前回のエントリーのセクションの訳の続きです。
2008年2月29日に掲載されたウォーレン・バフェット氏の株主向けの文書をセクション毎に訳した物です。
http://www.berkshirehathaway.com/letters/2007ltr.pdf
(バフェットからの手紙 (9)- 2007年版の続き)
2007年、米国ドルは主要通貨に対してさらに弱くなりました。世界の他の国(の人々)の米国製の製品の需要よりも、アメリカ人の外国製品の購買需要が上回っている事はミステリーでも(不可思議な事では)ありません。そのことが、毎日約20億ドルのIOUと資産を米国が他の国に出荷している事の要因となっております。そして次第に、それはドルへの圧力となります。
(注:
Wekipedia: IOU - A note and acknowledgment of personal debt (from the phrase "I owe you" or "I owe unto") いわゆる借用書。語呂からきている様です。)
ドルが下落すれば、外国の人にとって我々(米国)の製品は安くなり, 彼らの製品は米国民にとって高価になります。そのため貨幣の下落は、貿易赤字を補正することになります。実際に、米国の赤字は、ドルの大幅な下落によって疑い様もなく調整が進んでいます。しかし、このことについてじっくり考えて下さい。
2002年、ユーロが平均で94.6セントだった時、我々のドイツ(我々の5番目に大きい貿易国)との貿易赤字は360億ドルでした。それが2007年の時点で、ユーロが平均1ドル37セントで、我々のドイツとの貿易赤字は450億ドルに達しています。さらに、カナダとの貿易赤字も2002年の500億ドルから2007年640億ドルに同様に上昇しています。少なくとも今までの時点では、ドルの下落は貿易活動において調整は均衡化する程の調整はしていません。(それ程大きな調整とはなっていません)
最近になってソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)が米国のビジネスの大きな部分を購入する話が多く聞かれる様になってきました。これは、外国政府の非道な企みではなく、我々がしている(そうさせている)ことです。貿易均衡(への作用)が外国による米国での 巨大な投資を招いています。我々が 一日20億ドルを海外にばらまいているため、彼らはこちらの何かに投資しなければなりません。彼らが債券(国債)でなく株を選択する事を、なぜ批判する事ができるのでしょうか?
我が国の貨幣が弱くなっているのは、OPEC, 中国、その他のせいではありません。他の先進国は、我々と同様に石油の輸入に依存し,中国からの輸入品と競合しています。分別のある取引政策上、米国は制裁する国や保護する産業を選んだりすべきではありません。
我々の立法者(国会議員達)は、現在の(貿易)不均衡は持続できないことを認識すべきです。そして、後ではなく、できるだけ早く貿易赤字(貿易不均衡)を大幅に減らす様、政策を適合(改正)すべきです。さもなければ、我々の一日に20億ドルの海外へばらまかれているドルが、非常に好ましくない(類いの)世界規模の消化不良を引き起こすことになるかもしれません。
(我々の貿易赤字が持続できない事についてのその他のコメントとしては、2004年11月19日のアラン・グリーンスパン氏のコメント、2004年6月29日のFOMC(連邦公開市場委員会)の議事録、2007年9月11日のベン・バーナンキ氏の声明を参照して下さい。)
ここで一旦、引用を終了します。
ご存知の方も多いと思いますが、バフェット氏はドル安のトレンドを随分前から予測していました。このセクションを読むと、彼のドル安の背景に対する考え方の概要が良く分かります。
この後、バークシャーの為替の投資の話がつづきます。後日(多分明日)のエントリーに続きます。