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バフェットからの手紙 (5)- 2007年版 

先週のエントリーの続きです。
2008年2月29日に掲載されたウォーレン・バフェット氏の株主向けの文書をセクション毎に訳しています。
http://www.berkshirehathaway.com/letters/2007ltr.pdf

Insurance (保険)

現在の大統領候補のキャンペーン中で、私が聞いた最も面白い小話は、ミット・ロムニー氏のものです。彼は、彼の奥さんのアンにこう尋ねました。「僕たちが若かった頃、僕が大統領になるかもしれないなんて、突拍子もない夢物語としてでも、考えたことがあったかい?」それに対しての彼女の返事は、「ハニー、あなたは私の夢物語の中にはでてこないわ」、と答えたそうです。

1967年に、我々が初めて損害保険の事業に参入した時、我々の現在の事業の規模の様になるとは、私は夢にも思っていませんでした。我々がNational Indemnityを買収後の最初の5年間の結果は以下の様なものでした。
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寛大な見方をすれば、我々は遅咲き(スロー・スターター)です。しかし、状況は変わりました。最近の過去5年間の結果は以下の通りです。
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この様な変貌を遂げる事ができたのは、卓越した経営陣のお陰です。それでは、子会社が各々達成した事について見てみましょう。

(コメント:1971年と2007年を比べてみた場合、 30年間で(損害保証による) 保険事業の利益は2410倍になっています。また、収益によって得られた資金を使用して企業を買収したり、手持ち(預かり)資金を投資に使う事による利益を得る等、二次的な利益も得られるので、素晴らしい事業の運営だと思います。)

GEICOは、CEOのTony Nicelyによって、注意深く守られ拡大された、我々の保険事業の中で最も幅の広い(大きな)‘堀’を所有します。(注)会社の‘堀’の話については、こちらのセクションで説明されています。)昨年-再び-GEICOは、主要な自動車保険会社の中で、市場のシャアを7.2%に伸ばす最も優れた結果をのこしました。1995年にバークシャーが買収した時の市場シェアは2.5%でした。 一方、GEICOによる年間の広告の出費は、同じ期間において、3100万ドルから7億5100万ドルに増加しました。

Tonyは18才の時GEICOに入り、 現在64才です。入社した時から、 どの様にすれば顧客の出費を抑えることができるのか、そして、関連する事業機会をいかにして伸ばすことを提供(実現)することができるのか、その両方を同時に達成する誇りを持つ-その会社-に対して 毎日彼は情熱注ぎ続けています。売り上げが120億ドルになった今もまだ、Tonyは始めたばかりの時と同じ気持ちでいます。私もそうです。

これがいくつかのその証です。過去3年間で、 GEICOはモータサイクル(オートバイ)の市場のシェアを2.1%から6%に増やしました。また、我々はつい最近、ATVs(All-Terrain Vehicles)やRVs(Recreational Vehicles)の保険を始めました。 そして11月から、業務用自動車の保険もはじめました。GEICOとNational Indemnityは業務用の分野で協力しあっています。そして、初期の成果は非常にうまくいっています(励みとなる物です)。(注)バークシャーは2006年10月(比較的最近) National Indemnityを買収しました)

これらの新規業務は、我々の個人向けの自動車保険の事業と比べた場合、わずかなものです。しかし、これらは、保険事業の利益と預かり資金を増やす源となります。

General Re, 我々の国際再保険業は、 昨年末の時点で230億ドルとなる抜きん出た最も大きな預かり資金の提供元です。 この事業は、現在バークシャーにとって非常に大きな資産です。しかしながら、この会社の持ち主として、初めの頃は危なっかしい状況でした。

何10年もの間、 General ReはTifanyの再保険業務を取り扱い、その債務保証の手腕と統制で高い評価を得ていました。長い間の実績に基づいて築き上げられた支柱、その評判は、 残念な事に、 1998年に私が General Reと合併する事を決めた時、完全に見落としていた一つの過ちによって、なくなりました。1998年の(時の)General Reは、1968年または1978年の時の様に運営されてはいませんでした。

そして今、General RenoのCEO Joe Brandonと彼の同士Tad Montrossによって、会社の栄光、輝きを取り戻しました。(復元されました) JoeとTadは、その手腕を駆使して、将来に向けた会社の位置付けを再設定を行ない、同時に素晴らしい債務保証の結果を提供しています。

1986年にバークシャーに参加して以来、Ajit Jainは本当に素晴らしい再保険に特化した事業を一から作り上げました。類いまれな巨大な取引について、世界は彼に目を向けます。

昨年、私は皆さんにEquitas(Lloydの事業)の巨額ですが上限の設定されている損害保証に対して、71億ドルの再保険をバークシャーが行なうことにより、移行する取引の詳細の話をしました。現時点でのまだ初期の段階ですが、我々の試み(経験)はうまくいっていると思います。しかし、このことは、あまり意味をなしません。なぜなら、50年それ以上に一回ある様な強風が吹けば、吹き飛んでしまうからです。(債務履行が発生する)しかしながら、我々が確実に分かっている事は、我々に加わったScott Mosterに率いられるロンドンのチームは、一流で我々の保険事業において大切な資産となっています。

最後に、我々は、上記と比べると小さいですが、特定の分野に対する保険事業を所有しています。全体として、これらの会社は、損害債務保証の利益は平均以上を獲得し、投資のための大切な資金を供給しており、非常にうまくいっています。

昨年、Bill Oakersonの率いるBoatU.S.がグループに加わりました。この会社は、自動車のAAA auto clubsの提供する物に似た約65万の船の所有者に対して保険サービスを提供しています。この団体の提供する一つが船舶保険です。この組織についての詳しくは、アニュアル・ミーティングでの展示を見てみて下さい。(注) AAA auto clubsは日本のJAFの様な組織で、自動車保険のサービスも行なっています。)

下に、我々の損害保険の4つの部門の結果を示します。
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(以上、引用と邦訳は一旦終わりです。次回のエントリーで、この次のセクションを取り上げます。)

(コメント)

このセクションからは、2007年のバークシャーの事業の説明になっています。バフェット氏はバークシャーの事業を4つの事業分野に分けて説明しています。このセクションは、第一の事業分野、保険事業についてでした。事業の収益とその動向を中心としていますが、バフェット氏が彼の視点と彼らしい語り口で説明しているのが印象的です。

また、事業が非常に順調にいっている事が良く分かります。ただし、彼は一番最初のセクションで、保険の事業の今後に関しては、ここ数年の良かった事業環境から、厳しい事業環境になることを予想しており、そのことについて明確に注意を喚起しています。

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