主要インデックスの終値DOW: 12608.92 -45.44 (-0.36%)
Nasdaq: 2361.40 -1.35 (-0.06%)
S&P500: 1367.53 -2.65 (-0.19%)
本日の主なニュースバーナンキ議長が議会で証言し、米国経済はリセッション入りする可能性を示唆しました。しかし、金利の引き下げと緊急措置の効果から、今年の後半には、再び成長の勢いを取り戻すだろうとの見方を示しました。
Chairman Ben S. Bernanke
The economic outlook
Before the Joint Economic Committee, U.S. Congress
以下に声明の中から、今後の見通しについてリセッション入りの可能性を示唆する部分を含んだ段落を引用抜粋し、訳した物を追加します。
"Overall, the near-term economic outlook has weakened relative to the projections released by the Federal Open Market Committee (FOMC) at the end of January. It now appears likely that real gross domestic product (GDP) will not grow much, if at all, over the first half of 2008 and could even contract slightly. We expect economic activity to strengthen in the second half of the year, in part as the result of stimulative monetary and fiscal policies; and growth is expected to proceed at or a little above its sustainable pace in 2009, bolstered by a stabilization of housing activity, albeit at low levels, and gradually improving financial conditions. However, in light of the recent turbulence in financial markets, the uncertainty attending this forecast is quite high and the risks remain to the downside."
「全体として、短期の経済の見通しは、1月の終わりにリリースしたFOMCでの見通しと比べて弱まってきています。現時点では、 2008年前半を通しててみた場合、 実質GDPはそれ程伸びない様に思われ、 伸びたとしてもごくわずかで、若干下落することもあり得ます。我々は、今年の後半には(経済に)刺激を与える金利と財政政策によって経済活動は強化されると予想しています。そして、2009年は、住宅市場の動きが少なからず落ち着き、金融市場の状況が改善することによって、継続して伸び、あるいは多少ペースが上がると予想しています。しかし、最近の金融市場の混乱を考慮すると、今回のフォーキャスト(市場予想・見込み)は不確実性が高く、そしてダウンサイドに対するリスクは引き続きあります。」
以下のURLでバーナンキ議長がJoint Committeeで、特にリセッション入りの可能性が書かれている部分について質問され、応答しているビデオが見れます。そのまま、見ていると次のビデオで、上記の引用の部分を含むバーナンキ議長の議会での証言が見れると思います。ヒアリングの練習にもなるかもしれないので、ご興味のあるかたは、是非、見てみて下さい。
バーナンキ議長が質問に答えているビデオ(個人的には、センシティブな質問に関して(リセッション入りの可能性)なので、バーナンキ氏がもの凄く慎重に答えているところが、笑ってしまいました。リセッションは経済のサイクルの中で当然あるべき物なので、なぜここまで警戒するのか、理解に苦しむ部分あるのですが、、、良くも悪くも株式市場への影響を考えると慎重にならざるを得ないのだと思います。)
市場終了後に、カナダのResearch In Motionが四半期の決算を発表しました会計上の第4四半期の利益は、4億1250万ドル、EPS72セントで、昨年似比べ2倍以上の増益となったことを発表しました。アナリストの予想はEPS70セントでそれを上回りました。共同CEOのJim Balsllie氏は、カンファレンスコールで、RIMは米国景気の停滞によるビジネスの低迷のサインはまったくないと語ったことが報道されています。株価は本日1.44%の下落でしたが、決算発表後のアフターアワーズでは5%近い上昇となっています。
Research In Motion 4Q profit soars主なセクター・株の動き(ファイナンス)上昇と下落と分かれていますが、幅は大きくありません。
(住宅) 今日も順調に上昇しているところも多いです。日中は大幅に上がっていましたが、多少落ち着いて終了しました。
(小売り) 上昇しているところが多い様に思われます。幅は大きくありません。
(テクノロジー)主要なところはほとんど下落しています。
まとめ・コメント大幅な上昇となった昨日から明けた本日は、上下しましたが変動幅も大きくなく、終値は昨日に比べ少し下落した程度で終了しています。バーナンキ議長が議会で証言しましたが、特に市場に大きな影響を与える様な事もなく、あまり材料視されなかった様です。
バーナンキ議長の議会証言の文書のリンクを上に添付しました。市場ではあまり反応はありませんでしたが、Fedの現在の市場に対する見方と政策に関して、良くまとまっており、一読の価値はあると思います。
Bear Stearnsの救済の件に関しても書かれており、Chapter11を申請する直前であったことを明らかにし、なぜ救済したかと言う事について、理由(言い訳)を説明しています。 大まかなところでは、市場が大混乱になる恐れがあったため、特別救済の措置をとった、と言った様な内容です。(重複になりますが、是非、一読をお勧めします。)
上に書きましたが、市場終了後にカナダのブラックベリー(メール等を使うことに特化した高機能携帯電話)で有名な、Research In Motionがアナリストの予想を上回る利益が昨年同期に比べ倍増以上する好決算を発表しました。この発表席上で、共同CEOが米国景気停滞によるビジネスの影響は全く見られないと発言しています。最近のパターンだと、ハイテクの企業が好決算を発表しても、先行きに対して慎重な発言したり、その様な懸念をいだく様な見込みを示すと株価が大幅に下落するパターンが続いていましたが、今回のRIMMの共同CEOはその辺りを十分に考慮した発言の様な気がします。
これが、明日以降テクノロジー・セクター全体に対して好影響を及ぼすと良いと個人的には少し期待しています。
また、住宅セクターの株が、悪いニュースが立て続けに発表されているにも関わらず、上昇し続けている、と 私のブログで何回か書いていますが、本日の記事でその理由かもしれないものを見つけました。
民主党と共和党の上院議員の間で、破綻に直面するホーム・オーナーを救済するために数10億ドルを使用する救済案のドラフトに合意した、とあります。(添付記事参照)
Stocks Waiver as Market Looks to Bernankeこの話が事前に多少なりともリークしていたのであれば、最近の住宅セクター株の一見おかしな急上昇の裏付けと考えることもできるかと思います。まだ、この救済案の具体的な内容は(私は)分からないのですが、数10億ドルを使う案の様なので、どの様なものなのか興味を持っています。
しかし、ここのところ立て続けに発表されるFedや政府の政策は特定の企業や個人を救済する様なもので、少し前であればモラル・ハザードの問題として大きく批判的な意見等も出てきたと思うのですが、今の状況ではそう言った批判的な意見は陰を潜めている様です。
これらのFedや政府の過去にも滅多にない踏み込んだ政策、関与は背景にある事態の深刻さを物語っている様に思います。無事、バーナンキ議長の声明の様にソフトランディングで終わるのかどうか、非常に興味深く、注目しています。