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今日(10月16日)の米国市場 

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今日の米国市場は、若干の上下の変動はありましたが、昨日に引き続き下落しました。各主要インデックスの終値は以下の通りです。

Dow: 13912.94, -71.86 (-0.51%)
Nasdaq: 2763.91, -16.14, (-0.58%)
S&P 500: 1538.53, -10.18 (-0.66%)

前日のNew York Economic ClubでのBernanke議長のスピーチは、クレジットの問題は予想よりも長く続く可能性があるとの懸念を示し、また住宅市場の問題が景気に影響を与える可能性があり今後の経済の先行きが楽観しできない、といった様な発言だったようです。このニュースに加え、原油価格が市場最高値であることから、市場自体もかなり慎重になってきているように思えます。

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注目企業の本日の第3四半期決算発表を以下に記します、

Wells Fargoは、昨年同期比で売り上げ10%増の$9.9B、純利益4%増の一株68セントでした。アナリスト事前予想は70セントで、若干下回ったものの、個人的にはかなり良い内容だったと思います。株価は、本日、3.89%も下落しています。 期待がかなり高かったからだとは思いますが、ここまで下落するとは、ちょっと驚きです。恐らく、今後の見通しに関して、厳しい見方をしていることが、本日の下落の一つの要因では、と思います。

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はっきり言って、Wells Fargoが厳しければ、他の主要銀行はもっと厳しいと思います。本日、ファイナンス・セクターは下落しています。JP Morgan Chaseが明日の市場開始前に決算を発表するので、これにより、夏の大幅な調整から大きく戻してきたファイナンス・セクターの今後の展開を占う上でも、かなり注目です。

J&Jは、第3四半期は、一株当たり88セントの利益で、昨年同期比の94セントから比べ、減益となりました。特別な支出を除いた利益としては、1ドル6セントの利益で、アナリストの事前予想の99セントを上回っています。決算発表の中で目を引いたのは、グローバル(海外)の売り上げは3.7%の伸びであったが、為替の差益を考慮しない場合、1.2%の伸びにとどまる、とのことでした。

関連記事: J&J third-quarter profit falls

最近のグローバルにビジネスを展開している企業の株価の上昇の前提である、グローバルのビジネス・需要が依然として好調であることと、ドル安に対する恩恵が、今回のJ&Jの場合、それ程でもなかったことは、気になります。明日、Coca Cola等も決算を発表するので、こちらの方も、グローバル企業のビジネスのトレンドを占う上で注目です。

尚、本日市場終了後に、(個人的には大注目の)IBM, Intel, Yahooが決算を発表しました。

IBMは、第三四半期利益は6%増の一株当たり$1.68でした。IBMは株式のバイバック(自社株を市場から買い戻す)を積極的に行っているので、純利益よりも株当たりの利益の上昇が大きくなっているとのことです。アナリストの予想は$1.67だったので、予想を上回りましたが、発表後、アフターアワーズでは、株価は1.5%程度下落しており、本日の上昇分を帳消しにしています。ちなみに、IBMは本日上昇した数少ない大手ハイテク株でした。アフターアワーズの下落を見た場合、こちらも期待がかなり高かったため失望売りの傾向が強いと思います。

Intelは、第3四半期は43%の利益増で、一株31セントの利益でした。アナリストの事前予想は30セントだったので、予想より少し高い結果でした。ちなみに、利益は大幅増となっていますが、これは、昨年の第3四半期が非常に悪かったためです。 ちょっと驚いたのは、第3四半期売り上げの過去最高を記録する$10.09Bでこちらは事前予想を大きく上回っています。 Intelの株価は、本日1%ちょっと下落していたのですが、アフターアワーズでは、これを書いている時点(ESTで午後7時少し過ぎ)で、5%を上回る値で取引されています。

個人的に、ショックだったのは、第3四半期決算発表の席上でCFOのAndy Bryantが後任のStacy SmithにCFOの席を譲ることを発表したことです。私は、相当な年月、IntelのAnalyst Meetingやその他のConferenceでAndy Bryantのプレゼンテーションや質疑応答を見てきましたが、彼は、業界トップ企業のIntelを代表する素晴らしいCFOだと敬意の念をいだいていました。そのBryant氏が引退してしまうとは、ショックです。後任のSmith氏は、私にとってはあまり印象がありませんが、期待したいと思います。

ちなみに、私がもっとも尊敬するCEOは、かつてのIntelの率いたAndy Grove氏です。Grove氏が一線を引いてからの、Intelは数え切れないほどの経営ミスを犯し、かつての絶対的な業界盟主の面影はありません。(A級戦犯は、前CEOのBarrett氏だと思っていますが、その他の経営陣もかなり判断ミスをしています。まあ、Grove氏が後任として認めたので彼にも責はあると思いますが。。。) 迷走するIntelの中で、かつてのインテルに対する畏敬の念を思い出させるBryant氏が引退してしまうのは寂しく思います。限りない戦略ミスを繰り返してきたIntelもやっと持ち直しつつあるので、今後に期待したいと思います。

(追記)後から読んでみて、現Intelに関して、かなり否定的に書いている様に思えたので、念のため補足いたします。ミスも多くありましたが、素晴らしい成功を収めたプロジェクトもありました。一つの例は、Centrinoです。CentrinoによりIntelは、従来からのCPU単位のブランドから、プラットフォームへのブランドと言う画期的なブランド戦略の移行を成功させました。この戦略は、インテル採用製品の一台当たりの比率を高めることにもつながる、成熟しつつあるPC市場の中で、売り上げの向上に寄与する素晴らしいものでした。また、使用されるCPUの性能も素晴らしく(設計は従来のメイン拠点のオレゴンではなく、イスラエル)、今では、イスラエル・チームの設計したCPUがデスクトップとサーバーにも使用されています。(Core2もそれにあたります)また、インテルは業界標準のテクノロジーを開発し、普及につとめています。会社としてみた場合、今でも本当に素晴らしい会社だと思っています。尚、追記で書いた話は、一般に知られてる話で、業界内部の話ではありません。
(追記終わり)

Yahooの第3四半期の結果は、、昨年同期比と変わらない、一株11セントでした。ただし、発行株式数は昨年の方が圧倒的に多かったとのことなので、実質は増益です。また、アナリストの事前予想は、一株8セントだったので、予想を上回る結果でした。 本日のYahooの株価は、4.2%の下落でしたが、アフターアワーズでは10%近い大幅な上昇となっています。このところ低迷していたYahooで、今回も期待が低かったと思われるため予想外に良い結果に市場は好感して、明日はかなり上がることが予想されます。ただし、P/E等はかなり高い水準にあるので、個人的にはOver valuedだと思っていますが。。。

Yahoo earns beat forecasts, Wall St awaits action

明日は多くの企業が決算を発表します。特に注目しているのは、JP Morgan Chase, AMR(American Airlineの親会社), Altria, Coca-Cola, Washington Mutualと言ったところです。ハイテクでは、Citrixが発表しますが、ここは、好決算となると思います。株価もここのところかなり上がっているので、期待に対してどうか?といった点では、注目です。

今日の時点での市場の流れを見ていると、先週までの楽観的な見方から、急速に慎重な見方へと市場心理が変化してきている様に思えます。Wells FargoとJ&Jの結果は、悪くなく、むしろ良いと思いますが、市場の反応は非常に慎重になってきています。または、株価に織り込まれた期待値のレベルを下回っているとも言えますが、そう仮定した場合、期待値がかなり高いともいえると思います。 一方で、IBM, Intel, Yahooの決算はいずれも期待通り、またはそれ以上の結果となっており、テクノロジーのセクターのファンダメンタルズが良いことを示していると思います。

本日の結果と市場の流れをみると、今後の傾向の指針となるような動きが見られてきましたが、これらが、今後のトレンドとなるのかは、明日以降の主要企業の動向によって決まってくると思います。

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