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今週を振り返って (8月20日から8月24日の米国株式市場) 

先週の大幅な下落から、今週前半は、先行きの不安等もあり、方向性が見えない状況が月曜日・火曜日と続きましたが、後半、各主要インデックスは堅調に推移し、週明けに対して、2%以上の順調な上昇となりました。20070826141741.png

金曜日の朝に発表された、7月の新築住宅の販売数量は、大方の予想を上回る結果でした。また、耐久消費財の受注状況も順調とのニュース等、比較的良いニュースが多少なりとも金曜日の上昇に貢献した様です。(悪いニュースがなかった、という程度の気がしますが。。。) 住宅セクターの株は、午前中は下落していた株も多かったのですが、午後に入り、全体の上昇に引っ張られる感じで、小幅ながら上昇しているところが多かったです。ファイナンス・セクターに関しても、上昇はしましたが、全体の上昇率よりは低いところが多かったです。尚、金曜日の株の取引数量は、通常より少なかったとのことで、上昇はしましたが、市場が、落ち着いてきた、との見方は少なく、大方は慎重な見方をしている様です。

上記、主要インデックスの各主要インデックスの動きを見ると、Nasdaqが他のインデックスと比べ上昇しているのがわかります。(グリーン色の^IXIC) 金曜日は、Appleが3%を超える上昇、Intelも2%を大幅に超えており、Nasdaqの上昇に貢献しています。クレジット関連の問題が比較的少ない、テクノロジーセクターが見直されていく傾向の始まりかも?、と少し期待しています。 期待通りの展開となるかは、もうしばらく時間はかかると思います。

尚、先週の下落のきっかけの一つとなった、CountrywideはBank of Americaが200億ドルの投資を行うことが発表され、市場は安心したかの印象がありますが、今週一週間の株価の動きを見た場合、あまりあてはまっていないと思います。以下に、Countrywide FinancialとBank of Americaの今週一週間の株価の動きを添付します。
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先週から今週にかけて、住宅ローン事業の閉鎖、人員削減等の発表をする会社が続出しており、住宅ローン事業の先行きが厳しいことを示しており、Bank of Americaが融資をしても、Countrywideのビジネス自体が短期的に好転するわけではないので、株価の不安定な動き、低迷はいたしかたのないことと思います。

住宅ローン事業の先行きの厳しさを裏付ける発表に加え、先週の下落の理由のクレジット不安の高まりの引き金となったSentinel Managementは、Chapter11を申請をしました。その後、SentinelはSECから告発を受けたことが明らかになりました。この様に、先週の下落の市場要因のファンダメンタルズに関しては、改善する方向ではなく、悪化を裏付ける様な状況にも関わらず、市場が上昇したのは興味深いところです。

上昇の理由は、FEDの更なる介入、FFレートの引き下げ等の期待かと思いますが、金利を引き下げたとしても、現在市場が抱えている問題が解決する、といった単純なものではないにもかかわらず、FEDが何とかしてくれるといった期待が高まっているような気がします。。。

今週の上昇で、ヘッジファンドのパフォーマンスも改善したところが多かったのではと思います。昨日のエントリーでもふれましたが、ヘッジファンドは8月に下落しているところが多く、Quantsファンド等、マーケット・ニュートラルの戦略を取っているところは、パフォーマンスが落ちています。(個人的には、この様な市場局面で、マーケット・ニュートラルなポジション自体はむしろ有効なはずだと思っています。問題は、上下の変動が激しく、しかも方向性がはっきりしないケースもあったので、Quants等のコンピュータのソフトを使ったところは、それがあだとなってしまったみたいですね。) 

ヘッジファンドの多くは今回の下落により、ポジションの解消、レバレッジ率の引き下げを行っています。これは、下落リスクをおさえることには有効ですが、逆に上昇のアップサイドも押さえてしまうため、仮に今後しばらくうまくいったとしても、パフォーマンスの改善は限定的になると思います。パフォーマンスが低迷しているヘッジファンドは、短期的に改善しないと、第4四半期には解約が増えてくるのでは、と思います。その様な状況で、悪いシナリオとしては、一部ヘッジファンドが、解約の受付を制限したり、最悪の場合、何かスキャンダルが出てくる可能性もあると思います。 個人的には、時期がすぐではないかもしれませんが、遅かれ早かれ、この様なシナリオは避けられないと思っています。

FT等のメディアによると、来週は、ファイナンス業界のキーの人たちの多くが休暇をとっているケースが多いとのことで、あまり大きな取引・動きはないのでは、との見方の様です。 ちょっと一休みとなるのか、それとも、何かがきっかけで大きく動くのか引き続き、注意して見ていこうと思います。

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この記事へのコメント

金融セクターと住宅セクターは買われていないみたいですね。こちら(日本)では2番底があるとかないとかと新聞やら何やらで書かれています。2番底かどうかは分からないにせよ、秋口はファンドの決算期の関係上安くなりやすいので、買い場はまだまだありそうですね。ただセクターが分かりませんが。。。

余談ですが、ヘッジファンドは以前、ポートフォリオに入れようか検討した事があるのですがヘッジファンド自体に期待している事は相場の下落局面での堅調さでした。ですが今回のように一緒に落ちていくようでは、PFの一角に加える意味が全くないと感じます。

Alphaさんが仰っている
>FEDが何とかしてくれるといった期待が高まっているような気
こういうのはかなり危険ですよね(^^;。

bowlerさん、

実は、私は、住宅セクターに関しては、一年以上前から、ヘッジの意味で空売りを入れていました。ポートフォリオ構成における空売りの配分比はそれほど高くなかったのですが、大体、3ヶ月ごとに比率や銘柄を変えていました。これらは、結果的に損失になりました。ただ、全体のポジションがロングなので、全体としては、プラスで推移していました。空売りは、あくまでも大幅な市場の調整があった時の保険的な意味合いで使っています。

金融セクターに関しても、同様に約半年前から、ヘッジの意味で空売りを入れていました。こちらの方も3ヶ月前は、それなりに大きな損失になっていました。

7月の中頃に、ヘッジ(空売り)の分の一部を解消してしまったのですが、残っていた少しのヘッジ分は今回の大幅な下落に対して、少しではありますが、ポートフォリオの下落を和らげる役割を果たしてくれました。

今の大きな問題のひとつは、資産担保コマーシャルペーパーが売れずに、つみあがっていることです。(これが流動性の問題の大きな要素です)今は、FEDやECBが資金を投入しているので、一時的には流動性の問題は緩和されていますが、資産担保コマーシャルペーパーが9月の半ばをすぎても売れないで残っているとなると、大きな問題となると思います。

この件、その他もろもろを考慮すると、9月後半ごろまでにもう一回、大きな調整がある可能性もあります。最も怖いのは、その後ですが。。。

ヘッジファンドは、その名の通り、もともとは下落局面で強いのが本筋だったのですが、最近の極度のブームにより、ほとんどのヘッジファンドは、レバレッジや空売りをアグレッシブに活用する、ハイリスク・ハイリターンの色彩が強く、これらの中には、ポジションによって、下落局面で大きな損失を出す可能性の高いものもあります。

今回の騒動と今後の展開で、ヘッジファンドも淘汰の時代を迎えると思います。(強いものは生き残り、弱いものは市場から去る)

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