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バフェットからの手紙 (7)- 2008年版 

Finance and Financial Products (金融と金融商品)

私は、このセクションにおいてクレイトン・ホームズの住宅ローン事業について結構長く書くつもりです。そして、それ以外のファイナンシャルについては、このセクションの最後にテーブルで総括し、コメントに関しては割愛させて頂きます。なぜ、今回この様にするかと言うと、クレイトンの最近の経験は、住宅と住宅ローンについての社会一般の規制や政策についての議論にも役立つ・参考になるかもしれないと思うからです。それでは、まず先に少しばかり背後事情にについて話します。

クレイトンは、マニュファクチャード•ホームの最大手で、昨年は2万7499戸を提供しました。(注:マニュファクチャード・ホームは前もって工場で組み立てられた家。それを巨大なトレーラーで所定の場所(顧客の指定する)場所に運んで、仕上げます。通常の住宅に比べ、低価格である事が一つの特徴です。)これは、業界全体の8万1889戸の約34%に該当します。我々のシェアは、2009年に伸びる事となるでしょう。その部分的な理由は、業界の他の企業のほとんどは、深刻な経済的困窮に陥っているからです。業界を通して見た場合、販売台数は1998年に37万2843戸のピークを記録して以来、着実に下落し続けています。

(記録を更新した)その時、業界のほとんどは、酷い販売手法を導入していました。私が “借りるべきでない借り手が、貸し出すべきでない融資会社から、お金を借りる”と評した事を含めて、後程、その時期のことについて、書きます。

まず初めに、意味のある頭金の必要性は、頻繁に無視されていました。そして時折、ごまかしが行われていました。(「その猫は確実に2000ドルの価値がある様に見えます。」と語る営業マンは、融資が行われた場合、3000ドルを受けとる事になります。)更に、月々の支払いを行う事が不可能なことは合意の上で借り手は契約します。なぜなら、彼らは失うものがないからです。その結果として発生した住宅ローンは、通常、パッケージ化(“証券化”)され、ウォールストリートの企業によって、疑問を持っていない投資家に販売されました。この愚行のチェーンは酷い終わり方をすることは避けることができません。そしてそうなりました。

クレイトンは、強調すべき事ですが、その(とんでもない融資が行われていた)期間を通して、はるかに道理のある手法をとって、自分達の貸し付けを行っていました。本当のところ、融資をした住宅ローンの買い手はいませんでした。それなので、その後に証券化して、元金または利息を失う事はありませんでした。しかし、クレイトンは例外でした。業界のロスは唖然とする程でした。そして、そのなごりを今日まで引き摺っています。

この1997-2000年の大失敗(フィアスコ)は、はるかに大きい市場規模の通常の住宅市場への炭鉱のカナリアの警告として扱われるべきでした。しかし、投資家、政府、そしてレーティング・エージェンシー達は、マニュファクチャード・ホームの大失敗から一切学びませんでした。それどころか、2004年から07年の期間に、一般の住宅で同じ間違えが繰り返され、ぞっとする様なその大惨事を再び巻き起こすことになりました。融資会社は、彼らの収入で支払う事ができない借り手に、喜んで貸し出しをしました。そして、借り手は、それらの支払い条件に同様に喜んで契約を結びました。どちらの側も、そのことがなければ契約が不可能な“住宅価格の上昇”をあてにしていました。それは、(注:“風と共に去りぬ”の)スカーレット・オハラの「それについては、明日考えるわ。」がそこら中で繰り返されていました。今、この振る舞いが招いた結果は、我々の経済の隅から隅までに、反響しています。


この後、再びクレイトンの事業の話に戻ります。この様な市場環境の中で、クレイトンがどの様にビジネスを行っているのか等の話が続きます。バフェットさんが書いている様にこのセクションは少し長く、話の流れとしては、ここで一旦区切れるため、ここで一旦終了します。お待たせした上、短くてすみません。

以下、私のコメントです。

日本の方にとって、このセクションでの話は極端な喩えの様に思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし、実際にアメリカに住んでいて、数年前まではこの様なことが平然と行われていたのを見ている者として、ここでの話は、まったく極端ではないことを補足させて頂きます。数年前まで、収入の証明は必要なし、頭金も全く入れる必要なく、さらに最初の一定期間(長い場合で3年程度)は極端に少ない月々の支払いで、住宅ローンの貸し付けを行っている業者が(そこら中に)ありました。

この様な住宅ローン(Option-ARM)は、所定の期間終了後に月々の支払いは大幅に上がる事が前もって分かっており、その際には支払う事ができないであろうことも十分想定されている上で、(通常)借り手と貸し手が合意の上でローンが組まれていました。

月の支払いが大幅に上がった際、返済ができなくなっても、その時に住宅価格は上がっているはずなので、家を売れば良い。うまく行けば、頭金なしでも、後でたくさんのお金が入ってくる。あるいは、その時に家の価値が上がっているだろうから、含み益を考慮して住宅ローンを組み直せばと良い。と言った論理が平然と通っていました。

また、上に書いた様な投機的な住宅ローンは、融資会社からの手数料も高いため、ローン・オフィサー(住宅ローンの斡旋・販売を行う仕事)は積極的に販売していました。頭金なしでローンを組む場合は、担保となる住宅の価値の見積もりをつり上げておけば、問題なくローンの審査が通るので、担保価値の見積もりに関しても、当然の事ながら甘く見積もりを行っていました。

これに関連して、以前書いたエントリーのリンクを参考までに添付します。

米国住宅ローンが抱える爆弾: インタレスト・オンリー ローン

私事ですが、腕の痛みが悪化しており、PCに向かうのが非常に苦痛な状況になっています。何とか良くなってほしいと、自分としても切実に思っているのですが、、、今週中に改善しない場合は、来週医者に行こうと思います。

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次の更新について 

更新が遅れており、すみません。なんとか今日中にエントリーしようと、バフェットの手紙の続きを書いていたのですが、腕が痛くてタイプし続ける事ができません。申し訳ありませんが、後少し待って頂きたく、お願いいたします。予定しているエントリーの量の半分程度までは終わっているので、明日には更新できると思います。

尚、もう一つのブログ("Alpha's Market Eye")の方は、連日更新しております。バフェットさんの話の方を楽しみにされている方、本当にすみませんが、今しばらくお待ち下さい。

バフェットからの手紙 (6) - 2008年版 

(追記:昨日投稿した際に、添付が保険事業のもので、該当するものとは異なっておりました。日本時間の25日の早朝にバランスシートと損益計算書を差し替えて、追加しています。)

製造、サービス、小売り事業 (Manufacturing, Service, and Retailing Operations)

バークシャーのこの分野での事業活動は、ウォーター・フロントをカバーしています。
(注:原文は、”Our activities in this part of Berkshire cover the waterfront.”です。ウォーター・フロントは、文字通り“水辺”の意味ですが、ここでバフェットさんが言っているのは、消費者市場、米国景気の最前線の意味で使っていると思います。)

それでは、このグループのバランスシートと損益計算書の概要を見てみましょう。

2008bark-bsheet.png

2008bark-2.png


ロリーポップ((注)キャンディ)からモーターホームといった幅広い製品を販売するこのごちゃ混ぜ(種々雑多)のグループは、昨年、平均自己資本(注:tangible net worth: これについては、2007年のバフェットのエントリーとコメントのやり取りもよろしければ参照して見て下さい。)に対して、17.9%の素晴らしい収益を得ました。さらに特筆すべきことは、これらの事業は、ファイナンシャルのレバレッジが非常に小さいにも関わらず、この様なリターンを得ている事です。明らかに我々は、素晴らしいビジネスを所有しています。

しかし、我々は、このグループの多くの企業を自己資本に対して大きなプレミアムを付けて買収しています。バランスシートの中の営業権の項目にそれは反映されています。そして、そのため収益は企業価値(原文では'Carrying Value')の平均に対しては、8.1%の収益と少なくなっています。

1年を通した結果は満足できるものでしたが、このグールプの多くの事業(系列企業)の収益は、昨年の第4四半期に急速に低落しています。2009年の見通しは更に悪いです。しかし、グループは、今日の状況下であっても強力な収益力を保持し、親会社に多額の現金を供給し続けるでしょう。全体として、これらの企業は、昨年、部分的には我々のファイナンシャルの強さによって、有利なタック・イン買収を行ったことによって、(市場における)競合力の地位を向上しています。対照的に、多くの競合企業は水の中(注:水際でなく、と言う意味だと思います)を進んでいます(または沈んできています)。
(注:タック・イン買収については、この手紙の冒頭の部分で既に登場しています。こちらの中です。)

これらの買収において、最も特筆に値するのは、11月後半に行われたIscarのTungaloy(タンガロイ)買収です。Tungaloyは、日本の工具製造の業界リーダーです。チャーリーと私は、Iscarの経営陣の成果について、驚きとそして感謝をしながら、見続けています。我々が会社を買収した時、Eitan Wertheimer, Jacob Harpaz, あるいはDanny Goldmanの様なマネージャーを一人でも確保できれば、恵まれていたと思います。3人(全員)を得る事は、トリプル・クラウンで勝つ様なことです。(三冠王を獲得する様な事)我々の買収後のIscarの成長は、我々の予想・期待 – それは高いものでした - を超えています。そして、タンガロイを加えた事で、パフォーマンスは次のレベルに行く事でしょう。

MiTek, Benjamin Moore, Acme Brick, Forest River, MarmonそしてCTBは、同様に一つ、またはさらに多くの買収を昨年行いました。世界中で農耕機器の分野で事業を営むCTBは、我々が2002年に買収してから、現在までに6つの小さな企業を手にしています。CTBを買収した時、我々は、1億4000万ドルを払いました。昨年、税引き前の収入は8900万ドルでした。CEOのVic Mancinelliは、我々の買収の随分前からバークシャーの様な運営の原則を模倣していました。彼は、細かい事柄が正しく行われ、決して脇道に陥らない様に日々取り組んできました。今から10年後には、Vicは更に大きな事業を経営している事でしょう。そして、もっと重要なこと、投資した資本に対して素晴らしい収益を得ている事でしょう。


原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

このグループの収益力は、バフェットさんが書かれている様に、本当に素晴らしいと思います。事業グループのターゲット市場を考えると特にそうです。しかも、バフェットさんが言う様に、レバレッジをそれ程使わずに18%近い収益率を上げているのは驚きます。ただし、同様にバフェットさんが追記している様に、買収の際にそれなりに高額なプレミアムを払っているので、それを含めた場合、8%ちょっとになりますが、それでもかなり高い収益率だと思います。見栄えが良い数字(パフォーマンス)だけを示すのでなく、留意する点、この場合は買収に際して相応のプレミアムを支払っているため、Goodwill(営業権等の無形資産)を考慮した場合のパフォーマンスはかなり落ちる、ことを明記しているのは、バフェットさんらしいと思います。

また、既に述べていますが、企業買収する際に、価格よりも良い事業を相応の値段で買うことにより興味がある、と語っていますが、この事業グループのありかたが、その方向性を示していると思います。

(追記)本日、旅行から帰ってきました。予定のフライトが3時間くらい遅れたため、乗り継ぎの便に間に合わず、その後の便は既に満席のため、中継の空港に最悪は9時間いなければ行けない様な状態でしたが、2時間程度の待ち時間で、乗り継ぎの便に乗る事ができました。それでも、トータルの旅行時間としては、17時間くらいかかってしまい、疲れました。

先週から、突然、利き腕の上腕部がひどく痛む様になって、タイプする事、物を持ったりする事がつらくなってしまっています。始末が悪い事に、なにもしていなくても痛むので、まいっています。後数日しても回復しない場合は、医者に行ってみようと思っています。

今週は、体の調子を見ながらの更新となる予定です。

旅行中の中間報告 

私の春休みの旅行も半分を過ぎました。一つ前のエントリーにオフラインのコメントとして、出発日の16日月曜日は空港は大混雑だった事(私はそれなりに飛行機に乗るのですが、セキュリティ前の混雑ぶりは、2001年9月1日のテロ後の中でも、最も込んでいました。)、その前の日曜日のショッピングモールの混雑ぶり等、肌で感じる景況感としては、突然、景気回復的な印象を抱かせる様な意外な経験をしました。

一方で、旅行先に来てみると、ホテルはそれ程混雑している様にも思えず、再び景気が悪化している様な印象を受けています。この方が自然と言えば自然なのですが、それにしても、モールと空港の混雑ぶりは未だにこれと言った理由付けができていません。

バフェットの手紙の続きに関しては、今週中に後一回は更新する予定でおります。申し訳ありませんが、今しばらくお待ち下さい。

尚、米国市場については、関連ブログ:Alpha's Market Eyeの方はほぼ毎日更新しています。ご興味のある方は、是非お立ち寄り下さい。

(3月21日追記)今週中に後一回更新すると上に書きましたが、突然、体の調子が悪くなり、今日は更新する事ができません。申し訳ありませんが、ご了解下さいます様お願い致します。

バフェットからの手紙 (5) - 2008年版 

"バフェットからの手紙 - 2008年版"シリーズの続きです。

保険 (Insurance)

我々の保険事業のグループは、1967年に我々が最初に事業に参入してから、バークシャーの伸びを引っ張ってきました(支えてきました)。この大変好ましい結果は、業界の全般的な繁栄によるものではありません。2007年末までの25年間で、総資本に対するリターン(収益)は、保険企業の平均8.5%、対してFortune 500は14.0%です。明らかに、我々の保険業(子会社の保険会社)のCEO達は、追い風を得ていません。(業界の伸びによる事業の伸びへの後押ししていない)しかしながら、これらの経営者達は、チャーリーと私が当初夢にも思わなかった様な素晴らしい成果を上げ続けています。なぜ、私が彼らを大好きなのか?いくつかの点を挙げて、ご説明いたします。

GEICOのTony Nicelyは – この会社に18才で入って、彼は現在48年目の年となります – 厳格にアンダーライティング(裏書き・債務保証)の基準を守る事を継続しながら、マーケットシェアを伸ばし続けています。1993年にTonyがCEOになった時、GEICOは自動車保険マーケットの2%のシェアを持っていました。長い間、会社はその辺りのレベルに(2%のシェアに)留まっていました。それが、今は7.7%です。これは、2007 年の7.2%から更に上昇しています。

新しい事業との組み合わせによる伸び、そして、既存の事業のリニューアル(更新)の頻度の向上により、GEICOは自動車保険業界で第3位の地位まで上昇してきました。1995年にバークシャーが買収した時、GEICOは第7位でした。今、我々の上にいるのは、State FarmとAllstateだけです。

GEICOは、自動車の所有者のお金を節約することができるため、伸びています。誰も、自動車の保険を買う事は好きではありません。 しかし、ほとんど全ての人は運転する事が好きです。それで、ドライバーは(運転者は)常にファーストクラス(一流)のサービスを提供し、最も低価格な保険を探します。効率は、低価格の鍵です。そして、効率は、Tonyの最も秀でた分野です。5年前、従業員あたりの契約保険数は、299でした。2008年、その数は439、大幅な生産性の上昇となりました。(コメント:これは驚異的な数、伸びだと思います。)

我々はGEICOの事業機会を見ると、Tonyと私は、ヌーディスト・キャンプにいる二匹の蚊の様な気持ちになります。おいしそうな獲物が、そこら中にいます。第一に、そして最も重要なこと、我々の自動車保険での新たなビジネスは、爆発的な勢いで伸びています。アメリカ人は、かつてない勢いで、お金を節約しようと腐心しています。そして、彼らは、GEICOにやってきます。2009年1月、我々は保険契約者数の伸びの月の記録を大幅に更新しました。その記録は、ちょうど28日しか保たないでしょう。我々が記者発表した様に、2月の伸びは更にもっと良くなる事が明らかです。

この他、我々は系列の事業でも大きく伸びています。昨年、我々のモーターサイクルの(保険)契約は、23.4%伸び、我々の市場のシェアは約6%から7%以上に上がりました。我々のRVとATVのビジネスも事業規模は小さいながらも、同様に急激に伸びています。そして、最後に、市場が大きく将来性がまさに約束されている、事業用自動車の保険を最近始めました。

GEICOは、現在何100万人のアメリカ人のお金を節約しています。GEICO.comに行ってみて下さい。または、1-800-847-7536に電話をし、いくらお金を節約する事ができるのか、見てみて下さい。

我々の所有する国際的な再保険業大手General Reも、2008年は素晴らしい結果となりました。しばらく前は、会社は非常に困難な問題を抱えていました。(1998年後半に我々が買収した時、その問題を見つける事ができなかったのは、私の完全な失敗でした。)Joe Brandonが彼のパートナーのTad Montrossの協力の元、CEOの席に就いた時の、2001年までに、General Reの文化が更に劣化してきている事を、アンダーライティングの厳格な基準の遵守が失われていること、リザーブと経費が示していました。JoeとTadが経営を始めてから、これらの問題に対して、適切かつ厳正に対処しました。今日、General Reは、混迷から回復を遂げました。昨年の春、Joeは退任し、TedがCEOとなりました。チャーリーと私は、Joeが船を正しい方に導いてくれた事に感謝しています。そして、Tadと共にGeneral Reの未来は最良のものとなる事を、確信しております。

再保険(保険の裏書き)は、長期間の保証を行う事業で、時として、50年あるいはそれ以上にまで渡ります。昨年は、重要な原則を顧客に再教育する年となりました;約束(保証)は、人または機関がする以上に良いものはない。それが、General Reが他に類を見ない活躍する場所です;AAAの(レーティング)の会社が保証する唯一の再保険会社です。(注:先週(3月9日の週に)、バークシャーは1ランクダウングレードされてしまいました)ベン・フランクリンがかつて一度述べた事、「空っぽの袋を上に向けて立てておく事は難しいです」(注:“何かを受け止めるために、空の袋を上に向ける“ )General Reの顧客にはその様な心配はありません。

我々の3番目の保険事業は、Stamfordに本社があり、たった31人の従業員で構成される、Ajit Jainの再保険事業部です。これは、その特質を説明する事は難しいが敬う事は容易い、世界の中で最も卓越した事業の一つかもしれません。

(コメント:Ajit Jain氏は、バフェット氏の後継者の候補の一人と目されています。私は、Jain氏が第1候補だと思っていたのですが、このコメントを見て、(勝手に)更に確信を強めました。理由は、バークシャーも非常に少ない従業員で構成している事。バフェットさんの投資手法・基準、そしてバークシャーの事業戦略は、リスクのアセスメントをベースにした再保険事業の手法・考え方と根本的部分で共通する点が多々ある(と私は思っている)ためです。)

年毎に、Ajitのビジネスは決して同じものではありません。(大きく異なります。)非常に巨額の取引を行ない、信じられない実行のスピードと契約の見積もりを行う意思は、他社が頭をかかせることになります。巨額で普通ではないリスクについて保険をかける場合、ほとんど確実にAjitに声がかかります。

Ajitは、1986年にバークシャーに入りました。そしてすぐに、私は我々が類いまれな才能を(持つ人物を)手に入れた事に気付きました。そこで、私は論理的なことをしました:私はNew Delhiの彼の両親に手紙を書き、彼らが彼の様なもう一人が家に(家族に)いないかと尋ねました。もちろん、私は手紙を書く前からその答えを知っていました。(答えがどうなるか、分かっていました。)Ajitの様な人は存在しません。

(コメント:本当にバフェットさんらしい、話です。ここのくだりは、バフェットさんがいかにAjit氏を評価しているかが、良く分かる部分だと思います。)

我々のより小さい(既に述べた主な事業と比べて小さい)保険事業は、通常、価値のあるフロートをネガティブ・コスト(注:コストを支払うのではなく、逆にお金を得る。既に、この件については、前のセクションで説明しています。)で提供する‘ビッグ3’の様に、独自の方法で素晴らしい結果を残しています。我々は、彼らの結果を下の“Other Primary”にまとめて(記載して)います。スペースの関係上、我々はこれらの保険事業について個別には述べません。しかし、チャーリーと私は、それぞれの(より小さい保険事業個別の)貢献に感謝しております。

(注:細かい点ですが、英語の表現としては、'Others'と単に記すのが通例だと思いますが、'Other primary'と記述するところにバフェットさんの配慮が感じられます。)

こちらが、我々の保険事業のスツールとして4本の足について記載したものです。アンダーライティングの利益は、全ての4つからバークシャーに、2007年にした様に、昨年もコストなして資金を提供したことを示しています。そして、両方の年で我々のアンダーライティングの収益は、業界(他社)で得られたものよりも、はるかに良いものとなっています。もちろん、我々自身、時々、保険事業でとんでもない(困った、悪い)年もあります。しかし、全体として、私はアンダーライティングの収益で平均(均衡)となると予想しています。もし、そうなった場合、我々は巨大な大きさの資金を無料で(調達コストなしで)期限の制限なく使う事ができます。

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原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

取り急ぎ中断していたバフェットの手紙のシリーズを再開致します。旅行中の合間を利用して、書いたため、見直しができていないこと等もあり、乱文お許し下さい。後で、見直して、コメントを編集する予定です。

以下、オフのコメントです。

本日から旅行中です。本日の早朝のフライトだった事、やることが溜まっていたため、昨日は旅行の準備他で一睡もせずそのまま飛行場へ行きました。早朝にも関わらず、空港のセキュリティは大行列で、危うく飛行機に乗り遅れそうになりましたが、なんとかぎりぎりで間に合いました。これほどの行列は久しぶりでした。

また、前日の日曜日にショッピング・モールに行ったのですが、春休み開始の週末だったからか、駐車場はほぼ満車、多くの人でにぎわっていました。景気の急速後退、消費者のコンフィデンスの低下等が言われている反面、経済指標の一部が予想されていた程、悪くない結果であった事が先週のニュースでありました。とても信じられない、とその時は思いましたが、昨日のショッピングモールの人出、早朝にも関わらず長蛇の列の空港のターミナル入口の状況をみると、もしかすると、思いの外消費者のコンフィデンスは悪くないのかとも、思えます。自分としての考えとしては、そうは思っていない反面、少し気になっています。

ちなみに、私の乗った飛行機も満席でした。去年も同じ時期に同じ場所に行ったのですが、今の時点での印象は昨年と変わらない雰囲気、空港とショッピングモールの状況は去年以上の混雑です。この件、実際に見た米国消費者市場の現況の印象については、時間が許せば、別にもう一つのブログに取り上げようかと思っています。

ちょっと話したが脱線してしまいました。すみません。このエントリーは、飛行機の上で書いたものです。乗り継ぎを含め10時間近い移動時間となってしまったのですが、その間、一部は前日の徹夜の反動による睡眠、起きている時間は、今週発行のBarron's, Economist, Business Weekを一通り読む事ができ、また、本エントリーのテーブル以外の部分も全て飛行機上でできました。後は、バフェットさん関連のSnowballも少し読むことができました。

と言う事で、今回のフライトは久しぶりに生産性の高いものとなりました。勝因としては、お酒を飲まなかった事に限るのではと思います。飛行機の上で、お酒を飲むのは嫌いな方ではないのですが、生産性が圧倒的に落ちてしまうので、大きなトレードオフとなります。日本に行く場合等は、時差調整をかねる意味でもお酒を飲んで寝たり、あれこれ考えたりもするのですが、今回はお酒は一切飲みませんでした。(今は、日本ではないのですが、住んでいるところとかなり時差があります。

話が大きく横道にそれてしまいすみません。このコメント分は後で、追加のコメントを加えた上で、別のエントリーにしようかと思っています。

春休みの旅行 

16日から23日まで、春休みの旅行中です。その間もブログ更新をする予定ですが、不定期となる予想です。また、旅行先のネットの接続状況等、事情によっては更新できない場合もございます。ご了解下さいます様、よろしくお願い致します。

"Ask Warren" CNBC バフェット インタビュー (1-3)  

(日本時間の14日の午後3時前頃に本エントリーの後半部分(線で区切られている下の部分)を追加しました。)


"Ask Warren" CNBC バフェット インタビュー (1-2)からの続き

Quick:でも、これは、あなたが想像されていたことでも、最悪のケースのシナリオですよね。何が、間違っていたのでしょうか?なぜ、我々は最悪のケースのシナリオに陥ってしまったのでしょうか?

Buffett: そうですね。我々は元々間違った方向に進んでしまっていたのです。なぜなら、我々は全ての人が信じてしまっていたこと、私も、政府も、住宅ローン供給ベンダーも、その借り手も、メディアもそう信じていた事、全ての人が家の価格は上がり続ける---または、最低でも大きく下がる事はありえない、と考えていた事です。そして、一旦人がその様なことを信じてしまうと、それは、国内中に広がります。

(コメント:この点については、日本のバブルがまさにそうでした。日本の場合は、家ではなく、土地でしたが、基本的には同じだと思います。)

あなたが貸している家で何があっても別に問題はありません。もしも、借り手が払えなければ、あなたは家を売って利益を得るだけです。または、大損をする様なことはないでしょう。ですから、借りている人々の収入が本当のところいくらであるのかは重要ではなくなった。なぜなら、家自体の価格はあがるはずだから。このセオリーの元に11兆ドルの住宅ローンの負債が組まれたのです。そして、それ(セオリー)が崩れた時、そしてピークで22兆ドルになっていたかもしれない家の価値は4または5兆ドル少なくなった。それは、人々の資産から非常に巨大な額が失われました。家は、ほとんどの人にとって最も大きな資産です。そして、次にそれを元に作られたこれらの投資商品、人々が理解できないもの、は価値が様々な意味でひっくり返り、そして他のものへと波及して行きました。、それは、皆さんご存知の、ある子供が「王様は服を着ていない(裸だ)」と言った様な事です。そして、彼がそのことを言った後で、その子供が「しかも、王様は下着もつけていない」と言った様なものです。ご存知の通り、様々な層がかかわり合って、そして関わり続けているのです。人々が恐怖を憶えた時、彼らは購買の習慣を変えます。彼らがたくさんのものを買うのをあきらめた時、人々は(物を買うのを)やめます。我々は、非常にたちの悪いネガティブ・フィードバック・サイクルにいます。それはいつか終わります。しかし、お分かりの様に、私はこれを映画の最後の台詞にしたくありません。私のアニュアル・レポートの最後の台詞(行)は、アメリカの最良の日はこの先にある、です。そして、我々は、なぜそうなのかについて、話す事ができます。でも、それが最後の(結局の)答えです。

しかし、どれだけ早くそこにたどり着けるのかは、賢明な政府の政策だけではなく、どの程度適切にそれが伝えられるのかに大きく依存します。人々は、もしあなたがパールハーバーを所有していたとして、12月8日に、どの様なことが起ころうとも対処する様に国が団結することを知っていなければなりません。(注:ご存知の方も多いかと思いますが、12月8日は、パールハーバー襲撃後、米議会が日本に対して宣戦布告を承認した日です。)

そして、我々はつまらないことで少し言い争っています。そうでなければ、我々はそれらのことは脇に置いておいて、全員で防御の計画を立てます、飛行機の製造を開始します、船の製造を開始します、それらは明日に用意ができなくても、人々は参加します。軍隊は、パールハーバーにあまりにも多くの船を配属しすぎた、その様な事は起こるべきでなかった、と海軍を非難したりしません。軍隊は、「それはあなたの失敗です。だから我々は我々の兵士を送りません。」等とは言いません。その様な事は決してありません。我々は団結すべきです。そして、今、それが本当に必要です。

(コメント:日本人としては、真珠湾攻撃の話の例は、ちょっと抵抗感がありますが、主旨としては、問題に対して、誰か、あるいは会社、組織、(政府の)部署を批判するのではなく、一致団結して、この問題に対処すべきだと言う事だと思います。現実には、共和党は民主党との対決姿勢を強めていたり、この問題がなぜ発生したのか、誰のせいだ、と言った論議が少なからずあるので、それらに対し、バフェットさんはコメントしているのだと思います。)

Quick: その様にはなっていないとお考えなのですか?現在、十分に団結していない、とのことですか?


(日本時間の14日の午後3時前頃に以下を追加しました。)

Buffett: はい。私は―私はなぜだか分かります。なぜかと言うと、経済的に言ってパールハーバー自体として、何が起こって、どの位の艦船が失われた、そしてそれらの全てについて、人々は何をすべきだったのか、全権を掌握し、命令を下すリーダーが誰なのか明白で、その人に対して誰が伝えるべきだったのかを知っています。そして、12月8日に議会で聴聞会が始まる等と言う事はありません。ご存知の通り、聴聞会は何週間もかかり、その間に、軍隊ともろもろの人々は、様々な方法でさらし者にされ、あるいはなじられ、または、なぜこの様な事が起きる事を防げなかったのかについて等々、そして、共和党の人達は、「あなた方民主党員達は、1933年から参加していて、全てはあなた方の間違えです」と言ったりはしません。今言った様なことは一切ありません。つまり、人々は、「我々はその事をやり遂げなければならない。」 そして、彼らは彼らのリーダーが行う事を信じ、党派色の強い事柄については脇に置いておいて、ついてながら言うと、我々、全ての人が戦争に勝つと感じていました。最初の6ケ月間、フィリピンのコレヒドール島が陥落し、ルソン島で戦死者が出てきて、とんでもない様々な問題、悪いニュースがあったとしても、それでも、一緒になって、リーダーに従えば、何とかうまくやり抜ける事をわかっています。

(注:昨年から、かなりの頻度で、様々な関係者が議会に呼ばれ聴聞会が行われています。その場で、議員達から辛辣な質問を受けている事について、ちょっと皮肉を込めて例えていると思います。また、オバマ大統領の景気刺激策に対しても、共和党議員が反発、批判を強めている事にたいしても、その様な状況ではない、と言う事を暗に示唆しています。対立点等はひとまず脇において、大統領の元に皆で一丸になって取り組めば、かならず問題は解決し、結果的にうまく行く、と言う意見だと思います。)

Quick: 我々は、本日の朝、解決策についてお話しする時間をたくさん取ろうと思います。しかし、経済について、あなたは今の状態からどの様になるとお考えですか?何がベストケースのシナリオで、何がワーストケースのシナリオですか?

Buffett: そうですね。10セントで、状況が好転する事はありません。そんなことは起こりません。つまり、多くの事柄はその様なことです。60万人を超える人が先月失業しました。そのことは、それら60万の人が悪い影響を被るだけでなく、それ以外の全ての人に影響を及ぼします。彼らは、職を失う事を恐れます。この国において、失業を恐れている人の割合は、職を失う実際の数よりもはるかに多くなります。そして、今までとは全く異なった振る舞いをしています。Costcoまたはウォールマート(両方とも安売りの大手で有名)ですら宝飾品売り場は大幅に落ち込んでいます。しかしそれ以外の売り場は順調です。

(注:今週の発表されたニュースで、2月のウォールマートの販売は非常に良かったとの事です。特に、キッチン・カウンター用品(トースターとかジューサー・ミキサー等、調理器具のこと)の販売が好調だった様です。これは、消費者が外食を減らし、自宅でもっと料理を作る様になった事の表れだとの、市場の認識です。)

人々はお金を節約し始めました。何年もの間、我々は彼らにお金を節約する様に言っていました。そして今、かれらは節約しています。それが、2重の魔法です。それで、我々はこの偉大なエコノミック・マシーン(注:米国経済機構の事、通常非常にうまく機能している)が世界が今まで見た事のない、異音を発して支障をきたし出し、そして、我々は、「ちょっとスピードをゆっくりにして、様子を見ましょう。」と言ったのです。そして、その異音は更に大きくなっています。そのマシーンをゆっくり動かせば動かす程、さらに異音・不具合を生じると言う、相互作用を我々が認識していないからかもしれません。ですから、やることは、それをもう一度動かす事です。それは、すぐには起こりません。ベッキー、つまり、失業は実質的な回復より遅れます。

Quick: 既に失業率は8%になっています。この先どちらに向かうとお考えですか?

Buffett: (具体的な)数字を示す事は私にはできません。なぜなら、率直に言って、それは、政府の政策がどの程度賢明な(適切な)ものなのかによるからです。失業率は更に高くなる事でしょう。恐らく、相当高い所まで行くでしょう。しかし、一方で今から5年後、そのマシーン(米国の経済機構・システム)は正常に機能している事でしょう。しかし、私は5年よりももっと早く、その様になってほしいと思います。我々はそれができます。

(注:バフェットさんは、5年後には問題は解決して、経済は正常に機能するだろうと見ている様です。つまり、日本のバブル崩壊後、10年以上経済が立ち直らずに停滞するシナリオは考えていない様です。もっと早く正常に機能させる事が可能だと言うのが、バフェットさんのメッセージだと思います。)

Quick: Joe (Kernen), ここであなたも加わって、何かおっしゃりたい事はありますか?

Kernen: バフェットさん、今、あなたがおっしゃった事は興味深い事です。我々の政策が賢明な(適切な)ものであるかによるとおっしゃいました。戦時中は、全ての人は、司令官と長官の元に集まるべきと言う事は分かります。しかし、現在の状況から脱出するために行うべき賢明な政策について、明らかに意見の相違があります。今、その“忠義な反対(陣営)”は、大統領を支えようとしようとしています。しかし、もし、間違った考えの政策が、もしもこの危機のために、今の時点で大急ぎで法制化されてしまうと思ったら、それは、忠義のある反対陣営の努めとして、どの様に考えているかを言うべきだと思うのですが。どうでしょう?

(注:Kernen氏は共和党支持だと思います。実際、共和党議員の間では、オバマ大統領の進める景気刺激策に対しては、強い反対意見を示しています。)

Buffett: それはその通りだと思います。ジョー、もし、あなたが戦場にいて、我々が本当に経済戦争の状況下にいる場合、少数陣営(意見)に対してたきつけたり(反発をあおる様な事)しない様にふるまう事が、多数陣営(意見)の義務です。もしも12月8日に、あるいは、7日かもしれません、ルーズベルトが、開戦についての投票を行うために議会を招集した時、彼は、「私のお気に入りの約10のプロジェクトを投入します。」等とは言いません。1941年の会戦の宣言に議会の人に8000の耳標を付けさせたりしません。

ですから、私は、少数陣営は、戦う上で大きな方法として明らかに作成された事柄については、支持する義務が本当にあると思います。6月5日または6月1日かもしれませんが、D-Day(注:Depression)の前に聴聞会を行ったり、戦力をどこに投下するのか、どんな天候ですべきなのか、何人の兵士を投下するのか、等全ての事について、533人に彼らの意見述べさせたりすべきではない、と思います。6月6日の後、「1マイル北に投下していれば、、、」と言われたりする別の聴聞会を行うべきではありません。

Kernen: それはそうです。しかし、問題を解決できないかもしれない、、、

Buffett: しかし、私は、、、

Kernen: ウォーレン、D-Dayの後に、グローバル・ウォーミングを解決できていないかもしれないです。

Buffett: 完全にその通りです。共和党陣営は、これが経済戦争であるとみなす、指導者は一人であるべきと認識する、そしてそのことを支持する義務があると思います。私はオバマ氏に投票しました。そして私は彼を強力に支持しています。私は彼が適切な人物であると思っています。しかし、民主党陣営は、この重要な疑問について一致を求めて、それを使って、共和党陣営を押しつぶすべきではないと思います。

Kernen: ふむ。

Buffett: 多くの事ですべき事は、第一の仕事は、経済戦争に勝つ事だと思います。第2は、経済戦争に勝つ事、そして、第3、。多くの事を全て彼らののどに詰め込もうとしたら、人々はあなたの元に結束することにはならないでしょう。ですから、私は、この問題が解決するまでのしばらくの間(当面、一時的に)、ご存知の通り異論のある多くの事柄について押し進めなるべきでない、と絶対に思います。そして、同様に何かについて指を指したり(非難の矛先を向ける)すべきでない。ご存知の通り、’George’--一つ前の大統領陣営が我々をこの様なところに陥れたなどと言ったりすべきでありません。忘れるべきです。ご存知の通り、海軍は真珠湾で失敗をした、あまりにも多くの船をそこにおいていた。しかし、海軍に対して非難の矛先を向ける事について考えてみれば、海軍が必要である事を認識します。ですから、私は、指を指したりしない、復讐をしない、その様なことは何もしない。ただ、前を見るだけです。



これで、"Ask Warren”の第1弾は終わりです。長いインタビューなので、一旦ここで休止します。正直、口語的な表現で重複した言い回しや、分かり辛い喩えもあり、訳するのに困った部分もありました。また、真珠湾の喩えは、日本人としてはちょっと、抵抗感をおぼえてしまいます。

しかし、バフェットさんのポイントは、この問題に対して、一致団結すべきだ、と言う事を強調していることだと思います。確かに、昨年から、米国内では、なぜ、この様な酷い状況になったのか、誰のせいだ、と言う論議・指摘が盛んに行われています。また、議会にグリーンスパン議長や、破綻したBear Stearns, Lehman Brothersのトップ、主要ヘッジファンドのトップ、SECのトップ、等を召還し、聴聞会が盛んに開かれていました。個人的には興味深いものも多々ありましたし、失敗を繰り返さないためにも原因の究明や調査を進める事に対しては賛成の意見です。尚、この聴聞会自体も、一般に公開されていて、ビデオも見れる様になっています。機会があれば、いくつか取り上げたいと思っているものもあります。バフェットさんのポイントは、もしかするとこの聴聞会の方ではなく、今年に入ってからのスティミュラス•パッケージを巡るやり取りの方に焦点を当てている様な気がしますが、"No finger point"と言う点を強調しているので、聴聞会の件も含まれていると解釈しています。

今週のJPMorgan Chase CEO Jamie Dimon氏もオバマ氏の元に、業界は一致団結し、大統領を支えるべきだとのスピーチがありました。議会、市場、業界等の動きとしては、バフェットさんが提言している様に、ここにきて米国が一致団結して、オバマ大統領の元でこの問題に取り組むべきとの動きが出てきている様に思えます。最近の市場関係者の発言や動きを見ていると、ここでのバフェットの話と不思議と結びつくところがあり、面白く感じました。

この後は、バフェットの手紙のエントリーを再開する予定です。

"Ask Warren" CNBC バフェット インタビュー (1-2) 

昨日のエントリーの続きです。Kernen氏が割り込みをやめ、ベッキーに話を続けて進める様に即したところから、の話です。


Quick: 了解しました。ウォーレン、これからもこの合併とそれがどの様な事を意味するのかについてさらに話をしましょう。あなたは、この合併の結果により、それ以外の案件についても起きてくるだろうとお考えですか?

Buffett: ええ、全てのディール(取引)は、それ以外の取引を引き起こします(誘発します)。私が言いたい事は、

Quick: はい。

Buffett: 業界内の人にとって特にそうです。もしも、コカ・コーラがどこかを買収したとしたら、ペプシは同じ分野で何かないか考えると思います。

Quick: なるほど。

Buffett: 私は取締役会の席上でそういった話をたくさん聞いています。多くの、全てのCEOは、“他の子達はみんなそれをしている”的な傾向が多少なりともあります。

Quick: わかりました。我々は、後でもっとこのことについて話をしようと思います。でも、取りあえず、経済の状況について話をもどしましょう。

Buffett: わかりました。

Quick: いつものことですが、一般的に言って、今の状況をどう思われますか?あなたが経済の状況はいかにぼろぼろだったか、そして当分はそのままだろう、と先週話した時、多くの人を怯えさせました。

(注:これは、先週公開されたバフェットさんの手紙の中で、最初のセクションの後半で” We’re certain, for example, that the economy will be in shambles throughout 2009 – and, for that matter, probably well beyond – but that conclusion does not tell us whether the stock market will rise or fall.”と書かれた部分の太字にしてあるところが、メディアで大きく取り上げられた事を指していると思います。例として、先週のReutersとmsnbcのヘッドラインと記事のリンクを以下に添付します。“shamble”はよろめく、と言った意味です。

Berkshire net sinks; Buffett says economy in shambles (reuters)

Buffett: Economy will remain in 'shambles' (mscnbc)
Annual letter to shareholders says crisis has led to 'paralyzing fear'

この冒頭のセクションの邦訳はこちらのエントリーです。

注釈終了)

Buffett: そうですね。経済(景気)は、9月に話をした時、我々はエコノミック・パールハーバーのであると言う話をしました。そして、それがどの様に、ファイナンシャルの世界で起きていて、そのことが急速に現実の世界(実際の生活レベル)へ移ってきていると言う話をしました。それは、崖から転げ落ちる様なものです。そして、経済が急速に停滞するだけでなく、人々がかつて見たことがない位、実際に彼らの生活様式・習慣を変えてきています。

(注:ここで原文では、”It’s fallen off a cliff, and not only has the economy slowed down a lot, people have really changed their behavior like nothing I’ve ever seen.”と言っているのですが、この部分を大きく取り上げたメディアが多くありました。
例:Warren Buffett Says Economy Has ‘Fallen Off a Cliff’ (Bloomberg)

例2:Warren Buffett says economy fell off a cliff (Business Week)

注終了)

贅沢な品物やその様な類いのものは、(売れ行き・消費が)動きが止まり、そしてそのため、ご存知の様にWalmartの事業は好調です。(注:Walmartは低価格の商品を提供する大型スーパーの様なものです。)好調でないところについては特にここでは名前を挙げません。

しかし、人々の考え方にリセットがかけられています。そして、Geicoの様に(注: バークシャーの系列の保険会社。外交員を使わず、低価格の保険を提供するのが売り文句。)、我々がGeicoの保険を使えばお金をセーブできると何年も言い続けていて、そして何年もの間、ある一定の数の人達は、「私は、Rotary Joeと言う長い付き合いのある知り合いがいて、その人を通じて100ドルで保険をかけている。なぜ、変える必要があるのですか?」と言い続けています。毎週、我々は保険の契約が締結されるのを見ています。さらに多くの人が電話をかけてきています。我々の(提供する保険との)価格差は大きくなっている訳ではありません。我々の広告も以前と大きく変わりはありません。しかし、アメリカの社会は、購買動向・習慣は本当に変わりました。

(注:好調な低価格の保険事業とは)逆に、我々の宝石店は、この様な期間で息の根を止められかかっています。そして、ハイエンドが最も打撃を受け、次の打撃を受けるのはその次に裕福な層、そして、低所得の人はそれ程生活様式、習慣に打撃は受けていません。

Quick: 何が起きているのですか? ちょっと前にあなたが我々におっしゃったこと、これは経済のパールハーバーだと6ケ月前に言いました。しかし、これは、あなたが予想していたよりも早く、あるいは、もっと酷かったのでしょうか?

Buffett: 確かにワーストケースに近い状態になりました。私が言いたい事は、誰もこれから何が起こるか知りません。しかし、私は実際に起こった事よりも更にもっと悪い状態にならないとは考えていませんでした。(注:原文で何重にも否定している、否定否定構文みたいな表現なのですが、要は、予想していた考えうる最悪のシナリオにはなっていない、と言った様な意味です。)しかしながら、私は、Fedが9月に起きた事態に対して対処した事は、、、

Quick: それで、どうなのですか?

Buffett: 引き続き(注:金融・クレジットシステムが)機能する上で必要不可欠なことをしたと思います。私のポイントは、もし、彼らがマネーマーケットやコマーシャル・ペーパーの保証をしなかったとしたら、本日の朝にあなたと私はマクドナルドで会っていた事でしょう。

Quick: そうはならなかった。

Buffett: そうです。その通り。

Quick: もし、既に消費者がその様に(生活様式・習慣を質素に変えて)していたのであれば、なぜそんなに怯えたのでしょうか?

Buffett: そうですね、、、

Quick: 恐怖心は、強い言葉が嫌いです。

Buffett: そうです。彼らは、怯えさせられました。そして、恐怖はとても広がりやすいです(伝染します)。

Quick: そうですね。

Buffett: そして、私は消費者、あるいはアメリカ人が、一般的に言って、今回のことよりも恐怖を覚えた事を見た事がありません。さらに、彼らは、混乱させられています。ですから、直にに恐怖を覚えます。しかし、ご存知の通り自信は、5分間の様な短い時間で、すぐに得ることはできません。5分間で恐怖を覚える事はできます。しかし、自信を得るためには時間がかかります。政府は、(自信を)取り戻すために非常に多くの事柄に対処しなければなりません。そして、あなたが混乱し、恐怖を憶えていたとしたら、混乱が収まらない限り恐怖を克服する事はできません。言いたい事は、政府がしなければいけないこと、メッセージは、非常に明快です。そして、我々が今抱えてきている事は、ある意味政治の過程で自然な事、しかし、我々はごたまぜなメッセージを受けています。そして、アメリカの社会は、何が起きているのか分からないと感じていて、その対応も分からない、ですから、完全に身を引いてしまっています。

(コメント:ここは表現が多少分かりにくい部分もありますが、非常に的を得た、興味深い意見だと思います。)

Quick: それで、様々な異なる指針(方向性)を示す事を指摘する多くの非難が起きているわけですね。しかし、あなたは、ワシントンからのメッセージが混乱しているとおっしゃっています、あるいは、

Buffett: そうですね。それは自然な事だと思います。

Quick: はい。

Buffett: 私が言いたい事は、人々は553人のメンバーがいる議会で、それぞれが、自分達がしていることの見方を示し、全てがその様な事です、そして、大統領が替わり、人々が理解できない様な事に対処しているのです。SIVと言う言葉あるいはその様なものを初めて導入した時、あるいは、credit default swap(CDS)について話をした時、それを(一般)社会の人々が聞いた時、彼らは、何かが間違っていると思ったり、それらの事柄に理解する事はできません。(注:SIVは  Structured Investment Vehicleの事だと思います。)



ここで、再び一旦終了します。後半のくだりですが、オバマ大統領は当初はこの問題は非常に深刻でそんなに簡単には解決しないと明言していましたが、最近はその様な慎重な発言に関してはできるだけふれずに、ポジティブな面、米国は良い方向に向かっていて、未来は明るい、と言った点を強調する様に発言のポイントをシフトしてきている様に感じます。(言っている主旨を変えている訳ではなく、話すポイントやトーンをシフトしている。)

議会自体の対応や議論を聞いたり、記事を読んでも確かに混乱が生じているのは明らかです。混乱が収まらない限り、人々の恐怖、不安が和らがない、と言うのは的を得ていると思いました。

続きは明日エントリーする予定です。

今日の米国市場 

今日の米国市場は大幅な上昇となりました。従来、このブログで取り上げていました”今日の米国市場”は、新しいブログの方に移行しております。

尚、本日米国時間3月10日(日本より日付としては一日遅い)の市場情報をエントリーしております。ご興味のある方は、こちらからアクセスして下さい。

"Ask Warren" CNBC ウォーレン・バフェット インタビュー 

バフェットからの手紙の邦訳のシリーズをしている途中ですが、本日3月9日の早朝にCNBCのSquawk Boxの特番で”Ask Warren”と言うタイトルの、3時間のインタビューが放送されました。この”Ask Warren”については、CNBCで、先週頃から視聴者からの質問を募集するとさかんに前予告を行っていました。景気の減速が顕著となり、市場心理が急速に悪化、株式市場が大幅に下落してきている中、非常に注目を集めた様です。このインタビューでの発言の一部もメディアで大きく取り上げ、本日の市場への影響も少なからずあった様に思います。CNBCのビデオとインタビューのトランスクリプトがあるURL、関連記事のヘッドラインの例とそのリンクを以下に添付します。

TRANSCRIPT & VIDEO: Ask Warren Buffett on CNBC's Squawk Box - Part 1

Wells Fargo shares boosted by Buffett

Buffett says economy fell off cliff

このインタビューは非常に長く、当ブログでどの様に扱うか迷いましたが、内容を抜粋するのは、主要なメディアが行っており、自分としては、部分的に扱うよりも、インタビュー全体の雰囲気、その中で上に記した様に部分的に大きく取り上げられているバフェット氏の発言がどの様な前後の会話から行われているのかを、取り上げたいと思っています。そのため、基本的には当該CNBCのインタビューのトランスクリプトの全てを邦訳しようと考えています。

まずは皆さん、是非、ビデオを見て下さい。バフェットさん、ちょっとのどの調子が悪そうです。たまに掠れ声気味になること、傾向は以前からありましたが、今日ののどの具合はいつもと比べても悪い様に思います。結構いい年になってきているので、お体の具合が心配です。体調や健康管理に関しては、本人が十二分に分かっているので私がとやかく言う問題では、ないと思いますが、、、

前置きが長くなってしまいました。すみません。それでは、”Ask Warren” CNBC インタビューの第1段を以下に記します。多少なりとも急いで訳しているので、誤字脱字、乱文となる部分があるかもしれません。ご容赦下さいます様、よろしくお願い致します。

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Beck Quick: 皆さん、おはようございます。CNBC Squawk Boxへようこそ。ベッキー・クイックです。Joe Kerneと一緒です。Carlは本日お休みです、でも、Joe、我々はとても特別なお客を本日の朝お迎えしております。Warren Buffettです。彼は、本日我々とこの先3時間一緒にこちらに一緒にいて下さいます。我々は、この時間を過ごす事に大変興奮しています。我々は、ネブラスカ・ファニチャー・マートにいます。ウォーレン、あなをお迎えする事ができ大変光栄に思います。本日の朝、我々の番組に参加して下さいましてありがとうございます。
(注:ネブラスカ・ファニチャー・マートは、バークシャーの傘下の企業の一つです。

Warren Buffett: 私も、“時間”を除いては、全て楽しんでいます。

Quick: “時間を除いて”、そして、いつもより早く起きて下さいました事に感謝いたします。オマハは今朝の5時である事を指摘しておくべきでした。ご出演下さりありがとうございます。

Buffett: どうも。

Becky: 我々はこれから3時間あなたと一緒に過ごします。まず第一に3時間はとても長い様に思われます。しかし、経済の現在の状況やもろもろの事を考えると、3時間では十分な時間ではないかもしれません。ですので、あらためて、本日我々と一緒にお時間を割いて下さいます事に、感謝致します。

Buffett: こちらこそ、ありがとう。

Quick: Warren,それでは、単刀直入に経済についての話から始める事でいかがでしょう?なぜなら、それが人々が今気にしている事だからです。何が起こっているのでしょう?我々は、とても心配していると言った声を多くの人から常に聞きます。率直に言って、とてもおびえている様な状況です。

Buffett: ええ、我々が9月に話をした時はそうですね。

(コメント:ここで、本局のJoe Kernenの方から割り込みが入ります。)

Joe Kernen: Warren、ちょっと待って下さい。

Buffett: なんですか?

Kernen: 話に割り込んでしまい、すみません。ウォーレン、MerckとSchering-Ploughが合併する事になりました。

Quick: わあ

Buffett: ふーん

Quick: 了解しました。

Kernen: ごめんなさい。

Quick: MerckとSchering-Ploughの合併について。今朝、我々はあなたとこの件について既に十分に話をしたと思いますが、ウォーレン、それではいくつかのニュースについてから始めましょうか?

Kernen: 私は、オラクル(賢者、注:ご存知の方も多いと思いますが、バフェット氏は、”Oracle of Omaha”または”the Sage of Omaha”とも呼ばれたりしています。)に対してこの様に割り込みをすることを考えてはいませんでした。しかし、すみません。株式と現金の取引きで、会社がMerckの名前で一緒になる合併案を取締役会は、満場一致で承認しました。Schering-Ploughの株主は、Schering-Ploughの一株につき、Merckの0.5767株と現金で10ドル50セントを受けとります。明白な事ですが、Merckの株は、合併した会社の株となります。CEO兼会長のRichard Clarkが合併後の会社をリードします。これは、このことは、本日月曜日朝6時ちょうどの衝撃的な本当に素晴らしいニュースだと思います。

(原文:This is a real block buster and right at 6 AM on a Monday. Blockbusterのままの方が意味としては直接伝わる気もしましたが、衝撃的な素晴らしいニュースとしました。)

そして、ウォーレン、私はあなたがおっしゃることは想像がつきますが、これは、アニマル・スピリッツになるかもと、、、ご存知の通り、これで全ての問題が解決する訳ではない、しかし、米国のビジネス(の可能性、将来、強さ)を確かに裏付けるものです。そして、M&Aは同様に生きていると言う事です。

(注:Kernen氏は、今朝のMerckのSchering-Ploughの買収合併のニュースに非常に興奮しており、この新たな大型買収合併のニュースが市場の流れを変えるのではと、期待しているのだと思われます。ここで彼が期待を込めて言っている、アニマル・スピリッツは、ケインズのやつです。一般に大型の買収合併等のニュースは、市場に大きなプラスの影響をもたらしますが、本日の市場に対しては、午前中に多少なりともプラスの要素がありましたが、すぐに立ち消えてしまいました。)

Buffett: そうですね。アニマルスピリッツは常に市場に存在します。たった一つの質問は、アニマルスピリッツを生み出す様なアイディアを成し遂げる程のファンドを誰がもっているか?と言う事です。しかし、特に製薬企業は、一般に良いバランス・シートを持っています。ですから、彼らは取引を行なうことができるのです。

(注:Kernen氏と比べ、バフェット氏はいたって冷静に答える)

Kernen: 私は、、、

Quick: しかし、この規模の取引案件が今の状況下で起きることに驚きませんでしたか?

(注:Beckyは割と良いフォローをしていると思います。)

Buffett: ええ、私は、今の様な状況下でこの様な規模の案件であればなんでも、確かに驚きますね。それは、事実です。ほとんどの他の業界の企業では、案件を成立させる事は難しいでしょう。

Kernen: あなた方、、、

Quick: Joe? (何ですか?)

Kernen: Schering-=Ploughの(先週金曜日の)終値は、$17.63です。この取引は、Schering-Ploughにとって、現在の価値で$23.61で、総額411億ドルです。Vioxxのもめている件についておっしゃりたいと想像していますが、その件については今はお休みさせておいて(ひとまずおいておいて)、彼らが、Schering-Ploughを気分良く410億ドルで買収させてあげる。しかし、、、

Buffett: はい。

Kernen: これは、喜ばしい、喜ばしい動きです。そして、ウォーレン、あなたは、いろいろなとこで、外国の製薬会社を所有、部分所有してますよね。そして、いくつかの国内の企業に関しても同様に株式をお持ちですよね。製薬会社は、常にあなたのお好みの一つです。

Buffett: しかし、我々はScheringに関しては少しも所有していません。ですから、私の顔から流れ落ちる涙をご覧になれるでしょう。(注:もちろん、泣いていません。)

Quick: Merckに関しては?Merckもお持ちでないのですか?

Buffett: いいえ。Merckも少しもありません。

Quick: ご自身の個人の口座でもないのですか?

Buffett: いいえ。

Quick: 分かりました。何が、、、

Kernen: あなたの所有するところで最も大きいものはどこですか?あなたはいくつかお持ちのはずです。ウォーレン、あなたの所有する外国の製薬会社はどこですか?

Buffett: Sanofiと一番大きいのは、Sanofi-Aventis、そして国内では、J&Jを持っています。

Kernen: 分かりました。OKです。Beck. (それでは、ベッキー(進めて下さい))




ここで、ひとまず切ります。正直なところ、インタビューの冒頭にKernen氏が突然割り込んできて、自分の意見を主張して、私としては非常にうっとおしく感じたセクションでした。ただ、Kernen氏の気持ちも分からなくはありませんが、、、私としては、バフェットさんにもっといろいろ話してもらいたいと思い、ビデオを見ていて不快でした。ただ、こうやってトランスクリプトを訳していて、面白く感じたのは、この大型の買収案件のニュースで市場の流れをかえるのでは、と期待し興奮しているKernen氏に対してバフェットさんはいたって冷静に反応しているところです。(いつものことではありますが)

通常の市場環境であれば、確かにこの様なプレミアムが伴う大型案件は市場を活性化し、上昇へと導きますが、本日の市場は反応はあまりありませんでした。このことも、今の市場心理を良く表していると思います。今日の市場に関しては、US マーケット・ウォッチにもう少し詳しく書いておりますので、よろしければご覧になって下さい。

この後、Kernen氏はいなくなり、Beckyとバフェットさんで合併買収案件に関する話を少しして一旦その件は終わりにし、経済の話、その他の話へと移って行きます。ここからやっと、もっと興味深い話になってくると思います。続きは明日投稿予定です。

バフェットからの手紙 (4) - 2008年版  

(日本時間3月7日午後3時前に、後半部分(************)を追加しています。)

Regulated Utility Business (規制ユーティリティ事業)

(注:ここでの、ユーティリティは、日々の生活を営む上で密接な関わりがある電気、水道、ガス、電話等を意味します。ユーティリティの事業は、通常、私企業が行いますが、公共性が高いため、様々な法律面での規制があります。そのため、’regulated’を使っていると認識しています。尚、一般的に、規制されていない場合、特にそれを強調する場合は、unregulatedを使用します。)

バークシャは、広範に渡る様々なユーティリティ事業を所有するMidAmerican Energy Holdingsの87.4%(希薄後)を保有しています。保有するユーティリティ事業で、最も大きなものは、(1) イギリスで3番目に大きい電気の供給業者で、380万のエンドユーザーを抱えるYorkshire Electricity and Northern Electric; (2) アイオワ州を主に72万3千の顧客に電気を供給するMidAmerican Energy; (3) 西部6州で170万の顧客に電気を供給するPacific Power and Rocky Mountain Power; (4) 全米で消費される天然ガスの約9%を運ぶ(取り扱う)Kern River and Northern Natural pipelinesです。

我々のMidAmericanの保有のパートナーは、二人の素晴らしい経営者達Dave SokolとGreg Abel、そして私の昔からの友人のWalter Scottです。どちらのパーティーがいくつの議決権を持つかは重要なことではありません。我々が大きな行動(決断)を取るときは、全員がそのことが賢明であると考えた場合のみです。Dave, GregそしてWalterと一緒に仕事をした9年間は、バークシャーはこれ以上良いパートナーをえることはできない、と言う私の元々の信念をさらに強めることとなっています。

ちょっと不釣り合いな(つじつまが合わない)事なのですが、MidAmericanは、全米で第2位の不動産会社を所有しています。この会社は、16000人のエージェントを抱え21の地域のブランド名の会社で運営されています。昨年は、住宅販売にとって酷い年でした。そして、2009年もとても良くなる様には思えません。しかし、我々は質の高い仲介事業(社)が適切な価格で提供されるのであれば、引き続き買収をしていきます。

MidAmericanの事業の主な数字は以下の通りです。

2009-brk-table1.png

MidAmericanの規制電気事業と天然ガスパイプラインの事業結果は本当に素晴らしいものです。そのことについて少し補足の説明を致します。

我々の二つのパイプライン、Kern RiverとNorthern Naturalは、両方とも2002年に買収しました。Mastioと言う名の会社が、パイプラインの顧客の満足度のランキングを定期的に行っています。我々が買収した時、レーティングがつけられている44の内、Kern Riverは第9位、Northern Naturalは39位でした。それらは、改善の余地がありました。

Mastioの2009年の報告書で、Ken Riverは第1位、そしてNorthern Naturalは第3位でした。この成績結果に、チャーリと私はこれ以上誇りに思う事はできない位、うれしく思っています。それぞれの事業で働く何百の人々が新しい企業文化に取り組み、そして、彼らの公約を達成した賜物です。

電気事業の成果も同様に素晴らしい結果を達成しています。1995年に、MidAmericanは、アイオワ州において主要な電気供給者となりました。節度のある計画と効率化への熱意により、会社は我々が買収して以来、一度も電気の価格を値上げしていません。そして、現在の価格を2013年まで維持すると公約しています。

MidAmericanは、風力発電の供給能力の割合を全米第1位にしながら、この卓越した価格の安定を維持しています。我々の買収後、MidAmericanの風力発電の施設は、0から全体の発電量のおよそ20%にまで伸びてきています。

同様に、2006年にPacifiCorpを買収した時、我々は積極的に風力発電の拡大を進めました。風力発電量は、当時、3300万ワット(33 megawatts)でした。それが、今は7億9400万(794)です。これからもっと増えます。(PacifiCorpを買収し、我々は異なる意味での“風”をひきおこしました。その会社は、98の委員会があり、頻繁に会議をしていました。今は、それが28です。その間に(無駄を省いて)、我々は、2%少ない従業員数で、更に多くの電力を発電し、供給しています。)

2008年単独で、MidAmericanは、二つの事業所(施設)に対して、18億ドルを風力発電に設備投資しました。そして、今日、会社は規制ユーティリティの風力発電量で、全米で第1位です。ところで、(風力発電のために費やした)18億ドルとPacifiCorp(テーブルで”Western”(西部)で表示)とアイオワの税引き前収入11億ドルを比べて下さい。我々のユーティリティ事業において、我々の供給地域での需要・ニーズを満たすために、我々は、収入を全て使っています。そして、さらに(風力発電供給量を上げるため)投資し(費やし)ています。実は、MidAmericanは2000年初めにバークシャーが買収して以来、配当を支払っていません。配当はせずに収入は、我々の顧客が求め、満足するユーティリティのシステムを開発するために再投資しています。それと引き換えに、我々は巨額の投資に対して適正なリターンを得ることができています。これは、全ての観点で、素晴らしいパートナーシップだと思います。

************

我々の随分前から公言しているゴールは、特に家族により立ち上げられ、所有されている事業の”買収者(側)の選択肢“となる事です。この目的を達成する方法は、そのことに対してふさわしくなることです。これは、我々は約束を必ず守る;レバレッジを重ねて事業を買収する様な事を避ける;並外れた自治権(独自で判断する)を我々の事業経営者(マネージャー)に与える;そして、厚く、薄く買収した企業を保持する事(けれども、我々としては、厚く更に厚い事を好みます。注:所有の比率の事を指していると思います。買収(保有)の比率が高くなることを望むとの意味だと思います。)を意味します。

我々の実績は、我々が言ってきた事と一致しています。(我々は、言ってきた事を実行しています。)しかしながら、我々と競合するほとんどの買収者・企業は異なる道を選択しています。彼らにとって、買収は“商品を売買する事”なのです。彼らの売買契約書のインクが乾く前に、これらの業者は、この先の“エグジット・ストラテジー(出口戦略)”を考えています。そのため、自分達の事業の将来を本当に気にかけている売却者に対しては、我々は決定的なアドバンテージを持っています。

(注:このバークシャーの買収戦略、企業買収に対しても長期保有が決定的な大前提。と言うのは、非常に特徴的です。バフェットさんが述べている様に、これは、通常の企業買収、特にプライベート・エクイティによるものとは、決定的に異なります。)

数年前にさかのぼると、我々の競合は、“レバレッジ・バイアウト業者”として知られていました。(注:確かに数年前までは、LBOと言うことばは非常に一般的でした。)しかし、LBOは悪い名前となってしまいました。そこで、オーウェル流に(注:Orwellian fashion: George Orwell, イギリスの小説家。彼の作品は、自身の社会の不正義に対する懸念が特徴。「動物農場」と「1984年」が代表作品)、買収企業は彼らの名を変える事にしました。しかし、彼らが変更しなかった事は、高額な手数料体系とレバラッジを好む以前からの本質的な業務形態でした。

彼らの新しいラベル(名札)は、”プライベート・エクイティ“となりました。その名は実際には、上と下が逆転しています(注:エクイティ・プライベートで、エクイティを私物化してしまう。と言った意味のバフェットさんらしい皮肉の喩えです。);これらの企業による事業・会社の買収は、ほとんど常に、以前存在していたものと比較して、取得先(買収される側)の資本構造の価値の部分において劇的な削減を招く結果となります。わずか2年か3年前に買収された多くのこれらの買収された企業は、現在、プライベート・エクイティ買収者による彼ら(買収された側)への積み上げられた借金のため、致死的な危険に立たされています。ほとんどの銀行からの借金(債券)は、1ドル当たり70セントを下回る価格で売られています。そして、彼らの通常の負債は、さらに大幅に買いたたかれています。特筆すべき事として、プライベート・エクイティの企業は、彼らの買収した企業が大至急必要だと必死になって求めている資本注入に対して急いでいません。それどころか、彼らは彼らの残っているファンドを自分たちだけのために持ち続けています。(注:一般的に分かりやすい例としては、Chryslerを買収したCerberus Capitalだと思います。まあ、これはある意味極端な例だと思いますが、、、)

規制ユーティリティの市場では、家族経営(所有)の事業はありません。ですから、バークシャーは、規制者(行政)にとっての”買収者(側)の選択肢“となることを望んでいます。取り引きが提案された場合に、買収側のフィットネス(適格、適合性)を判断するのは、売られる株主ではなく、彼ら(規制者・行政)です。

これらの規制者を前にして、過去を隠す事はありません(できません。必要はありません)。彼らは、相応の資本を提供する意思を含め、全ての点でどの様に振る舞っている(行動・運営している)のか、運営する別の州の相方に対して電話をして聞く–する-ことができるのです。

2005年にMidAmericanがPacifiCorpの買収を提案した時、新しい6つの州の行政は、我々がどの様にサービスを提供するのか、直ちにアイオワ州の記録を調べました。彼らは、同様に我々の資金計画と能力についても注意深く評価を行いました。我々は、ちょうど将来の案件に受かる事を予期しているのと同様に、この試験に合格しました。

我々の自信には二つの理由があります。第一に、Dave SokolとGreg Abelは、彼らが関わる事業(ビジネス)に対してファースト・クラスの仕方で経営を行います。彼らは、それ以外の運営の方法を知りません。そして、我々はもっと規制ユーティリティを将来買いたいと望んでいる事、それ以上に(それはおいておいたとしても)、我々は、今日運営を行っている場所の所轄における我々のビジネスの振る舞いが、明日の新しい管轄地域から、我々がどの様に歓迎されるのかが決まる事を存じております。




原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

これで、ユーティリティ事業の話は終了です。次の事業のセクションへと話は続きます。

3月5日の米国市場 

米国時間3月5日の米国市場に関連するエントリーを”USマーケット・ウォッチ”にエントリーしています。ご興味のある方は、是非ご覧になって下さい。

バフェットの手紙の続きを書いていたのですが、PCがハングアップしてしまい、今日のエントリー分まるまるを失ってしまいました。今、再度書き直しているところです。こちらの方のエントリーは、早ければ日本時間の本日中(時差があるため、その場合は日本の夕方になります)に行う予定です。

日本時間金曜日午後の追記:再作成中なのですが、本日中にはできそうもありません。申し訳ありませんが、バフェットからの手紙の続きの投稿は明日になります。よろしくお願いします。

ブログ変更のお知らせ 

皆様、

いつもお世話になっております。突然のブログの中断でご迷惑をおかけしました。ここで改めてお詫び申し上げます。また、今回ブログ再開に伴い、ブログの構成について試験的に変更を行わせて頂きたく、ここに報告致します。

皆様ご承知の通り本ブログのタイトルは「戦略的ハイテク株投資」となっておりましたが、投稿する記事に関しては、米国市場情報とウォーレン・バフェット氏の関連の話が中心でした。

投資に関してはハイテク株を中心に行なう。マクロのトレンドを把握する上で米国市場全体についての情報を集める。そして、個人的に尊敬するバフェットさんの関連の話を取り上げブログ読者の方々と共有する。この3つの観点での構成は私個人にとっては整合性があるものの、読者の皆さんに対しては、多少なりとも混乱、特にタイトルと記事との関連性が大きく剥離してる状況でした。

この度、本ブログに関しては、ウォーレン・バフェット氏関連の記事に注力し、従来取り上げていた米国市場の情報に関しては、試験的に新たなブログの方で取り扱わせて頂く様に考えております。つきましては、大変勝手ながら本ブログのタイトルを「ウォーレン・バフェット ウォッチ」に変更させていただきます。また、米国市場の情報に関しては、新しく「US マーケット・ウォッチ」(後記:名前を"Alpha's Market Eye"に変更しました”)と言うブログを開始致します。尚、当該新ブログの方に、本日の米国市場の記事を既に投稿しております。是非、ご覧になってみて下さい。

このブログの構成での試験期間としては、3ケ月程度を見込んでおります。実際にやってみて、うまく行かない場合は、状況に応じて更なる修正、あるいは従来の形態に戻す事も考えております。更新の頻度に関しては、本ブログについては、バフェット氏関連の情報について不定期・適時アップデートすること、関連ブログについても同様に米国市場情報を中心に不定期・適時アップデートする様に計画しております。最後に、今後ブログを中断する様な自体になった場合は、必ずその旨連絡させて頂く事を、ここに確約致します。

至らない面も多々あり、ご迷惑、不都合をおかけするかもしれませんが、今後は極力その様なことが起こらない様努める所存です。何卒、今後ともよろしくお願い申し上げます。

変更についてのご意見等ございましたら、コメント頂ければ幸いです。

バフェットからの手紙(3) - 2008年版  

ヤードスティック(Yardsticks: ものさし、尺度、基準)

バークシャーは、価値基準として二つの大きな分野を持っています。一つは、我々の投資:株式、債券、そして現金に相当するものです。年末の時点で、それらの総額は、1220億ドル(我々のファイナンスとユーティリティの事業が所有する投資を含みません。それらは、次の価値の器の方に割り当てています。)その総額のうち約585億ドルは、我々の保険のフロートによって資金提供されています。

バークシャーの二つ目の価値の構成部分は、投資と保険以外の事業から得られる収入です。これらの収入(収益)は、96ページに項目別に掲載されている、我々の67の非保険(保険以外)の会社からもたらされるものです。我々は、この計算において、 保険での収入を除外しています。 なぜかと言うと、我々の保険事業の価値は、投資可能なファンド(注:フロートの事を意味しています。)が生み出すもので、我々はこの部分を最初の器(バケツ)に含めているためです。

2008年、我々の投資は、バークシャーの一株当たり90,343ドル(小額の利息を引いた後の)から7793ドルに減少しました。減少は、市場価格の下落によるもので、純粋な証券または債券の売却額ではありません。我々の第二の分野の価値は、税引き前の収入で一株当たり4093ドルから3921ドル(こちらも小額の利息を引いたもの)に減少しました。

これらの成績(パフォーマンス)は、両方とも満足できるものではありません。この先長い期間において、バークシャーの本質的な価値(intrinsic value)を容認(納得)できるペースで上昇させるためには、それぞれの分野で十分な(それなりの)利益を得る必要があります。今後に向けても、これまでの何十年間そうであった様に、我々は収益の分野に注力して行きます。我々は、実際の価値以下の値をつけた証券を買いたいです、しかし、適正な価格付けがされた事業(会社)をそれ以上にもっと買いたいです。

(注:バークシャーの投資戦略は、株式等を売買する事よりも、会社等を事業買収したりすることに注力しています。バフェットさんは、ここで改めて、このバークシャーの指針を示していると思います。)

それでは、バークシャーの大きな運営事業部門について見てみましょう。これらのそれぞれは、非常に大きく異なるバランスシートと収益性向を持っています。そのため、通常の決算書のように、それらを全て取りまとめて(一括して)しまうと、分析の妨げとなります。それでは、チャーリーと私が見ているのと同じ様に、4つの異なるビジネスとして、お話し致します。



原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

終わりにバフェットさんがおっしゃっている様に、次のセクションから具体的な事業の結果の話になります。個人的には、注釈を少し入れた部分の、「安い株の購入よりも適正価格の事業を多く買いたい」というところがバークシャーの戦略、取り組み方として明確に示していると思います。

また、この先で詳しく財務状況を話して行きますが、バフェットさんが個々の事業を十分に理解し、分析している事が良くわかります。

尚、ご参考までですが、昨年のヤードスティックの部分と見比べてみるのも、おもしろいと思います。バフェットからの手紙 (2)- 2007年版
上に書いた、バークシャーの戦略、方向性についてももう少し詳しく書いています。軽く述べる程度ですが、結構、意味深いと思います。

バフェットからの手紙(2) - 2008年版  


2008年のバークシャー (Berkshire in 2008)

バークシャーのほとんどの事業の結果は、景気の影響を大きく受け、昨年は彼らの潜在能力(注:本来持っている力、見込み、原文は"Potential")を下回る収益となりました。そして、2009年も同様の結果になることでしょう。我々の小売店(の事業)は、我々の住宅建設に関連する事業と同様に、特に大きな打撃を受けました。しかしながら、全体としては、我々の製造サービスと小売りの事業は、かなりの金額の収益を得ました、そして、それらの多くは - 特に規模の大きいもの - は市場における競争力の位置付けを高め続けています。さらに、我々は好運な事に、我々の最も重要な二つの事業 - 保険とユーティリティのグループ - は景気全般との関連性が低いため、収益を得る事ができました。どちらの事業も、2008年に卓越した結果を提供し、そして素晴らしい将来性を持っています。

昨年のレポートで予測した様に、2007年に我々の保険事業が獲得した素晴らしい債務保証(アンダーライティング)の利益は、2008年に繰り返す事はありませんでした。しかしながら、保険事業グループは、アンダーライティングで6年連続で利益を出しました。。これは、我々の585億ドルの保険の”フロート(float)”-我々の所有ではないが、我々が預かり、そして自社の利益のために運用しているお金-のコストが0以下になることを意味します。実際には、我々は、2008年の間にフロートを保有する事で、28億ドルを得ました。チャーリーと私は、このことを発見して愉快な気持ちになりました。(注:最後の表現は、良かったです。と軽く付帯的に述べているくだりです。原文:Charlie and I find this enjoyable. )

(注:フロートの説明については、昨年の手紙に詳しく書いてあります。よかったら、こちらのエントリーでを参照して下さい。ヤードスティックの最初の方で、”流動資産”との表現で書いてある段落です。)

長い期間の中で、ほとんどの保険業者は、巨額なアンダーライティングの損失を経験します。そのことが彼らの経済状況を我々のものと大きく異ならせることとなります。もちろん、我々もアンダーライティングで、ある年は損失を被る場合もあります。しかし、我々は、保険事業で最高の経営者・マネージャー達で構成されるグループを有しています。そして、彼らは、ほとんどのケースで、価値ある確立されたフランチャイズを管轄しています。私は、アンダーライティングの利益をこの先何年間もあげられるだろうと考えおります。そして、それができることは、我々のフロートのコストはかからないこととなります。バークシャーの基幹ビジネスの保険事業は、利益を生み出す発電所・原動力です。

チャーリーと私は、ユーティリティのビジネスに対しても同様に大変熱心です(期待を持っています)。 本事業は、昨年、収益の記録を更新し、さらに将来の伸張の準備もできています。この事業の経営を行うDave SokolとGreg Abelは、ユーティリティ業界で他に類を見ない(突出した)結果を達成しています。彼らが新しいプロジェクトを起案、持ってくるのが、私は大好きです。なぜなら、資本集約的なビジネスのこれらのベンチャーはたいてい大事業となるからです。その様なプロジェクトは、バークシャーに素晴らしいリターンの大きな金額の出資機会を提供します。

資本配分の点においても、昨年はうまく行きました。バークシャーは常にビジネスと有価証券の買い手です。そして、市場の混乱は我々の買収に追い風を与えてくれました。投資をする時、(市場の)悲観は友達、熱狂・幸福感は敵です。

我々の保険のポートフォリオの中で、通常の市場環境ではありえない条件で3つの巨額の投資を行ないました。これらは、バークシャーの年間の収益に税引き前で約15億ドルの利益を加える事になります。そして、同様に資本の増加の可能性も提供します。我々は、Marmonの買収も完了しました。(我々は、現在、会社の64%を所有しています。そして、残りの株式をこの先6年で買い取ります。)加えて、我々のいくつかの子会社は、競争力の地位向上と収益の強化となる”タック–イン”(tuck-in:ごちそう、tuck in: シャツの裾をズボンやスカートの中に入れること。)買収を行いました。

これらは良いニュースです。しかし、喜ばしくない事実もあります。2008年の間に、私はいくつかのばかな投資をしてしまいました。私は、最低でも一つの委託手数料(コミッション)で大きな間違えと、それよりは小さいながらも打撃を受けるいくつかの間違えをしてしまいました。これらについては、後程詳しくお話しします。さらには、私は、新たな事実が判明した時、自分の考えを再検証し、直ちに行動を起こすべだったにも関わらず、指をくわえて何もしない怠慢な間違えをおかしてしまいました。

更に、一般の市場と共に、我々の保有する債券と証券の市場価格は大幅な下落を被りました。このことは、チャーリーと私は気にしていません。実のところ、ポジションを増やすための資金を持っていれば、我々はその様な価格の下落を楽しむことができます。随分前に、Ben Grahamは私に、「価格はあなたが払うものです。そして、価値はあなたが得るものです。」と教えてくれました。話している事が、ソックスでもストックのどちらでも、価格が値下げされていた時、私は高品質の商品を買いたいです。



原文:Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008

コメント:このセクションは昨年はなく、今年追加になったものです。この次のセクションは、Yardsticks(ものさし)なのですが、昨年は、”バークシャ・ハサウェイ株主の皆様へ:”の次がすぐに"Yardsticks"でこのセクションはありませんでした。

このセクションは、2008年のバークシャーの業績のハイレベルなとりまとめ、と言った位置付けになるかと思います。この後で、事業グループ毎の具体的な業績結果の話に移って行くのですが、自分の失敗についてもここで簡単に述べて、後で詳しく話すのは、バフェットさんらしいな、と思いました。良い話だけでなく、悪い話、特に自分の失敗については、隠さずに逆に積極的に厳しく追及するのが、バフェットさん流だと認識しております。

この後のセクションについても、順次、更新して行く予定です。

AIG - 決算発表、政府救済措置についての記事、他 

今日の一番のニュースはなんと言ってもAIGの決算結果発表だと思います。損失が巨額となる事は、先週の末の時点で分かっており、それに併せて、決算発表前日に政府が救済措置の発表を先に行ったものの、市場に与えた影響は非常に大きかった様です。

関連のニュースを以下に取り上げます。

本日の朝、AIGが第4四半期の結果を発表しました。決算結果は、クレジット・マーケットの悪化とリストラクチャリングの費用等で617億ドルの赤字、希薄後の一株当たり$22.95の赤字となりました。

AIGのプレスリリース

上記AIGの大幅な損失発表の前に、政府はAIGへの追加の救済措置を行う事を明らかにしました。以下、WSJの3月2日の記事(今日の一面です。)のリンクと概要を記します。

U.S. Revamps Bailout of AIG
(Source: The Wall Street Journal, March 2, 2009, A1)

政府はAIGに対して、総額1500億ドルの救済パッケージのオーバーホールを行うことを発表。狙いは、財務の健全化・バランスシートの強化であるが、新たな計画はさらなる米国の納税者に対する金銭的なリスクを伴うものである。

これまでの救済策は、短期の融資を行い。それに対して相応の高い金利の支払いを求めていたが、今回の計画で、金利の引き下げ、貸し付けの条件を緩めることとした。狙いは、長期的にAIGの資産価値を高めること。

最新の計画は、TARP(Troubled Asset Relief Program)から新たに最大300億ドルの融資を行う。AIGは11月の時点で既にTARPから400億ドルの資金調達をしており、今回の追加融資により、TARPから総額700億ドルの融資を得る事になる。これは、TARPの総額の7000億ドルの10%に相当する。これにより、TARPのAIGに対する資金援助は、Citygroupに対する500億ドル、Bank of Americaに対する450億ドルを上回ることになる。

今回のAIGへの救済措置は、昨年9月に行った最初の救済措置から数えて4度目。以下、救済措置の概要。

- 9月16日: 政府は、AIGの株式の79.9%と引き換えに、2年間のローンで最大850億ドルの融資を行う。
- 10月8日: AIGの証券貸し付けプログラムの悪化により、救済融資の上限を1230億ドルに引き上げる。
- 11月9日: 新たに400億ドルの投資を行ない、救済のパッケージ総額を1500億ドルに引き上げる。
- 3月1日: TARPから新たに最大300億ドルの融資を行う。これにより、600億ドルのクレジットラインの上限を250億ドルに引下げる。

引用、以上。

今回のAIGの巨額の赤字決算発表の市場に与えた影響は非常に大きかった様です。政府の救済案はこれで4回目の追加となりました。また、これで終わる保証はないことも事実なので、余計にファイナンス・セクター全般の不安が更に高めることになってきている様です。特に、CitiやBofA等、既に巨額の資金援助を得ている所でも、更に追加の救済が必要となる不安を高めるきっかけとなっています。

実際、本日市場終了後に、AIGへの更なる救済の必要性が出てきそうな事等について書かれたReutersの記事が掲載されています。

AIG has $61.7 billion loss, new U.S. aid may not be last

この件を踏まえて、世界最大の保険会社で優良企業として評価されていたAIGがなぜ、この様になってしまったのか?的な、切り口でNew York TimesがAIG決算発表前の週末に記事を掲載しています。すごく良い記事なので、ご興味のある方は、是非、読んでみて下さい。

Propping Up a House of Cards
(New York Times, February 27, 2009)

バフェットの手紙のメディアの反応+最初の感想 

この前のエントリーに追記で書こうと当初は思ったのですが、それなりに長くなりそうなので、別のエントリーとして投稿します。

まずは、この件に関して、私が目にした一般的なメディアのヘッドラインとリンクを以下に記します。

Berkshire has worst year, Buffett still optimistic
Berkshire net sinks; Buffett says economy in shambles

私の愛読するブログでの関連記事も以下に添付します。

Buffett: Our Worst Year Ever
(The Big Picture)

Buffett's Lette
r to Shareholders
(Calculated RISK)

(冒頭のセクションを読んだ)私の感想

バファットさん自身が語っている様に、2008年のバークシャーのパフォーマンスは彼が経営してきた過去44年間で最悪となりました。ただし、下落の幅は、S&Pの37%に対して、9.6%と相対的にはかなり低い下落率です。また、毎年恒例の最初のページのバークシャーとS&Pのパフォーマンスを示したテーブルを見ると分かりますが、バークシャーの純資産・簿価(Book Value)が前年に比べて減ったのは、44年で昨年を含めて2回しかありません。バークシャーの過去のパフォーマンスの実績が如何に高いかを示していると思います。

冒頭のセクションで、バフェットさんはS&Pの過去44年の内、75%が上昇の年でこの先の全体の市場の年で見た場合の上昇と下落の比率は似た様になるだろうと語っています。これは、バフェットさんは、米国の株式市場の今後に対してそれ程悲観的に見ていない事を示しています。実際、彼は長期的には米国は大丈夫だろうと本セクションでも書いています。尚、バークシャーの場合は、過去95%以上が上昇の年です。

つまり、バフェット氏としてはこの先の株式市場に対しても長期的な視点では大きな変化はないと考えていることを示しています。

個人的に非常に興味を持ったのはセクションの最後のくだりで、2009年の経済はかなり酷いものとなり、恐らく当分の間はその状態が続くだろう、と語った上で、だからと言ってそれは株式市場の先行きもそうなるとは限らないと言っているところです。以下原文を引用します。必要に応じて、前エントリーの訳を参照して下さい。

Take a look again at the 44-year table on page 2. In 75% of those years, the S&P stocks recorded again. I would guess that a roughly similar percentage of years will be positive in the next 44. But neither Charlie Munger, my partner in running Berkshire, nor I can predict the winning and losing years in advance. (In our usual opinionated view, we don’t think anyone else can either.) We’re certain, for example, that the economy will be in shambles throughout 2009 – and, for that matter, probably well beyond – but that conclusion does not tell us whether the stock market will rise or fall.

2009年は経済の状況は悲惨となることは確実だ。しかし、だからと言って株式市場もそうなるとは限らない。と語っています。つまり、上昇する可能性もあることを示しています。まあ、例によって自分も誰も将来を予知する事はできない、としっかりと釘を刺した上でのことですが、、、と言う訳で、上昇するだろうと言っている訳でもありません。

どうしても経済の状況、先行きを考えると悲観的な見方になってしまいますが、株式市場の動向がそうなると決まったわけではない、と言う事を頭に入れておくのは、自分としては参考になりました。個人的には、依然として、アメリカの投資家達は少なからずかなり楽観的に考えている人達も多い様に思うので、市場のセンチメント、トレンドがどっちへ向くのかは本当に分からないと思います。

バフェットさんの話は、昔から、やることも言う事も常に首尾一貫しているので、特に目新しい話はこのセクションにもありませんでしたが、それでも自分としては参考になりました。



バフェットからの手紙 - 2008年版  

米国東時間の2月28日朝8時に、毎年恒例のウォーレン・バフェット氏のバークシャーの株主向けの手紙が公開されました。今年は、急速に悪化・混乱する株式市場、急激な減速を見せる経済環境の中で、大きな注目を集めた様です。

発表後に、私の愛読する米国のブログ等でも素早くバフェット氏の手紙の内容について取り上げていました。このブログでも、昨年に引き続き、今年もバフェット氏の手紙について邦訳を行い、エントリーして行く予定です。

バフェットさんは、投資家として非常に有名でありますが、バークシャー・ハサウェイを44年に渡り経営し、会社を驚異的なペースで大きく成長・成功させた素晴らしい経営者です。バフェットさんは、今までに一度も本を書いて、発行した事ありません。しかし、毎年欠かさず株主向けにかなりのボリューム(今年は22ページ)の手紙を発行しています。

この手紙を読むとバフェットさんがどの様に会社を経営しているのかの感じがつかめます。また、彼の投資、事業、市場、経済等に対する見方、意見も直接読む事で得られます。と言う事で、バフェットさんが書かれた原文を読まれる事が一番と思いますが、私のブログでも日本語に訳したものを順次掲載して行こうと思います。

尚、訳に関してはできるだけ原文の意味を忠実に日本語にする様に努めておりますが、一部英語特有の表記、言い回し等についてや、バフェットさん特有の比喩等は、多少日本語の表現に則した形で意訳する場合がございます。その様な場合、注釈をつけたり、引用を明記する様にしています。できるだけ速やかに掲載する様に努めますが、そのために、誤字や表現がおかしい部分があるかもしれませんが、ご容赦下さい。後で、修正、表現の変更を行う場合もあるかと思います。

前置きが長くなりましたが、第1弾として一番最初のセクション"To the Shareholders of Berkshire Hathaway Inc.:"の訳を以下に記します。皆様のお役に立てれば幸いです。




バークシャ・ハサウェイ株主の皆様へ:

2008年の間に、我々の純資産(純資本:Net Worth)は、115億ドル減少しました。これは、我々のクラスAとクラスBの一株当たりの簿価(注:book value: 総資産から、知覚できない資産(intangible asset)と負債を引いたもの)が9.6%減少したことを意味します。過去44年の間(それは現経営陣が会社を取得してから)、帳簿価額は19ドルから7万530ドルに増加しました。これは年に換算して、年間平均20.3%のペースです。

前のページに記載されているテーブルは、バークシャーの簿価とS&P 500 インデックス両方の44年間のパフォーマンスを記録したものです。そして、2008年はどちらとも過去最悪の年であることを示しています。この期間は、企業と地方自治体の債券、不動産、そして商品についても同様に大損害を与えました。年末までに、あらゆる分野全ての投資家達は、まるで小さな鳥がバドミントンゲームの中にさまよい込んでしまった状態と同じ様に、傷つき混乱させられました。

年が進行するにつれ、多くの世界の巨大なファイナンス企業の間で、企業生命を脅かす様々な問題が露見してきました。これは、クレジット・マーケットが正常に機能しなくなることを招き、さらにすぐに全く機能しない重大な事態ととなりました。私が若かった時見たレストランの壁に書かれていた信条”In God we trust; all others pay cash.”がこの国の至る所での合い言葉となりました。

(注:”In God we trust; all others pay cash”は1966年に出版されたJean Shepherd氏の書いた本のタイトルです。大恐慌の時のショートストーリーを集めたものの様です。スタイルはユーモアを交えた短編集とのことです。。Wikipediaの解説。また、この本の中の話を元に1983年に”A Christmas Story”と言う映画が制作・上映されました。私は知りませんでしたが、有名な映画の様です。

アマゾンのリンクはこちらです。ブック・レビュー等を読むと何となく感じはつかめるかと思います。

追記;本日、米国人の友人に"In God we trust; all others pay cash"について(本の話等)聞きましたが、知らないとのことでした。世代的間の差がありそうです。尚、米国のお札には、"In God we trust”と書かれていると聞き、見てみたらまさにそうでした。知りませんでした。"In God we trust; all others pay cash"は、「我々の信じるものは神です。神以外の人は現金で支払って下さい。」と言った様な意味です。 明日、別の米国人の友人に聞いてみようと思っています。)

第4四半期までに、クレジット危機は、住宅と株式の急激な下落と共に国を麻痺させる恐怖に巻き込みました。その結果、ビジネス活動の急激な低下を引き起こし、そして、私が今までに目撃した事がない様なペースで加速しています。米国、そして世界のほとんどが、危険なnegative-feedback cycle(否定的な・負のフィードバック・サイクル)の罠に嵌ってしまいました。恐怖はビジネス・事業活動の低下を招き、そしてそれは、更に大きな恐怖を引き起こす事となっています。

この弱体化のスパイラルは、我々の政府に大規模な行動を取る事を駆り立てています。ポーカーの用語で言うと、財務省とFedは"all in”になっています。(注:ポーカーのall in”は、場の掛け金に対して手持ち資金が満たない場合でも賭けを継続する時に宣言すること、の様です。バフェットさんらしい、うまい言い回し、喩えだと思います。Wikipediaの説明

以前はカップで測られていた経済の薬は、最近は樽で投与されています。これらの、かつては考えられなかった様な投薬量は、ほとんど確実に歓迎されない後遺症・余波を引き起こします。それらの正確な自然の帰結は、だれでも想像できることですが、激しいインフレを起こす事になることです。さらに、主要な産業は政府の援助をあてにする様になってきています。そして、彼らは町や州の持つぎょっとする様なリクエストに従う様になるでしょう。これらの企業を公的な機関と乳離れさせることは、政治的なチャレンジとなる事でしょう。彼らは快く離れることはないでしょう。

どんなにダウンサイドがあったとしても、金融システム全体の崩壊を避けるためであれば、政府による強力で迅速な行動が昨年は必要不可欠でした。もしもそれ(金融システム全体の崩壊)が起こったとしたら、その結果は我が国の経済の全てのエリアが破壊されたことでしょう。好むと好まざるに関わらず、ウォールストリート、メインストリート、そして様々なアメリカのサイドストリートの居住者はすべて同じ船に乗っています。

この悪いニュースのまっただ中にいるわけですが、我が国は過去にもっと酷い労苦に直面した事があることを忘れてはなりません。20世紀だけをとっても、2つの世界大戦(その内の一つは我々は当初負ける様に思われた。)、1ダースあるいはそれに近いパニックとリセッション、1980年にプライム・レートを21.5%にまで引き上げることになった猛烈なインフレ、そして、何年間も失業率が15%から25%のレンジで続いた1930年代の大恐慌と我々は対処してきました。アメリカは、多くの挑戦を抱えてきています。

しかし、失敗・挫折する事なく我々は常にその様な困難を乗り越えてきました。それらの困難、そしてそれ以外の多くの事柄に直面しながら、アメリカの実際の生活水準は、1900年代に7倍近く向上し、ダウ工業指数(Dow Jones Industrials)は、66から11,497に上昇しました。この期間の記録と過去数十世紀の間どの様な暮らしをし、もしできたとしても、ほんの少しの利益を獲得したころと比べてみて下さい。これまで辿ってきた道も平坦ではありませんでしたが、長期的に我々の経済のシステムは驚く程うまく機能しています。それは、他のシステムが持たない、人間の可能性を引き出し続けているのです。そして、それはこれからも続いて行くことでしょう。アメリカの繁栄はまだこれからです。(America’s best days lie ahead. より直訳的には:「米国の最良の日々が、この先に待ち受けています」)

もう一度、2ページの過去44年のテーブルを見てみましょう。(注:添付のpdfファイルの1ページ目です。恐らく、実際の株主向けの手紙には表紙があり、その次からのページがpdfとなっているのだと思います。テーブルはこちらを参照して下さい。)44年間の内の75%の年は、S&Pの株は上昇しています。私は、この先の44年間もおおよそ似た様な割合の年が上昇となると想像しています。しかし、バークシャーを経営する私のパートナー、チャーリー・マンガーも私も事前に、その年が上がるのか下がるのかを予知する事はできません。(我々の、いつもの見解ですが、誰もそれをする事はできない、と思います。(注:将来の予測を人・市場は良くしたがる傾向にあり、バフェットさんも頻繁に将来の予測について聞かれることに対する、いつもの彼のコメントです。))

我々は、例えば、経済が2009年の間中酷い状況になるであろうと確信しています、そして、その酷い状況は、多分この先かなりの間続く事となるでしょう、しかし、その結論(見方)は株式市場が上昇するか下落するかどうかとは、別の話です。(注:経済状況がこの先もかなり悪い状況が続くと予測していても、だから、株式市場が下がる、上がるといった予想に結びつかない)

良い年でも悪い年でも、チャーリーと私は、ただ単に以下の4つのゴールに集中します。

(1) バークシャーのジブラタルの様なファイナンシャル・ポジション、それは巨額の余裕のある流動性(の資産・資金)、適度な短期の負債、そして、多くの利益と現金の収益源;を維持する事。

注)ジブラタルは、地中海の要塞。スペイン南端の小半島で英国の直轄領

(2) 我々の事業(分野)において、長期にわたって競争での優位性をもたらす「堀」を広げる事。

注)「堀」(“moats”)に関しては、昨年の手紙で詳しく説明しています。良かったら、こちらを参照して下さい。

(3) 新しい、そしてさまざまな収益源を確保、開発する事。

(4) 長い年月に渡ってバークシャーの並外れた成果を提供し続ける素晴らしい事業運営マネージャーの部隊(事業の運営部隊)を育成し拡大する事。




原文:http://www.berkshirehathaway.com/letters/2008ltr.pdf

このエントリーは、明日以降に続きます。

お詫び 

皆様、

大変ご無沙汰しております。昨年、ブログの更新、メインテナンス、日本語のメールのチェックをすることについて、どの様に表現すべきなのか迷いますが、 突然、 大きな負担を感じ、それらのことについて取り組む事を全て止めてしまいました。

ここ数年、公私ともに色々な事があり、精神的なストレスが大きくたまっていたことが原因の様に想像していますが、正直なところ、自分でも良くわかりません。結果として、ブログ関連のコミニュケーションに非常に負担を感じ、完全に滞る状態となっていました。

今年に入ってから、昨年大変お世話になった方が急遽亡くなり、更に、2月に以前の職場で親しかった友人をがんで失いました。これらのことで、さらに精神的にかなり落ち込む反面、自分と行動に対して、もう一度振り返るべきと考えさせられました。そして、自分としてもブログ関連のコミニュケーションに対して逃げずに区切りをつけようと思いました。

本日、このブログを最後に更新して以来、半年以上ぶりにアクセスしてみました。どの様なコメントがあったのだろう、などと不安な気持ちを持ちながら、自分のブログを見てみました。そこで、自分として思いがけない程の拍手ボタンの数を見て、衝撃を受けました。拍手ボタンを押して下さった方々、コメントを下さった方々、メールを下さった方々、そして当ブログを定期的に訪問下さっていた方々に対して、本当に申し訳ない気持ちで一杯です。

皆様、更新を突然停止し、本当に申し訳ありませんでした。また、コメントを下さった方々、メールを下さった方々、本当にすみませんでした。コメントに関しては、 後日、別途、お詫びかたがた返事をさせて頂くつもりでおります。メールに関しては、本日チェックしてみましたが、昨年7月以降、ブログで設定していたアドレスは使用していなかったため、過去全ての記録は消えてしまっていました。(Yahoo Japanのメールは、4ケ月以上アクセスがない場合、記録は全て削除されるとのことでした。)メールを下さった方、お詫びのしようもありませんが、本当に本当に申し訳ありませんでした。

ご存知の方も多い事と思いますが、米国時間の本日、2月28日の朝にBerkshire Hathawayの2008年の年次報告書(Annual Report)とウォーレン・バフェット氏の恒例の 株主向けの手紙が発表されました。

昨年、このバフェット氏の手紙を当ブログで邦訳したものを掲載しました。正直なところ、まだ、ブログについての今後、どの様に取り組むのか決めかねる部分もあるのですが、バフェットさんの文章を訳す事は、自分にとっても様々な面で勉強になり、また、それを皆様にも提供する事で、少しでもお役に立てる面があれば幸いと考えております。そのため、明日以降、順次バフェット氏の手紙の邦訳をも行おうと考えております。

最後になりましたが、ブログ更新の突然の中断について、改めてお詫び申し上げます。本当にすみませんでした。特に、メールを下さった方、私の至らない事から頂いたメールを全て消失する事になってしまいました。本当にすみません。

今後の自分の身の振り方で少しでも償わせて頂こうと思っております。重ね重ね、勝手なお願いお許し下さい。