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今日(1月28)の米国市場 

28-Jan.png

各主要インデックスの終値
Dow: 12383.89, +176.72 (+1.45%)
Nasdaq: 2349.91, +23.71 (+1.02%)
S&P 500: 1353.97, +23.36 (+1.76%)

市場開始後はマイナスでしたが、その後上昇に転じ、先週末に比べそれなりに大きく上昇して終了しました。 今日も、値動きが大きい一日でした。

本日の主なニュース

発表された07年12月の新築住宅の販売状況は、11月に比べ4.7%減少し、年換算で60万4000戸の販売のペースでした。このベースは、1995年からで、最低のペーストです。2007年の販売戸数は77万4000戸で、昨年に比べ26%減、販売数量としては1996年の75万7000戸に次いで最も低い数字とのことです。販売価格の中央値は、21万9200ドルで、昨年同期に比べ10.4%の下落となりました。この結果は、事前の予想よりもさらに悪い数字でした。
New home sales plunge record 26 percent in '07

マクドナルドの第4四半期の結果は、利益が20%増のEPS73セントで、アナリストの事前予想を2セント上回りました。売り上げは、6%増の57億5000万ドルで、こちらも予想を上回っています。ヨーロッパの既存店の販売は8.3%増と好調でしたが、米国の既存店の販売は第4四半期で3%増、12月は伸びはありませんでした。また、1月の米国の既存店販売の売り上げの伸びは1.5%程度(昨年は3.6%増)だろうとの見方を示しました。このことから、今後減速するのではないかとの不安が高まり、株価は本日5.6%減となりました。
McDonald's Falls 6% On Soft U.S. Sales

市場終了後に、アメリカンエクスプレスが昨年第4四半期の決算を発表しました。利益は10%の減益で、売り上げはアナリストの予想を下回りました。純益は8億3100万ドルで、EPS71セント、売り上げは73億6000万ドルでした。(EPSはアナリスト予想通り。尚、1月の10日にEPSは70セントから72セントの間との見込みを示しているので、予想通りなのはある意味当然) カンファレンスコールで、CFOのDan Henry氏は第1四半期の利益は昨年とほぼ同じレベルだろうとの見方を示したとの事です。株価は、本日は4.31%上昇しましたが、決算発表後のアフターアワーズでは2.89%下落しています。
American Express profit down 10 percent

また、市場終了後に、昨年IPOし絶好調だったVMWareが第4四半期の決算を発表しました。利益は7800万ドルで、EPS19セントで、昨年の3100万ドル、EPS9セントからは大きく伸びましたが、アナリストの事前予想を下回ったため、発表後のアフターアワーズでは26%以上の下落となっています。尚、本日の日中は3.04%の上昇でした。
UPDATE 3-VMware revenue falls short, shares tumble 26 pct

(コメント)
VMWareの株価は、昨年のIPO後、急激に上昇していましたが、昨年10月から少し調整になっていました。それでも、現時点でのトレーリングP/Eで166でオーバーバリュー気味だったので、今回の結果で大きく調整することはある程度いたしかたない様にも思えます。ある意味、勝手に必要以上に盛り上がって、期待通りに行かなかったので今度は大幅な調整と言った様な形になってきています。これは、ハイテク株のIPOでは、昔はよくあったパターンですが、今後の市場にどの様な影響を与えるか、と言ったような点で注意して見ています。

主なセクター・株の動き

(ファイナンス) ほぼ全て順調に上昇しています。

(住宅) 絶好調です。目に付いた所で、Lennar 8.95%, KB Home 8.92%, Centex 8.57%, Meritage Homes 7.75%,等、大幅に上昇しています。

(小売) ほぼ全ての株が順調に上昇しています。

(テクノロジー) 上昇する企業が多い中、Google(1.84%減),Yahoo (5.29%減)が下落しているのが目に付きました。Microsoftも少しですが下落しています。

まとめ・コメント

今日もかなり荒い値動きでしたが、市場全体が結果的には順調に上昇しています。市場全体の上昇の主な要因は、今週水曜日にFedが金利を引き下げることを発表する期待からとの見方が支配的です。25bpはほぼ確実、50bpの引き下げを予想が高まっています。

セクターとしては、新築住宅の販売が予想を下回る非常に悪い結果であったにもかかわらず、住宅セクターが絶好調だったのが印象的です。これは、明らかにFedの金利引下げによる状況の改善への期待だと思います。Fedの金利政策に加え、ブッシュ政権の景気刺激策の中でもFannie MaeとFreddie Macが融資する住宅ローンの上限を従来の41万7000ドルから、72万9750ドルに一時的に大幅に引き上げる案が含まれていることも多少なりとも、ここ最近の住宅メーカの株価向上に、寄与していることと思います。

それにしても、住宅メーカーの株価の上昇はかなり極端な様な気がします。しかし、Fedの金利の積極的な引き下げ機運からファイナンスやその他のセクターの株価はかなり改善してきています。

一方で、注目は上でも書いたマクドナルドの決算結果とそれに対するアフターアワーズでの株価の反応です。売り上げ、利益ともアナリストの予想を上回り、米国外のビジネス比も高く、海外のビジネスも順調に伸びている内容でしたが、米国の売り上げが失速していることが、非常にネガティブに受け取られていることが、特に印象的です。最近の株価の動きの傾向として、ハイテク株にこの傾向がかなり強いものを感じていたのですが、ハイテク株だけではなく、国債優良企業のマクドナルドも同じような扱いをうけたことが、現在の市場のトレンドをある程度端的に示している様に思えました。

ここのところ大きく下げていたAppleは、今日はほぼ変わらずでやっと落ち着きつつあるか、と言った状況に思えます。一方で、本日多くの企業の株価が上昇する中、Googleが下がっていることも注目です。こちらも、Appleの株価の様な状況になる懸念から多少調整が進んでいるのでは、と想像しています。

テクノロジー関連では、市場終了後にSandiskが第4四半期の好決算を発表しましたが、今後の見通しが失望を買い、アフターアワーズで5.87%の下落となっています。これは、ここ最近の典型的なパターンではありますが、マクドナルドの結果と株価の動きを含め、今後の市場動向がどうなるのか注目しています。

明日も多くの企業が決算を発表します。ここ最近の市場は一日の変動幅が非常に大きいのですが、Fedの金利発表一日前なので、多少様子見といった形で落ち着くかもしれませんが、やはり落ち着くのはFedの金利発表後になるかと思います。一方で、発表後から非常にはっきりした市場トレンド(個人的には、下落トレンドの可能性が高いと思います。)になる可能性もあるのでは、と思います。

この記事へのコメント

初めまして

Alphaさん

いつも貴重な情報、ありがとうございます。当BLOGを拝見すれば、米の動向がとてもよく分かります。勉強になることばかりで感謝しております。

Alphaさんにご質問なのですが、記事の終盤で、

>個人的には、下落トレンドの可能性が高いと思います。

と書かれておりますが、ベア相場入りしたとお考えでしょうか?私はベア相場入りしたと個人的には思っております。問題は回復までどのくらいかかるのかだと思っております(ITバブル崩壊では回復するまで、結局6年以上の時間を費やしたと記憶しております)

Alphaさんはどのようにお考えでしょうか?

siroさん、

はじめまして。コメントありがとうございます。

頂いた質問に関してですが、siroさんが聞かれているポイント、ベア相場入りしたのか?、したとした場合、次の相場トレンドの転換までどれ位の期間がかかるのか?、私が現在気にしていることとかなり近いと思います。

ご存知の通り市場は、上昇基調が長く続いていましたが、昨年の後半から今年にかけて、大きく調整してきています。特に、年が明けてから、今の時点までの下落の幅、ペースはかなりのものです。

これで、市場のトレンドが下落基調へと転換した(ベア相場への転換)、それとも、調整がある程度進んだ時点から、再び上昇へと戻すかどうかは、短中期的、またはシナリオの動向によっては、長期的にも非常に重要な局面にあると言えると思います。

株式市場のトレンドは、短期的には多少のギャップはあっても、基本的には景気・経済動向と同期しているので、景気の動向が今後どうなるかで、決まってくると思います。

米国の住宅市場は、昨年から明確に低迷の状況にあり、さらに状況は悪化してきている状況です。ファイナンス・セクターに関しても、状況は当初(一般に)予想されていたよりも悪化、混迷の一途をたどっています。自動車業界に関しても、需要の低迷、特に米国メーカーに関しては、市場のトレンドが低燃費の経済性の高い乗用車への人気へのシフトも会って厳しい状況が続いています。また、ここに来て、小売店の販売等、米国の消費者支出に関しても、今後停滞する可能性がでてきていることや、失業率の上昇等の不安要因も高まっています。

これらの状況を考えた場合、景気がスローダウンしている事は疑いのない所だと思います。景気がいつ再び上昇基調に転じるのか?が、現在の市場の状況が’ブル相場においての(大きな)調整’または’下落トレンドへの転換’のどちらであったとしても重要だと思います。

景気の動向を見る上では、企業の収益動向は重要です。第4四半期の決算結果発表が続いていますが、企業決算は全体としては、堅調に推移している会社も多く見られます。企業決算から見た場合は、セクターにもよりますが、景気が明らかに低迷しているとまで、言い切れるかどうか、微妙な所だと思います。

ちょっと長くなってしまいましたが、ベア相場入り(=リセッション入り)したかどうかのトレンドの判断は、企業の第1四半期の結果発表の内容でかなり明らかになってくるのでは、と思います。

個人的には、今の状況を考えると、景気の回復がそんな簡単に進むとは思ってはいません。一方で、ハイテクのセクターに関しては、多少の景気の停滞があったとしても、かなり堅調に推移すると思っています。

尚、ITバブル崩壊後、市場が上昇に転じたのは2003年の後半だったので、トレンドの転換するまでは約3年かかりました。ご存知の通り、2000年のピークの数値と比べた場合、Nasdaqは未だにかなり低いレベルにあります。’回復’の定義がピーク時のレベルを超えると言う事であった場合は、Nasdaq市場はまだ完全に’回復’していない。と言えます。

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