昨日のエントリーのセクションの訳の続きです。
2008年2月29日に掲載されたウォーレン・バフェット氏の株主向けの文書をセクション毎に訳した物です。
http://www.berkshirehathaway.com/letters/2007ltr.pdf
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バフェットからの手紙 (4)- 2007年版の続き)
それでは、夢の事業の試作品、我々の所有するSee’s Candyを見てみましょう。箱詰めのチョコレートの業界で事業を営むことは、興奮するものではありません。米国での一人当たりの消費は非常に低く、伸びていません。多くの一時期有名(重要)だったブランドは姿を消しています、そして、過去40年に渡って一定の利益を上げているのはたったの3社だけです。実際のところ、See’sは売り上げのほとんどを数少ないいくつかの州で上げていますが、それが業界全体の利益の半分近くに達している、と見ています。
Blue Chip Stampsが1972年にSee’sを買収した際、See’sは1600万ポンドのキャンディを一年間に販売していました。(チャーリーとわたしは、Blue Chipをその時傘下に収め、後にバークシャーと合併させました)昨年、See’sは3100万ポンドを販売しました。年間の伸びはたったの2%です。しかし、50年以上の期間に渡ってSee’s一家によって築き上げられた継続性のある競合力(競争における優位性)は、そしてChuck HugginsとBrad Kinstlerによってそれを引き続き強化されててきました。それがバークシャーとって素晴らしい結果を生み出し続けています。
我々は、See’sを2500万ドルで購入しました。その時の売り上げは3000万ドルで、税引き前の収入は500万ドル未満でした。そして事業を運営する上で必要な資本は800万ドルでした。(毎年数ヶ月間、一時的に必要となる借入金が多少(それ程多くない)必要でした。従って、その会社(See’s)は運営するのに投資した資本に対して税引き前で60%の収入を得たことになります。二つの要素が、運営するのに必要となる資金を最小限に留める事に役立ちました。第一に、製品は現金での販売、そしてそれにより、売掛金はありませんでした。第二に、製造と供給のサイクル(周期)は短く、それが在庫を最小にしていました。
昨年のSee’sの売り上げは3億8300万ドルで、税引き前の利益は8200万ドルでした。運営するための資本は4000万ドルです。これは、1972年以来、それなりの規模の拡大 - そして、事業のそれなりの経済的な伸びを得るために、我々がしなければならない再投資が3200万ドルしか必要とならなかったことを意味します。
そしてその間に、税引き前の収益は合計で13億5000万ドルに達しています。その3200万ドルを除いた全ては、バークシャーに送られ続けています。(あるいは、初期の年代では、Blue Chipに対して)収益から法人税を支払った後、残り(収益)を他の魅力的な事業を購入するのに使っています。ちょうどアダムとイブが営みを始め、それが60億の人間を導いた様に、See’sは我々に複数の新たな現金の収益源を生み出し続けています。(聖書の教え、”be fruitful and multiply”は、バークシャーにおいて我々が真剣に考慮する事です。
米国において、See’sの様な企業は多くありません。通常は、企業が収益を500万ドルから8200万ドルに伸ばすためには、おおざっぱなところで、その伸びに対して4億ドル程度の資本投資が要求されます。なぜなら、事業を成長させるためには、売り上げの増加に伴って運営する上で必要とされる資本が増加し、そして巨額の固定資産の投資が求められるためです。
その会社の成長を高めるために資本の大幅な増加が必要な会社は、満足のいく投資としてうまく証されるかもしれません。我々の例として上げた、4億ドルの純資産で8200万ドルの税引き前利益をあげることは、決して悪くないと思います。しかし、その様な比較は、(企業の)オーナーにとって、See’sの状況とは大きく異なるでしょう。実質上巨額の資本が必要なく、 収益が絶え間なく増加する方がはるかに良いに決まっています。マイクロソフトやグーグルに聞いてみて下さい。
(取りあえず、ここで一旦終了します。このセクションはまだ続きます。明日以降のエントリで続きを取り上げる予定です。)