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バフェットからの手紙 (10)- 2007年版  

非現実的な数字 – 株式を公開している企業が利益を絞り出しているやり方
Fanciful Figures – How Public Companies Juice Earnings

前上院議員のアラン・シンプソン氏の有名な発言、「ワシントンの主要道路を通行する人たちは、渋滞を恐れる必要はありません。」けれども、もし彼が本当に廃れた道路を探したとしたら、上院議員は、コーポレート・アメリカのアカウンティング(会計)を見ることになったでしょう。

1994年にどの道路事業が望まれるかの重要な国民投票が行なわれました。アメリカのCEO達は、 米国上院に圧力をかけ、投票結果は88対9によって、財務会計基準審議会(FASB: Financial Accounting Standards Board)に黙る様に命ずることとなりました。

その非難の前まで、FASBは、 誰一人反対する事なく、 全会(全員)一致で、 報酬の一環として供与されているストックオプションの価値は経費として処理すべきと、企業のトップに言う様な、大胆さを見せていました。

(コメント:バフェット氏は、 企業会計原則の指針の選択の投票を 道路事業と言う喩えを使って、表現しています。この投票について少し調べてみたのですが、 United States Senateのサイトにありました。(こちらです)既存のストックオプションとストックパーチェシング•プランの会計上の扱いを継続することをFASBに対して命ずる様な議決です。FASBがストックオプションを経費として処理すべきと言っていた事を、企業のCEO達が上院に圧力をかけて黙らせたようです。)

上院議員の投票(結果)後、 FASBは-現在は、上院において88のCPA(Certified public accountant: 公認会計士)を有し会計原則を教えています-企業は(ストック)オプションの(企業会計)の報告に二つの選択肢から選ぶことができることを法令として布告しました。望まれる処理法は、その価値を経費として処理することでしたが、オプションが市場価格で発行される限り、企業に経費として扱わない事を許されていました。

アメリカのCEO達に正念場がやってきました。そして彼らの反応はかなり酷い状況です。この先6年の間、S&P 500の企業の内たった2社しか望まれる道を選んでいません。その他のCEO達は、“所得(Earnings)”をより高く報告するために、 巨大で明らかな経費を無視する事、廃れた道を選択しています。 彼らのうちの何人かは、もし経費として処理する方を選んだとしたら、数年先には、 経営者達が求める巨額の(オプションの)承諾を認める前に、 取締役達が再考する(考え直す)様になると考えている、ことは確かだと思います。

多くのCEOにとって、廃れた道を行く事だけでは十分でなかった事が明らかになってきました。弱められた決まりでは、発行されたオプションの行使価格が市場価格よりも低い場合、所得として扱うことになっていました。まったく、問題ありません。その様なじゃまな(面倒な)決まりを避けるため、多くの企業は、現状の市場価格で付与された様に示すため内密にオプションをバックデートし、実際には市場よりもかなり低い価格で配布していました。

(コメント:これは、ストックオプションのバックデーティングの問題に関して述べています。バックデーティングは、ストックオプションを配布する際に、日にちを遡って過去の株価(市場価格)が低かった日を設定する事で、不正に行使価格を低くする事です。バフェット氏が書いていますが、実際、多くの企業で行なわれていた事が明らかになり、問題となりました。)

数十年に渡る、ばかげた(無意味の)オプションの会計処理は、今は収束となりましたが、他の会計処理の選択肢は残っています。それらの中で重要なのは、投資のリターンの想定を使用して、年金の経費の計算の中に入れている事です。多くの会社が引き続き安定しない所得を申告する事になるこの想定を選択し続けている事は、驚くことではありません。S&Pの中で年金のプランがある363の企業にとって、2006年のこの想定は平均8%です。それでは、これを達成できるチャンスについて見てみましょう。

全ての年金ファンドにおいて債券と現金の平均保有率は、約28%です。そして、これらの資産からの収益は、5%未満になると予想する事ができます。より高い利率はもちろん手に入れる事ができますが、それらは相応(または、それ以上の)損失のリスクを伴います。

このことは、資産の残りの72%-ほとんどが証券で、直接保有しているかヘッジファンドまたはプライベートエクイティの投資の様な媒体を通しているかのどちらかです。- ファンド全体として前提とする8%を達成するためには9.2%の利益を(証券で)稼がなければなりません。そして、その収益は、 今は以前と比べさらに高くなっている全てのフィー(手数料)を支払った後で、到達しなければなりません。

この想定がどれだけ現実的なのでしょか? 私が2年前に少し話したいくつかのデータをもう一度見てみましょう。20世紀の間、Dowは66から11,497に上昇しました。この上昇は、一見ものすごく見えますが、年間の複利に(計算)すると5.3%になります。(縮小されます。) 一世紀を通して Dowを所有した投資家は、この期間のほとんどにおいて、気前の良い配当を得ている事になったことでしょう。しかし、最後の頃の年ではたったの2%程度のものです。それは、素晴らしい世紀(100年)でした。



ここで一旦終了します。このセクションはまだ続きます。この後に今世紀の話になります。ちょっと喩えが分かりづらい部分もありますが、セクションのタイトルとここで書かれていることが合致しており、構成も、冒頭のアラン・シンプソン前上院議員の発言の引用とうまく喩えを合わせていると思いました。

バフェット氏は、企業の所得に関する会計処理の問題を提起し、この後、本題へと移っていきます。


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