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米国の市場状況の分析 

まず最初に、現時点での株式市場の状況について、把握したいと思います。現時点での主要インデックスの推移を、年初、第2四半期末、そして先週の末で見た場合、以下の様になります。
20070729175209.png

(読み辛くてすみません。読めない場合は、クリックして見てください)

先週、かなり下がりましたが、年初から見た場合の主要インデックスは、今の時点ではまだプラスです。ただし、小型株中心のインデックス、Russell 2000は先週の下落により、年初から見てもマイナスの領域に入ってしまいした。 (ただし、S&P Small Capital 600 はまだ、年初と比較しても、プラスです)

今の時点では、下がってはいるものの、大型株中心のDOW Jones Industrialとテクノロジー株中心のNasdaqは堅調な状況です。

次に、ここ2週間の間にあった主要なニュースを以下に記します。

‐ 金融セクターは、殆どが第2四半期は非常に良い決算を発表。
‐ しかし、サブプライムローンの問題が広がりつつあることが明らかになる。
‐ Private EquityやHedge Fundによる、発表済みの大きなM&Aの案件で、資金調達の問題で、キャンセル、延期になるものがでてきている。

‐ 石油関連大手は、好決算を発表。(しかし、アナリストの予測には届かず)

‐ 6月の新築・中古住宅の販売状況は、予想よりもさらに悪いことが判明。
‐ 住宅販売メーカーはことごとく、赤字に転落。回復には時間がかかるとの見通し。大方が、2008年中は厳しい状態が続くとの見方。
‐ 住宅ローン米国最大手のCountrywideが、減益を発表。原因は、プライムローンのホームエクイティの破綻の増加と発表。サブプライムから、プライムへと問題が広がってきている。

‐ Caterpillar, DuPont, PepsiCo等が、堅調な決算を発表。しかし、米国外のビジネスが好調ではあるものの、米国内向けのビジネスが低迷していることが明らかになる。

‐ ハイテク関連の企業では、大手が好決算を発表。(IBM, Apple, 他)
‐ テクノロジー関連の企業の決算は、大方がアナリストの予想に近い結果

Commerce Departmentは第2四半期のGDPは、年換算で3.4%上昇の上昇ペースで、2006年第1四半期に次ぐ良好な伸びであることを発表。しかし、消費支出が減少しており、米国景気の前途に暗雲が立ち込めている状況が判明。

ここで、The Big Pictureの27日の”Durable Goods & GDP"エントリーで引用されていた、過去のGDPの伸びの内訳のグラフを添付します。(出典: The Mess That Greenspan Made (かなり過激なタイトルですが、内容はかなりまともそうです。))
07-07-27_GDP_contributions.png

消費支出がGDPの伸びを支えてきた大きな要因であることが分かります。

住宅市場の悪化や、住宅ローンの返済問題(サブプライムのみならず、広がりをみせつつあります)、ガソリン価格の高騰、自動車市場の低迷、等の材料を考慮すると、消費支出は、今後減少する方向に向かっている可能性は高いと考えられます。

また、住宅市場の悪化から、住宅建設関連が3分の1をしめる国内向け投資(Private Domestic Investment)も減少の方向に向かうことが予想さます。

これらの状況を考えると、米国のGDP/景気は悪化の方向に向かう可能性はますます高くなってきている様に思えます。

先々週のエントリーで、“不安要因を抱えながら、上昇する米国市場”と言うタイトルの記事を書きました。内容は、Wall of Worry (不安の壁)と言う例えを使用して、米国株式市場が抱えている不安要因について取りまとめた、WSJの記事を引用、解説しております。

このエントリーで述べている中の以下二つの不安要因は、この2週間の間に、明らかに悪化の傾向にあります。

High Risk Investment: これに関しては、問題の広がり、悪化が明らかになってきています。
Liquidity: Private Equity/Hedge Fundの資金調達が急速に悪化しており、かつてない熱狂的なM&Aブームの急速な沈静化、終焉が起こりつつあることを示す発表がされています。

米国市場はWall of Worryを登ってきましたが、壁がかなり険しくなっており、一歩足を踏み外すと転げ落ちるような状況にある様に思われます。

以上、ここ最近の情報を元に、現在の状況を取りまとめてみましたが、悪材料が多くなっていると言えると思います。

後は、これらの状況の中で、市場が今後どう動くか、だと思います。短期的には、かなり不安定で、上下に激しく動く可能性がありますが、中長期的には、方向性が見えてきている気がします。

明日は、マーケットのシナリオに関して再検討を行う予定です。

(長いエントリーに最後までお付き合いくださいましてありがとうございます。)
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