主要インデックスの終値DOW: 12612.43 +3.01 (+0.02%)
Nasdaq: 2364.83 -6.15 (-0.26%)
S&P500: 1372.53 +2.13 (+0.16%)
本日の主なニュースWashington Mutualが、プライベート・エクイティのTPGから50億ドルの資金を調達する件について、合意が近いとの報道が、本日の朝ありました。情報筋によると、月曜日か火曜日にも発表される可能性があるとのことでした。株価は、本日29.30%の大幅な上昇となりました。尚、この資金調達・投資案件が行なわれた場合、既存の株主にとっては株の希薄化になるのですが、WaMuの資金繰り等、安定化につながると、非常に好意的に評価されているようです。尚、調達予定の50億ドルは、先週金曜日の株価で換算したWaMuの時価総額約90億ドルの半分以上の投資額です。
Washington Mutual seen near $5 bln TPG dealこのWaMuの資金調達のニュースで、ファイナンスセクターは今日は一時かなり上昇しましたが、引けにかけ若干上昇のベースが落ちて終了しています。
クレジット・カード会社のDiscover Financial Servicesが、ダイナース・クラブ(Diners Club International)をCitigroupから、1億6500万ドルで買収する事を発表しました。DFSの株は本日5.54%の上昇となりました。
Discover Buying Diners Club From Citi(コメント)ディスカバーは昨年Morgan Stanleyからスピンオフして上場した会社で、米国内で比較的有名なクレジットカードです。(私の理解では、対象顧客は、所得層としては中間かそれ以下だと思います。)国内の事業は強いのですが、海外はあまり強くないため、ダイナースのネットワークを使って、今後海外展開にも力を入れていく方針の様です。買収される側のダイナースは、高級路線で、日本でも結構ブランドとして認知されていると思います。私は、買収額が小さいのでちょっとびっくりしてしまいました。Citiも今後コンスーマーの事業に力を入れる方針と聞いていますが、そうであれば、ダイナースを手放すのはもったいないと思うのですが、色々事情があることでしょう。ディスカバーの傘下でダイナースが今までの様な、プレミアムを維持できるのか注目です。会社の文化、強みを考えると、ダイナースの先行きと言った点ではちょっと不安を感じます。
MicrosoftによるYahooの買収劇が白熱してきました。これに関しては、別途エントリーで後ほど詳しく取り上げる予定です。
概要としては、先週土曜日にMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏がYahooの取締役に対して、提案後、Yahooが積極的に話し合いに応じないため、交渉が進展していない事を指摘し、この先3週間以内に合意が得られない場合、株主に直接働きかけ、委任状を獲得して取締役の入れ替えを行なう事も辞さないと書いた手紙を送付しました。これに対して、YahooのCEO Jerry yang氏と会長のRoy Bostock氏は、Ballmer氏に対して、買収には反対していないが、価格が問題との返事を送り返したとの事です。
この件に関連して、先週の金曜日にロイターがMicrosoftはYahooの買収提案額を引下げる事を検討しているとの報道があり、買収を巡る駆け引きが急遽激しくなってきています。今日のYahooの株価は2.33%下落、Microsoftの株は金曜日の終値と同じで終了しています。
Yahoo Wants Better Deal From Microsoft市場終了後にアルミニウム製造の大手Alcoaが第1四半期の決算を発表しました。結果は、昨年同期に対して利益が半減する大幅な減益でした。純利益は3億300万ドル、EPS37セントでした。アナリストの事前予想はEPS44セントでそれを下回りました。利益の下落の主な要因は燃料費の高騰、原材料のコストの増加、そしてドル安を挙げています。Alcoaの株価は、決算発表前の本日4.00%下落しています。
Alcoa first-quarter profit falls more than 50 pct主なセクター・株の動き(ファイナンス)上昇しているところが多いです。Wells FargoとMorganChaseは微減でした。
(住宅) 日中は大きく上昇していましたが、結果的には若干の上昇で終了しているところが多いです。
(小売り) 下落しているところが多い様に思えました。その中で、Targetは少し上昇しています。
(テクノロジー) 上昇と下落に分かれています。特に目を引いたのは、 Apple (1.84%) とGoogle(1.22% up)が上昇したのに対して、RIMM (1.60% down), Cisco (1.85% down)と明暗を分けた事です。メディア関連、ケーブルTVの会社等は今日は上昇しているところが多かったです。
まとめ・コメント今日は、Washington Mutualのニュースが大きく取り上げられ、市場のセンチメントも良く順調に上昇しましたが、あまり長続きはしなかった様です。上にも書きましたが、今回報道された資金調達が行なわれた場合、株式の希薄はかなり大きくなる可能性があるにもかかわらず、株価が大幅に上昇するのはちょっと個人的には納得できない面があります。
恐らく、WaMuの破綻等を懸念する投資家もいたと思われるので、その点では、この資金調達が行なわれる事は、破綻の可能性が遠のいたこと、また、投資家のコンフィデンスの上昇につながったと解釈はできます。しかし、短期的な破綻は回避できても、今後の収益が順調に回復する保証はありません。
今日のニュースを見ても、買収や合併といった業界の再編を示唆する動きが出てきています。これは、昨年までのプライベート・エクイティを中心とした投資・投機的な企業買収ではなく、低迷するセクターの中で、生き残りをかけたり、将来への布石を打つべく、企業が戦略的に動いているのが特徴だと思います。
Discover Financial ServicesによるDinersの買収はちょっとびっくりしました。これも上に書きましたが、うまく行くのか、特にダイナースにとってはかなりリスクの高い案件だと思います。(彼らが望んだ事ではなく、親会社のCitigroupが決めたことだと思います。)
MicrosoftとYahooに関しても、急遽動きが活発になってきました。Yahooの取締役陣は株主からのプレッシャーがかなり強くなってくると思います。Ballmer氏の手紙によると、猶予期間は3週間との事で、急速に事態が展開してくる可能性も出てきました。個人的にはYahooの第1四半期の結果が大きな鍵を握ると思います。決算結果が良ければ、Microsoftに対して、買収価格の引き上げを迫ることができると思いますが、もし結果が悪かった場合は、株主から買収提案を受け入れる様に強く迫られる可能性が高いと予想しています。
市場終了後に発表されたAlcoaの決算結果が予想以上に悪かった事は、明日の市場に与える影響は少なからずあると思います。特に、気になるのが大幅な減益の理由として、燃料費の高騰、ドル安による原材料、コストの増加は、Alcoa固有の問題ではなく、同様の影響を受ける企業が少なからずあると思います。
明日は、2月のペンディング住宅販売の結果と3月18日のFOMCの議事録等が発表される予定です。内容によっては、明日はかなり大きく動く可能性もあるかと思います。ただし、大きな流れを見る上では、来週から本格化する企業の第1四半期の決算結果の内容と今後に対する見方だと思います。