BlackstoneのIPOを一つのきっかけに、現在、アメリカの政界では、Private Equityに対する税率に関して議論が活発に行われています。現行の税制では、Private Equityはキャピタルゲインの課税として、15%と言う低い税率になっており、それが、通常の収入の税率に対して不公平、不当に優遇されているのではないか、否か、が大きな論点です。
6月21日にNew York Timesが、関連の記事を書いています。非常に良くまとまっていて、話の全容を理解するのに良いと思います。(賛成・反対の両意見を取り上げています)
少し時間が経ってしまいましたが、状況を把握する上でも良いと思い、記事の内容に関して、要約と私のコメントを続きに付加します。
記事のURLは以下の通りです。
Congress Weighs End to Private Equity Tax Break議会は、Private Equityの優遇税制の終了について(の議論に)、重点をおく(重視する)
“
The sudden interest on Capitol Hill in increasing taxes on wealthy private equity and hedge fund operators is already running into a storm of opposition from the firms potentially affected and from other lawmakers closely associated with Wall Street. ”
“突然の議会における、Private EquityとHedge Fundに対する税率を上げる、ことに対する動きは、影響を被ることになるprivate equity側とWall Streetに近い法律筋から、猛烈な反対が巻き起こっています。”
“The sudden interest”の箇所を太字のイタリックにしましたが、これは、やはりBlackstoneのIPOが今回の議論のきっかけになっていることだと、思います。
“A change in the tax code could also fall on venture capital firms, real estate partnerships and many oil and gas companies — all of which use similar accounting to justify paying the lower tax rate.”
“この税率(tax code)の変更は、同じようなアカウンティングを使用し、税率を抑えているベンチャーキャピタル、リアル・エステート・パートナーシップ、そして多くのガスや石油の会社にも影響を及ぼします”
と言う事で、この変更で影響を受けるのは、Private EquityとHedge Fundだけではなく、結構、多岐に及ぶ産業で、影響も(直接・間接的に)大きいことを示唆しています。
Among the lawmakers currently considering the idea of eliminating the capital gains advantage are the chairman of the Senate Finance Committee, Max Baucus, Democrat from Montana, and Charles Grassley of Iowa, who is the ranking Republican. Together, they introduced the bill last week on publicly traded firms.
“議会(立法)側で、このキャピタル・ゲインの優遇制度の廃止を検討しているのは、上院のファイナンス・コミッティーの議長であるMax Bauus(民主党、モンタナ選出)とアイオワ州の共和党有力議員、Charles Grassleyです。 この二人が共同で、一般市場に公開している企業に対する(税率変更)の法案として、先週、提出しました。”
注目なのは、民主党と共和党の議員が共同で行っていることです。このことは、今回の議論が、民主党対共和党という構図では、(少なくともこの時点では)ないことを意味します。また、両議員ともそれなりに有力な人の様なので、それも注目です。
後、注意したいのは、今回の提案は、一般市場に公開している企業に対してのみということです。
この後のNY Timesの記事でも書いてありますが、公開している企業のキャピタル・ゲインの課税変更ではなく、”carried interest”(パフォーマンス・フィー)に対して課税を強化すると言う案も、検討されています。 これに関連して、以下の部分を抜粋します。
“This is the No. 1 issue all offices are getting lobbied on right now,” a senior aide in the Senate said. “Carried interest is billions; publicly traded partnerships is millions.”
中略: 記事は、税制改革の議論等について一部、簡単ではありますが、触れています。特に、AMT(Alternative Minimum Tax)に換わるState Children’s Health Insurance Programの財源として、の引用があります。ご興味ある方は、是非、原文の記事(エントリの冒頭の添付URL)を読んで下さい。(まあ、ご興味を持たれる方は、もっとお詳しいと思うので意味ないかもしれませんが。。。)
“Three Republican presidential candidates have said they are against the idea and are expected to line up against any farther-reaching efforts. “I don’t like raising taxes at all,” Rudolph W. Giuliani said on CNBC this week.”
“3人の共和党、次期大統領候補は、このアイディアに反対を既に表明しており、さらなる手段等(キャリード・インタレストに対する課税を指すと思います)に関しては、一致団結して反対する用意があると、言っています。”
と言う事で、共和党次期大統領候補たちは、強い反対の立場の様です。
反対意見の側は、米国の市場競争力を削ぐことを危惧する点を指摘しています。
“We are concerned about how quickly this is moving without real consideration to the implications it would have on our tax policy and on the competitiveness of our markets,” said Michael Ryan, executive director and senior vice president for the U.S. Chamber’s Center for Capital Markets Competitiveness.
“我々は、課税のポリシーが我々の市場競争力にあたえる影響をきちんと考慮せずに、早い動きで進められることに危惧しています。“とMichael Ryanは語っています。
一方、ロバート・ルービン(前財務長官で現在、Citigroupの経営執行委員会 会長)は、シティグループとしてではなく、個人の立場でとした上で、議会の適切な税制コミッティー(審議会の様なもの?)によって、非常に真剣に検討されるべきであると、語っているとのことです。
先週のエントリーでCitigroupのCEOの話を引用しましたが、Citiを始めとする大手銀行はPrivate Equityの恩恵をかなり受けているので、絶対反対の立場だと思います。
かなりの巨額なお金を持っている側が、反対の立場なので、政治家に対する圧力も、ものすごいとおもいます。恐らくCarlyle(
Carlyleについての関連エントリーを良かったら参照してください)も、共和党上層部に顔が利くので、相当、圧力をかけているはずです。
次の、エントリーで、昨日のヒラリー・クリントンの発言を中心に、次回のエントリーで取り上げます。
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