今日の一番のニュースはなんと言ってもAIGの決算結果発表だと思います。損失が巨額となる事は、先週の末の時点で分かっており、それに併せて、決算発表前日に政府が救済措置の発表を先に行ったものの、市場に与えた影響は非常に大きかった様です。
関連のニュースを以下に取り上げます。
本日の朝、AIGが第4四半期の結果を発表しました。決算結果は、クレジット・マーケットの悪化とリストラクチャリングの費用等で617億ドルの赤字、希薄後の一株当たり$22.95の赤字となりました。
AIGのプレスリリース上記AIGの大幅な損失発表の前に、政府はAIGへの追加の救済措置を行う事を明らかにしました。以下、WSJの3月2日の記事(今日の一面です。)のリンクと概要を記します。
U.S. Revamps Bailout of AIG(Source: The Wall Street Journal, March 2, 2009, A1)
政府はAIGに対して、総額1500億ドルの救済パッケージのオーバーホールを行うことを発表。狙いは、財務の健全化・バランスシートの強化であるが、新たな計画はさらなる米国の納税者に対する金銭的なリスクを伴うものである。
これまでの救済策は、短期の融資を行い。それに対して相応の高い金利の支払いを求めていたが、今回の計画で、金利の引き下げ、貸し付けの条件を緩めることとした。狙いは、長期的にAIGの資産価値を高めること。
最新の計画は、TARP(Troubled Asset Relief Program)から新たに最大300億ドルの融資を行う。AIGは11月の時点で既にTARPから400億ドルの資金調達をしており、今回の追加融資により、TARPから総額700億ドルの融資を得る事になる。これは、TARPの総額の7000億ドルの10%に相当する。これにより、TARPのAIGに対する資金援助は、Citygroupに対する500億ドル、Bank of Americaに対する450億ドルを上回ることになる。
今回のAIGへの救済措置は、昨年9月に行った最初の救済措置から数えて4度目。以下、救済措置の概要。
- 9月16日: 政府は、AIGの株式の79.9%と引き換えに、2年間のローンで最大850億ドルの融資を行う。
- 10月8日: AIGの証券貸し付けプログラムの悪化により、救済融資の上限を1230億ドルに引き上げる。
- 11月9日: 新たに400億ドルの投資を行ない、救済のパッケージ総額を1500億ドルに引き上げる。
- 3月1日: TARPから新たに最大300億ドルの融資を行う。これにより、600億ドルのクレジットラインの上限を250億ドルに引下げる。
引用、以上。
今回のAIGの巨額の赤字決算発表の市場に与えた影響は非常に大きかった様です。政府の救済案はこれで4回目の追加となりました。また、これで終わる保証はないことも事実なので、余計にファイナンス・セクター全般の不安が更に高めることになってきている様です。特に、CitiやBofA等、既に巨額の資金援助を得ている所でも、更に追加の救済が必要となる不安を高めるきっかけとなっています。
実際、本日市場終了後に、AIGへの更なる救済の必要性が出てきそうな事等について書かれたReutersの記事が掲載されています。
AIG has $61.7 billion loss, new U.S. aid may not be lastこの件を踏まえて、世界最大の保険会社で優良企業として評価されていたAIGがなぜ、この様になってしまったのか?的な、切り口でNew York TimesがAIG決算発表前の週末に記事を掲載しています。すごく良い記事なので、ご興味のある方は、是非、読んでみて下さい。
Propping Up a House of Cards(New York Times, February 27, 2009)