"バフェットからの手紙 - 2008年版"シリーズの
続きです。
保険 (Insurance)我々の保険事業のグループは、1967年に我々が最初に事業に参入してから、バークシャーの伸びを引っ張ってきました(支えてきました)。この大変好ましい結果は、業界の全般的な繁栄によるものではありません。2007年末までの25年間で、総資本に対するリターン(収益)は、保険企業の平均8.5%、対してFortune 500は14.0%です。明らかに、我々の保険業(子会社の保険会社)のCEO達は、追い風を得ていません。(業界の伸びによる事業の伸びへの後押ししていない)しかしながら、これらの経営者達は、チャーリーと私が当初夢にも思わなかった様な素晴らしい成果を上げ続けています。なぜ、私が彼らを大好きなのか?いくつかの点を挙げて、ご説明いたします。
GEICOのTony Nicelyは – この会社に18才で入って、彼は現在48年目の年となります – 厳格にアンダーライティング(裏書き・債務保証)の基準を守る事を継続しながら、マーケットシェアを伸ばし続けています。1993年にTonyがCEOになった時、GEICOは自動車保険マーケットの2%のシェアを持っていました。長い間、会社はその辺りのレベルに(2%のシェアに)留まっていました。それが、今は7.7%です。これは、2007 年の7.2%から更に上昇しています。
新しい事業との組み合わせによる伸び、そして、既存の事業のリニューアル(更新)の頻度の向上により、GEICOは自動車保険業界で第3位の地位まで上昇してきました。1995年にバークシャーが買収した時、GEICOは第7位でした。今、我々の上にいるのは、State FarmとAllstateだけです。
GEICOは、自動車の所有者のお金を節約することができるため、伸びています。誰も、自動車の保険を買う事は好きではありません。 しかし、ほとんど全ての人は運転する事が好きです。それで、ドライバーは(運転者は)常にファーストクラス(一流)のサービスを提供し、最も低価格な保険を探します。効率は、低価格の鍵です。そして、効率は、Tonyの最も秀でた分野です。5年前、従業員あたりの契約保険数は、299でした。2008年、その数は439、大幅な生産性の上昇となりました。(コメント:これは驚異的な数、伸びだと思います。)
我々はGEICOの事業機会を見ると、Tonyと私は、ヌーディスト・キャンプにいる二匹の蚊の様な気持ちになります。おいしそうな獲物が、そこら中にいます。第一に、そして最も重要なこと、我々の自動車保険での新たなビジネスは、爆発的な勢いで伸びています。アメリカ人は、かつてない勢いで、お金を節約しようと腐心しています。そして、彼らは、GEICOにやってきます。2009年1月、我々は保険契約者数の伸びの月の記録を大幅に更新しました。その記録は、ちょうど28日しか保たないでしょう。我々が記者発表した様に、2月の伸びは更にもっと良くなる事が明らかです。
この他、我々は系列の事業でも大きく伸びています。昨年、我々のモーターサイクルの(保険)契約は、23.4%伸び、我々の市場のシェアは約6%から7%以上に上がりました。我々のRVとATVのビジネスも事業規模は小さいながらも、同様に急激に伸びています。そして、最後に、市場が大きく将来性がまさに約束されている、事業用自動車の保険を最近始めました。
GEICOは、現在何100万人のアメリカ人のお金を節約しています。GEICO.comに行ってみて下さい。または、1-800-847-7536に電話をし、いくらお金を節約する事ができるのか、見てみて下さい。
我々の所有する国際的な再保険業大手General Reも、2008年は素晴らしい結果となりました。しばらく前は、会社は非常に困難な問題を抱えていました。(1998年後半に我々が買収した時、その問題を見つける事ができなかったのは、私の完全な失敗でした。)Joe Brandonが彼のパートナーのTad Montrossの協力の元、CEOの席に就いた時の、2001年までに、General Reの文化が更に劣化してきている事を、アンダーライティングの厳格な基準の遵守が失われていること、リザーブと経費が示していました。JoeとTadが経営を始めてから、これらの問題に対して、適切かつ厳正に対処しました。今日、General Reは、混迷から回復を遂げました。昨年の春、Joeは退任し、TedがCEOとなりました。チャーリーと私は、Joeが船を正しい方に導いてくれた事に感謝しています。そして、Tadと共にGeneral Reの未来は最良のものとなる事を、確信しております。
再保険(保険の裏書き)は、長期間の保証を行う事業で、時として、50年あるいはそれ以上にまで渡ります。昨年は、重要な原則を顧客に再教育する年となりました;約束(保証)は、人または機関がする以上に良いものはない。それが、General Reが他に類を見ない活躍する場所です;AAAの(レーティング)の会社が保証する唯一の再保険会社です。(注:先週(3月9日の週に)、バークシャーは1ランクダウングレードされてしまいました)ベン・フランクリンがかつて一度述べた事、「空っぽの袋を上に向けて立てておく事は難しいです」(注:“何かを受け止めるために、空の袋を上に向ける“ )General Reの顧客にはその様な心配はありません。
我々の3番目の保険事業は、Stamfordに本社があり、たった31人の従業員で構成される、Ajit Jainの再保険事業部です。これは、その特質を説明する事は難しいが敬う事は容易い、世界の中で最も卓越した事業の一つかもしれません。
(コメント:Ajit Jain氏は、バフェット氏の後継者の候補の一人と目されています。私は、Jain氏が第1候補だと思っていたのですが、このコメントを見て、(勝手に)更に確信を強めました。理由は、バークシャーも非常に少ない従業員で構成している事。バフェットさんの投資手法・基準、そしてバークシャーの事業戦略は、リスクのアセスメントをベースにした再保険事業の手法・考え方と根本的部分で共通する点が多々ある(と私は思っている)ためです。)
年毎に、Ajitのビジネスは決して同じものではありません。(大きく異なります。)非常に巨額の取引を行ない、信じられない実行のスピードと契約の見積もりを行う意思は、他社が頭をかかせることになります。巨額で普通ではないリスクについて保険をかける場合、ほとんど確実にAjitに声がかかります。
Ajitは、1986年にバークシャーに入りました。そしてすぐに、私は我々が類いまれな才能を(持つ人物を)手に入れた事に気付きました。そこで、私は論理的なことをしました:私はNew Delhiの彼の両親に手紙を書き、彼らが彼の様なもう一人が家に(家族に)いないかと尋ねました。もちろん、私は手紙を書く前からその答えを知っていました。(答えがどうなるか、分かっていました。)Ajitの様な人は存在しません。
(コメント:本当にバフェットさんらしい、話です。ここのくだりは、バフェットさんがいかにAjit氏を評価しているかが、良く分かる部分だと思います。)
我々のより小さい(既に述べた主な事業と比べて小さい)保険事業は、通常、価値のあるフロートをネガティブ・コスト(注:コストを支払うのではなく、逆にお金を得る。既に、この件については、前のセクションで説明しています。)で提供する‘ビッグ3’の様に、独自の方法で素晴らしい結果を残しています。我々は、彼らの結果を下の“Other Primary”にまとめて(記載して)います。スペースの関係上、我々はこれらの保険事業について個別には述べません。しかし、チャーリーと私は、それぞれの(より小さい保険事業個別の)貢献に感謝しております。
(注:細かい点ですが、英語の表現としては、'Others'と単に記すのが通例だと思いますが、'Other primary'と記述するところにバフェットさんの配慮が感じられます。)
こちらが、我々の保険事業のスツールとして4本の足について記載したものです。アンダーライティングの利益は、全ての4つからバークシャーに、2007年にした様に、昨年もコストなして資金を提供したことを示しています。そして、両方の年で我々のアンダーライティングの収益は、業界(他社)で得られたものよりも、はるかに良いものとなっています。もちろん、我々自身、時々、保険事業でとんでもない(困った、悪い)年もあります。しかし、全体として、私はアンダーライティングの収益で平均(均衡)となると予想しています。もし、そうなった場合、我々は巨大な大きさの資金を無料で(調達コストなしで)期限の制限なく使う事ができます。

原文:
Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders, 2008取り急ぎ中断していたバフェットの手紙のシリーズを再開致します。旅行中の合間を利用して、書いたため、見直しができていないこと等もあり、乱文お許し下さい。後で、見直して、コメントを編集する予定です。
以下、オフのコメントです。
本日から旅行中です。本日の早朝のフライトだった事、やることが溜まっていたため、昨日は旅行の準備他で一睡もせずそのまま飛行場へ行きました。早朝にも関わらず、空港のセキュリティは大行列で、危うく飛行機に乗り遅れそうになりましたが、なんとかぎりぎりで間に合いました。これほどの行列は久しぶりでした。
また、前日の日曜日にショッピング・モールに行ったのですが、春休み開始の週末だったからか、駐車場はほぼ満車、多くの人でにぎわっていました。景気の急速後退、消費者のコンフィデンスの低下等が言われている反面、経済指標の一部が予想されていた程、悪くない結果であった事が先週のニュースでありました。とても信じられない、とその時は思いましたが、昨日のショッピングモールの人出、早朝にも関わらず長蛇の列の空港のターミナル入口の状況をみると、もしかすると、思いの外消費者のコンフィデンスは悪くないのかとも、思えます。自分としての考えとしては、そうは思っていない反面、少し気になっています。
ちなみに、私の乗った飛行機も満席でした。去年も同じ時期に同じ場所に行ったのですが、今の時点での印象は昨年と変わらない雰囲気、空港とショッピングモールの状況は去年以上の混雑です。この件、実際に見た米国消費者市場の現況の印象については、時間が許せば、別にもう一つのブログに取り上げようかと思っています。
ちょっと話したが脱線してしまいました。すみません。このエントリーは、飛行機の上で書いたものです。乗り継ぎを含め10時間近い移動時間となってしまったのですが、その間、一部は前日の徹夜の反動による睡眠、起きている時間は、今週発行のBarron's, Economist, Business Weekを一通り読む事ができ、また、本エントリーのテーブル以外の部分も全て飛行機上でできました。後は、バフェットさん関連のSnowballも少し読むことができました。
と言う事で、今回のフライトは久しぶりに生産性の高いものとなりました。勝因としては、お酒を飲まなかった事に限るのではと思います。飛行機の上で、お酒を飲むのは嫌いな方ではないのですが、生産性が圧倒的に落ちてしまうので、大きなトレードオフとなります。日本に行く場合等は、時差調整をかねる意味でもお酒を飲んで寝たり、あれこれ考えたりもするのですが、今回はお酒は一切飲みませんでした。(今は、日本ではないのですが、住んでいるところとかなり時差があります。
話が大きく横道にそれてしまいすみません。このコメント分は後で、追加のコメントを加えた上で、別のエントリーにしようかと思っています。