各主要インデックスの終値Dow: 12589.07, -238.42 (-1.86%)
Nasdaq: 2440.51, -58.95 (-2.36%)
S&P 500: 1390.19, -25.99 (-1.84%)
本日の米国市場は昨日終値を挟んで上下に推移していましたが、午後2時半頃から急速に下落して、終了しています。AT&TのCEOが消費者の需要が落ちてきているとのコメントをBloombergが報道したニュースが、急速な下落のきっかけとなったようです。
本日の主なニュース今日の午前中に、低価格の住宅建築販売の大手のKB Homeが昨年11月末締めの四半期の結果を発表しました。結果は、7億7270万ドル、一株当たり9ドル99セントの損失でした。この四半期に、4億340万ドルの税引き前における売れ残っている在庫の損失を計上したと発表しました。売り上げは20億7000万ドルで、昨年の30億100万ドルから大幅に減少しています。(ただしアナリストの売り上げの予想はそれよりも低い17億1100万ドル) KB Homeの株価は本日9.2%下落しました。
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KB Home Posts Wider 4Q Loss, Shares Fall今日の午前中にCountrywide Financialが今週Chapter11を申請するとの噂が流れ、NYSEでの取引が一旦停止となりました。Countrywideは噂を否定する声明を発表し取引は再開されましたが、株価は本日28.4%も下落しています。
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Rumors Crush Countrywide住宅ローン関連の損失で経営が悪化しているE-Tradeは、さらなる追加資金の確保が至急必要となるであろうとの見方からEgan-Jones RatingがレーティングをCCCに引き下げたことを発表しました。E-Tradeの株は本日、20.49%の大幅な下落となっています。E-Tradeの株価は昨日も大きく下がっていました。
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E-Trade Shares Slump to All-Time Low尚、上記のニュースは本日午前中には明らかになっていたもので、その時点での市場全体の水準は昨日とあまり変わっていませんでした。ところが、冒頭に述べました、午後2時過ぎに発表されたBloombergのニュースから、市場は一気に下落となりました。
声明の内容に関しては、Bloomberg他のメディアの報道によると、CEOのRandall Stephensonが「消費者向けの事業が景気の影響で軟調になってきている」と述べ、料金の日払いなどから、ハイスピードのインターネット(DSLが中心だと思います)や電話の接続の差し止めが増えていることを明らかにしました。尚、住宅向けの電話事業は、AT&Tの売り上げの約20%を占めているようです。(添付Bloombergの記事から)
Stephenson氏は、企業向けの事業に関しては、まだ、問題は出てきていないものの、今後の先行きに関しては不透明な部分があると、語ったとのことです。
尚、注意したいのは、AT&Tはこの発言をしながらも、2008年の利益予想に関しては、引き下げておらず、二桁の伸びを見込んでいると、Stephenson氏は語っているとのことです。この予想の前提として、ソフトランディングのシナリオを想定しており、この最悪のケースのシナリオとして、リセッションがこの先数年続く、と言ったようなものを想定した上ではないと、語っています。
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AT&T Drops Most in 5 Years on Consumer `Softness' (Update3)主なセクター・株の動き(ファイナンス) 主要なところは全て下落しています。下落幅は数%のところが多いです。下落が激しかったのは、上で述べたCountrywideとE-Tradeでした。
(住宅) KB Home以外も大きく下落しています。下落が多いのは、Meritage Homes 14.39%, Lennar 7.29%等でした。
(小売) 下がっているところが多いですが、主な所で、Targetは0.05%の微減、Wal-Martは1.27%の下落等、下げ幅はそれ程大きくないところが目に付きました。
(テクノロジー) 本日もセクターとして大きく下がっています。一方、昨日大きく下落したNVidiaは今日は上昇しています。
まとめ・コメント今日は、上の主なニュースで書いた様に、午前中にKB Homeの予想を上回る悪い決算結果発表、Countrywide破産の噂、E-Tradeの資金繰りの悪化などのニュースが報道される中でも、市場は大きく崩れていなかった(個別の株は大きくさがっていたものもありました。)のですが、AT&TのCEOの発言をきっかけに大幅な下落となったことが、非常に印象的でした。恐らく、今回のAT&Tのニュースによって、米国経済のリセッション入りはほぼ確定したとの認識が強まり、売りが殺到したためことが、下落の大きな要因のようです。
AT&Tのニュースについて上にも書きましたが、CEOのStephenson氏は、コンスーマー市場が軟調になってきていることを明らかにしたものの、2008年の利益見込みに関しては、予想を変えていません。今回の下落は、昨年第3四半期の決算発表でCiscoのChambers氏が同じ様に業績の予想は変えていないにもかかわらず、米国内の企業向けのビジネスの受注が落ちてきていると語り、市場が大きく下落したパターンと似ています。
ただし、市場全体の状況に関しては、明らかに悪くなってきているので、今回のAT&Tのニュースは、AT&Tの業績に関連してと言うよりも、米国景気のリセッション入りの認識を強める引き金となったと言う意味合いが強かった様に思います。
ある程度予想していたことですが、Countrywideの倒産の噂等もでてきており、今後、景気が悪化した場合は、(Countrywideがどうか、と言うことではなく)大手企業の破産申請等も出てくる可能性が少なからずあります。
今日も含め、今年に入って市場全体が大きく下落していますが、今の時点での下落の要因は、楽観的な見方が完全に打ち消されつつあることによる、市場全体の失望が中心となっていると想像しています。来週以降に第4四半期の決算発表が本格化しますが、その結果が現在の市場心理と比べてどうなのかによって、大きな動きとなる可能性もでてきているのでは、と思います。
第4四半期の結果が予想以上に悪い場合は、リセッションになったとの認識になりさらに下落することも考えられます。また、そこそこ良かったとしても、今後の見通しがどうなのかによっても、市場の反応は変わってくると思います。それ程、悪いのでなければ、1月終わりのFOMCでのFedの金利の大幅な引き下げに期待は移る可能性もあります。
個人的には、企業決算の結果が、同じセクター内で良い企業と悪い企業の差が明確になってきて、それが、株価の方でも反映されて来る様に思います。何度も書いていますが、私は、短期的な大きな山場は来週以降の主要企業の決算発表結果だと思っています。