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今日(12月14日)の米国市場 

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各主要インデックスの終値
Dow: 13339.85, -178.11 (-1.32%)
Nasdaq: 2635.74, -32.75 (-1.23%)
S&P 500: 1467.95, -20.46 (-1.37%)

本日は、朝に発表されたCPIの結果から、インフレ懸念が高まり、市場は下落して始まり、11時ごろまで一旦は戻したものの、その後は一貫して下落のトレンドに代わりそのまま終了しました。。

本日の主なニュース

発表された11月の消費者物価指数(Consumer Price Index)は、値動きの激しい食料品と燃料費を除いたコアCPIが前月に比べ0.3%の上昇で市場予想のコンセンサス0.2%を上回りました。昨年同期比で見た場合2.3%の上昇となっています。全体のCPIは0.8%の上昇で、こちらもコンセンサス0.6%に対して上回っています。11月のCPIの昨年同期比では、4.1%の上昇で、これは2006年の6月の同4.1%増を上回り、11月は過去2年間でもっとも上昇した月となっています。 
関連記事: UPDATE 1-US Nov consumer prices sharpest rise in two years

これにより、来年1月のFOMCでの金利引下げの可能性が低くなったとの見方があります。(下がったと言っても次回引き下げの可能性80%との事の様ですが、、、)
関連記事: US RATE FUTURES-Strong CPI puts damper on rate cut ideas

本日のWSJの記事で、Goldman Sachsが、サブプライム等の住宅ローンに対して、ショートをかけていたものが11月末までの時点で40億ドル近い利益をもたらしたとのことです。この利益により、住宅ローン関連の損失分15から20億ドルを相殺し、利益向上を見たらすだろうとことです。Goldmanは来週の火曜日に第4四半期の決算を発表する予定ですが、悪化する市場環境の中で、年間の利益として過去最高の110億ドルを記録する見込みであるとの事です。以下にWSJの記事のリンクを添付します。この記事は、かなり掘り下げた所まで書いてあります。お勧めです。
関連記事: How Goldman Won BigOn Mortgage Meltdown

Citigroupが困窮する傘下の7つのSIV(合計で現在490億ドルの資産価値)をバランスシートに組み込むことを発表しました。尚、添付の関連記事によると、8月の時点でのこれらSIV資産価値は870億ドルあったとの事で、現時点で40%以上下落しています。Citigroupの株価は本日1%下落しています。
関連記事: Citigroup says it will absorb SIV assets

Fannie MaeのCEO Daniel Muddが、住宅市場の回復は早くとも2009年の後半になるだろうとの見方を示しました。ただし、Fannie Maeはこの苦境を乗り越え、将来的には繁栄するだろうと語ったとのことです。Fannie Maeの株価は本日8セントの微減で終了しています。
関連記事: Fannie CEO: housing trouble until 2009

主なセクター・株の動き

(ファイナンス) Goldman, Morgan Stanley, Lehmanは上昇。それ以外のほとんどは、下落しています。

(住宅) 下落しているところが多いですが、下落幅はそれほどでもありません。

(小売) 主要な企業の多くは、下落しているところが殆どです。下げ幅はそれなりです。

(テクノロジー) 下がっているところが多いですが、RIMMは上昇、AppleとGoogleは下がりましたが、それ程ではありません。 Intelが3.2%、IBMが2.23%下がっているのが目立ちました。

まとめ・コメント

今日の市場は、発表されたCPI(消費者物価指数)が予想よりも高かったため、インフレの懸念が高まり、それにより今後のFedの金利引下げに対する制約となるだろう、との懸念が高まったことが下落の主な原因だと思います。

一方で、金利引下げの恩恵を直接受けるファイナンスや住宅関連のセクターはそれ程大きく崩れませんでした。2009年後半までは住宅市場が厳しい環境にある見込み、とのFannieのCEOの発言もあったにも関わらず、意外と底堅い印象を受けました。

しかしWSJのGoldmanの記事はかなりインパクトがあると思います。これだけ、クレジットの問題で多くの企業が巨額な損失を計上している中、利益を大きく上げるとは、すごいと思います。今年は過去最高の利益となる見込みで、ボーナスも巨額な支給額となるとのことです。ちなみに、Goldmanの場合、社員の給料、ボーナス、その他福利厚生向けに、165億ドルの資金を用意していることを先週明らかにしています。これは、社員数でわった平均で、62万2000ドル(1ドル113円換算で、約7000万円ちょっと)とのことです。
Goldman breaks Wall Street bonus record

話を市場の方に戻すと、今日の下がり方は、戻す所が殆どなく、下がって終了しているので、ちょっと心配な下がり方でした。来週はいよいよ主要投資銀行の決算発表、そしてBestBuy, Circuit City, Nike, FedEx, RIMM, Walgreen, Oracle等、セクターを代表する企業も決算を発表します。これらの結果がどうなのかも非常に注目です。

来週が何とか落ち着いて終了してくれるといいのですが、、、私は、再来週からクリスマス休暇の予定です。

それでは、皆様、良い週末を!!

(後記)

後で、日本時間の土曜日の夜遅くに、今週続けてエントリーしたバフェット氏の話の最後の部分を投稿する予定です。また、この週末に最新のバフェット氏の話(FOMCの日のCNBCのインタビュー)に関してエントリーする予定です。バフェット氏の話にご興味のある方、こちらも必見だと思います。


この記事へのコメント

 いつも貴重なリポートをありがとうございます。
米国株市場のセンチメントが日替わりで
強気弱気オセロゲームのように入れ替わるようで
その度に日本株が振り回される展開 疲れます。
 11月の米国の物価 インフレ懸念ですが
ドルが最安値 原油が最高値の11月でしたからね。
 市場が冷静さを取り戻せば 
フェドが1月末に利下げするシナリオは不変であるとして
米国株は13000ドルを割らないのか
それとも インフレ懸念に怯え続けて米国株が下落トレンドに転落してしまうのか
今からの一ヶ月間が正念場のように思うのですが...。
  • [2007/12/15 20:54]
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  • きょうのいのち
  • [ 編集 ]
  • TOP ▲

きょうのいのちさん、

コメントありがとうございます。お考えを書いて下さいまして、ありがとうございます。非常に参考になります。私の考え、見方を以下に書きます。

インフレに関してですが、米国で暮らしている立場としてみた場合、物価の上昇は明らかにあります。これは、数値で示している以上に感じる事です。尚、Fedは、変動の激しい燃料費と食料費を除いたコアCPIを重視する傾向にありますが、それに関しても、今回は上昇しています。月単位の発表なので、その数値だけをとって判断するのは難しいのですが、インフレに関しては今後も比較的高い数値で推移する可能性が高いと思います。(オイルが劇的に下落し、先物の食料品価格等が大幅に下がる等ない限り)

インフレ懸念も結局、Fedの金利政策に関しての影響として注目されている気がします。今の状況を考慮すると、Fed は今後も金利を引き下げざるを得ないと思います。しかし、一番重要な事は、米国経済・企業の収益が今後どうなるのかです。Fedの金利は薬の様な物で、一時的には株価等には(かなり)有効ですが、本質的には、米国経済、米国企業の収益がどうなっていくのかによって、市場の大きな流れは決まります。もちろん、Fedの金利政策によって、企業の収益が改善する手助けとなるのはまちがえないと思いますが、正直なところ、株式市場はかなり過剰にFedの金利政策に注目、反応していると思っています。

短期的には市場のセンチメントによって大きく変動したりしていますが、中長期的に見た場合は、経済の動向、企業の収益がどうなっていくかで、トレンドの方向性はきまります。

米国経済・企業の収益が堅調に推移するのであれば、株価は上昇して行きます。そうでなければ、金利引き下げがあって、一時的に持ち直したとしても、中長期的には下落して行く事になると思います。Fedが恐れているシナリオは、景気が悪化し物価が上がるスタグフレーションです。正直な所、”Fedが景気の先行きに懸念を示し、金利を下げると株価が上がる”構図は、景気が悪くなれば株価が上がる様な雰囲気があり、皮肉な物を感じます。

現在の状況に関してははおっしゃる様に、市場が最も気にしているのは、Fedの金利がどうなるか?インフレ懸念=Fedの金利引き下げの後退、の様に思います。私は、遅かれ早かれ、市場も本質的な注目点=経済動向と企業の収益動向に目が移って行くことと思います。

DOWの水準が13000で高いのか、低いのかに関しても、Fedの金利でなく、構成企業の収益動向から見てどうなのか、に視点は移って、それで決まってくると思います。私は、市場がいつそういった視点(Fedの金利政策より米国景気:もちろんこの二つは密接にからんでいますが、、、)に変わって行くのかに注目しています。

とりとめもない、長いコメントになりすみません。

Alpha 様、こちらこそ ありがとうございます。

 日本におりますと、米国株市場のセンチメントが気になります。
確実に増している過剰流動性が どの程度 米国株の下支えになっているのか
今後も どの程度 なり続けるのか 
そして半年先を予期して動くと言われる株市場が
業績の悪化を織り込んでしまうのが いつ頃になるのか
 これらを考慮するポイントの重要なひとつとして
私は利下げのペースに注目しております。
 更に 金融機関が悪い膿を出し切ってリスタートを可能にするためにも
インフレ懸念に目をつぶって利下げせざるを得ないはずだと
個人的には考えておるのですが...。
 
 13000ドルを割り込むと チャートが 
いずれ三尊天井になってしまうのではないかと思われまして
心配なものですから 気にしております。
 
 今後も貴重なリポートを どうかよろしくお願いいたします。拝。
  • [2007/12/16 12:40]
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  • きょうのいのち
  • [ 編集 ]
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きょうのいのちさん、

ご丁寧なお返事ありがとうございます。お考えになられていることをご説明下さいましてありがとうございます。市場には、色々な人が参加して、当然の事ながら考え方も人それぞれだと思うので、自分以外の方の見方を知る事は非常に参考になります。私も、将来的に過剰流動性が市場に与える影響に関して、気にしています。いろいろなシナリオが考えられると思います。

完全に個人的な意見ですが、ここ最近の市場は半年先の状況を取り込んでいるとはとても思えません。今の株価水準は、市場がソフトランディングとなることを前提にしているのかもしれませんが、、、と自分で言っておきながら、適正な株価水準と言う事自体が非常にあいまいですし、高いか、安いか、と言った事も、非常に感覚的なものだと思います。私はあまり高い、安いと言う事は考えない様にしているのですが、感覚としてはそう思っています。

利下げに対しては、インフレ懸念、スタグフレーションへの懸念等がありますが、Fedはその様なことより景気てこ入れのため、利下げを続けざるおえないと思います。(よほど劇的にクレジットの問題が解決して、米国経済が確実に回復している様な兆候がない限り。)

株価の動向は、来年第1四半期の企業の決算結果動向と今後の見通しによって大きく動いて行く様に思います。それまでは、センチメント主体の値動きが続くのでは、と予想しています。

今後ともよろしくお願いいたします。

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