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4月16日の米国市場 

16-Apr-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 12619.27 +256.80 (+2.08%)
Nasdaq: 2350.11 +64.07 (+2.80%)
S&P500: 1364.71 +30.28 (+2.27%)

本日の主なニュース

(経済指標関連)

原油の先物価格は、記録を更新する115ドルを超えました。
Oil futures jump to record over $115 on supply concerns

労働統計局(Bureau of Labor Statistics)が発表した3月の完成品のPPIは、前月に比べ1.1%の上昇となりました。2008年第1四半期の間で、完成品の指数は季節要因を調整した後の年間のレートで10.2%の上昇となりました。(同レートで07年第4四半期は11.5%上昇しています。)

消費者物価は0.3%上昇、昨年から上がり続けている食品の価格は3月も0.3%の上昇となりました。
労働統計局ニュースリリース
March consumer prices up, reflecting higher energy prices

(企業決算関連)

本日朝発表されたJPMorgan Chaseの第1四半期の結果は、純利益が24億ドル、EPSは68セントで、昨年同期に比べ約半分となりました。利益の中には、IPOしたVisaの株を売却した事による9億5500万ドルの税引後の利益(税引き前では15億ドルの利益)を含んでいます。

今後の見通しに関しては、経済環境は引き続き厳しい状況が続くと見ており、それによりクレジットの損失、事業全般の売り上げ、利益に対しても悪い影響を及ぼすとしています。この状況は、年内いっぱい、あるいはそれよりも長くなると予想しているとのことです。

JPMorgan Chaseニュースリリース

Wells Fargoの第1四半期は、希薄後のEPSが60セント、純利益が20億ドルでした。(昨年は、同66セント、22億4000万ドルでした。)売り上げは、前年比12%増の106億ドルとなりました。
Wells Fargoニュースリリース

Coca-Colaの結果は、15億ドルの利益、EPS64セントで、昨年と比べ19%の増加となりました。アナリストの事前予想は63セントでした。売り上げは21%増加となりました。尚、売り上げ増の半分はドル安の恩恵との事です。

Weak dollar, international growth lift Coke

市場終了後にIBMが決算を発表しました。結果は、純利益が26%増加の23億2000万ドル、EPS1ドル65セントでした。売り上げは11%増加し245億ドルでした。このうち、為替による売り上げ増加分は7%とのことです。
アナリストの事前予想は、EPS1ドル45セントで、売り上げは237億ドルで結果はどちらも上回っています。また、2008年の収益見込みを一株当たり8ドル50セントに引き上げています。
IBM raises full year earnings target

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)主要なところはほとんど上昇しています。ただし、Wachoviaは微減(殆ど変わらず)、Etradeも少し下落しています。

(住宅)  大幅に上昇しています。

(小売り)上昇しています。

(テクノロジー)多くの企業が順調に上昇しました。一方、Seagateは5.5%も下落しています。

まとめ・コメント

注目されていた大手銀行、JPMorganとWells Fargoは共に予想よりも良い結果を発表した事、昨日市場終了後に発表されたIntelの結果も予想通り、今後の見込みに関しては予想以上の内容だった事等から、市場のセンチメントは再び非常に良くなり、市場全体が大きく上昇しました。また、Coca-Colaの決算結果も予想を上回る等、先週末のGEと月曜日のWachoviaの予想以上に悪い決算発表で高まっていた企業の収益動向の急速な悪化、景気の先行きに対する不安が、薄れてきています。

政府が発表したPPIは上昇となっており、住宅着工件数は過去17年で最低の水準になる等、インフレと景気に対する不安要因となる結果でしたが、殆ど材料視されませんでした。

市場終了後に発表されたIBMの結果も予想以上に良く、今後の見通しに対しても引き上げる等、企業の収益動向は減速するどころか堅調に推移している様な発表があったことで、明日に向けても市場のセンチメントはさらに良くなってきている様に思えます。

個人的には、テクノロジーセクターに関しては、ファイナンス・住宅セクターとのビジネスの関連性が相対的には少なく、また、海外のビジネスの比率が高いため、為替の恩恵も含め、決算が予想以上に良いのはある意味、想定の範囲だと思うのですが、あまりその様な見方はされていない様に思えます。

一方で、経済指標等を見た場合、物価も上昇のトレンドを示し、 原油は高騰を続け記録的を更新、住宅市場が非常に悪化していることを裏付ける結果となっており、注意が必要だと思います。また、JPMorganの結果は50%の大幅な減益で、しかも、Visaの株売却による大きな利益を含めています。Visaの株の売却益がなければ、減益は多大で、今後の収益動向に関しても予断は許せる様な状態ではないと思います。

昨日今日は決算結果も順調で、ネガティブ・サプライズに関してはあまり見られないので、ここまではかなり順調にきていると思います。昨日も書きましたが、明日のMerrill LynchとE-Tradeがどうなのか、また、それ以外の企業で予想外に悪い結果を発表するところがあるのか、注目しています。Merrill Lynchに関しては、WSJ等が60億から80億ドルの損失を計上する見込みと報道しており、また、新たな資金調達が必要となってきているとの報道もされていますが、株価は本日順調に上昇しています。

この勢いがこのまま持続するのかが、短期的には大きな分かれ目だと思います。思いの外、良好な企業決算が相次ぎ楽観的な見方が支配的になっています。しかし、数日前までの悲観的な見方のきっかけとなったGEとWachoviaはどちらも堅実な経営をすることで定評のある会社です。この様な会社の決算が思いの外思わしくなかったことは、市場環境が悪化している事の裏付けです。

さらに経済指標や銀行の収益動向、大幅な赤字を続ける住宅建設会社の決算結果、消費者のコンフィデンスの急速な悪化、失業率の上昇、これらを考慮した場合、どう考えても今後に関しては悪材料が多すぎる気がします。


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