Warren Buffett, UnpluggedBy SUSAN PULLIAM and KAREN RICHARDSON
November 12, 2005
(以下、上記のWSJの記事の邦訳です)
(今週前半のエントリー”バフェット氏の話 –
1,
2,
3”の続きです。)
その日の午後、バフェット氏は再保険を扱うNational Indemnityの経営者Ajit Jainに電話をかけました。その時、メキシコ湾でハリケーン・リタ(元のWSJの記事ではウィルマですが、WSJは後に訂正しています)が勢力を強めていました。Jain氏との5分間の会話の中で、バフェット氏が”スーパーキャッツ“または大災害(の保険)に対するバークシャーの(再保険事業)の関わりを大幅に削減する判断を昨年下したことが話題となりました。
「もし今年のハリケーン勢(複数)が昨年、または2~3年前に起こったとしたら、我々のロスは割合としてどれ位の損失になっていたと思いますか?(バフェット氏の決断が実行される前)」とバフェット氏は、Jain氏にたずねました。
「最悪の場合、100%です。」とJain氏は答えました。 (災害に対する)関わりを削減したにも関わらず、バークシャーは、その年(2005年)の第3四半期は、ハリケーン等によって約30億ドルの損失を計上、前年の同期と比べ48%下落の5億8600万ドルの純利益となっていました。(つまりバフェット氏の判断によって、被る可能性があった損失を大幅に減らし、ハリケーン関連の損失を含めても、全体としては黒字の決算となった。)
ハリケーン等に対する(保険の)関わりを減らすことにした様なバフェット氏の判断は、彼の後継者への継承を難しい問題にさせています。54才のJain氏は、バフェット氏が取締役会に推薦した彼の後継者の3人の候補者の一人と思われています。
(バフェット氏の)後継問題は、最近の取締役会において大きな議題となっています。「我々は、その事にたいして最近まで(やらずに)引き延ばしてきましたが、今は多くの時間を費やして積極的に取り組んでいます。」とバークシャーの81才の副会長でバフェット氏に最も近い補佐役のCharles Munger氏は語っています。
「もう一人のウォーレンを得る可能性はゼロです。」とMunger氏は語ります。しかし、バークシャーがそのことで困難な状況に陥る懸念を否定しています。彼は、バークシャーは、“関連会社・子会社の事業ユニットに対する強力な独自の判断権限を与える事と官僚主義を嫌う文化”で引き続き非中央集権の体制で運営されるだろう、と語っています。「バフェット氏に推薦された3人の候補者は、バークシャーに“たくさんの良いオプション(選択肢)”を提供してくれています。」
バフェット氏は、過去数年の間、多くの魅力的な投資案件が見つからなかったため、バークシャーに約400億ドルの現金が蓄積することを許容してきました。何人かの投資家は、(バークシャーの)株主達は、その様な巨額の現金を会社が持ち続けることに対して、バフェット氏がいなければ、我慢し続けることはできないだろうと考えています。
バフェット氏の後継者は、投資案件や買収の選択において、バフェット氏が行うのとまったく同じ様にはできないでしょう。 バフェット氏は、(その会社を)見れば魅力的な買収案件(かどうか)が分かると言います。「もし、それが5分から10分で分からなければ、」「10週間たっても分からないでしょう」とバフェット氏は言っています。
(引用終わり)
4回に渡ってしまいましたが、これでWSJの記事は終わりです。皆様の参考にはなりましたでしょうか? このWSJの記事は、私にとっては、新らたなバフェット氏の一面を知る機会となりました。バフェット氏の投資手法は非常に有名ですが、投資にいたるまでの判断過程、買収した企業の運営の仕方等に関しては、私は知りませんでした。記事の中でも何回か触れていますが、バフェット氏の投資の判断に費やす時間はかなり短いようです。巨額な投資の判断を非常に短時間で決め、長期的にわたり成功を収めていると言うのは、驚異的です。また、買収した企業に経営を任せ、それで大きく成功させていると言うのも、並大抵のことではないことだと思います。 今回のエントリーの部分は後継者問題について取り上げていますが、それから2年後の今はかなり落ち着いてきたように思えます。
2年前の記事でしたが、バフェット氏が言っていることは、今言っていることとまったくずれていません。本当に、彼のスタイル・発言は首尾一貫していると思います。尚、今週火曜日(12月11日)のFOMCのミーティングの日にCNBCがバフェット氏にインタビューを行いました。このインタビューに関しても、この(米国時間の)週末に取り上げる予定です。