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バフェット氏の話-その2 

昨日のエントリーの続きです。以下、昨日エントリーで引用したWSJの記事の邦訳です。

ここ数年もの間、全てのBerkshireの投資がうまくいったわけでは、もちろんありません。1998年に、バフェット氏は航空機の部分使用のリース会社のNetJets Incを、その会社の創業者との20分間のミーティングした後、7億2500万ドルの現金と株で買収しました。売り上げは急速に伸びましたが、その会社は、2003年に、ヨーロッパにおける厳しい競争の中、税引き前の損失として4100万ドルを計上したことを含め過去3年間、毎年赤字となりました。Berkshireが株式による4億2000万ドルで買収した靴の製造業のMaineのDexter Shoesは8年間低迷を続けました。そして、2001年の後半にBerkshireの別の事業部が吸収し、2億1900万ドルの損失を計上しました。

時折、その様な深刻な問題のため、バフェット氏は彼の干渉しないアプローチを放棄せざるを得なくなる場合があります。 数年前、Berkshireの再保険(保険会社が引き受けた保険の一部または全てを他の保険会社が引き受ける)の事業ユニットのGeneral Reにおいて、条件の悪い保険契約と複雑な金融派生(デリバティブ)製品による問題が表面化しました。バフェット氏は、株、債権、その他の証券に関する時価と密接に結びついた金融派生製品に対するその会社との関わりを減らす様に動きました。彼は、後に、それら(デリバティブ商品)を“金融の多量破壊兵器”だと呼びました。

今年の初め、取締り官がGeneral Reが2000年に行ったAIGとの取引に対して調査を開始しました。彼らは、AIGが投資家を欺くために帳簿の操作を行った疑いについて、そして、Berkshireの事業ユニット(General Re)の経営陣がその取引が不正なものであったことを知っていたかについて調査していました。バフェット氏は、調査官に対して疑いのある取引に関する詳細は知らなかったと答えました。調査官は、彼が不正に関わるどの様な告発も行っていません。

最近の水曜日の朝、ちょうど9時前に、バフェット氏は、ナンバープレートに“THRIFTY”(倹約な、と言った意味の他、繁栄、注意深い管理といった意味があります)と書かれたねずみ色の(slate: ちょっと紫がかった灰色)リンカーン・タウン・カーで、オマハのタウンタウンの駐車場に車を入れました。バフェット氏は、気力の衰えなどみじんも感じさせずに素早く歩いて、外には何も表示がない一階建てのBerkshireの本社のビルに向かいました。最近、医者の助言から、週に3日の個人トレーナーと運動する養生法を取り入れています。「私はいつも気分が良いです・」と普段の食事はハンバーガーとソフト・ドリンクに偏っているバフェット氏は言いました。

(コメント)今年のテレビのインタビュー(CNBCかFBNのどちらか)でバフェット氏は、「医者からワークアウト(日常の運動・トレーニング)をするか、それともハンバーガーをやめるか、どちらかにしなさい。」と言われて、ワークアウトをすることにした。と言っていました。

バフェット氏は、彼のアシスタントと簡単な会話をした後、急いで彼のあまり大きくないオフィスに入り、ドアを閉めました。そこには、コンピュータはありません。そして、株価を表示する機器や株の情報端末といったものもありません。彼は、テレビを無音声(ミュート)の状態にしたまま、ファイナンス・ニュースのCNBCに番組をセットします。バフェット氏は、外出の際、時々携帯電話を持ちますが、オマハでは携帯電話を使いません。彼は、電卓を机の上には置かず、殆どの計算を自分の頭でする様にしています。(することを好みます) 殆どの投資の判断に厳密・正確な数字は必要ない、と言っています。バフェット氏の机の後ろのキャビネットには、ウォールストリートの彼のブローカーに直通する二つの黒い電話があります。

バフェット氏がやっと落ち着いて席に腰掛けたところで、その二つの電話の一つが鳴りました。それは、彼の長年のブローカーのCitigroupのJohn Freundからの電話でした。Freund氏は、バフェット氏にBerkshire向けに積んでいる株式のポジションについて簡単に説明しました。「もし我々が数100万(株)買えているのであれば、それで結構です」とバフェット氏は言い、Freund氏にその日に彼がどれ位の株を買いたいのかの基準を与えました。(バフェット氏は、それがどこの株なのかについて明らかにすることは断りました)

その日の終わりまでに、バフェット氏はBerkshireの投資ポートフォリオ向けに14000万ドル分の株を購入しました。それは、多くのミューチャル・ファンドの総額に相当する額です。その様な大きな取引を行っているにも関わらず、バフェット氏の机には株の調査リポートの様なが散らかったりはしていません。「私は、アナリストや予言者を使いません」「もし私が使わなければならないとしたら、私はどれ(だれ)にすべきなのか分かりません」

Freund氏は、バフェット氏が株を買う際、彼は、他の投資家が判断する上で気にする事柄、例えば景気の状況などと言ったものにはあまり気を配らないと言っています。取引を行う上で「彼は、Fedが何を行おうとしているのか待ったりしません」、とFreund氏は言います。バフェット氏は、他の顧客よりも早く動きます。「投資コミッティー等はありません」「それが彼が即断できることを可能にしています」

バフェット氏は、Freund氏に多様な取引を行わせています。例として、2003年に、バフェット氏は中国の石油会社のペトロ・チャイナの株を購入しました。Freund氏は、香港の市場が始まるオマハ時間で午後9時にしばしばバフェット氏に電話をかけました。その時間は、通常バフェット氏が家でスウェット・シャツでリラックスしながらブリッジをオンラインで遊んだりしています。彼は、注文をするため、彼のゲームを中断します。

ある晩、2億株のまとまったペトロチャイナの株が市場に出た時、Freund氏はバフェット氏に彼がどの程度興味があるのか計るため電話をしました。「入札しましょう」とバフェット氏が言ったことをFreund氏は覚えています。その夜遅く、香港のブローカーはFreund氏に電話を折り返しかけてきて、バフェット氏向けに株を購入したことを告げました。Freund氏は、‘他の顧客であればその場合望むようなこと’、‘バフェット氏を起こし、取引の詳細を告げる’様なことはせずに、布団をかけなおし、再び眠りにつきました。 規定の申告によると、最終的にバフェット氏は総額4億8800万ドル分のポジションを構築しました。

バフェット氏は、一人の投資家として、“理にかなった”状態を維持する最良の方法として、意図的に湾岸(ウォールストリートを指すと思います)とは別の世界にいることを続けています。もし彼がある会社に投資することに興味を持った場合、彼は自分でファイナンシャルを勉強します。「私は、良い環境を作っています」「私がしなければならないことは、考えること、そして、他の人の影響を受けないことです。」

昨年、バフェット氏は、彼個人の取引口座向けに、買い始め、最終的に韓国の約20社の株を投資総額として1億ドル分投資しました。彼は、投資額はあまりにも小さいのでBerkshireのポートフォリオには適切でないと言っています。「離れて投資するものとして、これらはBerkshireの規模ではない」と語っています。

Citigroupがいくつかの顧客向けに用意した、韓国でまとめられた参考文書を一枚一枚を目を通しながら、彼は、(名前は明らかにされていない)それらの株を選択しました。その文書は、公開されている企業の情報が1ページにつきそれぞれ記載されているものです。「非常に低い収益倍率(注:低いP/E)、そして時として多くの余剰金と言うボーナスが追加されている見込みのある企業を探します。」と彼は述べています。株価が上昇した後、それらのいくつかは処分しています、一方で、彼はそれらはまだ安いと言っています。

(引用、一旦終わり)

今回も長い文章お付き合いくださいました方々、ありがとうございます。ちょっと中だるみ気味な部分もありますが、興味を引いた部分もあったかと思います。(なかったらすみません)以下の様な点、部分が私にとっては興味を引きました。

- バフェット氏の車とナンバープレート (プレートは米国では多少お金を払うと(高額ではないです)好きな文字を使うことができます。”THRIFTY"はバフェット氏らしい単語だと思いま
す。
- バフェット氏は仕事でPCを使わない (少なくとも2005年の時点では)
- バフェット氏はCNBCを見る(当時はCNBCだけでしたが、FBNも今年から始まったので、もしかしたら今はFBNかもしれません。)
- ペトロ・チャイナ株購入の部分 (これが2年前の時点だと言うことが重要だと思います。)
- 韓国の株購入の部分 (Citigroupがんばってますね。日本は?)

あと、もう一度で終わります。次の方が私にとっては印象的な話がありました。明日、エントリーする予定です。

この記事へのコメント

こんばんは(少なくとも日本では)。
迅速な更新、いつもながらとても驚いてしまいます!バフェット氏はデジタル化の流れに逆行しながら、必要な材料はCNBCという基本的な部分からのみ仕入れて投資判断されているのでは?と思います。同様の思考回路は、日本だと吉本隆明さんが「僕の情報源は新聞のみ」と『悪人正機』という著書でおっしゃてみえました。
色々と興味を惹く部分はありましたが、触れだすときりがないので^^;やめておきます。蛇足ですが、僕のブログからはリンクを張っておきましたので、もしよろしければalphaさんの方からも(お眼鏡にかなった時期にでも)して頂ければ幸いです。

ケングリフィーさん、

バフェット氏のやり方は、今の市場の一般的なアプローチとは大きく異なることは確かだと思います。今回の記事からも何となくイメージがわきますが、彼のやり方は、マクロ経済の動きを捉えた上で、大局的に判断するのではと思います。動かすお金も巨額なので、奇をてらったようなことはできないでしょうし、細かい情報などはあまり必要ないのでは、と想像しています。

しかし、それで驚異的なパフォーマンスを長年に渡って達成していることに畏敬の念を抱きます。

リンクくださったとのこと、ありがとうございます。近いうちにブログの構成、相互リンク、その他もろもろも含め、変更しようと考えているので、リンクに関しては、後ほど検討させていただきます。

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