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ジム・ロジャーズの意見 

FORTUNEの9月3日号に、'Crisis Council'と言うタイトルで、著名な投資家、業界の人物、エコノミスト、政治家(Henry Paulson)等の意見をまとめた特集が掲載されています。

バフェット氏ももちろんその中に含まれていて、まだ、全ての人の意見を読んでいないのですが、読んだものは、全て非常に興味深い、内容でした。その中で、ジム ロジャーズの意見の記事に関しては、私が思っていることと、ほとんど同じだったので非常にびっくりしました。(レベルもやっていることも全然違いますが。。。)

私はジム ロジャーズに関しては、有名な投資家であることと、一度テレビで特集されたのを見た程度で、正直なところほとんど知りません。(中国をはじめとする新興市場に早くから目をつけていたり、商品先物取引のブームを予言したりした、等で有名な、相場観がすごい人だと言うこと程度です。)

7月にまろさんの「投資を楽しむ♪」のブログで、”ジム ロジャーズが中国以外の新興国の株を売った”と言う記事を見て、少し気にしていました。その後の市場の展開を見ると、やはり、すごい相場観を持っている人だなあ!と勝手に感心していたのですが、今回のフォーチュンの記事の内容には思わずうならされました。

ジム ロジャーズ氏のフォーチュンの記事に関して、引用と私の要約(意訳を含みます)とコメントを以下に記します。

尚、市場の見方に関しては人それぞれなので、あくまでもこれは、一意見だと思います。

Market corrections are coming.
Jim Rogers
Founder of the Rogers Raw Materials Index

Source:
Crisis Council
Fortune, September 3, 2007

We've had the worst bubble in credit we've ever had in American history. As the bubble got bigger and bigger, it spread to emerging markets and leveraged buyouts and all sorts of things. And it hasn't been cleaned out yet. I don't think you can have a bubble like this and clean it out in six months or even a year. It has always taken longer.

我々は、アメリカの歴史において、かつてないクレジットにおける最悪のバブルを抱えています。そのバブルはどんどん大きくなり、エマージングマーケット(新興市場)やレバレッジ・バイアウト、その他もろもののことに広がりを見せています。そして、それは、きれいに片付いていません。私は、この様なバブルを抱えて、それが半年、あるいは1年程度で片付けることはできないと思います。もっと時間がかかるでしょう。

Look at homebuilders, for instance. Historically, when an industry goes through a retrenchment like this, you have two or three big companies going bankrupt and most of the companies in the industry losing money for a year or two or three. Well, we haven't gotten anywhere near that in the homebuilding business, so I think that bottom is a long way off. As far as the credit bubble, we have another several months, if not more, of mortgages that are going to reset and people who are going to find themselves with even higher monthly payments. There are many, many more losses to come, most of which we won't know about for weeks or months.

例えば、住宅建設業界を見てみましょう。歴史的に、産業(業界)が今回の様な退潮を経る時、2つや3つの大きな会社が倒産し、業界内の会社のほとんどが、一年、二年、もしくは三年の間、損失を被ることになります。(これは、2001年のテロの後の航空業界の状況が、最近の事例としては近いと思います。)住宅建設業界は、この様な状況に近い形に、まだ(少しも)なっていません。 ですから、わたしは、底はまだまだ先だと思っています。クレジット・バブルに関しては、住宅ローン(の金利)がリセットされ、人々がさらに高い金利を払わなければいけなくなることに気づくまでに、あともう数ヶ月、もしそうでなければ、もっとかかるでしょう。(これは、オプションARMのリセットをさしていると思います。) 非常にたくさんの損失が出てくるでしょう、それらのほとんどは数週間、または数ヶ月では、知ることのできないと思います。 (これは、今回のクレジットバブルを経た空前のバイアウト・ブーム、ヘッジファンド、プライベートエクイティの案件の結果が分かるまでには、あと数年はかかるので、それをさしている、または、それを含んでいると思います。バフェット氏もCNBCのインタビューでプライベートエクイティのブームに関しての意見として、近いような趣旨の発言をしています。)

Normally you have markets go down 10% or so every couple of years. We haven't had a 10% correction in the stock market in nearly five years. I don't know if this is the beginning of it, but we've got a lot of corrections coming. It wouldn't surprise me to see a little bounce--say if a central bank cuts rates. But that will just lead to the markets falling further late this year or next year. It would be better for the market, it would be better for investors, and it would be better for the world if we went ahead and cleaned out the system. If they do cut rates in the U.S., it would be pure madness. Because the market's down 7% or 8% from an all-time high? My gosh, what's that going to say about the dollar? What's that going to say to foreign creditors? What's that going to say about inflation? The Federal Reserve was not founded to bail out Bear Stearns or a few hedge funds. It was founded to keep a stable currency and maintain its value.

普通、数年の間に、市場は10%程度下落することがあります。我々は、ここ5年に近い間、株式市場で、10%の調整も経験していません。私は、それが(今)始まったのかどうかは、判りません。しかし、多くの調整をこれから経験することにならざるをえません。私は、例えば、中央銀行の金利の削減等によって、少々の上昇(反発)があったとしても、驚きはしません。しかし、それは、今年の後半、または来年に更なる下落を招くことになると思います。もし我々が早く(先に)経験し、状況を片付けることが、投資家にとって、そして世界にとって、より良いことだと思います。もし、米国が金利を下げれば、それは単に狂気の沙汰だと思います。なぜなら、(株式)市場は、過去最高の数値から、7から8%程度しか下がっていないだけです。それが与えるドルに関しての影響はどうなるのか?(意訳しています) 海外の債権者に対しての説明は?? 中央銀行は、Bear Stearns、もしくはいくつかのヘッジファンドを救済するために、設立されたのではありません。

I have been and continue to be short the investment banks and the commercial banks. If they bounce up, I'll probably short more. I'm certainly not buying anything. The market's only down 8%. I don't consider that a buying opportunity. The things that I'm short, some people probably think are buying opportunities, but I don't. I've been short the banks for close to a year, and for a while it was not fun. But I added to my positions, and now it's a lot of fun.

私は、現在まで、そして引き続き、投資銀行とコマーシャル・バンク(企業向けの銀行業務を指すと思いますが、良い日本語訳が浮かびません。)に対して、ショート(空売り)を行っています。もし、それらが反発(上昇)したら、多分、さらにショートするでしょう。私は、確実に買うことはないでしょう。市場は、たった8%下落しただけです。私は、それが、買う良い機会とは思っていません。私がショートしていることは、恐らく、ある人たちにとっては、買う機会と思うことでしょう、しかし、私はそう思いません。私は、銀行のショート(空売り)を一年近くしています、そしてそれは、しばらくの間、あまり楽しい状況ではありませんでした。しかし、私は私のポジションを積み上げました、そして、いまは、楽しんでいます。

(以上、引用、要約、終わり)

この特集の記事は、こちらのリンクで全て読むことができます。色々な人の視点が解り、非常にお勧めです。バフェット氏の意見は相変わらず、さすがですし、Henry Paulsonの意見も短いですが、Secretary of the Treasuryの立場としての見方で興味深かったです。

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この記事へのコメント

すごいTBに感謝

このフォーチュンの記事、超豪華ですね。
日本にいたらこの記事に辿り着ける人少ないと思うので、
すばらしい情報提供に感謝です。

まろさん、

こんばんは。コメントありがとうございます。

おっしゃる通り、このフォーチュンの記事は、かなりすごいレベルの人たちを、そろえていると思います。見方等、色々参考になりますよね。私は、フォーチュンを購読しているのですが、普段は、あまり良く読んでいなかったのですが、この記事は、素晴らしいと思いました。(この号は、この記事以外も結構良いのがあります。)

引用する前に、オンラインにあるかな?(ないと、全文は引用しません)と思って調べたら、あったので。。。無料で全部(だと思います)読めるので、良いですよね。

TBしようとずっと思っていたのですが、タイミングを逃してしまっていました。まろさんがジム ロジャーズの話を取り上げて下さっていたので、気にしていたのですが、その後の話として多少つながるのでは、と思ったのもあって、投稿しました。

今後ともよろしくお願いします。

参考になります♪

相変らず貴重な情報提供に感謝です!
バフェットさんの意見はちょっと短かったのが残念。
よくみると、ビル・ミラーまで意見を述べてますね!
これは稀にみる豪華ラインナップ!
じっくり読んでみます♪

ぐっちさん、

コメントありがとうございます。バフェットさんの場合、(いつものことですが)あまり意見を言うと、影響があまりにも大きいので(特に今の様な局面では。。。)、差し障りない程度のコメントになっていると思います。それでも、示唆するもの等、参考になりますが。。。

ジム ロジャーズ氏はかなりはっきり意見を話しているな、と印象を受けました。

私も全部読んでいないので、読んでみます。

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