主要インデックスの終値DOW: 12654.36 +391.47 (+3.19%)
Nasdaq: 2362.75 +83.65 (+3.67%)
S&P500: 1370.18 +47.48 (+3.59%)
本日の主なニュース昨日Lehman Brothersが転換優先株を発行して30億ドルを調達する計画を発表しましたが、その翌日の本日に予定を上回る40億ドルを調達したと発表しました。添付の記事によると、当初の予定の30億ドル分の転換優先株にたいして需要は3倍と高かっため、15%価格が上昇となったとのことです。
Lehmanの株価は、本日16%を上回る大幅な上昇となりました。
Lehman raises $4 billion of capital to hush criticsヨーロッパの大手銀行UBSとDeutsche Bankが、米国の住宅ローン投資関連で230億ドル以上の損失を計上する見込みである事を発表しました。
発表された内容の概要は以下の様な物です。(以下添付の記事の概要を抜粋して訳しています。)
- 銀行とアナリストの間では、まだ以下の様な危険性が引き続き存在することに合意している。
* 大手のグローバルに事業を展開する銀行は、米国住宅市場の悪化からさらに巨大な損失を招く見込み。
* 来年の前半にかけて多くの人員削減が起きる。
- UBSは会長が退任する事を発表、第1四半期の損失の計上は約190億ドルとなる見込み。これにより、過去9ヶ月間に計上した損失は374億ドルに達する見込み。(これは現時点で発表してる銀行の中で最も多くの額を発表している)
- UBSの第1四半期の決算は121億ドル純損失となる見込み。これに伴い151億ドルの資金調達を新たに行ない、問題の米国の不動産を管理する事業部を新設する。
- 現在までで、他と比べると比較的この問題の影響が比較的少なかったDeutsche Bankは、第1四半期に40億ドルの損失を計上する見込みを発表。損失の理由として、米国住宅価格の下落、破綻件数の増加、クレジットの問題を挙げている。
-2つの銀行とも、市場の状況は3月の後半になって一気に悪化した事を警告している。
この発表を受け、2社の株は上昇、ファイナンスセクター、株式市場全体の大幅上昇の要因となった様です。
UBS, Deutsche Bank Wallow in Write-Downs自動車メーカーが米国の3月の販売結果を発表しました。発表によると、昨年3月に比べ、GMは売り上げ19%減、Fordは14%減、トヨタは10%減となりました。日産は4%減、ホンダは3%減と比較的厳冬しています。
US auto sales fall in March本日発表の3月ISM製造業指数は2月より0.3ポイント上昇して48.6となりました。市場予想の平均は47.5だったので、予想よりも良い数字でした。(ただし、50以下は景気後退を示している)
http://www.ism.ws/ISMReport/MfgROB.cfm
主なセクター・株の動き(ファイナンス)大幅に上昇しています。Lehman 17.8%, Goldman 6.94%, Morgan Stanley 6.89%, JPMorgan 9.43%, Wells Fargo 8.21%, Bank of America 7.78%等です。
(住宅) 大幅に上昇しています。 Lennar 13.66%, DR Horton 8.38%, Meritage Homes 9.47%, KB Home 8.9%, 等です。
(小売り) 5%近い上昇をしているとことが多くあります。
(テクノロジー)上昇しているところが多い様に思えましたが、大きく上がっているところはそれ程多くない様に思えました。主要なところで上がったところは、Google 5.73%, RIMM 4.68%, Apple 4.2%, 等です。
まとめ・コメント本日はLehmanの転換優先株による資金調達が予想以上に良かった事から、Lehmanの資金繰り等の問題や破綻の懸念が大きく後退、ファイナンス・セクターの信用不安の懸念が払拭された様です。さらに、UBSとDeutsche Bankの損失計上の発表から、問題の解決に対して積極的に取り組んでいる姿勢が高く評価された様で、ファイナンス・セクターを中心に市場は大きな上昇となりました。ISM製造業景況指数が前月に対して下落の予想に対して結果は上昇となった事も、市場のセンチメントの好転に寄与した様です。
しかし、これ程上昇するとはびっくりしました。Lehmanの転換優先株発行に関しても、既存の株主に対しては、一株当たりの価値の希薄をまねくものですし、業績がこれで良くなることを示すわけでもありません。この発表で明らかなのは、この資金調達によって短期的な資金繰りができたこと、それによって破綻の短期的な可能性は大幅に低くなったこと、Lehmanに対して投資したいと思う投資家が意外な程多かったこと、だと思います。
多くのメディアで、Lehmanに続き発表されたUBSとDeutsche Bankの損失計上のニュースも、今日の上昇の要因と書かれています。上に発表の概要を書いていますが、これらのニュースで市場心理が好転するのは個人的には驚きです。しかし、最近の市場の動向、メディアの報道等を見ていると、株式市場は底を打ったのではないか、といった論調の記事が多くあり、市場関係者の中にもその様に考える人が多くいる様です。
”市場が底を打ったのでは”と考える人たちに取っては、確かに今日発表されたニュースを見ると、やはりそうだ!、と思っても不思議はない気がします。ISM製造業景況指数に関しても、予想より良く、取り様によっては、市場が底を打った事の表れ、と考えることもできるかと思います。後は、ドルが多少戻し、それにより、原油価格が下落した事も明るいニュースとして捉えられた様に思えます。
本日発表された3月の米国内の自動車販売の結果は、昨年に比べ大きく下落しています。これらも、消費者の購買意欲が衰えており、消費者支出の低迷を示すものだと思います。昨日のエントリーにも書きましたが、多くの企業は業績の不振から人員削減を積極的に行なっており、今後、失業率が上昇する可能性も十分に考えられます。今日のUBSとDeutsche Bankの発表にもありますが、ファイナンス・セクターの企業は今後も大幅な人員削減を行なう事はほぼ確実だと思います。
今日から第2四半期に入りました。良いスタートを切ったとも考えられますが、引き続き注意が必要な状況だと思います。