今日の日本市場は、"アブダビ投資庁が米シティへ出資"のニュースが好感され、為替、市場ともにポジティブな反応になったようです。
Citigroupにとっては、確かに良い話だと思いますが、市場全体がこれで反転したとすると、’ちょっと’と思ってしまいます。
11月16日にアブダビ投資庁は、米国半導体メーカーのAMDに出資する発表を行いました。この日のAMDの株価は、前日比微減でした。今は、その時に比べ10%以上下がっています。つまり、短期的に言えば、アブダビ投資庁の投資は株価への影響はあまりない状況です。
参考記事:
AMD Sells 8.1 Percent Stake to Abu Dhabiまた、今回のCitigroupへの出資と似た様なケースとしては、Countrywide FinancialにBank of Americaが8月に20億ドル出資したものがあります。こちらは、発表直後は、市場は好感しCountrywide の株価は急上昇しました。当時、Bank of Americaは一瞬にして7億ドルの額面での上昇を手にし、一旦は非常にタイムリーな投資だともてはやされましたが、その後、Countrywide の株価は急降下し、現在では、額面上で10億ドルの損失となっているとのことです。
Bloomberg参考記事:
Bank of America's Countrywide Deal Loses $858 Million (Update1) これ以外の例としては、BlackstoneのIPOの際に、中国政府が30億ドルの出資を行いましたが、現時点では、額面上大幅な損失となっています。
INVESTMENT BANKING - PRIVATE EQUITY Beijing to buy Blackstone stake for $3bnこれらの投資は、全て長期的な視点で行われたものだと思うので、単純に今の時点で額面上損失が発生しているからと言って、失敗だったと結論づけるつもりは、ありません。しかし、今回のアブダビ投資庁の米シティへ出資も長期的な視野に立った上での投資で、短期的に市場にプラスになる様なことではないと思います。当たり前のことですが、これで、Citiが今抱えているクレジットの問題が解決するわけでもありません。
と言うことで、なぜ、このニュースで日本市場が反応したのか良く分かりません。ただし、日本市場はかなり売られて、値ごろ感が出てきているので、ちょっとしたニュースがきっかけで、市場に買いが集まる状態になってきているのかもしれません。
もしそうだとすると、日本市場が今後挽回が期待できる良い下地ができつつあるとも言えると思います。
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