昨晩、ゴールドマン・サックスが最近の株式市場の動きの中で、大きな損失を被ったヘッジファンドに対して、300億ドル(1ドル117円で換算して、3510億円)の救済融資を行うことを発表しました。
これに関しては、本日、WSJとFinancial Timesでも大きく取り上げられています。現在の状況を理解する上でも重要と思い、Financial Timesの記事を中心に引用と記事の要約を中心に、私のコメントを追加して、以下に記します。
Goldman pays the price of being big (Financial Times)Goldman Wagers On Cash Infusion To Show Resolve(WSJ, August 14, A1/14)
- 今回追加融資を行うのは、Global Equity Opportunities Fund
* 融資前の時価は約$3.6Bで、このFundは先週(だけで)30%以上のロスを被った。
* 追加融資に関しては、$2BはGoldman、それ以外に$1B他の投資家からの融資分がある。
- Global Alpha(上記とは別、今回は融資は行わない)は年初から比べて評価額が27%下落している。下落分の内、約半分は先週下落した分である。
- 問題となっているGlobal Alpha, N American Equity Opportunities, Global Equity Opportunitiesの先週金曜日の時点での評価額は、合計で約100億ドルである。
これらの問題となっているヘッジファンドは、Quantitative Hedge Fundと呼ばれるもので、コンピュータのソフトを利用して売買を行っているそうです。投資のスタイルは、マーケット・ニュートラルで、過去の似た取引パターン等を分析して、上がりそうだと予想されるものを買い、下がりそうだと予想されるものに空売りをするものだと思います。このコンピュータを利用した売買を行うアプローチが先週の株式市場の動きで、完全に裏目となってしまい、非常な大きな損失を被ってしまったとのことです。
(引用終わり)
”コンピュータを使って取引をする”と言うのは、合理的で、効果的なときもありますが、時としてこの様な事態になることは、リスクとしてはあると思います。その辺りのヘッジをしていなかったのでしょうか?少し気になります。
上記、Fundの評価額から見るとかなり大きな追加融資額(合計評価額に対して30%、Global Equity Opportunities Fundのみであれば、おそらく50%以上になるのでは?)と思われます。ゴールドマンとしては、この追加融資によって、既存の投資家のファンドの解約を抑えることが、一つの目的にあると思います。また、これらのファンドが破綻した場合は、会社の信頼や、全体の問題になる可能性があるので、その様なリスクを考慮したうえでの判断だと思います。
今の時点では、上記ファンドは、かなりの含み損をかかえているため、追加融資によって解約を抑え、さらに将来のパフォーマンスの向上を期待・目的としている様に見受けられます。しかし、市場が今後下がっていく場合には、問題が拡大する可能性があると思います。
ゴールドマンのヘッジ・ファンドの大幅な赤字に転落した問題はこれで、一旦は収束の方向に結びつきそうですが、他のヘッジファンドで同様の投資スタイルを行っているところは、かなり経営が悪化している様に感じらます。また、追加融資したからといって、パフォーマンスが良くなる保障はありません。まだまだ、予断は許さない状況にあると思います。
尚、ゴールドマンの株価は、本日、約4.4%程度下落しています。また、今後の株価の動向によっては、思惑がはずれ、大きな下落をすることもありえるでは、と思っています。いずれにせよ、ここがゴールドマンの勝負所の一つだと思います。
うまく切り抜けられるのか、はたまた、大きな問題に発展するのか、今後も引き続き注意して見ていこうと思っています。
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