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5月6日の米国市場 

6-May-2008.png

主要インデックスの終値

DOW: 13020.83 +51.29 (+0.40%)
Nasdaq: 2483.31 +19.19 (+0.78%)
S&P500: 1418.26 +10.77 (+0.77%)

本日の主なニュース

(市場全般)

原油は、高値を更新し1バレル$123近くまで上昇しました。最新のGoldman Sachsの予想は、原油はこの先2年の間に$150から$200にまで上昇する可能性があることが、明らかになったことが、上昇の主な要因となった様です。

また、月ごとに発表するレポートで、Energy DepartmentのEnergy Information Administration(EIA)のは、原油価格は今年の平均で1バレル110ドルを予想しています。先月の予想から$9引き上げています。

さらに本日のドルの下落も原油が買われた理由となった様です。一部の投資家は、オイルを含むコモディティをインフレーション(=ドル安(貨幣価値の下落))に対するヘッジとして購入しています。ドル安の長期化を予想する多くの投資家が、オイルを買っていることが、オイル価格の高騰の大きな要因として背景にあります。

Oil nears $123 on $200 oil prediction, supply concerns

ラスベガスのカジノTropicanaを経営するTropicana Entertainment LLCがChapter 11を申請しました。
Owner of Tropicana casinos files for Chapter 11 protection

(企業決算関連)

市場開始前に、Fannie Maeが第1四半期の決算を発表。結果は、25億1000万ドル、一株当たり$2.57の赤字でした。(配当支払い後、支払い前の赤字は21億9000万ドル)この結果は、予想の範囲を超えていました。(予想平均を下回るのではなく、最も悪い結果を予想していたアナリストの数字よりも悪い)
Fannie Maeは四半期の配当を一株当たり35セントから25セントに引下げることを発表し、また、優先転換優先株等を発行し60億ドルの資金調達を行うことを発表しました。
Fannie Mae posts loss, to cut payout

スイスのUBSが、第1四半期の決算が、115億スイスフラン(ドルで109億7000万ドル相当)の赤字となることを発表しました。発表と同時に5500人の人員削減を行う予定であることを明らかにしました。
Swiss bank UBS reports 1Q net loss of $11 billion

Legg masonが予想を上回る(予想よりも悪い)大幅な四半期の赤字を発表しました。Legg masonが赤字となるのは、会社の歴史で初めてのことです。純損失は2億5500万ドル、一株当たり$1.81でした。アナリストの予想は、一株当たり84セントの損失でした。
フラッグシップのBill Millerが運用するValue Trust Fundが、過去最悪のパフォーマンスで19.7%を失っていいます。
Legg Mason posts first-ever loss

Wachoviiaが、4月14日に発表した第1四半期の3億9300万ドルの赤字をを7億800万ドルに修正しました。
Wachovia restates, nearly doubles loss

市場終了後、CiscoとDisneyが決算を発表しました。

Ciscoの結果は、17億7000万ドル、EPS29セントでした。昨年同期と比べると5%の減益でしたが、一株当たり9セントの買収と株による従業員への報酬等の一時的な出費を除いた場合、EPSは38セントでアナリストの予想を2セント上回りました。売り上げも、アナリストの控えめな予想を上回りました。
Cisco 3Q profit beats subdued expectations

Walt Disneyの結果は、11億ドルの純利益、EPS58セントで、昨年同期に比べ22%の増益でした。アナリストの予想平均は55セントでそれを上回っています。
Disney beats Wall Street, movies, parks strong

主なセクター・株の動き

(ファイナンス)午前中は下落しているところが多かったのですが、最終的には殆ど小幅の上昇で終了しています。

(住宅)  ほとんどが上昇しています。

(小売り)上昇と下落に分かれていますが、変動の幅はそれ程大きくありません。

(テクノロジー)上昇しているところが多いです。Yahooは、株主の働きかけでMicrosoftとの再交渉が始まるのではとの期待等から5.54%の上昇でした。Googleは今日は少し下落しています。

まとめ・コメント

上に書いたUBSの大幅な赤字決算、Fannie Maeも巨額な赤字に加え、配当の減額と新たな資金調達の発表、そして、ホームビルダーDR Hortonの予想をはるかに上回る赤字決算等が、今日の朝発表されました。市場は、下落して始まりましたが、昼を挟んで回復基調となり上昇して終了しました。

巨額の損失を発表するファイナンス・セクター、大幅な赤字の住宅建設会社、そして記録的な原油の高値と、通常であればマイナス要因として大きく扱われる様な材料がありながらも、市場は逆に上昇となっています。

UBSは、若干の下落となりましたが、それ以外の”悪い”結果を発表した企業の株は、上昇で終了しています。一般的に考えると、どの様に考えてもおかしい気がしますが、最近の市場の傾向を考えると、この様な結果になっても分からなくはない気がします。しかし、あまりにも楽天的と言うか、なんと言うかあきれることを通り過ぎて、感心してしまいます。
上の主なニュースは、別に悪いニュースを意図的に集めた訳ではなく、実際に今日の主要なものだったと思います。ヘッドラインと概要を読み直しても、これらのニュースがあって上昇する市場に非常に興味深いものを感じます。

市場終了後に発表されたCiscoとDisneyの結果は、実際に良いものだったと思います。Disneyの結果は、ポジティブサプライズと言っても良い好決算、Ciscoは、全体としては若干の減益ではありますが、買収コスト等、一時的な費用を除けば増益です。利益も相応に大きく、結果もアナリストの予想を利益・売り上げ共に上回る等、まずまずの(好)決算だった様思います。この2社の結果が悪かった場合、市場心理が一転してしまう可能性があった様に思います。結果は良かったので、素直に喜ぶべきかと考えています。

しかし、原油は高騰を続け、値を戻すどころか上昇のトレンドを見せているのには驚かされます。ガソリンの価格もここ最近でかなり上昇してきており、それが消費者に与える影響、さらには、資源価格高騰によるインフレの影響、は中長期的にはかなり大きな懸念事項だと思います。

以下、ちょっと余談です。

今週発行されたBarron’sでテクノロジーを担当しているEric Savitz氏の記事で、Sunの結果が非常に悪かったので、Ciscoの結果に気をつける様にとの記事が掲載されています。この記事を読んだ時、自分としては全く同意できませんでした。(彼の書いた記事はほとんどそう思ってしまいます。)ハイテク業界にいて、全体のことが分かっている人間であれば、Sunの結果は固有のもので、Ciscoの業績とは大きく関係しないことは普通に予想がつくと思っています。(実際、私のブログのエントリーでもその様に少し書いていました。)Sun特有の問題なのか、そうでないのか、どうしてそう思うのか、と言った切り口から、Ciscoの話につなげていくのであれば分かるのですが、、、

この記事だけでなく、アナリストやBarron’s等のファイナンス紙で書かれているハイテク企業の業績や市場予測は、ハイテク業界の人間の見方と(大きく)異なる場合が多々あります。これが、ハイテク業界内の人間が投資をする上で、非常に難しいところだと思っています。なぜかと言うと、株式市場に参加している大多数は、ハイテク業界の人間ではありません。いくら市場のトレンドや企業の動向に対して見方があっていたとしても、市場・株価の動きとの時間差に大きなギャップがあるため、購入や売却のタイミングがはずれることによって、投資がうまくいかないことが多々あります。

自分もこういった問題をずっと抱えてきたので、今はファイナンス業界の見方、トレンドを知るため積極的に経済誌やファイナンスの雑誌を読む様にしています。テクノロジーについて書かれている記事で、同意できない意見を見ることは多々ありますが、それをどの様に捉えるかは、投資がうまくいくかの重要な分かれ目と考えています。

自分の予想・期待通りに株が動かない場合、それを市場やアナリストのせいにするのではなく、どうしてそうならないのか、自分の考え方に落ち度はなかったのか、等を考えることが自分の投資にとっては重要なことだと思っています。テクノロジーに限定するだけでなく、今日の様な市場の展開、最近の市場のトレンドに対する考え方にも共通する部分がある様に思います。

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