主要インデックスの終値DOW: 12392.66 +420.41 (+3.51%)
Nasdaq: 2268.26 +91.25 (+4.19%)
S&P500: 1330.74 +54.14 (+4.24%)
本日は、市場開始前に発表されたLehmanとGoldmanの四半期の結果が予想よりも良く(予想程悪くなく)、順調なスタートをきりそのまま上昇し、FOMCの発表を待ちました。Fedは市場の期待に答え75bpの金利引き下げを発表しました。75bpは期待値の中では低い方だったので、一旦は若干下落した物の再び上昇に転じて、昨日に比べ大幅な上昇で終了しています。今日のDOWの上昇は、過去5年以上の間で最も高い上昇値との事です。
本日の主なニュースゴールドマン・サックスの経理上の第1四半期の結果は、純益が15億1000万ドル, EPS$3.23で昨年同期に比べ53%の減益となりました。売り上げは35%下落の83億4000万ドル、住宅ローン関連の損失計上は25億ドルでした。アナリストの予想は、EPS$2.57、売り上げは72億9000万ドルでした。
リーマン・ブラザーズの結果は、純益が4億8900万ドル、EPS81セントで、昨年同期と比べて57%の減益でした。売り上げは昨年同期比30.5%減の35億1000万ドルで、アナリストの事前予想の平均はEPS73セント、売り上げは33億ドルでした。
両社とも事前予想を上回る結果で、市場は好感、さらにFedの期待にそう利下げにより両社の株は急上昇しました。Goldmanは、本日16.27%、Lehmanは46.43%も上昇しています。
Goldman, Lehman earnings fall but top viewsFedがFFレートを75bp引下げる事を発表しました。これでFederal Fundsレートは、2.25%となり2004年の終わり以来で最も低い水準となりました。
本日発表のFedプレスリリースに関するエントリー市場終了後にAdobeが四半期の決算を発表しました。純利益は2 億1940万ドル、EPS38セントでした。昨年の同期に比べ52%の大幅な増益となりました。結果はアナリストの予想をEPSで3セント上回っています。株価は本日3.54%の上昇でしたが、発表後のアフターアワーズで更に4.77%上昇しています。
Adobe Profit Up 52 Pct, Beats Wall St.主なセクター・株の動き(ファイナンス)どこも大幅な上昇となっています。
以下主要投資銀行の過去5日間の値動きを添付します。

先週の金曜日と昨日の下落分は完全に取り返しているのが良く分かると思います。特にLehmanの戻し方は驚異的です。
(住宅)こちらも大きく上昇しています。
(小売り)大きく上昇しています。その中で、Best Buyが下落してるのが目立ちました。
(テクノロジー)それなりに上昇しています。YahooがQ1の売り上げ見込みを据え置いたことを発表し、7%上昇しました。
まとめ・コメントBearの件から先週後半から突然高まっていた金融市場の不安が高まる渦の中、大注目の投資銀行大手2社、しかも、業界盟主のゴールドマンと噂のリーマンと言う最も注目すべき2社が、四半期の決算を発表しました。結果は上に取り上げた様に両社とも減益ながらアナリストの予想を上回る好決算でした。(正直なところ、大幅な減益でも予想より良ければ良い、と言う空気が個人的には違和感を感じます。でも、それが市場の大勢の見方なので、その観点では理解はしています。)
今回のFF金利の引き下げは、結局期待値の下限の75bpではありましたが、一歩下がって冷静に考えてみた場合、Fedは、1月22日の75bpの緊急値下げ、それに続いて1月30日のFOMCで50bp、そして今回の75bpと今年に入ってから3ヶ月の間に合計で2%という驚異的な短期間での大幅値下げを行なっています。
上記二つのニュースでほとんど陰が薄くなってしまっていますが、労働省が発表したPPI(Producer Price Index)は予想よりも高い数字で、今後更なるインフレ圧力がかかることを示しています。
尚、FOMCにおいて今回の引き下げは賛成8、反対2で可決されたとのことです。反対の2名の理事はここまで積極的に下げる事に対して反対との立場だったそうです。(もっと下げろ、と言うことではなく) 正直なところこれだけインフレが高まっている材料が出ている中、今回もFedが積極的に金利を引下げているのは、如何にに金融市場が危機的な状況にあるかの表れだと思っています。
それにも関わらず、ファイナンス・セクターは驚異的な上昇となりました。大きく下がっていたリーマンは本日46%を超える上昇となり、劇的な株価の回復を見せています。株価の動きだけを見た場合、今回高まっていたファイナンス・セクターの不安はBear Stearnsだけだった様にも思われます。(絶対にそんなことはない、と思っていますが、、、)
市場は多くの人が参加して作られるものなので、大勢の意見、市場のトレンドはきちんと把握しておくべきと思っています。
市場終了後にAdobeが決算を発表し、こちらは前年同期に比べ大幅な増益の好決算となりました。利益が上昇している企業が多いハイテク・セクターですが、買いは相変わらず他のセクターに比べると弱いです。バリュエーション的に見ても、過去の水準から見てかなり買い頃の会社がごろごろしているのですが、これも他のひとから見て”買い”と思われなければ、短期的には上がりません。
テクノロジー株の問題は、事業や収益動向のトレンドがプロでも予測が難しく、今利益が上がっていたとしても、数四半期後にまったく逆の状況に陥るケースも少なくないので、一般的には買いづらいのは分かるのですが、、、
と、愚痴の様な話になってしまいましたが、この様な特性があるからこそ、自分にとってはテクノロジーに特化して投資をする理由ともなっており、前向きに解釈すべきことだと思っています。
ちょっと話がそれてしまいましたが、今日は驚異的と言っても良い大幅な上昇となりました。一方で、Fedの尋常とも思えない金利政策と過去にもほとんど例がない積極的な市場介入から伺われる金融市場の危機的状況、依然として厳しい住宅市場、陰りの出てきている消費者支出、急上昇する原油やコモディティー、そしてそれらによるインフレ圧力、これらの問題の解決の兆候が出てきた訳ではありません。(追記:先週発表されたFedの政策は、住宅ローンを担保にした債券等の流動性の問題に直接的に対処してます。今回のJPMorganに対する融資に関してもそうですが、問題の解決の一部にはもちろんなっています。今年に入ってからの大幅な金利の引き下げも、中長期的には実質的な効果(とその副作用)も十分にあると思っています。)
言い方を変えれば、現在の市場の株価水準と上記の様な材料を考慮した場合、株価に織り込まれている部分は十分ではない様に思えます。個人的には、一時的には回復しましたが、市場の先行きに対しては、依然として楽観視はできない状況にあると思います。
(後記)市場がかなり激しく動いていて、そちらの方のエントリーが続いてしまっていますが、バフェットさんの手紙のシリーズも再開する予定です。そちらをおたのしみにされている方、更新が遅れすみません。明日以降、再開の予定です。乞うご期待(?)下さい。