本日の米国株式市場は、大きな変動もなく安定的に推移し終了しました。主要インデックスは、前日終値に比べDOW Jones Industrialは-0.29%と若干の下落、Nasdaqは0.22%上昇、S&P 500は‐0.03%とほぼ変わらずに終了しています。

本日は、市場開始前にカナダのTD (Toronto Dominion) Bank Financial Groupが全米7位の銀行Commerce Bancorpを買収する計画を発表しました。TDは、本日5.58%の大幅な下落となっています。一方、買収される側のCommerce Bancorpの方は、0.35%の若干の下落で終了しています。ただ、Commerce Bancorpの株価は、過去52週で最高のレベルに近いので、市場は比較的冷静に捉えている様に思えます。
TDは3年前にAmeritradeの株価を取得(40%程度)し、傘下に収めています。Commerce Bancorpは消費者にフレンドリーな銀行で有名なようなので、今回の買収により、Retail InvestingとBankingを統合したようなサービスを提供することが狙いなのかもしれません。
米国では、殆どの銀行は株式のトレードのサービスも提供しており、逆に証券会社も銀行業務のサービスをやっているところが多いのですが、私の認識として、銀行の証券取引サービスは証券会社から見るとどうしても見劣りし、逆に証券会社の銀行サービスはやはり多少不便なところがある様に感じます。ちなみに私は、Wells Fargo BankとE-Tradeで、どちらも銀行・証券の口座を持っていますが、取引は前者は圧倒的に銀行関連、後者は圧倒的に証券取引関連に使っています。
TD AmeritradeもCommerce Bankもリテール(個人消費者)に特化しているので、個人的には狙いは良い様な気がしますが。。。TDの株価が大幅に下がっているところが興味深いところです。
また、全米不動産協会が8月の中古住宅のペンディング・セール(売買の契約書を締結して、最終売買の契約前の段階)が、予想を下回る(悪い意味で)前年に比べ6.5%下落となりました。Pending Home Salesのインデックス値は85.5まで落ち、これは記録を開始した2001年の1月からで最低の数値とのことです。その前の最低値は、2001年の9月に記録した89.8でした。
一方で、主要な住宅販売会社の株は、本日は大幅に上昇しています。主だったところで、DR Horton 6.54%, Meritage Homes 10.21%, Lennar 6.23%それぞれ上昇しています。上昇の要因は、アナリストのアップグレードの様です。
Home-Builder Stocks Rise on Upgrades恐らく、不動産市場は底が近いのではとの観測や、Fedの今後の金利の引き下げによるアップサイド、悪材料はほぼ出尽くしたとの見方等が起因していると思いますが、悪いニュースにも関わらず大幅に上昇するのは、興味深いところです。昨日の市場全体の動きもそれに近い様に思えます。
今日は、ファイナンスセクターの株も大幅に上昇しているところが多かったです。
全体としては、NASDAQが本日も他のインデックスに比べ良い結果で、ここのところのテクノロジー株の好調なトレンドを支持しています。
ハイテク関連で目立った動きは、Googleが日中に大きく株価を伸ばし、過去最高を記録したものの、その後多少下がって、終値は昨日とあまり変わらない0.32%増で終了しています。Appleは今日も上がり、こちらも最高記録を更新中です。Apple以外の大手は、本日は下落しているところが多かったです。
本日のNASDAQ上昇TOP10を以下に添付します。

中国関連の会社の様に見受けられるところが、上位を占めています。上記の会社の内、私が知っている会社は一社もありません。それにしても、上昇幅がとんでもないので、びっくりしました。
これに関連して、
踏み上げ太郎さんが、素晴らしいたとえで、ブログに取り上げられています。 ここ最近の踏み上げ太郎のエントリーは非常に素晴らしく、勉強・参考になるものが多いです。(今までも素晴らしいものは多々ありましたが、特にそう感じます。)
上の話とは、若干異なりますが、以下、「Wing it!」のタイトルのエントリーからの引用です。
例えばペトロチャイナ(PTR)ですけど、最近、ウォーレン・バフェットが売っているので良く質問を受けるのですけど、やっぱりバフェット流の銘柄の斬り方から考えれば、、、もはやヴァリューでは無いのです。
* * *
ヴァリューが無くなったから、、、すぐ相場が下がるか?と言えば、それはそうではないと思います。貨物列車がブレーキをかけてからも停車するのにすごく時間がかかるように、ヴァリュー面で妙味が無くなった株だって、どっこい上げ続けることはごく普通にあります。
この場合、「決算が良かった」とか、「利下げがあった」とか、「GDPの数字が良い」とか、あれこれその時々の材料を拝借してきては株価が上がることを正当化する、「その日暮らし」的なパターンに入ってゆくわけです。
これは英語で言えばwinging it(ウインギング・イット)ということになります。この場合のウイングとは舞台の袖であって、練習の足らない俳優、或いはネタの切れたコメディアンが舞台の袖からセリフを教えてもらって、なんとかその場を誤魔化している、、、そういう構図なわけです。
相場というのは面白いもので、バフェットみたいな本格派の投資家が去った後も値動きに惚れて上値を買い続ける投資家は後を絶ちません。ヴァリュー投資家→グロース投資家→モメンタム投資家という風な「手替わり」が起こるわけです。そうするうちにその株を持っている投資家の質はだんだん下がってくる、、、。
で、面白いのは後に来るほど無定見、無批判の投資家だということです。まあ、ミーハーの世界ですよ。自分のアタマで考えられなくなるから相場が上がっているうちは何も怖くない、、、いや、騰がれば騰がるほど強気になる、、、
ところが最後はそういうミーハーな投資家ですら、いつかは気がつくときが来るんです。(引用終わり)
上記の中で、株主の構成の種類の移り変わりを、“ヴァリュー投資家→グロース投資家→モメンタム投資家”と言った形で書かれていますが、自分の所有する株がどのフェーズにあるのか等を意識することも、売り時等の判断に役立つと思いました。
踏め上げ太郎さんの先週のエントリーで、“Chosen ones”と言うタイトルのエントリーも素晴らしいと思いました。もしまだお読みでない方は、是非読んでみてください。
Chosen ones, いちカイにヤリ 投資立国(ロシア株、インド株、中国株、ブラジル株、ADR、BRICs)
視点を広げる、他の人の見方を理解するといったことは、勉強、参考になります。
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