後半は減速するだろうとの見方が強くなっています。

昨日に引き続き本日もテクノロジーセクターが注目を集めてきています。ハイテク株は、昨日に引き続き上昇したところが結構ありました。目だったところでは、Appleが1.62%, Dellが2.15%, Broadcomが2.68%上昇しています。好決算を発表したIPセットトップ向けの製品を提供しているシグマデザインは、10.5%の大幅な上昇となっています。Motorolaがアナリストのレーティングのアップグレードをうけて、1.7%上昇しています。 また、マイクロソフトがResearch In Motionを買収するのではないか、とのうわさがあり、RIMMの日中の株価はかなり上昇しましたが、1.28%の上昇で終了しています。

主要なファイナンス・セクターの企業で、今週が四半期締めの企業も多いようです。Lehman BrotherとMerrill Lynch が売り上げ・利益の見込みの下方修正を発表しています。これらの企業の第3四半期の決算結果が注目されます。

来週以降が重要な勝負どころとなると思います。

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今日(8月29日)の米国市場 

今日は、昨日とは逆に午後二時ごろから、各主要インデックスは上昇を続けて終了しました。29-Aug.png

メディア等によると、昨日のFOMCの議事録に対する市場の反応が過剰であったため、それに対する反発が一つの大きな要因との見方が多いです。また、空売りのポジションもかなりあったようで、後半の上昇時には、空売りのポジション解消の買いが殺到したのでは、と思います。

NASDAQは、昨日終値に対して2.5%上昇しました。これは、過去1年以上の中で最も高い伸びだったとのことです。

ハイテク関連の株で目立った上昇をしたのは、Appleが5.7%、Intelが4.7%、NVIDIAが5.7%、Western Digitalが7.4%でした。 Western Digitalはハードディスクドライブのメーカでシーゲートと競合している会社なのですが、シーゲートよりも大きく上がっているところが面白いところです。

Appleに関しては、来週、iPodの新製品を発表することが予測されており、それが一つの上昇要因と推測されます。上記、その他の会社は、コンピューター関連なので、昨日のシーゲートの売り上げ・利益見込みの上方修正のニュースが好材料となっている様です。

昨日のエントリーの後記で書いた、シーゲートの来年第1四半期の売り上げと利益の予想を上方修正(特に利益に関しては、大幅な上方修正)したことは、市場に対しても好影響を与えたようです。ちなみにシーゲートの株価は本日3.8%の上昇でした。

関連記事: Seagate Rises With Higher 1Q Outlook

私の期待している見方、市場の動きも少し出てきた様です。

Seagate forecast hints at broader tech gains

Seagateが前回フォーキャストを発表した時、「ちょっと低すぎるのでは?」と思っていました。 Seagateは私が注目している株の一つで、過去にも何度か所有したことがあります。ここのところアンダーバリュー気味で購入したいな、と思っていたのですが、今回の発表と株価の上昇で少し遠のきました。ただし、ビジネスも安定しているので、市場がかなり崩れたとしても、相対的な面で、大きく値を落とすことはないと思っているので、ディフェンシブな意味でも持っていたい株ではあります。

第3四半期の決算が発表されるころには、ハイテクの株は安定したビジネスの状況から人気が出てくるのでは、と想定しているのですが、(少しではありますが、すでにその傾向は見られます)市場全体が大きく下落するようなことが起こった場合、少なからずその影響をうけると思うので、下落リスクに対する準備をしておかないと、非常に危険な状況に陥る可能性も高いと思っています。

実は、昨日の下落で私の所有株の総額は大きく下がってしまっていて、かなり不安を感じていたのですが、今日の上昇で、私の所有株も値を戻して、ほっとしています。ただし、市場は相変わらずかなり不安定な状況で、下落のリスクはさらに高くなってきている気がします。そのリスクに対するエクスポージャーを減らすことを検討すべき時が来ていると思います。

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今日(8月28日)の米国市場 

今日は、昼ごろにかけて下落し、そこからいったん小康状態になった後、2時過ぎから、さらに大きく下げ、各主要インデックスは2%を超える下落で終了しました。先週の上昇分は、本日の下げでなくなりました。
28-Aug.png

本日午後2時に8月7日のFOMCの議事録が発表されました。これを受けて、市場は下落しています。ファイナンス・住宅のセクターは大幅に下落していますが、他のセクターも大きく下落しています。

問題のFedの議事録に関しては、こちらで見られます。

ざっとながして読んでみましたが、私自身の受けた印象は、状況を冷静に分析しており、非常にまともな内容だと思いました。サブプライムの問題、クレジット不安等に関しては、この時点でも起きており、それに関するコメント、そしてその他の経済指標等も含めた総合的な検討を行った上、金利政策に関しては、現状を維持するとの、結論に導いています。

現状の市場環境に関しての部分について、一部、途中のパラグラフを抜粋します。

Financial market conditions were volatile during the intermeeting period, particularly over the last few weeks of the interval. Yields on nominal Treasury securities fell on balance, possibly reflecting an increased preference by investors for safe assets as well as revisions in policy expectations. Conditions in markets for subprime mortgages and related instruments, including segments of the asset-backed commercial paper market, deteriorated sharply toward the end of the period. Credit conditions for speculative-grade corporate borrowers tightened substantially, as investors pulled back from higher-risk assets. Spreads on speculative-grade bonds increased to near their highest levels in the past four years. A number of high-yield bond and leveraged loan deals intended to finance leveraged buyouts were delayed or restructured, though other high-yield bonds were issued. In contrast, credit conditions for investment-grade businesses and prime households were relatively little affected by the market turbulence. Issuance of investment-grade bonds continued. Yields on investment-grade corporate issues rose relative to yields on Treasury securities, but because yields on Treasuries declined, yields on investment-grade bonds were about unchanged on net. Nonfinancial commercial paper outstanding posted a modest gain in July, while the pace of bank lending to businesses picked up from an already solid clip. Mortgage loans and consumer credit appeared to remain readily available to households with strong balance sheets, although late in the period some evidence pointed to diminishing availability of jumbo mortgages. (下線を追加)

資産担保のコマーシャル・ペーパーの問題等にも言及していますが、インベストメント・グレードのビジネスとプライムの住宅ローンのクレジットの状況は、市場が不安定な状況にもかかわらず、比較的堅調とのことです。(下線の最後の部分に注目) このことから、現在のクレジット不安の問題は特定の分野に集中しており(CDO等)、全てのコマーシャル・ペーパーの市場状況が悪化しているのではないと述べています。

インフレ・その他の経済指標のデータを考慮しても(FOMCの議事録でも言及しています)、今の時点で、金利を維持することについては、理にかなっていると思いました。また、議事録を読んだ印象としても、利下げに関して、積極的に対応する様な踏み込んだ発言をするような、状況とも思えません。と言うことではありますが、市場(ウォールストリート)としてはかなり落胆する内容だった様です。

個人的には、Fedの対応は非常に理にかなっていると思います。一方で、自分の投資資産が大きく下落してしまっているのは、つらいところです。昨日のエントリー、その前にも書きましたが、2週間前の大幅な下落の時と、状況は変わっていなかったにもかかわらず、Fedが何とかしてくれる、との期待で先週株価が上がっていたものが、今日のFedの発表で2週間前の状況に戻った様な状況です。

ここ先週・先々週のDOWとNASDAQの推移のグラフを添付します。
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本日28日のインデックスのレベルは先々週末(17日)とかなり近いところにあります。注目したいのが、取引数量で、大きく下落した13日の週(特に15日、16日)と比べると、今週、本日の取引数量は低く、パニック的な売りがでているわけではないと思います。

個人的には、今日の下落で、自分のポートフォリオは大幅に下落しています。このまま、ずるずると下がっていくような展開になると、非常に苦しくなります。明日以降の状況に注視していきたいと思います。今週はのんびりできるかな、と思ったのですが、そうもいきそうもありません。とは言え、別にあわてて取引をするつもりもないのですが、ポートフォリオが下落するのを我慢して見ているだけです。平行して、今後の対応に関しては、いろいろと検討するつもりです。

(追記)重要なことを書き忘れていました。今日の市場終了後に、HDD(ハードディスクドライブ)の最大手シーゲートテクノロージーがフォーキャストを大幅に上昇する見込みとの発表をしました。アフターマーケットでSTXの株価は大きく上昇していました。日本でも、日本電産の株価が他が下がっているのにもかかわらず、上がっているのは、恐らくこのシーゲートの売り上げ予測上方修正の関係だと思います。(ハードディスク市場が堅調であることをうけた)

この発表自体は、シーゲートの固有の話だと思いますが、背景として、情報処理、特にコンピュータ関連の市場に関しては、今年後半、来年も堅調に推移するだろうとの見込みを裏付けるものだと思います。このニュースで、明日以降テクノロジー関連が盛り返してくれることを、少し、期待しています。

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今日(8月27日)の米国市場 

今週は、多くの主要な市場関係者が夏期休暇を取っているとのことで、週明けの本日は予想通り取引数量は少なく、若干下落していますが、動きもそれ程大きくはありませんでした。(以下、チャートでは見た目大きく変動していますが、変動幅の単位は小さいので、見た目程、%は変わっていません。)
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本日の朝、中古住宅の7月の販売状況が発表されました。販売状況は、先月に比べ0.2%下落しました。今回で、12ヶ月連続の下落で、過去最高(最悪)を記録しました。 年間のペースで換算した場合、575万戸の販売ペースで、この5年の中でもっとも遅いとのことです。在庫は、5.1%上昇して、459万戸で過去最高です。(先月の発表に関してのエントリーはこちらです。)

このニュースを受けて、住宅セクターは大幅に下落しています。主だったところで、DR Hortonが5%、Meritage Homeが 9%、Centex 5.4%、Lennar 4.5%、それぞれ下落しています。経営が破綻しているとの噂があるBeazer Homesは6.5%の下落で、株価は$10を切りました。YahooファイナンスのデータによるとBeazerのPBRは0.27まで落ちています。ただしBook Valueが今の時点でどれだけ下がっているのか分からないので、PBRの数字自体はあまり意味をなさないと思いますが、興味深いレベルだと思います。

尚、Countrywide Financialも4.8%下落しています。ファイナンスセクターの主要企業もそれなりに下がっています。恐らく、住宅・ファイナンスのセクターの下落によって、S&Pが他のインデックスと比べて低い一つの理由だと思います。

ハイテク関連の目立った動きとしては、GatewayがAcerに買収されることを発表し、株価場前日比50%増となっています。先週末の株価が過去52週の最低のレベルに近かったので、そこから大幅に上がっています。RAMBUSがストックオプションのバックデーティングに関連する問題が(一部)解決したことを発表し、株価は7.9%も上昇しています。(RAMBUSに関しては、個人的に、少し注目しています。) この会社は、何かと法律がらみの問題をいつも抱えてるので、ちょっと手が出しづらいです。(ハイテク企業ではそれ程珍しいことではないのですが、、、)  裁判がらみの結果によって株価が大きく変動したりするため、不確定要因を考慮すると、自分としては投資する対象のメインには入れられないのですが、注目しています。

NVIDIAは2.26%上昇しています。 今の株価は、過去52週の中で最高のレベルにあります。ここの会社の状況が良いのは分かりますが、今日の上昇はなんでなのか、少し気になります。 ストック・シンボルをJAVAに変えたSunも約2.6%上昇しています。

昨日のニューヨークタイムズの記事で、‘The Fed’s Subprime Solution’と言うタイトルの記事が登校されています。 非常に素晴らしい記事なので、是非、読んでみて下さい。

The Fed’s Subprime Solution
By JAMES GRANT
Published: August 26, 2007, The New York Times

続きの方に、上記記事に関しての、一部要約と私のコメントを書きます。
続きを読む

現在のポートフォーリオの状況 

ここ最近、市場の動向に関してのエントリーが中心でしたが、ここで、私のポートフォリオの近況について報告します。

米国株のポートフォリオに関しては、8月15日と16日に若干の変更を行いました。15日にヘッジ用に数ヶ月以上保有していたファイナンスセクターの会社のPutオプションを売り、私のポートフォリオの主力株の買い増しを行いました。後、多少リスクの低減、マージンポジションの調整のため、一部、長期保有が前提の銘柄の株の一部を不本意ながら処分しています。

所有株に関しては、基本的には、先月から変わっていません。配分の比率を変えただけです。現在のポートフォリオはヘッジの分がほとんどなくなり、全面的にロングの構成になっています。自分としては、10月の決算発表まで何とか持ちこたえられれば、それなりにいくのではと期待しているのですが、全体の市場のトレンドが変わりつつあるので、注意してみています。

実は、今月に二回ほど短期投資的な取引をしてしまいました。具体的には、決算発表直前の株を買ってしまったのですが、両方とも、決算は良かったのですが、発表後に下落しています。短期投資はしない、と決めていたのに、また、ルールを破って取引してしまい、そのつけを払う結果となってしまいました。自分ながら、情けないです。今年に入ってから、短期投資はほとんど全てマイナスです。

結果がマイナスだからということではなく、自分で決めたルールを守らないというのは、非常に問題と思います。この様なことを続けている限り、安定した投資パフォーマンスをあげることは、かなわないと思います。今後のためにも、十分な反省が必要と思い、恥ずかしながら、ブログに残します。

日本株のポートフォリオに関しては、かなり久しぶりに少し取引をしました。こちらも、銘柄の構成は基本的には、変わっていません。銘柄配分比率を多少変えただけです。所有している銘柄の一つに関しては、処分し、所有中の株の一部を積み増ししています。

ポートフォリオのパフォーマンスは、先週の上昇から、私のポートフォリオもパフォーマンスはそれなりです。ただ、今後の展開しだいなので、楽観視はしていません。ポートフォリオ・パフォーマンスに関しては、8月終了時に発表する予定です。

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今週を振り返って (8月20日から8月24日の米国株式市場) 

先週の大幅な下落から、今週前半は、先行きの不安等もあり、方向性が見えない状況が月曜日・火曜日と続きましたが、後半、各主要インデックスは堅調に推移し、週明けに対して、2%以上の順調な上昇となりました。20070826141741.png

金曜日の朝に発表された、7月の新築住宅の販売数量は、大方の予想を上回る結果でした。また、耐久消費財の受注状況も順調とのニュース等、比較的良いニュースが多少なりとも金曜日の上昇に貢献した様です。(悪いニュースがなかった、という程度の気がしますが。。。) 住宅セクターの株は、午前中は下落していた株も多かったのですが、午後に入り、全体の上昇に引っ張られる感じで、小幅ながら上昇しているところが多かったです。ファイナンス・セクターに関しても、上昇はしましたが、全体の上昇率よりは低いところが多かったです。尚、金曜日の株の取引数量は、通常より少なかったとのことで、上昇はしましたが、市場が、落ち着いてきた、との見方は少なく、大方は慎重な見方をしている様です。

上記、主要インデックスの各主要インデックスの動きを見ると、Nasdaqが他のインデックスと比べ上昇しているのがわかります。(グリーン色の^IXIC) 金曜日は、Appleが3%を超える上昇、Intelも2%を大幅に超えており、Nasdaqの上昇に貢献しています。クレジット関連の問題が比較的少ない、テクノロジーセクターが見直されていく傾向の始まりかも?、と少し期待しています。 期待通りの展開となるかは、もうしばらく時間はかかると思います。

尚、先週の下落のきっかけの一つとなった、CountrywideはBank of Americaが200億ドルの投資を行うことが発表され、市場は安心したかの印象がありますが、今週一週間の株価の動きを見た場合、あまりあてはまっていないと思います。以下に、Countrywide FinancialとBank of Americaの今週一週間の株価の動きを添付します。
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先週から今週にかけて、住宅ローン事業の閉鎖、人員削減等の発表をする会社が続出しており、住宅ローン事業の先行きが厳しいことを示しており、Bank of Americaが融資をしても、Countrywideのビジネス自体が短期的に好転するわけではないので、株価の不安定な動き、低迷はいたしかたのないことと思います。

住宅ローン事業の先行きの厳しさを裏付ける発表に加え、先週の下落の理由のクレジット不安の高まりの引き金となったSentinel Managementは、Chapter11を申請をしました。その後、SentinelはSECから告発を受けたことが明らかになりました。この様に、先週の下落の市場要因のファンダメンタルズに関しては、改善する方向ではなく、悪化を裏付ける様な状況にも関わらず、市場が上昇したのは興味深いところです。

上昇の理由は、FEDの更なる介入、FFレートの引き下げ等の期待かと思いますが、金利を引き下げたとしても、現在市場が抱えている問題が解決する、といった単純なものではないにもかかわらず、FEDが何とかしてくれるといった期待が高まっているような気がします。。。

今週の上昇で、ヘッジファンドのパフォーマンスも改善したところが多かったのではと思います。昨日のエントリーでもふれましたが、ヘッジファンドは8月に下落しているところが多く、Quantsファンド等、マーケット・ニュートラルの戦略を取っているところは、パフォーマンスが落ちています。(個人的には、この様な市場局面で、マーケット・ニュートラルなポジション自体はむしろ有効なはずだと思っています。問題は、上下の変動が激しく、しかも方向性がはっきりしないケースもあったので、Quants等のコンピュータのソフトを使ったところは、それがあだとなってしまったみたいですね。) 

ヘッジファンドの多くは今回の下落により、ポジションの解消、レバレッジ率の引き下げを行っています。これは、下落リスクをおさえることには有効ですが、逆に上昇のアップサイドも押さえてしまうため、仮に今後しばらくうまくいったとしても、パフォーマンスの改善は限定的になると思います。パフォーマンスが低迷しているヘッジファンドは、短期的に改善しないと、第4四半期には解約が増えてくるのでは、と思います。その様な状況で、悪いシナリオとしては、一部ヘッジファンドが、解約の受付を制限したり、最悪の場合、何かスキャンダルが出てくる可能性もあると思います。 個人的には、時期がすぐではないかもしれませんが、遅かれ早かれ、この様なシナリオは避けられないと思っています。

FT等のメディアによると、来週は、ファイナンス業界のキーの人たちの多くが休暇をとっているケースが多いとのことで、あまり大きな取引・動きはないのでは、との見方の様です。 ちょっと一休みとなるのか、それとも、何かがきっかけで大きく動くのか引き続き、注意して見ていこうと思います。

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ヘッジファンドのパフォーマンス 

ゴールドマン・サックスのヘッジファンドが、大幅に損失を出したニュースが今月半ばにありましたが、その後の動向、特にQuantsファンドがどうなのか注目しています。今週、目を引いた関連の主なニュースを取り上げます。

8月22日のFinancial Newsに8月10時点での8月のヨーロッパのマーケットニュートラルの戦略のヘッジファンドのパフォーマンスが記載されています。
(元の記事:GLG down as largest strategy falls hardest
上記記事にある表を添付します。
20070825151602.gif
これを見ると、ほとんどのファンドは8月に損失を出しています。

本日、8月24日のFinancial TimesにGuantsファンドに関する記事が掲載されています。(Investing tactics thrown awry, August 24, 2007, Financial Times, p.15)

個人的には、GoldmanがGEOの損失の問題と追加投資を発表した後のパフォーマンスが気になっていたのですが、上記FTの記事によると、どうやら、その後持ち直して着ており、今月は16%のマイナスとのことです。

Financial Timesで引用しているHedge Fund Researchのデータを元に、作成した8月現時点までと、年初からのヘッジファンドの戦略別の投資パフォーマンスを以下に添付します上記からも、8月はほとんどのヘッジファンドが損失をだしていることが分かります。
20070830142056.png

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一方、年間を通して見た場合は、まだ大部分は、利益がでています。

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急速に人員削減が進む米住宅ローン業界 

今週、Capital One, Lehman Brothersが住宅ローン事業の閉鎖を次々と発表しました。その他の会社でも、この2週間の間に人員削減を発表しています。本日、8月23日のWSJの記事、'Inn Subprime Retreat, Layoffs'から、この10日間で発表された主要な住宅ローン会社・事業での人員削減数の表を添付します。
20070825150031.gif
 これを見ると、この10日間で発表された、削減の人数は13000人を超えています。米国の場合、会社の業績が厳しくなるとこういった人員削減を行うことは一般的です。しかしながら、この矢継ぎ早に発表される住宅ローン業界の人員削減・事業の閉鎖は、業界の今後の動向を示唆するものだと思います。

注目されているMoney Marketの状況 

今、非常に注目されている問題は、Money Marketの状況です。現在、Money Market市場では、クレジット不安の高まりにより、資産担保型コマーシャルペーパーが敬遠され、安全な短期米国債権に購入が集中しています。 FTの昨日の記事からの引用ですが、Dealogicによると、ヨーロッパでは、満期になった資産担保型コマーシャルペーパーの80%以上がリファイナンスすることができないでいるとのことです。

“Data from Dealogic showed companies in Europe failed to refinance more than 80 per cent of asset-backed commercial paper that matured yesterday” (Excerption from FT, Tuesday August 21, 2007, page 1: ‘Fed fails to calm money markets’) 

この様な状況の中、短期的な資金繰りに困窮する会社が続出しています。先週のCountrywideが代表的な例です。この問題(=Liquidity=流動性=Money Marketの現在の状況)に対応するためFEDは急遽、ディスカウント・レートを引き下げました。そのため、今週に入り、市場はこのFEDの政策が効果を表しているのかに注目が注がれています。具体的なベンチマークとして、短期Treasury Billの利率・価格動向が非常に注目されています。 

月曜は、短期Treasury Billの利率が引き続き下がっていたため、FEDの政策の効果に対する懸念が高まっていたのですが(前述FTの記事のタイトルが示す様に)、本日は、逆にTreasury Billの利率は上昇しています。これは、政府の短期国債の供給の増加等も寄与して、効果が出てきているようです。また、FF rateを下げる様、政治家からの強いプレッシャーが、FEDにかけられています。

この様な状況の中で、大手銀行が、ディスカウント・ウインドウ(ディスカウント・レートを利用した借り入れ)を利用した借り入れを、続々と発表しています。(関連記事:Top international banks tap Fed discount window

恐らくこれは、大手銀行がFEDの今回の政策を支持する動きだと思います。この様なニュースを市場は好感し、本日は株式市場は昨日に比べ大幅に上昇しています。

今の時点で、FEDの政策は少なくとも、市場の混乱を収め、流動性に関しても問題の緩和がされてきている様に見受けられます。ただし、効果がでてきているのかは、もう少し時間をおかないと判断はできないと思います。

一方、住宅ローンの関連では、昨日のCapital Oneの住宅ローン事業の閉鎖の発表に続き、Lehman Brothersがサブプライムの住宅ローン事業のBNC Mortgageの閉鎖の以降を発表しました。その他、Accredited Home Lenders Holding Co, HSBC Holdings Plc等も、大幅な人員削減を発表しています。(関連記事:Mortgage crisis widens at Accredited, HSBC, Lehman)

今年に入ってからの住宅ローン関連の従業員で職を失った人は4万人を超えているとのことです。これは、住宅ローン・不動産市況の低迷・悪化を示唆していると思います。これに加え、昨日エントリーでも書いた、Sentinelの様な話が加わってしまうと、資産担保型コマーシャルペーパー等が売れないのは無理もない気がします。

FEDがFF rateを下げる観測(期待)が高まっている中、WSJが非常に興味深い記事、“Five Reasons: Why the Fed Won’t Cut Rates”をインターネットに投稿しています。(明日以降、新聞の記事にもなるかもしれません)

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SECがSentinelを告発 

先週の金曜日にChapter 11を申請した、Sentinel Managementが不正行為を行っていたとの理由で、SECが告発を行ったことが発表されました。

Chapter 11の申請の時は、新聞等ではあまり目にしなかったので、どうしてなのだろう?と気になっていたのですが、いきなりさらなる展開となったことが明らかになりました。一般紙のUSA Todayでも取り上げられているようです。

(関連記事:SEC charges Sentinel with fraud, USA Today)

ここでは、最初にWSJの記事の冒頭の一部を引用します。

Early last week, Sentinel, a company that manages short-term cash for hedge funds and futures brokers, told clients it was halting redemptions because of the “liquidity crisis” in the credit markets. The news contributed to a 207.61-point fall in the Dow Jones industrial Average when it became public Tuesday, and added to the sense of fear that gripped credit and stock markets all week long.

先週の初め、ヘッジファンドや先物取引のブローカー向けに、短期の現金を運用している会社、センティネルは、顧客に対して、クレジットマーケットの“流動性の危機/liquidity crisis”のため、返還・解約を停止することを伝えました。このニュースは、世間に公になった火曜日、ダウジョーンズの平均が207.61ポイント下落する要因となりました、そしてそれは、クレジットと株式の市場に対して、懸念として先週一週間の間、続いていました。 

(以下省略します。)

Source:
SEC Hits Sentinel Management With Fraud Charges
Kara Scannell
WSJ, August 21, 2007, Page A3

上記USA Todayの記事では、SECの告発の理由は、大きな点では、以下の4つのアイテムとのことです。

Illegal commingling of accounts(アカウントの資産の不正使用):
Sentinel moved at least $460 million of investors' securities into its "house" account for its own purposes, the SEC says. When the SEC asked Sentinel which securities in the house account belonged to clients, company officials indicated they didn't know, the SEC says.

Undisclosed leverage(公開していないレバレッジ)
Sentinel used clients' accounts as collateral to get a line of credit now worth $321 million, the SEC says. Account statements given to investors did not disclose that the securities were pledged as collateral.

Misleading information regarding its redemption suspension (返金の凍結に関しての、誤った情報に誘導)
On Aug. 13, Sentinel told clients it was not permitting any redemption because that would force it to sell "securities at deep discounts to their fair value" due to turbulence in the credit markets. The SEC, though, says the losses were instead the result of other factors, including leverage.

False account information (口座の情報の不正) 
Daily account statements given to Sentinel clients did not accurately reflect the value of securities, the SEC says. Investors in one fund, called Seg3 by Sentinel, were told in a statement that the value of securities was more than $670 million. But the SEC says the account had only $94 million worth of securities.

Daily account statements given to Sentinel clients did not accurately reflect the value of securities, the SEC says. Investors in one fund, called Seg3 by Sentinel, were told in a statement that the value of securities was more than $670 million. But the SEC says the account had only $94 million worth of securities.

(以下省略)

Source:
SEC charges Sentinel with fraud
August 21, USA Today
http://www.usatoday.com/money/industries/brokerage/2007-08-20-sentinel-sec_N.htm

とのことで、決まったとはいえない状況ですが、かなり問題がありそうです。

本日市場は大きな変動はありませんでした。しかし、Money Marketの流動性の問題等は、解決するにはまだまだかかりそうです。(と言うか、さらに悪影響を与えるニュース等が、今後もさらに出てくると思います。)

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今日(8月20日)の米国市場 

今日の米国株式市場は、午前中は上下の変動も少なく、午前中は先週末の終値から、変わらないレベルでしたが、午後に入り、一旦は下落の方向で、2時ごろから今度は上昇に転じました。終値は、DOWが42.27(+0.32%)、Nasdaqは3.56(+0.14%)上昇、S&P 500は、ほぼ変わらないで終了しました。(0.39ポイント下落(-0.03%)) 20-Aug.png

本日、住宅関連の日用品販売大手のLowe’sが、予想を上回る(EPS予想60セントに対し67セント、前年同期比9%アップ)、第2四半期の決算は発表し、株価は6%も上昇しました。(Lowe’sはHome Depotに次ぐ業界2位の会社です。この2社で殆ど市場のシェアを取っています。) 業界1位のHome Depotは、第2四半期は減益だったので、それに比べると対照的です。ただし、今後の予想売り上げ・利益に関しては、住宅市場の低迷を反映して、見込みを落としています。Lowe’sのビジネスの好調の要因は、マーケットシェアを伸ばしていることで、市場全体としては、厳しいと言うことに関しての見方は変わっていないようです。

ハイテク関連では、Research In MotionがGoldman Sachsのアナリストが、レーティングをアップグレードしたことがきっかけで、7%も上昇しています。先週、RIMMは結構下がっていて、その反発と、恐らく、空売りの解消が要因で大きく上がったと思います。

住宅セクターは、上がっている株と、下がっている株、両方あります。セクターとしてみた場合は、ある程度、安定してきているように思えます。 (悪い材料も出尽くし、また、良いニュースもそれほどない。) ファイナンスセクターの主な企業の殆どは、本日、若干下落しています。(恐らく、これがDOW、NASDAQに比べ、S&P500が低かった主な理由だと思います。)

先週から特に注目を集めているCountrywideは、本日は、7.56%も下落しました。本日、Countrywideは従業員のLayoff(簡単に言うと人員削減です)を始めると発表しました。以下関連記事のリンクを添付します。今日の株価の下落は、このLayoffのニュースではなく、金曜日大幅に上昇したので、調整的な理由の気がします。Countrywideの株価は、今後もかなり不安定に推移することが予想されます。

Countrywide Said to Begin Layoffs

市場終了後にCapital Oneが、住宅ローンの事業を閉鎖し、1900人の従業員を解雇することを発表しました。この発表後、アフターアワーズの取引で、株価は一時6%を超える下落をしましたが、その後、本日終値と変わらないレベルに戻ってきています。尚、本日Capital Oneの株価は約3%下落しています。

Capital Oneの住宅ローン事業(GreenPoint)は、Alt-Aの住宅ローンを中心だったとのことです。Alt-Aは、サブプライムとプライムの間に位置するもので、ここ数ヶ月に明らかになってきた、サブプライムから、他の住宅ローン(基本的にはAlt-Aとプライムのホームエクイティ)に問題が広がっているのことを、裏付けたニュースだと思います。 Capital Oneはこの発表時に今年のEPSの予想を$7.05から$5に落としています。アフターアワーズでは一旦、パニック的な売りが出た後、持ち直していますが、住宅ローン業界の問題の広がりを再確認するニュースなので、明日以降の下落要因となる可能性はあります。

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SentinelがChapter 11を申請 

SentinelがChapter11を申請しました。

UPDATE 2-Sentinel files for Chapter 11 bankruptcy

Sentinelの発表が、先週のクレジットに大きく影響を与えました。

そして今回はChapter11です。

これ以外にもヘッジファンドの状況が気になります。

これが、どの程度の範囲で影響があるのか、引き続き注意が必要です。
(今日は来客があるので、時間が在りません、申し訳ありません)

FEDがディスカウント・レートの引き下げを発表 

FEDが銀行等に直接貸し出すディスカウント・レートを0.5%引き下げることを発表しました。FEDのニュースリリースはこちらです。尚、Federal Funds Rateは5.25%のままです。(FOMCのステートメントもこの件のニュースリリースと同時にFedのサイトに掲載されています。)

この発表後、本日の米国市場は、開始時にはかなり上昇し、その後、若干調整していますが、このエントリーを書いてる金曜日の午後の時点でも、かなり高いレベルです。

Reutersの今朝の記事を添付します。状況、見方を簡潔にまとめてあります。
Fed cuts discount lending rate in surprise move

この記事の中でのコメントの一部を以下に引用します。

“The Fed is making sure liquidity is in place, but it doesn't mean they have to cut the fed funds rate. They are doing what's appropriate. They're putting liquidity into the system," said Cynthia Cole, a bond fund manager at Allegiant Asset Management in Cleveland.”

“今の時点では、Fedは流動性に問題がない様にすることに注力しており、FF rateを下げると言うことが確定したわけではない”との見方に私も同意見です。

この件に関して、今日の朝、踏み上げ太郎さんが、いち早く、ブログにてコメントをされています。

この中で、踏み上げ太郎さんは、「この措置が荒れ狂うマーケットを鎮めることが出来るかどうかは2~3日様子を見てみないことにはわからない気がします。」とおっしゃっています。

私もこの意見に賛成です。市場は、今回のFedの発表に驚きと、レートの引き下げが行われることに対する期待が高まっているため、非常に好感し、上昇していますが、ディスカウント・レートの引き下げ自体がどれ程効力があるのか?、ヘッジファンドのパフォーマンス・資金繰りの悪化がどれ程で、それが改善するのか、等、まだまだ不透明要因は大きいと思います。

尚、踏み上げ太郎さんが、ディスカウント・レートに関して、“ディスカウント・レート(=FEDがその準備金を金融機関に貸すときのレート→普通は誰も利用しない)”とおっしゃっています。

WikipediaのFederal funds rateの説明にfederal funds rateとdiscount rateの違いが説明されています。

この中でdiscount rateの銀行に対するローンに関して以下の様に記述されています。

“These loans are very short term and rare, as they are subject to audit by the Fed and the discount rate is usually higher than the federal funds rate.”
“これらのローン(ディスカウントレートのローン)は、Fedの審査が必要で、通常, federal funds rateより金利が高いため、非常に短期でまれなものです。”

とあります。今回に関しては、FF rateより低いので、(50ポイント下げたが、FF rateよりは、50ポイント高い)やはり特別措置と言う色彩が強そうです。Fedのニュースリリースの中でも更新(Renewable)はできる様ですが、30日まで、と書いてあるので、やはりかなり短期のローンです。

このことからも、Fedが短期的にLiquidityの問題を解決しようとしている様に、思えます。

昨日、「Fedは、安易な利下げはしないだろうと考えてる」、と書きましたが、本日のFedの動き等を見ていると、FF rateの利下げをする可能性は高くなっていると思います。 インフレ関連の数値がそれ程、変わらない状況で、Fedが利下げをする と言うことは、まだ、表に出てきていない部分も含め、ファイナンス市場の問題はかなりの問題をはらんでおり、それをFedが認識しているのではと思います。もしそうであれば、相当危険な状態にある気がします。市場は、持ち直してきていますが、まだまだ楽観しできない、また不安定な状況が続くと思います。

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今日(8月16日)の米国市場 

今日は、一言で言えばすごい動きをした一日でした。 Countrywideのニュース(以下に書きます。)を切っ掛けに、市場は下落を開始し、一時期はDOWは300ポイントを越える大幅なマイナスで、各インデックスとも、前日比2.5%以上の下落幅でした。そこから、上昇を続け、終了時は前日とあまり変わらないで終了しました。16-Aug.png

本日の主なニュースとしては、なんと言ってもCountrywideのニュースです。Liquidityの問題から、通常の資金調達が困難となり、全てのクレジットファシリティを使って、$11.5B(1ドル112円換算で、約1兆2900億円)の資金を調達したとの発表を行いました。これによって、クレジット不安の問題がかなりの状況にきていること、また、昨日のニュースで触れた、Countrywideが破産する可能性もある、とのアナリストのコメントを裏付ける様な形になったため、市場の不安は急速に高まり、市場全体が全面安となりました。このニュースに関して、参考までに以下の記事をリンクします。

Countrywide taps $11.5 bln credit, shares fall 11 pct

踏み上げ太郎さんがこの件に関して、非常に判り易い例えで説明されています。

踏み上げ太郎さんのこの後のブログのエントリーでも書かれていますが、今日の日中は、猛烈な勢いで下がっていきました。その後の戻りもすごかったですが。。。

今日の午後の物凄い値戻しを引っ張ったのが、ファイナンスセクターです、殆どの企業の株は本日、結果的にはかなり上がっています。これは、FEDがなんとかしてくれる、との期待や、ここの所かなり下がっていたのでそこからの調整、Shortポジションの解消等、があった等が要因として考えられます。尚、住宅セクターも、結果としては、殆どの会社の株は上がっています。

個人的には、FEDは救済の形での基準金利の値下げをすることは、よほどのことがない限りしないと思います。踏み上げ太郎さんも、「焦点はカントリーワイドがどうなるか?ではなくて、FEDのアクションです。」とおっしゃっていますが、私もそう思います。

実際にCountrywideが倒産する様なことになれば、市場の混乱は今日の例を見ても明らかですが、相当な反応が考えられます。その様な事態を避けるべく、FEDが救済なり何らかのアクションをとる可能性はあると思います。ただ、私は、 “市場が混乱して、上下に激しく変動している”、今のような状況で、救済的な趣旨での安易な利下げはFEDはとらないと思います。

FEDはLiquidityの問題に関しては、先週からかなりアグレッシブにアクションをとっています。Countrywideやヘッジファンドの問題は、CDO等の新規の買い手がつかず、資金繰りが悪化していることだと、思います。これは、信用の問題であって、利下げで少なくとも短期的には解決できる問題ではないと思います。

また、上記とは別の話で話ですが、Quantitative Hedge Fundの今後の状況が気になっています。ゴールドマン・サックスのヘッジファンドが先週、大幅に損失を出した問題が今週明らかになりました。今週の市場の動きもここ数週間の状況と似ており、上下に激しく動いています。確証はありませんが、ゴールドマン等のQuantitative Hedge Fundは、今週も損失が膨らんでいる可能性が高いと思っています。短期にコンピュータのアルゴリズムを変更することは、考えづらいので、今週も、大きな損失を被った可能性は少なからずあると思います。もしそうだとすると、それが明らかになった場合、さらなる混乱の可能性あると思います。尚、このQuantiファンドの問題の影響を、日本市場もかなり受けているようです。

また、通常、9月末に返金される、ヘッジファンドの解約の申し込みの期限が8月15日とのことなので、解約等によるポジションの解消等がどの程度あるのか、分かりませんが、それも、今後の下落要因としてあると思います。私がゴールドマンのGEOに投資していたら、今の様な、市場の状況では解約したくなると思います。

ヘッジファンドは、資金調達・パフォーマンス・投資家の解約のプレッシャー等、問題が高まっており、かなり困難な状況になっていると思います。既に、明らかになったBear Stearns, Goldmanのファンドの問題からさらに大きな問題へと広がりを見せそうな気がします。

個人的には、現在明らかになっているサブプライムやそれを利用したCDO・Structured Financeの行き詰まり、と今回のGoldman等のHedge Fundの損失の拡大の問題に加え(Bear Stearns, Goldmanだけではすまないと思います)、新たに為替に関連した問題が発生してくるのではと想像しています。

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今日(8月15日)の米国市場 

今日の米国市場は、S&P500は小高く始まり、DOWとNasdaqは午前中から、午後のはじめににかけては、上下に多少変動しながら、方向性がはっきりしませんでしたが、午後の後半になってからは、明らかな下落のトレンドになり、各インデックスは本日も下落しました。DOWは13000を切り、S&P500は年初から比べて、マイナスの領域に入りました。
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本日の主なニュースとしては、市場開始前に7月のCPIとCore CPIが発表され、数値は予想通りでした。注目のCore CPIは0.2%増で、年換算して、2.2%の上昇で、これはFEDのインフレの安心領域に入っています。(Comfort Zone) これらの数値は、予想通りで、特に問題はありませんでした。

また、Merrill Lynchのアナリストが、Countrywide Financialのレーティングのアップデートを行いました。内容はかなり過激なもので、市場の状況によっては、倒産の可能性があるとのことでした。(以下、添付記事からの引用)これによって株価は13%近く下落しています。

"If liquidations occur in a weak market, then it is possible for Countrywide to go bankrupt."

Countrywide plunges on bankruptcy fear

このアナリストは、先週まで、Countrywideのレーティングは、買いを推奨していました。

尚、上記チャートで、本日はS&P500が他のインデックスよりかなり上回っていました。S&P500が小高かかったのは、午前中に割合の高い、ファイナンス・特に銀行株が市場を牽引していたと思います。

(書きたいことがいっぱいあるのですが、仕事が残っているので、本日はこれにて失礼します。)

ゴールドマン・サックスのヘッジファンドの問題 

昨晩、ゴールドマン・サックスが最近の株式市場の動きの中で、大きな損失を被ったヘッジファンドに対して、300億ドル(1ドル117円で換算して、3510億円)の救済融資を行うことを発表しました。

これに関しては、本日、WSJとFinancial Timesでも大きく取り上げられています。現在の状況を理解する上でも重要と思い、Financial Timesの記事を中心に引用と記事の要約を中心に、私のコメントを追加して、以下に記します。

Goldman pays the price of being big (Financial Times)
Goldman Wagers On Cash Infusion To Show Resolve(WSJ, August 14, A1/14)

- 今回追加融資を行うのは、Global Equity Opportunities Fund
* 融資前の時価は約$3.6Bで、このFundは先週(だけで)30%以上のロスを被った。
* 追加融資に関しては、$2BはGoldman、それ以外に$1B他の投資家からの融資分がある。
- Global Alpha(上記とは別、今回は融資は行わない)は年初から比べて評価額が27%下落している。下落分の内、約半分は先週下落した分である。
- 問題となっているGlobal Alpha, N American Equity Opportunities, Global Equity Opportunitiesの先週金曜日の時点での評価額は、合計で約100億ドルである。

これらの問題となっているヘッジファンドは、Quantitative Hedge Fundと呼ばれるもので、コンピュータのソフトを利用して売買を行っているそうです。投資のスタイルは、マーケット・ニュートラルで、過去の似た取引パターン等を分析して、上がりそうだと予想されるものを買い、下がりそうだと予想されるものに空売りをするものだと思います。このコンピュータを利用した売買を行うアプローチが先週の株式市場の動きで、完全に裏目となってしまい、非常な大きな損失を被ってしまったとのことです。

(引用終わり)

”コンピュータを使って取引をする”と言うのは、合理的で、効果的なときもありますが、時としてこの様な事態になることは、リスクとしてはあると思います。その辺りのヘッジをしていなかったのでしょうか?少し気になります。

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今日(8月14日)の米国市場 

今日の米国市場は、各主要インデックスは、1.5%を超える比較的大幅な下落でした。DOW Jones Industrialは13028.92で終了しており、明日以降、13000を切る可能性が出てきました。尚、年初1月4日の開始時のDOWは12459.54だったので、それに比べれば、4%以上はまだ高い状態です。
14-Aug.png

市場の心理とは本当に面白いものですね。今の時点では、今後に対する不安が高く、市場も大きく下がっている様に感じます。一方、今年の始めの時点では、今年も上昇するのではとの楽観的な見方が支配的でした。その時点と比べると、心理的には大きくことなるにもかかわらず、株価の水準に関してのみ見た場合は、今の方が高いのは、興味深いです。これから、市場がどの様に動いていくのか冷静に見ていきたいと思います。

本日の主なニュースとして、注目のWal-MartとHome Depotが決算を発表しました。Wal-Martは第2四半期の結果はアナリストの予想を下回りました。また、経営陣は、来年の利益の予想値を下げました。Home Depotに関しては、15%の減益となり、アナリストの予想よりは良かったものの、状況が厳しいことを再確認することになりました。Home Depotも来年の売り上げ・利益予想に関して厳しい見込みであることを発表しています。

これら、小売大手の決算結果と来年の見込み予想から、米国の国内消費が冷え込みつつあることが、示されています。一方、Labor Department が発表した、7月の卸売り物価は、アナリストの予想の0.1%増を大きく上回る0.6%の増加になっています。(コアの方は、0.1%でこれは、予想より低いです。やはり、オイルの価格上昇が効いていると思います。)FEDの金利政策におけるインフレに対する優先度を考慮すると、これらの数字は、FEDの早期利下げの期待に対して、否定的な数値と思います。

今週の初めのエントリーで、注目と書いた、Fortress Investment Groupの第2四半期の決算が発表されました。結果は、赤字でした。Fortressの株は本日6.5%程度下落しています。第2四半期で、この様な状況だと、今年後半は、プライベートエクイティ・ヘッジファンドの状況はかなり厳しくなる見方がさらに強まっていると思います。
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今日(8月13日)の米国市場 

今日の米国市場は、午前中は順調に上昇していたのですが、午後に入り下がってきて、結局先週終値とあまり変わらないレベルで終了しました。各主要インデックスの一日の動きのグラフを以下に添付します。
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注目のBlackstoneの第2四半期の結果は、前年同期比に比べ3倍の利益(EPS:46セントvs11セント)でアナリストの予想(40セント)を上回る好結果でした。これを受けて、株価は一時8%近く上昇しましたが、KKRのウォーニング等の発表と市場全体の下落から、先日に比べ1.7%の上昇で終わりました。

個人的な見解ですが、プライベートエクイティやヘッジファンドは第2四半期に関しては、Blackstoneに代表される様に、好調なところも数多く(少なからず)あるのではと思います。ただし、問題は今年の後半です。今年の後半以降は、殆どのプライベートエクイティとヘッジファンドは非常に厳しい状況になると思います。

余談ですが、うわさによると、Blackstoneは東京にOfficeを構える予定のようです。今後の日本・東京の不動産市場は、(他の国と比べ)有望なための様です。Blackstoneは不動産の転売(投資)はかなり強いので、そのBlackstoneが東京に目をつけていると言うことは、日本・東京の不動産市場の今後は注目だと思います。尚、この一つの理由は、日本の金利が世界の中で、異常に低いので、金利と不動産の運用益、上昇の可能性を考えた場合に投資として非常に魅力的というのが、背景にあると思います。(関連記事

(全体の市場の動き等に関しては、以下”続き”をご覧ください。)
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今週の注目点 

今週は、Hedge Fund/Private EquityのBlackstoneとFortress Investmentが決算を発表します。Blackstoneは明日、月曜日13日で、Fortressは、その翌日の火曜日14日の発表予定です。Credit不安が高まってきており、いくつかのヘッジファンドが破綻している中、どの様な決算を発表するのか、注目です。結果によっては、ファイナンスセクター全体の株価の動向にも大きく影響を与えると思います。

根拠のない、感覚的な予想なのですが、意外と堅調な(もしくは良い)結果を発表するような気がします。ヘッジファンド等でさらなる大きな問題が出てきたりするのは、もう少し後になりそうだと思っています。しかし、私の上記、感覚的な予想が外れていて、思ったより悪い場合は、ファイナンスセクター全体が先週に引き続き下落する可能性が高くなってくると思います。。

後、今週はWal-Mart, JCPenney, Macy's, Nordstroms, Kohl'sといった、小売関連の大手の会社がのきなみ決算を発表します。懸念が出てきている消費者の支出動向を占う上でも、非常に注目です。こちらも、決算の結果によっては、市場全体に与える影響も大きいと思います。

また、火曜日にHome Depotが決算を発表します。住宅関連が急速にスローダウンする中、Home Depotの売り上げ・利益とも同様に、厳しい状況を迎えてきています。こちらも、内容によって、良ければ、住宅関連の問題がそれ程大きく周辺の産業に飛び火していないことを示し、市場は好感すると思います。逆の場合は、同様に、住宅ローンの問題、不動産市場の急速な低迷から、周辺の事業に関しても、影響がおきている例として、市場への影響は少なからずあると思います。

基本的には、これらの株価は、厳しい状況を織り込んでいるので、予想との差が注目です。

今週を振り返って (8月6日から10日の米国市場) 

(8月12日に若干、文章追加しています)

今週も先週に引き続き、変動の激しい週でした。また、サブプライムの問題が、ヨーロッパの銀行・ファイナンス業界にも広がりを見せていることが明らかになりました。

米国株式市場は、大きく下がっている印象がありますが、週を通して見た場合は、週明けから比べて、若干上昇しています。火曜日のFOMCの声明発表の前後を含め、前半は順調に上昇したものの、後半に下がってしまっています。
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ちょっと注目したいのが、住宅メーカーの株価の動きです。サブプライム等の問題が、広がりを見せる中、今週は住宅セクターの主要企業の株は(かなり)堅調に推移しています。主だった会社の株価の動向も添付します。
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ずいぶん順調に推移しています。一部の観測筋は、住宅関連市場は底をうったとの見方をしております。週を通してみた場合は、比較的堅調でした。

また、ファイナンスのセクターに関しても、大きく下げている印象がありますが、今週一週間を通して見た場合は、週明けと同レベル、または、会社によっては、5%近く上がっている株もあります。ファイナンスセクターの主要企業の1週間の株価の動きを添付します。

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殆どの企業は、先週の金曜日に大きく下げているので今週は上下に変動し、それ程、変わっていないというのが現状だと思います。

今週一週間の市場の動きを簡単にまとめると、全体的には、市場が大きく下落している印象が強くなっていますが、週前半の上昇分を打ち消す下落が後半にあって、週を通した場合は、ほぼ変わっていない。住宅メーカー等に関しては、底を打って持ち直している様な動き、ファイナンスセクターに関しては、不安は大きいものの週を通してみた場合は、大きく崩れていない、ことが分かります。

注目されるか?テクノロジー株 

米国株市場は、本日も非常に不安定な状況が続いています。長い間続いてきた上昇のトレンドから、下落のトレンドに変わるのか?それとも、クレジット不安からおきた調整を経て、再び上昇トレンドに戻るのか?まだ先の展開がはっきりとしていません。

今明らかなのは、住宅、自動車と言ったセクターは、今年から来年にかけては非常に厳しい市場環境になることが、予想されており、これにファイナンス・セクターが加わる可能性が高くなっていることです。一方、今後有望な投資先、または、より安全な投資先を求めて、投資家の物色は始まってきていると思います。

私の愛読する、”いちカイにヤリ 投資立国(ロシア株、インド株、中国株、ブラジル株、ADR、BRICs)”の踏み上げ太郎さんのブログを、ここ数週間の間、毎日、拝読しておりましたが、素晴らしい記事をたくさん投稿されています。踏み上げ太郎さん以外のプロの方のブログ等もいくつか読んだりしたこともありますが、私のような立場、(米国に住み、米国のメディアの情報を中心に読んでいる一般投資家の立場)から見ると、米国のメディアの受け売り(それも非常に表層的な部分のみ)、首を傾げたくなるような内容も多い様な気がします。(それ程、多数のサンプルを元にしたものではありません。中には、良いものもたくさんあるとは思います。)その中で、踏み上げ太郎さんのブログは(私にとって)ひときわ輝いて見えます。投資の対象等はことなりますが、非常に勉強になっております。尚、踏み上げ太郎さんは、この状況の中で、消去法から言ってもBRICsとの見方をされています

私は、昨日のエントリー、また、以前から申しておりますが、テクノロジー・セクターが見直されると考えています。市場が下落し、いったん落ち着きだすと、メディアは今後有望な投資先・株等の特集記事を投稿しだします。それが、必ず当たるかは別として、その様な記事も市場の動き・見方としては参考になります。

本日、私の期待している様な内容の記事を発見しましたので、以下に添付します。こうなってくれれば、良いのですが。。。
Google, Cisco don't collateralize loans
Commentary: Ignore analysts, look to debt-free tech sector for safe haven

なぜテクノロジーか?の一つの大きな理由は、サブプライム等との関連性が少ないことです。ちなみに、こういった論理付けと、さまざまな関連リスクを考慮した場合、日本株(勿論、全てではありません、テクノロジーに限ったわけでもありません。)もねらい目だと思います。

二転三転する米国市場 

サブプライムが引き金となった、クレジット不安は、今週前半は(突如)落ち着きをみせつつありましたが、フランス大手の銀行の BNP Paribas が、サブプライムの問題のため、資産(不動産)担保証券の凍結をし、解約(換金)に応じないことを発表しました。また、Goldman Sachsが関連のヘッジファンドが赤字になっていることが明らかになり、クレジット不安が高まり、市場は大幅に下がりました。

9-Aug.png

20070810130610.png

サブプライム・ローンが発端となったクレジット不安は確実に広がりを見せています。また、米国内だけでなく、先週明らかになったドイツの銀行に続き、本日はフランスの銀行と、ヨーロッパの国々のファイナンス業界にも波及してきています。

本日の大幅な下落は、先週末から状況は変わっていないにもかかわらず、今週の前半に(なぜか)上がっていた反動がの一つの原因だと思います。

何度もエントリーでも申し上げていますが、サブプライムの問題は氷山の一角で、大きな問題は、ここ数年のサブプライム等を利用したCDO等のストラクチャード・ファイナンス、それを資金源としたプライベートエクイティとヘッジファンドの前例のない規模のブーム、その背後でアンダーライターとして大きな収入を得ている銀行、等、ファイナンス業界全体を巻き込んだかつてないブームにがあります。それが今、サブプライムの問題から端を発して、大きな岐路に立たされています。

また、サブプライムだけではなく、プライムのホームエクイティ・ローン、Alt-Aの住宅ローンの問題も出てきており、問題は今後さらにひろがることが予想されています。(これらに関しては、一部は既に触れておりますが、別途、後日に取り上げようと思っています。)

本日はファイナンスセクターは大幅に下がっていますが、今週の前半はかなり上がっていたので、株価の水準は、先週とほぼ同じです。(それ程、パニック的に下がったわけでは、ないと思います。)

尚、この大幅に下落した本日の市場の中で、住宅関連のセクターの株は上昇しているところが多いのが注目です。一説では、底を打ったとの認識のようです。(今までにも何度もありましたが。。。)もう一つの注目は、DOWやS&P500と比べるとNasdaqの下げは、比較的少ないことです。

市場の方向性の向きが変わってきている可能性が高くなってきました。市場が下がる中、投資対象の物色も始まってくると思います。私の読みとしては、以前のエントリーで書きましたが、以下の展開を予想しています。
以下、"第2四半期決算発表から見た市場動向の分析・考察 - テクノロジー "から抜粋。尚、ここでは、テクノロジーセクターのみに言及しておりますが、他のセクターでも今後の展開で強いところも(当然)あると思います。

今後の見通し(私の見方)

ハイテク株は、全体として、今年は堅調に推移しています。米国国内の住宅・自動車産業が低迷し、ファインナンス業界も不安要因がある中、それらの業界の低迷の影響を、ハイテク業界は比較的受けにくいビジネスを展開している会社がすくなからずあります。 また、米国外のビジネス比率が高い企業も多く、BRICsを始めとした地域での伸び、ドル安のトレンドに対する恩恵等のアップサイドもあるため、他のセクターと比べて堅調に推移する可能性があると思います。 (ただし、会社毎による差、分野等による差も大きいので、選択によっては、大きな下落をする株も少なからずあると思います。)

このため、今後の展開によっては、ファイナンス業界等、他の投資分野からテクノロジー・セクターに資金が流れてくる可能性もあるのでは、と考えています。

ハイテクの中規模、小規模の企業は、米国内を中心としたビジネスを行う会社が多いのでそちらは、米国内の景気に依存する比率が高いと思います。ただし、分野によっては、米国景気が下落になっても、堅調に推移する可能性のあるものも考えられます。これらの企業の中には、今後、市場全体の動きにかかわらず、大幅に上昇する株もでてくると思います。(これは、この業界の特色です。)

こうなってくれれば、良いのですが。。。状況を注視しながら、自分の投資戦略に関しても、再検討しています。

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今日の米国市場 

今日の米国市場は、主要インデックスは昨日に続き上昇して終わっています。特に、NASDAQは2%を超える上昇となりました。

昨日発表された、Ciscoの第2四半期の好決算と、2008年の売り上げの見通しを上げました。また、CEOのJohn Chambers氏の以下のような発言が好感され、Ciscoの株価は本日、大幅に上昇(6.7%)し、Technology全般も非常に堅調に推移しました。

We're at the right time with the right products," he said. "And the economy, from my perspective, on a global basis have never been better. And that bodes well for Cisco."(部分意訳:世界経済は、いまだかつてない良い状況にある。)

Ciscoの第2四半期の利益は、昨年同期比で25%上昇しました。Ciscoの主要なビジネスであるブロードバンド・ネットワーク関連の市場は、今後も順調に伸びることが予想されており、Ciscoの状況は確かに非常に良いと思います。

アナリストの利益の予測を上回っていますが、それは、一株あたり1セントだけです。また、好決算はある程度、予測されていたと思いますし、Chambers氏の発言は、確かにインパクトはありますが、内容としては、大手のハイテクの企業は多かれ少なかれ似たような状況で、それほど驚く様なことではないと思います。

IBMやIntelと言ったハイテク大手でも、ビジネスの状況はCiscoと似た傾向にあります。(参考:IBM/Intelの決算発表時期のエントリー

まあ、テクノロジー株が見直されつつある、と考えるのは、一つの見方としてありますが。。。(自分も中期的な市場予測として、そう見ています。)ちょっと安易な感じの株価の動きに見えます。

また、本日、高価格帯の住宅販売会社のToll Brothersが決算を発表しており、アナリストの予想よりも良かったことなどから、来年の見込みに関して慎重な見方をしている(Toll warns on deepening housing slump
)ことを明らかにしたのにもかかわらず、株価は6%以上、上昇しています。住宅関連の会社は今日はほとんどが大幅に上昇しています。

先週の状況からファンダメンタルズが変わるなり、明るい見通しが持てる様な、材料・ニュースはない様に思えるのですが、市場のセンチメントは大きく変わってきている様に思えます。

これで、しばらく楽天的な動きになるのか、引き続き、二転三転するのでしょうか? 次とその次の四半期の決算発表の頃には、トレンドははっきりしてくるとは思いますが。。。それまでにどう動くのか、引き続き注意しながら、見ていこうと思います。

最後に本日の主要インデックスの動きを添付します。
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落ち着きつつある(のか)米国市場 

FOMCの声明が発表されました。大方の予想通り、FEDは金利を据え置きました。声明の内容に関しても、特に突出したようなものはなく、予想の範囲内だと思います。注目のクレジットリスクに対しては、以下の様な声明で触れ、リスクはあるものの、今後も経済は堅調に推移していくとの見方を示しています。(最後のセンテンス、太字にしています。)

"Although the downside risks to growth have increased somewhat, the committee's predominant policy concern remains the risk that inflation will fail to moderate as expected,"

"Financial markets have been volatile in recent weeks, credit conditions have become tighter for some households and businesses, and the housing correction is ongoing,"

"Nevertheless, the economy seems likely to continue to expand at a moderate pace over coming quarters, supported by solid growth in employment and incomes and a robust global economy," the Fed said.

9月に利下げをする市場の予想の確率は(先物のボンド価格から算定した)、月曜日の時点で46%だったものが、今回の声明の後では、20%に落ちています。同様に10月の時点での利下げの確率は、84%から52%に下がっています。

昨日のエントリーでも気になると書きましたが、本日の市場の反応は、発表後、多少上下しましたが、大きく動かずに終了しました。住宅・ファイナンスのセクターは結構上がっています。
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今日の時点では、市場はかなり冷静さを取り戻してきている様に思えます。

ただし、基準金利の引き下げに関しては、先になりそうな状況の中、かなり混乱しているクレジットの問題がどうなっていき、市場への影響がどうなるのか、引き続き注視していきたいと思います。

これで、クレジット関連の不安は一旦、落ち着くかもしれませんが、実際の所、状況に関しては変わっていません。今回、FEDが金利を下げたのであれば、多少なりとも環境は違いますが、住宅ローン(サブプライムとそれ以外も)、住宅関連は状況は今後とも悪化していくと思います。あくまでも私見ですが、数ヶ月以内、もしくは、新たなニュースが引き金になって、もっと早く、(さらに大きな)第2波が来る気がします。

一方で、先週と今週では市場の雰囲気ががらりと違うのが、面白いところです。それを端的に表す例として、先週の金曜日の夜に放映された、Mad Money のJim Cramerのビデオクリップのリンクを添付します。Jim Cramerは有名な投資家で、投資サイトのStreet.comの創業者の一人でもあります。

ご覧になっていない方は、一見の価値はあると思います。(先週の(一部)投資家・市場の雰囲気をつかむ、その他の意味で)

続きを読む

今週の注目点 - FOMC声明と市場の反応について 

今週の注目は何と言っても、明日のFOMCの声明だと思います。個人的には、FOMCの声明がどうなるのか、については、当然興味ありますが、市場の反応とその後の株価の動向が気になります。

私の見方としては、Fedは金利は据え置き。理由は、過剰なインフレを抑えるためにも、現状の金利を維持する、と言う従来どおりのスタンスを維持する。“盛り上がるクレジット不安に対して、金利の政策を取るのではなく、あくまでも、インフレの数値を主においた判断をするポジションを維持することを示す”、と想像しています。

サブプライムや、それに関わるヘッジファンド・モーゲージベンダーの破綻に関しては、言及するかもしれませんが、前回、Bernanke議長が言及したサブプライムに関する問題の認識を維持し、あまりクレジットリスク等の問題には踏み込んだ発言をしないと思います。

また、将来の利下げの可能性に関しても、“インフレ関連の統計データ、経済の動向を中心に引き続き注意深く見守り、必要があれば、状況に応じて基準金利の変更を行う“とのスタンスを維持し、金利を下げる方に、Fedが向かっていることを強く示すような声明は(あえて)しないと思います。

Bernanke議長の発言内容によっては、市場が過剰に反応する可能性も高いので、声明もそのあたりを十分に考慮した慎重な発言をすると思います。

FEDの声明が私の予想通りであったとしても、なかったとしても、市場がどう反応するかについては、私は、まったく想像がつきません。大きく動くような気がするのと、どちらかと言うと、上がる可能性は低く、下がる可能性は高いと思いますが、非常に感覚的なものです。(感覚なので、自分としてもあてにしていません。)

もし、Fedが金利の引き下げを行ったとした場合は、ファイナンスセクターに関しては、大幅に上がると思います。全体の市場もそれにつられて、かなり上がると思いますが。。。これも感覚的な推測です。

と言う事で、個人的には、FOMCの発言に関しては、ある程度、自分なりに予測をしているのですが、市場の反応に関しての予測は、完全に白紙状態です。(と言うわけで、冒頭に書いた様に気になっています。)

もし、今日も先週に引き続き、市場が大幅に下落していた場合に、Fedの声明が私の予想に近いと仮定すると、市場からFedの金利政策に対する不満等も高まるのでは、と思っていました。 しかし、今日、市場はかなり戻しているので、そういう意味でも、Fedが確固たる態度を示すのは、それ程、Fedに対する批判と言う形では高まらないのではと思います。(勝手に市場が、心配したり、楽観したりして、上下に変動している様な位置付けになると思うので。)

尚、一つ前のエントリーでも書きましたが、FEDは今回も金利を据え置くと言う見方が大勢で、自分もそう思うと書きましたが、後で気になって、調べてみました。 関連記事の中で、CNNMoneyの8月3日の記事が非常に良くまとまっていたので、そのリンクを以下に添付します。基本的に私の現在の見方と近いです。

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バンピーライドが続く米国市場 

今日は、米国市場は大きく戻しました。DJIとS&Pは2%を超える大幅な上昇でした。ファイナンス・セクターは朝は下がったりしていましたが、殆どが大幅に上昇して終了しています。金曜日の終わり間際の、パニック的な大幅な下落から、(一見すると)市場は冷静さを取り戻して、買いが集まったようです。

過去5日間の主要インデックスの値動きを添付します。
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DJIは、先週火曜日の始まりのレベル位まで戻しており、S&Pが戻したものの1%程度は低いレベル、Nasdaqはちょっと戻りが弱い状況です。

本日のニュースとしては、先週、破綻が明らかになった American Home Mortgage Investment がChapter11を申請しました。(この辺は市場は織り込み済みだったと思います。)

リンクした記事の一部要約ですが、住宅ローンベンダー(Lenders)で今年に入り、破産申請をしたのは、50社を超えるとのことです。(ただし、中小企業が殆どのようで、AHMは全米10位で、過去破産申請した会社の中では、New Century Financialについで2番目に大きい会社とのことです。)

ここで注目したいのは、American Home MortgageはNew Century Financialと異なり、サブプライムのレンダーではないことです。American Home Mortgageの破綻、Chapter11の申請は、住宅ローン業界においてサブプライムから、プライムを含む問題に広がりを見せていることを示していると思います。

短期的には、明日のFOMCの声明とそれに対する市場の反応が注目です。市場は、かなり敏感な状況なので、声明の内容によっては、激しく反応する可能性があります。

個人的には、FRBもその辺は(市場が非常に敏感になっている状況)心得ていて、突出した発言は控えるのではと思います。大方の予想通り、金利は今回も据え置くと思います。また、従来のスタンスから大きく踏み出すような発言はしないと予想しています。

ただし、個人的見解ですが、FRBのトーンはこれまで通り、安易に金利を下げる様な姿勢を、見せないと思います。そうなった場合に、市場が失望したり、何かニュースが重なった場合、市場が極端な反応をする可能性があると思います。FOMCに関しては、アップサイド・ダウンサイド両方可能性はありますが、自分はダウンサイドの方が高いと思います。

一方で、ここのところの調整で一部のセクターの株は、かなり下がっているので、見直しによって買いが増え、全体も大幅に上昇する可能性もあると思います。恐らく、今週もここ数週間と同様に上下に激しく動く、バンピーな状況が続くのではと思います。

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なぜか、わくわくしています 

(追記:当初タイトルとして”投資を楽しむ”にしましたが、私の愛読する、まろさんのブログのタイトルと同じで、後で考えれば、考えるほど、失礼なことをしたと、後悔の念が強まったため、タイトルを変更しました。まろさん、すみませんでした。)

米国株式市場はこの2週間で状況は大幅に変わりつつあります。サブプライムに端を発したクレジットの問題は広がりを見せつつあり、投資家のセンチメントも大きく変わってきています。この2週間の米国株式市場の下落で、私のポートフォリオも7月上旬から比べ、ここ2週間の間で、評価額の合計が30%近い大幅な下落を経験しました。また今後の市場の動向によっては、さらに利益を失い、マイナスになる可能性もあります。

この様な状況において、先週・先々週は、保有する株の再分析、状況の把握、今後の対策等を検討を行いました。ここ2週間、殆ど取引は行っていません。ポートフォリオがすごい勢いで下がるのを見て、少なからずショックを受けましたが、今は、不思議と落ち着いております。少し変なのですが、むしろ、今後どうなっていくのか、ちょっとわくわくしています。

なぜそう思うのか、について以下に書きます。
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来週(8月6日の週)に向けて 

今週(7月30日から8月3日)は、米国株式市場は先週に引き続き下落となりました。特に金曜日の午後の下落は、投資家の市場の先行きに対する不安を良く表していたと思います。短期的には、引き続き、非常に不安定な状況で、上下に大きく動くことが予想されます。

今週から、クレジットに対する不安が高まっており、Bear Stearnsの金曜日のカンファレンスコールが、その不安を非常に高めることになってしまっています。これらの関連の記事も多く見られます。いくつか例として添付します。

Credit Woes Grow As Fear Over Fears Worsen Problems(IBD, Aug 3rd)

下の添付の記事の冒頭の要約ですが、クレジットの問題から、6月22日以降で、46の案件、計600億ドル(1ドル118円換算で、約7兆800億円)が保留になっているとのことです。
More than $60B financing deals pulled

恐らくこれで、Private EquityとHedge Fundを中心とした、M&Aのブームは沈静化する方向に行くと思います。ただ、市場全体が過剰に反応している様に思えるので、週末を経て、市場が冷静さを取り戻す可能性も十分に考えられます。その場合は株価に関しては、多少は回復する可能性も十分あると思います。(そうなって欲しいのですが)

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米国株ポートフォリオ: 7月のパフォーマンス 

7月の米国株ポートフォリオのパフォーマンスです。

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今週を振り返って (7月30日から8月3日の市場) 

本日8月3日は、各主要インデックスは、2%以上の大幅な下落となりました。 高まるクレジット不安の中、午前中にCountrywide Financialがクレジットのデフォルトのスワップ・スプレッドが300ベーシスポイントを超えたと発表しました。また、今週、破綻が明らかになった、American Home Mortgage Investmentが、殆どの従業員(7000人)をレイオフ(解雇)し、新規住宅ローン申請を受け付けないと発表しました。S&PがBear Stearnsのレーティングをダウングレードしたことが、発表されました。(悪いニュースではありますが、この辺りまでは、ほぼ予想の範囲内だったと思います。)

Bear Stearnsのこの日の株価は、カンファレンスコール前までは、前日比、少し上のレベルにいましたが、このカンファレンスコールで、Bear StearnsのCFOの発言後、6%も下落しました。また、このニュースはファイナンスセクター、全体にも波及し大幅な下落となるきっかけとなりました。(Lehman BrothersはBear Stearnsを上回る約8%の下落でした。)

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