Finance and Financial Products (金融と金融商品)私は、このセクションにおいてクレイトン・ホームズの住宅ローン事業について結構長く書くつもりです。そして、それ以外のファイナンシャルについては、このセクションの最後にテーブルで総括し、コメントに関しては割愛させて頂きます。なぜ、今回この様にするかと言うと、クレイトンの最近の経験は、住宅と住宅ローンについての社会一般の規制や政策についての議論にも役立つ・参考になるかもしれないと思うからです。それでは、まず先に少しばかり背後事情にについて話します。
クレイトンは、マニュファクチャード•ホームの最大手で、昨年は2万7499戸を提供しました。(注:マニュファクチャード・ホームは前もって工場で組み立てられた家。それを巨大なトレーラーで所定の場所(顧客の指定する)場所に運んで、仕上げます。通常の住宅に比べ、低価格である事が一つの特徴です。)これは、業界全体の8万1889戸の約34%に該当します。我々のシェアは、2009年に伸びる事となるでしょう。その部分的な理由は、業界の他の企業のほとんどは、深刻な経済的困窮に陥っているからです。業界を通して見た場合、販売台数は1998年に37万2843戸のピークを記録して以来、着実に下落し続けています。
(記録を更新した)その時、業界のほとんどは、酷い販売手法を導入していました。私が “借りるべきでない借り手が、貸し出すべきでない融資会社から、お金を借りる”と評した事を含めて、後程、その時期のことについて、書きます。
まず初めに、意味のある頭金の必要性は、頻繁に無視されていました。そして時折、ごまかしが行われていました。(「その猫は確実に2000ドルの価値がある様に見えます。」と語る営業マンは、融資が行われた場合、3000ドルを受けとる事になります。)更に、月々の支払いを行う事が不可能なことは合意の上で借り手は契約します。なぜなら、彼らは失うものがないからです。その結果として発生した住宅ローンは、通常、パッケージ化(“証券化”)され、ウォールストリートの企業によって、疑問を持っていない投資家に販売されました。この愚行のチェーンは酷い終わり方をすることは避けることができません。そしてそうなりました。
クレイトンは、強調すべき事ですが、その(とんでもない融資が行われていた)期間を通して、はるかに道理のある手法をとって、自分達の貸し付けを行っていました。本当のところ、融資をした住宅ローンの買い手はいませんでした。それなので、その後に証券化して、元金または利息を失う事はありませんでした。しかし、クレイトンは例外でした。業界のロスは唖然とする程でした。そして、そのなごりを今日まで引き摺っています。
この1997-2000年の大失敗(フィアスコ)は、はるかに大きい市場規模の通常の住宅市場への炭鉱のカナリアの警告として扱われるべきでした。しかし、投資家、政府、そしてレーティング・エージェンシー達は、マニュファクチャード・ホームの大失敗から一切学びませんでした。それどころか、2004年から07年の期間に、一般の住宅で同じ間違えが繰り返され、ぞっとする様なその大惨事を再び巻き起こすことになりました。融資会社は、彼らの収入で支払う事ができない借り手に、喜んで貸し出しをしました。そして、借り手は、それらの支払い条件に同様に喜んで契約を結びました。どちらの側も、そのことがなければ契約が不可能な“住宅価格の上昇”をあてにしていました。それは、(注:“風と共に去りぬ”の)スカーレット・オハラの「それについては、明日考えるわ。」がそこら中で繰り返されていました。今、この振る舞いが招いた結果は、我々の経済の隅から隅までに、反響しています。
この後、再びクレイトンの事業の話に戻ります。この様な市場環境の中で、クレイトンがどの様にビジネスを行っているのか等の話が続きます。バフェットさんが書いている様にこのセクションは少し長く、話の流れとしては、ここで一旦区切れるため、ここで一旦終了します。お待たせした上、短くてすみません。
以下、私のコメントです。
日本の方にとって、このセクションでの話は極端な喩えの様に思われる方もいらっしゃるかと思います。しかし、実際にアメリカに住んでいて、数年前まではこの様なことが平然と行われていたのを見ている者として、ここでの話は、まったく極端ではないことを補足させて頂きます。数年前まで、収入の証明は必要なし、頭金も全く入れる必要なく、さらに最初の一定期間(長い場合で3年程度)は極端に少ない月々の支払いで、住宅ローンの貸し付けを行っている業者が(そこら中に)ありました。
この様な住宅ローン(Option-ARM)は、所定の期間終了後に月々の支払いは大幅に上がる事が前もって分かっており、その際には支払う事ができないであろうことも十分想定されている上で、(通常)借り手と貸し手が合意の上でローンが組まれていました。
月の支払いが大幅に上がった際、返済ができなくなっても、その時に住宅価格は上がっているはずなので、家を売れば良い。うまく行けば、頭金なしでも、後でたくさんのお金が入ってくる。あるいは、その時に家の価値が上がっているだろうから、含み益を考慮して住宅ローンを組み直せばと良い。と言った論理が平然と通っていました。
また、上に書いた様な投機的な住宅ローンは、融資会社からの手数料も高いため、ローン・オフィサー(住宅ローンの斡旋・販売を行う仕事)は積極的に販売していました。頭金なしでローンを組む場合は、担保となる住宅の価値の見積もりをつり上げておけば、問題なくローンの審査が通るので、担保価値の見積もりに関しても、当然の事ながら甘く見積もりを行っていました。
これに関連して、以前書いたエントリーのリンクを参考までに添付します。
米国住宅ローンが抱える爆弾: インタレスト・オンリー ローン私事ですが、腕の痛みが悪化しており、PCに向かうのが非常に苦痛な状況になっています。何とか良くなってほしいと、自分としても切実に思っているのですが、、、今週中に改善しない場合は、来週医者に行こうと思います。