各主要インデックスの終値Dow: 11971.19, -128.11 (-1.06%)
Nasdaq: 2292.27, -47.75 (-2.04%)
S&P 500: 1310.50, -14.69 (-1.11%)
本日の主なニュース高まる景気の先行きの不安、株式市場の大きな下落から、Fedが1月末のFOMCを待たずに0.75%の大幅なFF rateの引き下げを発表しました。0.75%の引き下げ幅は、過去23年間で最も大きく、また、FOMC前の緊急の金利引下げは、2001年の9月11日のテロの後に行われた9月17日の緊急利下げ以来のことです。
FOMCプレス・リリース上記、プレスリリースの中で、インフレに関しては、この先数四半期で緩やかに推移するだろうと予測しているものの、引き続き注意してモニターしていく、と書かれています。
尚、今回の緊急な大幅な引き下げにも関わらず、金利の先物市場の動向から、74%の確率でFedが来週のFOMCで更に50bpの金利引下げを行うと見ているとの事です。また、年の中頃までにFFレートは2.25%になると予測されているとの事です。
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Fed slashes rates本日朝に、Bank of AmericaとWachoviaが2007年第4四半期の結果を発表しました。
Bank of Americaは、純益が95%減の2億6800万ドル、一株当たり5セントでした。(昨年同期は、52億6千万ドル、EPS1ドル16セント) アナリストの事前予想の平均は、EPS19セントで、結果は予想を下回りました。今回の決算でCDO関連で52億8千万ドルの損失を計上したことが減益の大きな原因となったとの事です。株価は、発表後の朝は下落して始まりましたが、その後上昇し、結果的には3.95%の上昇となっています。
Wachoviaは、四半期の利益が5100万ドル、EPS3セントで、昨年同四半期の23億ドル、EPS1ドル20セントから大幅な減益となりました。買収関連の費用を除いた利益は1600万ドル、EPS8セントで、アナリストの事前予想のEPS32セントを大幅に下回りました。Wachoviaも今回の決算で、CDO関連で17億ドルの損失を計上し、これが、大幅な収益減の理由との事です。株価は、先週末比で3.6%の上昇となっています。
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Bank of America, Wachovia profits nearly wiped out(コメント) 上記関連記事の中で、WachoviaのCFO Tom Wurtz氏は、ホームエクイティ関連で、多くの銀行が2008年に更に大きな損失を被るだろう、とインタビューで答えています。2007年はサブプライム関連の損失、そしてそれに関わるCDO等からの損失が主でしたが、住宅価格の下落などから、今後はホームエクイティ・ローン関連の問題とその損失に移っていくことを示唆しています。
市場終了後に、AppleとTIが決算を発表しました。
Appleの昨年12月29日締めの第1四半期決算は、EPS1ドル76セント、15億8000万ドルの利益でした。(昨年同四半期はEPS1ドル14セント、10億ドルの利益) アナリストの事前予想の平均はEPS1ドル62セントでした。
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Apple Reports First Quarter Results Appleの株は、本日3.54%の下落で、決算発表後のアフターアワーズではさらに10%も下落しています。
下落の理由は、CFOが発表した今後の見通しがアナリストの予想よりも低かったため、失望を買ったようです。
Apple Forecast Disappoints Wall StreetTIの第4四半期の結果は、7億5600万ドルの利益、EPS54セントでした。アナリストの事前予想はEPS52セントで、それを上回りました。第1四半期の利益の予想はEPSで43セントから49セントで、アナリストの予想平均の45セントの範囲内でした。株価は、本日1.63%の下落でしたが、アフターアワーズデは2.8%の上昇となっています。
Texas Instruments 4Q Profit Up 13 Pct.主なセクター・株の動き(ファイナンス) 主要な企業は殆ど上昇しています。その中で、Citiは0.2%下落しているのが目を引きました。大きく上昇したのは、Morgan Stanleyで7.58%の上昇でした。
(住宅) 主要な企業は殆ど大きく上昇しています。特に目立ったのは、KB Home 8.59%, Meritage Homes 9.97%, Centex 8.47%, それぞれ上昇しています。
(小売) 主要な企業は殆ど上昇しています。大きく上昇したのは、Lowes 10.59%, Home Depot 7.31%, Target 7.45%などです。
(テクノロジー) Apple, Google, Intel, Yahoo, TI, HP, IBM等、主要な企業は殆ど下落してます。
まとめ・コメントアジア、ヨーロッパの市場が月曜日大きく下落した後、開始した本日の米国市場は非常に大きな値動きを見せました。特に、Fedが0.75%の大幅なFF金利の引き下げを緊急発表したこと等から、朝方の大きな下落からは大きく戻す等、非常に激しい値動きをしました。
市場全体が下落した中で、ファイナンス、住宅、小売のセクターでは、殆どの企業の株が上昇し、一部は10%近い大きな上昇となりました。特にBank of AmericaとWachoviaが決算発表を行い、アナリストの予想を下回ったにもかかわらず、株価は上昇し、反対に、アナリストの予想を上回る結果を発表したAppleの株はアフターアワーズでですが、10%以上の下落となっていることが非常に印象的です。
株価は、買い手と売り手の存在によって決まるので、単純に言うと、買いたい人が多ければ上がり、売りたい人が多ければ下がるわけなので、企業決算や収益動向などから見たバリュエーションから乖離する場合も当然あるので、変にこだわると痛い目にあうので(既にものすごく痛い目にあっています)、注意しなければと思っています。
今週発売のBarron’sに書いてあることが、今の市場関係者の見方を端的に表している気がします。
市場関係者の間では、ファイナンス・セクターは今後大きく上昇する、との見方が強くあり、一方、順調なハイテクの有力企業(Apple, Google, RIMM等)は下落の可能性が高いと見ているようです。今日の決算発表と株の動き等をみると、まさに、この傾向が端的に表れている様に思えます。
Fedの金利引下げに関しては、かなり積極的に動いているようですが、市場関係者は今回の緊急値下げは、ほぼ予想通りで、さらなる金利引下げを期待している向きが支配的の様です。(このことは個人的には、非常に驚きですが)Fedの金利の引き下げは、今まで株式市場に対して、非常に大きい影響力を与えてきましたが、個人的には、その効力と持続期間がどんどん低下・短くなってきているように思えます。
ファイナンス・セクターは昨年初めと比べかなり下がりましたが、今後の収益動向はまだまだ厳しい状況が続くと思います。 特に、今日のWachoviaのCFOの発言にもありましたが、住宅価格が低下することにより、ホームエクイティ関連の損失は増えていく見込みであるにもかかわらず、ファイナンスセクターに関しては再び楽観的な見方が復活してきました。確かに、Fedの金利引下げと今後の更なる積極的な金利引下げは、ファイナンス・セクターにとってプラスの材料ではありますが、個人的には、底はまだまだ下にあると思っています。
明日は、多くの企業が決算を発表します。ここまでの展開は、予想を下回る決算を発表しても上がるファイナンス・セクター。ほぼ予想通りの好決算を発表しても、先行きの不安が(必要以上に)高まって、大幅に下落するテクノロジー・セクターと言った傾向が続いています。ハイテク関連では、明日はMotorola、E-Bay、そしてBarron’sでSamberg氏が推奨しているQualcomm等が決算を発表します。明日はどうなることでしょうか?
短期的には、上に書いたような傾向が続きますが、遅かれ早かれ、企業決算の収益を基にした値動きに戻ると思っています。ただし、それがいつになるのかは、分からないので、変に固執しないように自分に言い聞かせています。Value投資家にとって、絶好の買いの状況になってきているにもかかわらず、含み損を抱えてしまっている自分が情けない、と痛切に感じています。
当面は、動く予定はありません。この様な状態こそ、冷静な判断が要求されると思います。今、戦略の大幅な見直しと今後の計画を立てています。がんばっていきたいと思います。