これは、Berkshire Hathaway Annual Meeting(バークシャー・ハサウェイ年次株主総会)に期間中の2008年5月4日にオマハで行われた、ウォーレンバフェットとチャーリ•マンガーによるニュース・カンファレンスの模様です。
以下は、
CNBC Warren Buffett Watch: LIVE BLOG ARCHIVEからの邦訳です。少し長いので、二つに分けてエントリーします。
2:22 pm: バフェット氏とマンガー氏は、ホテルのミーティングルームのテーブルに座っています。写真、ビデオ、録音は許されていません。ニュース・カンファレンスは、基本的に新聞・雑誌記者達(print journalists)向けのものです。
2:23 pm: バフェット氏は、韓国の株式市場は今の世界市場の中で、最も魅力的な株式市場の一つだと語りました。しかし、彼は中国に関しては価格が上昇してしまっているため、中国の株式については見ていない。(コメント:意味としては、購入することを(今の時点では)検討していない)(バフェット氏は、 昨年秋のアジアへの出張した時に、韓国と中国について似た発言をしています。)その一方で、中国は彼のレーダーに留まるだろうとも語りました。(引き続き注目はするとのこと)ペトロ•チャイナも彼のレーダ・スクリーンに入っている。もし、価格が適正になったら、昨年の売却から、再び購入するだろう。
2:25 pm: 質問:イタリアの政治情勢について、市場に対するバフェット氏の見方に影響を与えているか?
回答:No.我々は、米国内の政治情勢についてすら我々の投資に影響は与えていない。
2:27 pm: 質問:経済の状況が厳しい時に、どの様な感情的な反応があるか?
回答:チャーリーと私は、他の人達が興奮(get excited)している時に落ち着いた状態でいることが 彼らの投資哲学(基本方針)の一つである、と語った。全て単にビジネス(事業)です。特に株式分割について、全く興奮(気分が盛り上がる)しない。(なんとも思わない)(バフェット氏)それは、投資哲学の根底として持つべき重要なこと。彼は、それをBen Grahamから教わった。沈着冷静な気質と自分自身について冷静に考える正しい能力をもつことは重要。「他の人が株について考えていることは、何の影響(違い)をもたらさない。」
2:30 pm: 群集心理・考えから離れた気質は、うまく機能して(働いて)いる。そして、それがうまく機能していると、習慣として強化されてくる。チャーリーと自分は、冷静でいられる元来の資質をもっている。(バフェット氏)
2:32 pm: 大学教授や権威者の気違いじみた考えにそそのかされてはだめだ。学者達は、バフェット氏や自分がしていることを評価していない。なぜなら、我々の戦略はあまりにも単純であるためである。複雑なモデルはなく。公式もない。(No complicated models. No formulas.) 「バークシャーがしていることは、非常に単純です。しかしそのようなやり方は、多くの教授にとってはつまらないことです。」(マンガー氏)「私に取ってはつまらなくないのです。」バフェット氏。
2:34 pm: 自分が買った株が短期間下落することは、うれしく思う。なぜかと言うと、安い(バーゲン)価格でもっと買えるから。多くの人は、株が下がると、嫌に思う。自分はそうではない。(バフェット氏)
2:35 pm: バンキング・セクター(金融セクター)の損失は、さらなる苦難があることでしょう。しかし、それが正確にいくらになるかは誰も分からない。いくつかの投資銀行は計上しなければならない損失がある、しかし、多くの損失は既に計上されている。経済で今後起きることによる。しかし、大規模な金融のパニックが起こる恐れは、Bear Stearnsの崩壊を防止したFedの行動によって鎮圧された。
2:38pm: Wells Fargo(バークシャーが株主を所有)は、通常よりももっと大きな損失を被ることになるだろう。しかし、それは、世界の終わりとなるわけではない。我々は、この先5年から10年は(注:Wells Fargoの株を)所有し続けるつもりだ。「私は、Wellsは、10年後には今よりもはるかに巨額な収益を得るだろうと予測しています。」もしWells Fargoが株式市場で3年間非公開(delist)となったとしても、自分にとっては関係ない。事業の行方を見ているだけだ。(It wouldn’t matter to him if Wells Fargo was delisted for three years and he could just watch the business.) もちろん、全ての銀行についてその様に思っている訳ではない。
2:40 pm: 「今あなたがたが見ているのは、正義です。」(“What you are seeing now is justice.”)(正当な裁きを受けているのです。)銀行は馬鹿げた行いをし、過剰な反応をしていました。その行いに対する相応な苦しみを受けています。(マンガー氏)
正義(裁き)は株主から来るものです。しかし、同様に何が起こっていたのか分かっていなかった株主にも影響を与えています。(バフェット氏)
2:42 pm: 韓国人記者からの質問: 米国と韓国間の自由貿易協定(合意)について
回答(バフェット氏): その(自由貿易についての)合意書の詳細を読んでいない。しかし、一般的に行って、より多くの貿易(取引)を行うことは、良いことだと思う。しかし、米国の輸出が伸びる一方で、輸入はさらにもっと伸びている。不均衡が問題だと思う。(He thinks “the imbalance is a problem.”) 大きな(貿易)不均衡は、今後、経済と政治の問題を引き起こす可能性がでてきていると思う。しかし、一般的に、特定の国、製品、あるいは業界に対して優遇することなく、多くの取引(貿易)を行うことはできる。バフェット式の取引の方針は、“ワイド・オープン”だ。(‘wide open” 幅広く解放、自由に行う。)
2:46 pm: バフェット氏は、外国製品は喜ばしいものと認識されているので、貿易は政治的に困難な問題とはならないであろう、と付け加えた。ただし、選挙活動中は非常に難しい件である。今私が話した様な自由貿易についての利点は、工場を失った小さな町に済む人にとっては、ほとんど意味のないものです。豊かな国においては、セーフティーネット(安全装置、問題を解決・防止する仕組み)があるべきだと語る。
2:48 pm: バフェット氏はバークシャーは保有するデリバディブの評価をするのに、保守的で、標準的な式を使っていると語った。それ(その式を使うこと)は間違っていると思っているが、一方で、バークシャーが”良い数字”を見せる様な(計算)式を使いたくない。バークシャーを含むファイナンシャルの企業(の株)を購入する時、責任者のリスクに対する耐性に対して安心できる様でなければならない。多くの銀行は、その様に(注)リスクに対して十分な対策ができている様に)しているのか、分からない。(バフェット氏)その銀行の経営者に対して自分が(信頼できると)絶対の自信がある時のみ、銀行に投資する。「我々は、殆どの時は、かれらが何をしているのかを知ることはできない。」(“We just can’t figure out what they’re doing most of the time,”)とファイナンシャル企業について語った。
2:52 pm: 複雑な投資手法(戦略)を使っている非常に巨大な金融企業に対して規制するシステムを作ることは不可能です。それよりも、それを経営している人を知ることの方が良いと(うまくいくと)思います。(バフェット氏)
金融企業が政府の援助を受け入れるのであれば、非常に慎重に取引を行うことが求められるべきだと思います。(マンガー氏)
2:54 pm: Fannie MaeとFreddie Macは、”非常に巨大なため、失敗(破綻)することはできない。”と言われています。取り締まり機関(
OFHEO (Office of Federal Housing Enterprise Oversight): 住宅都市開発省の建設業者監督局)から 200人が指名されており、彼らの仕事は、FreddieとFannieを監視することです。(監視をすることに特化した仕事)人は、間違った誘因・報償(金)を与えられると、悪いふるまいをします。経営者は、ウォール・ストリートのために”きれいな絵を描いて見せなければならない”、そしてそれが、悪い経理(操作)を導くのです。
(原文:People will behave badly when given the wrong incentives. Management had to “paint pretty pictures” for Wall Street and that led to bad accounting.)
2:58 pm: おかしな品物を売っている人は、いつも打算的になります。(お金で動かせる)(マンガー氏)(原文: “The people selling the weird products are always going to be venal.”)
「まあ、必ずいつもではありませんが」とバフェット氏は付け加え、「”通常の取引”での 利益率が搾られてくると、人は(悪い意味で)生産的になります。”有害廃棄物”はウォールストリートにとって、”ごく普通もの”より魅力的となります。」(バフェット氏)
(原文:”Well, not always.” Buffett notes that when the profit margin gets squeezed out of the “plain vanilla” transactions, people start getting creative. “Toxic waste” more attractive to Wall Street than “plain vanilla.”)
3:00 pm: 質問:(バフェット氏とマンガー氏の)パートナーシップについて
回答: 我々二人は最初からばっちりの相性でした。お互いの冗談で、床を転げ回る程笑い続けたりして、その時(出会ったとき)からずっと楽しいことを体験・経験してきています。時々、意見の相違はありますが、1959年以来、口論になったことはありません。チャーリーは、ビジネスの評価・見積もりの仕方や人間についてたくさんのことを教えてくれました。チャーリは、安っぽい”葉巻をくわえた男”になりそうになる自分を、強固な事業家になる様にさせようとしてくれています。(バフェット氏)
3:02 pm: 自分がバフェット氏に影響を与えたことより、はるかにもっとバフェット氏は彼の人生に影響を与えました。バフェット氏は自分に法律の仕事を辞める(あきらめる)様に決断させたことは、特に大きいことでした。「我々は、両方とも学ぶことが好きです。」「バークシャーは、常に学び続ける機械の一例です。人間(であること)の最も良いことは、他の人の知識を高めることを手伝う・助けることができることです。」(マンガー氏)
二人は、お互いが出会い、バークシャーの多くの(いたるところにいる)非常に才能のある経営者達と一緒に仕事を続けることができたことは、非常に恵まれたこと(天から授けられたこと)だと語りました。
(They say they are blessed to know each other and to be able to work with such talented managers throughout Berkshire.)
3:06 pm: 質問:ファイナンシャルの株の中で買いな物はあるか?
どの銀行に投資するのでも、バークシャーが投資する場合、非常に巨額となる。 自分は、殆どの銀行について十分に分かっていない。自分は、ちょこまかと国内を回り、一人の経営者と会って話をして、またその次、等といった様なことをしようとは思わない。単に経営者と話をしただけでは役に立たない。時として、彼らは彼ら自身信じているといった様な嘘をつく場合もあります。バークシャーの立場から見た場合、中規模の銀行を見つける様に努める様なことはあまり意義を感じません。しかし、たまに、目に飛び込んでくる物もあります。(バフェット氏)
“その将来性の領域”(prospecting territory)は、ある可能性・見込みがあるものかもしれません。しかしそれは、バークシャーではなく、他の人達にとっての物です。(マンガー氏)
多分、米国のファイナンシャルの株よりも韓国の株の方が価値の可能性(将来性)を見つけるのは簡単かもしれません。(バフェット氏)マンガー氏もそれに同意して、「そっちの方が米国の銀行よりも明らかなオパチュニティー(投資の機会)があります。」
予定より少し後になってしまいましたが、バークシャーのアニュアル・ミーティングでのバフェット氏とマンガー氏のプレス・インタビューやはり興味深いものだったので、エントリーしました。これは前半です。続きは後日エントリーします。